1都9県放射能汚染マップ(鳥瞰図風)を作ってみる
文部科学省による航空機モニタリングの東京都及び神奈川県の測定結果がようやく公表されました。
文部科学省による東京都及び神奈川県の
航空機モニタリングの測定結果について
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/10/1910_100601.pdf
これで、山形、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都9県の「1m高さの空間線量率の分布状況を示したマップ」と「土壌表層への放射性セシウムの沈着状況を示したマップ」が出揃いました。
これらは今回の福島第一原発事故による広域の放射能汚染状況を政府が公式に公開した「放射能汚染マップ」であり、たいへん貴重な情報であります。
今回はこの文科省の資料をまとめておきます。
まずは「1m高さの空間線量率の分布状況を示したマップ」から。
文科省の測定結果は以下のとおり。
(参考1)
文部科学省による東京都及び神奈川県の航空機モニタリングの測定結果
について(文部科学省がこれまでに測定してきた範囲及び東京都
及び神奈川県内における地表面から1m高さの空間線量率)
凡例に注目してください。
単位はμSv/hrすなわちマイクロ・シーベルト/時となっています。
政府は「1ミリ・シーベルト/年」以上の汚染地域をすべて除染費用の政府負担をすると公言していますので、ひとつの目安として、原発事故由来の追加線量が「1ミリ・シーベルト/年」+日本列島の自然由来の線量「1.4ミリシーベルト・年」=2.4ミリ・シーベルト/年以上の地域を除染対象地域といたします。
2.4ミリ・シーベルト/年=2.4ミリ・シーベルト/(365日 * 24時間)
=0.000274ミリ・シーベルト/時
=0.274マイクロシーベルト/時
と換算できますので、凡例では下から3層目の「0.2−0.5」に該当します。
そこで「0.2−0.5」以上の地域をすべて「橙色」で、それ以下の地域を「白色」にして画像処理をしましたのが下図になります。
■図1:1m高さの空間線量率が0.2μSv/hr以上の分布状況
※0.2μSv/hr以上は、1.752ミリ・シーベルト/年以上、に相当。
この図を元に、ネガ反転し水平伸縮調整し、夜間上空からの鳥瞰図風にしたのが以下の図です。
ご覧ください、これが地上1mで0.2μSv/hr以上の線量を観測した汚染地域なのです。
次に「土壌表層への放射性セシウムの沈着状況を示したマップ」をまとめましょう。
文科省の測定結果は以下のとおり。
(参考2)
文部科学省による東京都及び神奈川県の航空機モニタリングの測定結果
について(文部科学省がこれまでに測定してきた範囲及び東京都
及び神奈川県内の地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計)
凡例に注目してください。
単位はBq/m2すなわちベクレル/平方mとなっています。
チェルノブイリでは土壌表層への放射性セシウム137の沈着量が、1キュリー/平方キロm以上の土地を放射能「汚染地域」と定義しています。
1キュリー/平方キロm = 1マイクロ・キュリー/平方m
= 37000ベクレル/平方m
つまり37kベクレル/平方mと換算できますので、凡例では下から3層目の「30k−60k」に該当します。
そこで「30k−60k」以上の地域をすべて「ピンク」で、それ以下の地域を「白色」にして画像処理をしましたのが下図になります。
■図3:土壌表層への放射性セシウムが30kベクレル/平方m以上の分布状況
※チェルノブイリではセシウム137のみで37K以上を汚染地域としているが、この図はセシウム134と137の合算値でありなおかつ30K以上の地域であることに留意。
この図を元に、やはりネガ反転し水平伸縮調整し、夜間上空からの鳥瞰図風にしたのが以下の図です。
■図4:土壌表層への放射性セシウムが30kベクレル/平方m以上の分布状況(鳥瞰図)
ご覧ください、土壌表層への放射性セシウムが30kベクレル/平方m以上観測した汚染地域なのです。
図2の空間線量分布と図4の土壌表層沈着分布を見比べると、当然ながら汚染地域の分布、広がりに極めて強い相関が認められます。
放射性セシウムに汚染されている地域ほど空中線量が大きいということです。
いずれにせよ東京都奥多摩町まで汚染されており、広域にわたり、山林や田畑、市街地が汚染されていることがよくわかります。
この1都9県に隣接する新潟、長野、山梨、静岡各県など他の地域の観測結果も気になるところです。
・・・
なぜか日本のメディアがあまり取り上げないのですが、今回は文部科学省測定結果から、しつこく放射能汚染マップ(鳥瞰図風)を作成してみました。
読者の皆様のご参考になれば幸いです。
(木走まさみず)