木走日記

場末の時事評論

東日本1都21県セシウム汚染マップ(保存版)

■はじめに

 昨今の被災地がれき広域処理の賛否議論の混乱を見ると、多くの国民が政府に対して不信感を持ち、また従来100ベクレル/キログラム(Bq/kg)だったクリアランスレベルを十分な説明も根拠の明示もないまま8,000Bq/kgに80倍にしたことも各地自治体ががれき受け入れを拒んでいる理由のひとつと思われます。

 そもそもこの議論の根本には日本において原発事故由来の放射性物質の広がり具合の詳細を国や自治体、あるいはマスメディアが国民にわかりやすいかたちで示してこなかったために基本的数値の認識がばらばらであることにも、混乱を招いている原因があると考え、ここに東日本1都21県のセシウム汚染マップを小レポートでわかりやすくまとめておこうと考えました。

 元になるデータは文部科学省による東日本全都県における航空機モニタリングの測定結果の報道発表各資料を使用しています。

 各種ある航空機モニタリングの測定結果の中で「地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計」を用いました。
(本レポート最後に参照したPDFファイル一覧を添えておきます)

■凡例

 地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計ではベクレル/平方メートル(Bq/m2)が使用されています。
 今回は凡例の下から第二層(こげ茶色)以上にあたる10k(10000)以上を「汚染地域」として判断します。

■総論

東日本全図

 これが東日本1都21県のセシウム分布の全図になります。
 汚染地域の分布を分析すると当時の風向き・降雨分布により大きく4つの流れが見て取れます。

 各都県詳細マップの分析の結果、セシウム10k(10000)以上の汚染地域は、1都15県に及んでいることがわかりました。

■都県別詳細マップ
岩手県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
遠野市
釜石市
金ヶ崎町
奥州市
平泉町
佳田町
大船渡市
陸前高田市
一関市
藤沢町

□長野県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
軽井沢町
御代田町
佐久市
佐久穂町

山梨県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
丹波山村

新潟県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
村上市
胎内市
関川村
新発田市
阿賀野
阿賀町
五泉市
田上町
燕市
加茂市
長岡市
三条市
魚沼市
南魚沼市
湯沢町

秋田県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
仙北市
秋田市
湯沢市

□東京都

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
足立区
葛飾
江戸川区
江東区
奥多摩町
青梅市
桧原村
日の出町
あきる野市
八王子市

□神奈川県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
川崎市鶴見区
相模原市緑区
山北町
清川村

□埼玉県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
秩父市
小鹿野町
横瀬町
飯能市
毛呂山町
越生町
ときがわ町
寄居町
東秩父村
小川町
深谷市
美里町
皆野町
長瀞町
神川町
本庄市
行田市
鴻巣市
熊谷市
吉川市
三郷市
八潮市

□千葉県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
野田市
流山市
松戸市
市川市
浦安市
船橋市
習志野市
鎌ヶ谷市
白井市
柏市
我孫子市
印西市
八千代市
佐倉市
成田市
四街道市
栄町
酒々井町
千葉市美浜区
稲毛区
中央区
富里市
芝山町
多古町
香取市
東庄町
銚子市
木更津市
袖ヶ浦市
君津市
富津市

群馬県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
玉村町、伊勢崎市、大泉町千代田町館林市明和町板倉町邑楽町を除く全市町村

山形県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
金山町
新庄市
最上町
尾花沢氏
村山市
東根市
鶴岡市
西山町
天童市
山形市
上山市
南陽市
白鷹町
長井市
小国町
飯豊町
米沢市
高畠町

茨城県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
那珂市筑西市下妻市結城市古河市五霞町、境町、坂東市、八千代町、以外の全市町村

宮城県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
全市町村

□栃木県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
日光市
那須塩原市
那須町
大田原市
矢坂市
塩谷町
さくら市
那珂川町
宇都宮市
鹿沼市
佐野市
栃木市

福島県

☆10kBq/m2以上の汚染が確認された市町村
全市町村

■都県別まとめ

 セシウム10k(10000)以上の汚染地域は1都15県に分布していますが、市町村単位でまとめると1都15県1104市町村のうち429市町村(38,9%)に分布していました。

都県 市町村数 汚染市町村数 汚染市町村の割合
岩手県 59 10 16.9%
□長野県 120 4 3.3%
山梨県 64 1 1.6%
新潟県 112 15 13.4%
秋田県 69 3 4.3%
□東京都 62 10 16.1%
□神奈川県 37 4 10.8%
□埼玉県 92 22 23.9%
□千葉県 80 31 38.8%
群馬県 70 62 88.6%
山形県 44 18 40,9%
茨城県 85 76 89.4%
宮城県 71 71 100.0%
□栃木県 49 12 24.5%
福島県 90 90 100.0%
1104 429 38.9%

■参照PDF一覧
東日本全図
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_1125_2.pdf
岩手、長野、山梨
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_111112.pdf
新潟、秋田
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/10/1910_101012.pdf
東京、神奈川
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/10/1910_100601.pdf
埼玉、千葉
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092917_1.pdf
群馬
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092714.pdf
山形
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_090814.pdf
茨城
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1940/2011/08/1940_0830_2.pdf
宮城
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/07/1305819_0722.pdf
栃木
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1940/2011/07/1305819_0727.pdf
福島
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_0912.pdf

このまとめがみなさまの参考になれば幸いです。

(了)



(木走まさみず)