木走日記

場末の時事評論

無借金国家ニッポン100年計画

 29日付けの各紙社説は消費増税法案の成立へいざ進めとアポみたいなメディアスクラム状態です。

増税法案了承―批判だけでは無責任だ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
消費税法案了承 反対派も党決定を尊重せよ(3月29日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120328-OYT1T00973.htm
社説:消費増税法案 「本気度」を疑う修正だ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20120329k0000m070104000c.html
消費増税法案 今度こそ脱デフレ実現を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120329/plc12032903040002-n1.htm
消費増税法案の成立へ政治の責務果たせ
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1EBEBE4EBE0E2E2E0EBE2E1E0E2E3E08297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D

 産経新聞のタイトルなど「消費増税法案 今度こそ脱デフレ実現を」ですよ、増税してデフレ脱却って意味がわかりません。

 このデフレ下で増税などしたら低所得者を中心に国民の生活はかつてないほどに追い詰められます。

 まずすべきは復興支援を含めた経済対策、そして社会保障の確固たる制度改革と公務員処遇を含めた行政改革、ただ歳入を減らすのではなくバランスよく復興支援等の経済対策予算を配分して経済そのものを内需主導に導いていくことです。

 私はこのタイミングでの消費税導入には断固反対ですが、民主党政権やマスネディアの偽善めいた議論にはもう辟易しています。

 もし日本の財政赤字を解消し1000兆の累積借金を返済するつもりなら3%や5%UPの消費税では話になりません。

 正直に国民にまず、単年度の赤字をなくすには何%、そして借金を何年以内にゼロにするには何%の消費税増税が必要か物差しとなる試算を公表すべきです。

 政府がしないので、増税反対派の当ブログが試算してみます。

 題して「もし100年以内に無借金国家日本を実現するならば」であります。

 まず総務省サイトから平成24年度予算フレームを確認しておきましょう。

平成24年度予算フレーム

項目 予算(億円)
(歳 入)  
税収 423,460
その他収入 37,439
公債金 442,440
903,339
(歳 出)  
国債 219,442
基礎的財政収支対象経費 683,897
(うち社会保障関係費) (263,901)
903,339

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/index.htm

 見やすくグラフ化してみます。

 予算規模90兆3339億(概算ベース)でありますが、の歳入の約半分44兆が公債金、すなわち新たに発行する国債など、これすなわち借金であります。

 歳出でも国債償還すなわち借金返済に22兆近くあてがわれてます。

 ではプライマリーバランスを見てみましょう、本年度のリアルな税収不足を見るには、歳出、歳入から、借金関係を取り除けばその姿を表します。

 うむ、単年度で約22.3兆赤字なのであります。
 プライマリーバランスは実は逆数を取って、国債の発行額と返済額を比べても姿を見せてくれます。

 1000兆の累積債務を返済するためには、まずこれ以上の債務を増やすわけにはいきません、プライマリーバランスを黒字にするためには消費税を何%上げればいいのか考えます


 総務省の資料によれば、現在5%の消費税の税収はここ10年ほど10兆円前後で安定しています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm

 10兆 / 5% = 2兆/% ですので、

 前提として、消費税1%UPすると2兆円増収が見込めるとします。(何%UPしてもです)

 したがって22兆2998億の赤字を解消するには、

 22兆2998億 / 2兆 = 11.1499% となります。

 しっかりと黒字にするために余裕をもって12.5%(25兆)消費税をUPしてみます。


 はい、プライマリーバランス(単年度予算)はここでぎりぎり黒になりました。

 2兆7000億ほどの黒です。

 プライマリー予算を黒にするためには、消費税は17.5%前後と試算できました。

 では、これでよいかといえば、2つの問題が残ります。

 ひとつはほっとけば毎年1兆づつ増加する社会保障費の問題です。

 これっぽちの黒字では社会保障費の増大で数年のうちに赤字に戻ってしまいます。

 第2の前提として社会保障費は一大改革をして借金返済の年まで24年度予算(26兆3900億)前後で、固定とします。

 でないと何%消費税上げても切りがありません。

 さて、社会保障費がこれ以上上がらないとして、この規模の黒字では100年以内に1000兆の借金を完済はできません。

 1000兆を100年で返すならば、年10兆新たに返済をしなければなりません。

 (10兆 − 2兆7000億(さっきの余裕を見た分)) / 2兆 = 3.65% と試算されました。

 17.5% + 3.65% = 21.15% となります。

 まとめです。

 もし100年以内に無借金国家日本を実現するならば、今すぐ消費税は21%(端数はおまけしちゃいましょう)前後に16%ほどUPすればいいのです。

 ただし何%アップしても1%あたり2兆円の税収が見込めることが前提1であり、いますぐに制度大改革して社会保障費が今後今以上に上がらないことが前提2であります。

 少々乱暴な試算でしたが、みなさまの考察の参考になれば幸いです。



(木走まさみず)