木走日記

場末の時事評論

「食料品など」と軽減税率から「新聞」を隠す姑息な朝日新聞世論調査

さて消費税率が10%に増税されて2ヶ月が経ちました。

朝日新聞が行なった世論調査では、消費増税に「納得」54%とあります。

消費増税に「納得」54% 景気への悪影響「不安」61% 朝日新聞社世論調査
https://www.asahi.com/articles/DA3S14226785.html?iref=pc_ss_date

記事では「食料品などの税率を8%に据え置いた軽減税率を「評価する」は58%、「評価しない」は33%だった」とあります。

姑息な調査です。

「食料品など」とごまかしていますが、はっきり「食料品と新聞」と読者に示さなければなりません。

それにしても私のまわりでは、軽減税率の評判がすこぶるよろしくないわけですが、食料品は生活必需品とのことで8%据え置きとなったわけですが、どうにも我々消費者が納得がいかないのが食料品と並んで紙の新聞も軽減税率対象となっていることです。

軽減税率の評価は「食料品」と「新聞」に分けて個別に世論調査すべきです。

紙の新聞って、生活必需品でしたっけ?

日本新聞協会のサイトでは6年前の『軽減税率を求める声明』が、恥ずかしげもなく今でも参照できます、新聞=知識といううぬぼれた論理で「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」と高々と表明しています。

軽減税率を求める声明
2013年1月15日

 日本新聞協会は、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求める。

 知識への課税強化は国の力を衰退させかねないほか、欧州では民主主義を支える公共財として新聞などの活字媒体には課税しないという共通認識がある。民主主義社会の健全な発展と国民生活に寄与する新聞を、全国どこでも容易に購読できる環境を維持することが重要である。

 付加価値税の標準税率が二桁を超える欧州でも、新聞に対する税率は、英国、ベルギー、デンマークノルウェーはゼロ税率となっているほか、フランス2.1%、スペイン・イタリア4%、ドイツ7%など、主要国では一桁に抑えられている。新聞協会が昨年11月に実施した調査でも、8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいる。

 また、国民に知識、教養を普及する役割を果たしている書籍、雑誌、電子媒体にも同様の措置をとることが望ましい。

https://www.pressnet.or.jp/statement/130115_2234.html

一歩譲って「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」のが事実であったとしても、その知識の代表媒体が紙の新聞であるとのうぬぼれ、誤った自負心はなんとかなりませんでしょうか。

日本新聞協会の誤った主張をもはや紙の新聞など知識の代表媒体などではないことを徹底的に反証しておきましょう。

国民がいかに紙の新聞を必要としていないのか、他ならぬ日本新聞協会の資料で確認いたしましょう。

2000年〜2018年のこの19年間に、53,708,831部から、39,901,576部へと、実に1380万部も発行部数を減らしているのです。

■表1:新聞の発行部数の推移

発行部数
2000年 53,708,831
2001年 53,680,753
2002年 53,198,444
2003年 52,874,959
2004年 53,021,564
2005年 52,568,032
2006年 52,310,478
2007年 52,028,671
2008年 51,491,409
2009年 50,352,831
2010年 49,321,840
2011年 48,345,304
2012年 47,777,913
2013年 46,999,468
2014年 45,362,672
2015年 44,246,688
2016年 43,276,147
2017年 42,128,189
2018年 39,901,576

■図1:新聞の発行部数の推移
f:id:kibashiri:20191207125222p:plain
https://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php

この19年間で25%も紙の新聞は販売部数を落としています。

しかもグラフを細かく分析してみれば、その減少率が明らかに年を追うごとに加速していることがわかります。

発行部数の対前年減少率をグラフにしてみましょう。

■表2:新聞の発行部数対前年減少率の推移

発行部数 対前年減少率
2000年 53,708,831 -.--
2001年 53,680,753 0.05
2002年 53,198,444 0.90
2003年 52,874,959 0.61
2004年 53,021,564 -0.28
2005年 52,568,032 0.86
2006年 52,310,478 0.49
2007年 52,028,671 0.54
2008年 51,491,409 1.03
2009年 50,352,831 2.21
2010年 49,321,840 2.04
2011年 48,345,304 1.98
2012年 47,777,913 1.17
2013年 46,999,468 1.63
2014年 45,362,672 3.48
2015年 44,246,688 2,46
2016年 43,276,147 2,19
2017年 42,128,189 2.65
2018年 39,901,576 5,29

■図2:新聞の発行部数対前年減少率の推移
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この19年間にわたる減少率の増大は異常値といっても過言ではありません、そして近年悪化の一途をたどっています、直近の2018年では、前年度5.29%減、この一年だけで220万部以上も減少しています。

滝を落ちるが如く部数の減少が止まらない新聞業界なのです。

この媒体のどこが「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」主張できるのか?

このグラフのどこに新聞が食品と並び生活必需品であることを示しているのか?

この部数減少は新聞など軽減税率の対象にする必要が一切ないことを示しているのです。

繰り返します。

朝日新聞よ、軽減税率の評価は「食料品」と「新聞」に個別に分けて世論調査すべきです。

「食料品など」と軽減税率から「新聞」を隠す姑息な調査を行うなと言いたいです。

そうすれば国民の本当の新聞軽減税率に対する真の評価があぶりだされるはずです。



(木走まさみず)