木走日記

場末の時事評論

「手抜き除染」朝日スクープ記事が現出させた事〜この国の醜悪な税金をむさぼるゼネコン構造が何もかわっていない事実

 4日付け朝日新聞紙面トップ記事、及び社会面記事から。

「手抜き除染」横行 回収した土、川に投棄
http://www.asahi.com/national/update/0104/TKY201301040001.html
これで除染か、作業員証言
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301030459.html
洗浄水垂れ流し、漂う無力感
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301030460.html

 うむ、昨年12月に記者4人の特別取材班を組み現場を130時間取材して放った朝日新聞渾身のスクープ記事であります。 

 取材班は昨年12月11〜18日、記者4人で計130時間、現場を見て回った。楢葉、飯舘、田村の3市町村の計13カ所で作業員が土や枝葉、洗浄に使った水を回収せずに捨てる場面を目撃し、うち11カ所で撮影した。また、作業員約20人から、ゼネコンや下請け会社側の指示で投棄したという証言を得た。「作業ルール通りやればとても終わらない」との声も相次いだ。

 写真や動画、作業員の証言など、証拠は十分すぎるほどあると記事でも誇らしげに記されていますが、発言者の多くが除染を巨額予算で受注したゼネコン社員ではなく下請け会社の作業員であることは福島第一原発事故後の復旧作業の労働構造と酷似していることがわかります。

 朝日記事によれば今回の手抜き作業が発覚した除染作業の胴元ゼネコンは前田建設工業大日本土木大成建設、鹿島を中心とした共同企業体(JV)複数であります。

 これまで4市町村の本格除染をゼネコンの共同企業体(JV)に発注した。楢葉町前田建設工業大日本土木など(受注金額188億円)、飯舘村大成建設など(77億円)、川内村大林組など(43億円)、田村市が鹿島など(33億円)。
 環境省が元請けと契約した作業ルールでは、はぎ取った土や落ち葉はすべて袋に入れて回収し、飛散しないように管理しなければいけない。住宅の屋根や壁は手で拭き取るかブラシでこする。高圧洗浄機の使用は汚染水が飛び散るため雨どいなどごく一部でしか認めていない。洗浄に使った水は回収する決まりだ。

 ・・・

 この出鱈目な手抜き除染作業ですが、これでは除染どころか川に流すなどかえって拡散しているのであり、まったく作業効果が期待できないわけでお金をドブに捨てているようなものです。

 そしてより根源的な大問題はこの総額1兆円と見込まれる当初除染費用は税金が投入されていることです。

 政府によれば掛かった除染費用は全て東電に請求、東電は将来的に除染費用を電気料金に含めてユーザー(国民)負担とする予定ですが、政府による東電への請求行為も、それを東電が価格に含めてユーザー負担にするのも、現状まったく具体的スケジュールは見えません、もっともこの計画が具体化しても最終的に国民負担になる意味では税金となんらかわりませんが。

 総額1兆円と見込まれる当初除染費用も1兆円という予算に根拠はなく当初2年でそれだけの予算を除染作業に当てる、というだけの数値であり、深刻なのはいったい最終的な除染費用がどこまで掛かるのか、定まっていないことです。

 税金を投入した公共事業にゼネコンたちが群がり、実際は下請け会社に作業させて、かつ手抜き作業などで利益をむさぼる・・・

 何度もこの国で繰り返されてきた醜悪な構造が3.11以降も何もかわらず現出しているということです。




(木走まさみず)