アングロサクソンは手を汚さない〜エシュロン・シギント(SIGINT; signal intelligence)を独占している5カ国について
米国家安全保障局(NSA)などの極秘の情報収集活動を内部告発したのは中央情報局(CIA)の元技術支援職員エドワード・スノーデン氏(29)だったことが明らかになりました。
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海外の5つのサイトをまずご紹介します。
The National Security Agency/Central Security Service (NSA/CSS)
http://www.nsa.gov/Government Communications Headquarters
http://www.gchq.gov.uk/Pages/homepage.aspxCommunications Security Establishment Canada
http://www.cse-cst.gc.ca/index-eng.htmlDefence Signals Directorate
http://www.dsd.gov.au/infosec/top35mitigationstrategies.htmThe Government Communications Security Bureau (GCSB)
http://www.gcsb.govt.nz/
上から順番に、アメリカ 国家安全保障局(NSA)、イギリス政府通信本部(GCHQ)、カナダ通信安全保障局(CSE)、オーストラリア国防信号局(DSD)、ニュージーランド政府通信保安局(GCSB)であります。
アメリカが誇る軍事通信傍受(シギント)システムであるエシュロン(Echelon)に参加している5カ国のSIGINT機関です。
ちなみにシギント(SIGINT; signal intelligence)とは、通信、電磁波、信号等を媒介とした諜報活動のことを指します。
エシュロンの参加5国ですが、米、英、加、豪、新、見事な旧大英連邦諸国、アングロサクソン同盟であります。
アメリカ合衆国連邦政府自体は本件で黙秘をしておりますが、エシュロン(Echelon)は、アメリカ合衆国の国家安全保障局(NSA)主体でこの5カ国の協力体制で運営されているのは国際的には常識であります。
エシュロンにメールアドレスが登録されてしまうと、全てのメールが盗聴されてしまいます、技術的には「エシュロンの盗聴から逃げ出すことはできない」とされています。
エシュロンとメールシステムの危険性
エシュロンは辞書を持ち、この辞書に登録された文字列を含むメールを盗聴している。 この辞書にメールアドレスが登録された場合、このメールアドレスに対する全てのメールが盗聴されている。 盗聴されたメールには登録済みのメールアドレスだけでなく未登録のメールアドレスが含まれている。 この未登録のメールアドレスをエシュロンの辞書に登録することができる。 このようにしてエシュロンは、人知れずに盗聴範囲を拡大している。 エシュロンの辞書に登録済みのメールアドレスにメールを送受信するだけでエシュロンに盗聴される。 エシュロンは、エシュロンが盗聴しているメールメールアドレスの送受信先メールアドレスを記憶している。エシュロンが盗聴しているメールアドレスを変更しても、記録されている送受信先のメールアドレスを盗聴し、変更後のメールアドレスで記録されている送受信先のメールアドレスにメールを送受信することで、再びエシュロンに盗聴される。一度に全てのメールアドレスを変更することは現実的ではなく、エシュロンの盗聴から逃げ出すことはできない。以上が、エシュロンとメールシステムの危険性である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AD%E3%83%B3
日本にもエシュロン傍受施設は存在し、青森県の三沢基地に置かれているといわれています。
当然、日本政府、日本企業も監視の対象とされており、無線、短波無線、携帯電話、インターネット回線など、ありとあらゆる日本国内の通信が常に傍受され、データは豪州経由でニュージーランドの通信所に送られてエシュロンに蓄積されているといわれております。
つまり、日本に関する情報収集の対象は軍事ではなく主に経済分野であり、産業スパイもどきの活動、情報収集を重点的に行っているとされています。
エシュロンの存在はフランスなど特に非アングロサクソンのヨーロッパ諸国で反発が強いわけですが、当然ながら、犯罪行為すれすれあるいは犯罪行為そのものの活動内容なので、先ほども述べましたが、アメリカ政府はエシュロンの存在を認めていません。
で、このエシュロンがなぜアングロサクソン諸国で独占運用されているかと問えば、1943年5月17日に「英米通信傍受協定」(ブルサ協定、BRUSA COMINT Agreement)が結ばれ、この時にエシュロン・システムが誕生、戦後1948年には米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド間の秘密協定として「UKUSA協定」が結ばれ、通信傍受の協力体勢が作られたのであります。
エシュロンは今このときにもアメリカ国家安全保障局(NSA)において、バリバリとシギント(SIGINT; signal intelligence)、つまり電子諜報活動を行っているのであります、そして得られた情報はアングロサクソン諸国で独占し、諸国の軍事及び外交ときに経済活動に利用しています。
アングロサクソンは手を汚さない、ということです。
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http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130603
(木走まさみず)