木走日記

場末の時事評論

「利(益)は中国に有り」〜尖閣で日本政府批判をする無責任なアウトサイダーたち

 28日産経新聞記事から。

「日本が盗んだ」7回、異様さ際立つ中国演説 「安保理の品格おとしめる」
2012.9.28 22:10 [中国]

 【ニューヨーク=黒沢潤】中国の楊潔チ外相と李保東国連大使が27日、国連総会の一般討論演説の場で沖縄県尖閣諸島の領有権を主張する一方、乱暴な言葉を連発しながら日本を名指しで批判するなど、その異様ぶりが際立った。安保理常任理事国の発言だけに、「安保理の品格を落としめるもの」(安保理外交筋)との声も出ている。

 演説に立った楊外相と、日本政府による反論に対して再反論を行った李大使は「(日本が尖閣諸島を)盗んだ」との表現を計7回使用。「強盗のロジックと同じ」「(違法な)マネーロンダリング資金洗浄)のようだ」とも表現した。また日本を「植民地主義的」と7回も形容した。

 国連筋は「国連総会という各国の首脳・閣僚クラスが一堂に会する場で、これほどの言葉を聞いたことは過去にない」と指摘する。

(後略)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120928/chn12092822120009-n1.htm

 国連総会の場で中国外相が日本が尖閣諸島を「盗んだ」との表現を7回も連発、日本を名指しで強く批難いたしました。当然ながら日本も反論し、中国も答弁権を使用、双方2回の答弁権を使い切った模様です。

 産経記事は中国外相の乱暴な言葉遣いに「安保理の品格を落としめるもの」(安保理外交筋)との声を記していますが、いやいや、これらの発言は中国と言う国の品格そのものを世界に晒している様なものでしょう。

 日本としては品格を保ちつつ冷静にしかしきっぱりと反論していけばよろしいのです。

 さて日本としても、もはや実効支配している尖閣諸島に「領土問題はない」と悠長に構えているわけにはまいりません。

 これは外交宣伝戦です。

 相手が仕掛けてきた宣伝戦において、反論せず「ただ沈黙」は何も意味はないどころか、反論無きは敗北を意味します。

 日本政府はしっかりと戦略を立ててこの外交戦を日本らしく品位を保ちながら遂行していってもらいたいです。

 この機会に中国と日本の国家としての品格の違いを世界に示す絶好のチャンスでもあります。

 ・・・

 さて、日本政府と中国政府が尖閣を巡って厳しい外交宣伝戦を国連において展開しているそのときに、日本政府の背後から、銃弾が炸裂するように、思い切り国益に反する発言が続けざまになされています。

 28日聯合ニュース記事から。

大江健三郎氏ら識者 領土紛争に「反省」の声明
聯合ニュース 9月28日(金)17時59分配信

 【東京聯合ニュース】日本の識者や市民団体関係者らは28日、独島と尖閣諸島の領有権をめぐり韓国、中国と対立を続ける日本政府を批判する声明を発表した。
 声明には作家の大江健三郎氏や本島等長崎市長、市民団体「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」関係者らの約800人が賛同している。
 声明では日本の独島と尖閣諸島の領有権主張に関し、「韓国、中国が、もっとも弱く、外交的主張が不可能であった中で日本が領有した」と指摘。独島については、「韓国民にとっては、単なる『島』ではなく、侵略と植民地支配の起点であり、その象徴である。そのことを日本人は理解しなければならない」と反省を促した。
 また、日中関係に対し、「友好を紛争に転じた原因は、石原都知事尖閣購入宣言とそれを契機とした日本政府の国有化方針にある」と説明した。その上で、「都知事の行動への日本国内の批判は弱かったといわざるを得ない」とし、反省を表明した。
 声明では「漁業を含む資源については共同で開発し管理し分配することができる」と主張したが、対象地域が独島か尖閣諸島かは明示しなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120928-00000035-yonh-kr

 28日朝日新聞記事から。

村上春樹さん寄稿 領土巡る熱狂「安酒の酔いに似てる」
http://www.asahi.com/culture/update/0928/TKY201209270753.html

 28日読売新聞記事から。

首相の「妥協せず」発言、経団連会長が批判

 【北京=幸内康】北京を訪問中の経団連米倉弘昌会長は27日、野田首相がニューヨークで尖閣諸島の国有化を巡り、中国に妥協する考えがないことを示したことに対し、「自分たちに問題がなくても相手が問題と言っていることを解決するのがトップの役割。そのようなことは言ってもらいたくない」と批判した。

 米倉会長は27日、日中友好7団体の代表らとともに中国の賈慶林(ジアチンリン)人民政治協商会議(政協)主席らと北京市内で会談した後、記者団に答えた。

 米倉会長は「(日中)両者にとって受け入れられるよう解決すべき」とも付け加えた。

(2012年9月28日08時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120928-OYT1T00189.htm

 「韓国、中国が、もっとも弱く、外交的主張が不可能であった中で日本が領有した」(大江健三郎氏ら識者)

 「領土問題が国民感情の領域に踏み込んでくると、出口のない危険な状況を出現させる」(村上春樹氏)

 「自分たちに問題がなくても相手が問題と言っていることを解決するのがトップの役割。そのようなことは言ってもらいたくない」(経団連米倉弘昌会長)

 まず最初に申し上げたいのはこの国では中国とは違い「言論の自由」が認められています。

 ですので、どのようなタイミングで誰が何を発言しようと人格中傷などの法を犯さない限りそれは自由です。

 その上でですが、この日本政府を批判する三者についてその行為を批判いたしたいと考えます。

 ノーベル賞作家である大江氏、次期ノーベル賞が期待されている作家である村上氏、経団連会長である米倉弘昌氏、この三者にはふたつの共通項があります。

 まず彼らは領土問題において日本国家に忠誠心など持ち合わせていません。

 大江氏と村上氏は作家であり、反国家・反権力を売りにしているいわば社会のアウトサイダーです。

 彼らは自らの感性には忠実であろうとも、権力や国家などに対する忠誠心は極めて希薄です。

 一方、経団連会長である米倉弘昌氏も、日本国家の利益よりも経団連に代表される大企業の利益をこそ優先されるべきとの信念をお持ちです、やはり一般人とは価値観が異なる社会のアウトサイダーです。

 また彼らは中国大陸でたくさんお金を稼いでいます。

 中国様様の経団連については細かく言う必要もないですが、実は村上氏の本も大江氏の本も中国でたくさん売れています。

 朝日に掲載された村上氏のエッセーでは、中国の書店から日本関係書籍が姿を消す事態にショックを受けています。

 日本政府の尖閣諸島国有化で日中の対立が深刻化する中、北京市出版当局は今月17日、日本人作家の作品など日本関係書籍の出版について口頭で規制を指示。北京市内の大手書店で、日本関係書籍が売り場から姿を消す事態になっていた。

 エッセーはまず、この報道に触れ、ショックを感じていると明かす。 

 大江氏などの作家の先生が反国家・反権力を売りにするのはけっこうです。

 しかし文学者が畑違いの外交・防衛問題で政府批判をメディアで発表したり記者会見を開くなど公(おおやけ)の場で開陳するのはいかがなものでしょうか。

 それこそ個人の日記にでも想いをしたためていたらどうでしょう。

 米倉氏にもいいたい、そんなに中国で商売したいなら企業ごと中国に移転すればよろしいでしょう。

 この3者に共通しているのは、日本社会の構成員でありながら日本社会を批判することを厭わない無責任なアウトサイダーだということです。

 彼らにとって、利(益)は中国に有り、なのです。



(木走まさみず)