木走日記

場末の時事評論

百害あって一利もない存在である産経バカコラム〜「日本の国会で野党が委員長解任したから、案の定人民日報は沖縄の帰属にまで言及し始めた」

 国会議員であろうとマスメディアであろうと、論拠のないバカな論説は厳しく指摘すべきでしょう。

 このような内容でエントリーをすること自体馬鹿らしいのですが、9日付けアメーバニュース記事から。

中国紙が沖縄領有示唆し民主・金子氏「川口氏の成果」

5月09日15時43分
提供:アメーバニュース/政治・社会

 5月8日付の中国共産党の機関紙・人民日報は5月8日付の紙面で、日本が第2次大戦で敗戦したことで「琉球の領有権」を失い、沖縄の「領有権」問題を議論するべきだとする論文を掲載した。

 これまでにも中国では「日本は沖縄の領有権を有していない」との主張が出ていたが、中国共産党や政府の見解を反映する同紙が、沖縄についての帰属が「未解決」とし、中国に領有権があると示唆するのは初めて。論文では琉球王国が中国王朝に朝貢を行う「冊封国」だったことを説明。その後、「日本が武力で併合した」とし、第2次大戦の敗戦で日本の領有権がなくなったと主張。尖閣諸島問題を踏また上での、日本に対するけん制ではないかと見られている。

 この報道を受け、「ヒゲの隊長」として知られる自民党佐藤正久参議院議員(52)はツイッターで「人民日報は、党・政府の見解を反映するのが通常だ。 看過できない。しっかり抗議すべきだ。これも世論戦の一環だろうが、確実にレベルが上がった」とコメント。

 一方、民主党の金子洋一参議院議員(50)は、川口順子参議院環境委員長が中国の外交を統括する中国要人との会合を理由に帰国を延期した問題が浮上していることから、「早速、川口順子元外相の独自外交の成果が現れたようですね。会談で有益な意見交換をしたのでしょう。おっしゃる通りきわめて有能な外交官ですね」と皮肉をツイッターに綴っている。

http://yukan-news.ameba.jp/20130509-276#alertWrap

 うーん、中国共産党の機関紙・人民日報にて「日本は沖縄の領有権を有していない」との主張が出たことに関して、民主党の金子洋一参議院議員(50)がツイッターにて「早速、川口順子元外相の独自外交の成果が現れたようですね。会談で有益な意見交換をしたのでしょう。おっしゃる通りきわめて有能な外交官ですね」と発言したとのことですが、皮肉にしてもどうしてこんなにレベルが低いしかも全く笑えない「大嘘」を国会議員が発言するのでしょう。

 野党として川口順子参議院環境委員長の問題を批判したいのならば堂々と論を展開すればいい、人民日報の沖縄関連の失礼な記事に関して日本政府の対応等を論ずるならばそれも堂々とすればよいです。

 それを根拠もまったく明示せずに、中国紙の暴走気味の記事を「川口氏の成果」と指摘するとは、飲み屋のオヤジ談義じゃないんですから、民主党の金子洋一参議院議員自身が相当なバカ者なのか、あるいは日本の有権者は相当のバカ者だと金子議員が舐めきっているのか、いずれにしてもいかにも無責任な民主党議員らしいあまりに軽い国民軽視の不快な発言なのであります。

 中国紙の暴走気味の記事を「川口氏の成果」とは皮肉でもなんにもなっていません、外交が何たるか理解していない、ただのバカな議員だということです。


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 で、10日付け産経新聞名物コラム記事から。

 5月10日
2013.5.10 03:09 産経抄

 「日本とアメリカの関係は突き詰めれば中国問題だ」。米国の著名な歴史家、チャールズ・ビーアド博士は、大正時代末期に留学中だった松本重治さんにこう喝破したという。

 ▼評論家の粕谷一希さんが、『歴史をどう見るか』(藤原書店)のなかで、「ものすごい卓見」として紹介している。確かに、日中戦争から日米戦争に至る道筋を、予言しているかのようだ。現在は、中国が米国の関与に神経をとがらせつつ、尖閣諸島の奪取を狙っている。そんな東シナ海の危機的状況にもあてはまる。

 ▼その中国を先月末に訪問していた自民党の川口順子参院議員がきのう、参院過半数を占める野党の賛成多数によって、環境委員長を解任されてしまった。国会の許可を得ずに滞在日程を延長したのはけしからん、というのだ。果たして解任に値するほどの所業なのか。

 ▼滞在を延長したのは、中国の楊潔●国務委員が出席する会合が、急遽(きゅうきょ)設定されたためだ。国会のルールを優先して帰国していたら、領土や主権について、日本の立場を主張する機会が失われていた。憲政史上初の「珍事」によって、国会が混乱する機会を中国が逃すはずがない。案の定、共産党の機関紙、人民日報は、沖縄の帰属にまで言及し始めた。

 ▼「私的な外交を優先した」との批判にも首をかしげてしまう。粕谷さんは、米国とのパイプ役だった2人の人物が昭和の初めに前後して亡くなったのが、戦争への転換点となったと見る。

 ▼ビーアド博士と親しかった後藤新平と府立五中(現在の都立小石川中等教育学校)の初代校長の伊藤長七だ。伊藤はハーディング大統領と単独で面会できたという。他国におもねる議員外交はごめんだが、パイプをつなぐ努力は続けるべきだ。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130510/plc13051003100001-n1.htm

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 産経新聞は一面コラムで、今回の人民日報の暴走記事の掲載理由が「国会が混乱する機会を中国が逃すはずがない。案の定、共産党の機関紙、人民日報は、沖縄の帰属にまで言及し始めた」と言い切っているのですが、そこにいかなる根拠があるのかは一切触れられてはいません。

 日本の国会で野党が委員長解任したから、案の定人民日報は沖縄の帰属にまで言及し始めたのだ、ですと?

 なぜ言い切れるの?

 ウラはあるの?

 ふう。

 前から少し感じてはいたのですか、産経抄子さんは真性のバカだったのですか。

 国会議員もそうなのですが、マスメディアは大切なこの国の外交問題において、無責任な根拠のない感情に任せた暴言を吐くべきではありません。

 コラムとはいえそのような無責任な新聞は、無用な誤解をまき散らすという意味で、国民にとって不必要であり、百害あって一利もない存在である、と警告しておきます。




(木走まさみず)