木走日記

場末の時事評論

共産党機関誌「赤旗」は「あかはた」のほうがふさわしいと思う理由

 いよいよ今年も後、数時間となりました。

 今日は漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字と日本語の持つ豊かな表記法にまつわる話題からです。

 私は、かねがねなぜ日本共産党は機関誌「新聞赤旗」の呼称を「あかはた」ではなく「しんぶん赤旗」としたのか、素朴な疑問を持っていたのです。



●ひらがな効果・・・むき出しではなく語感をオブラートで包む効果
 
 最近の日本語表記では、漢字で書くべきところをわざわざひらがなで表記して物々しさを払拭し優しさを強調する手法があります。

 身近な小さい例では、例えば私の名前ですがブログでは「木走正水」ではなく「木走まさみず」と書くことにしていますのも、この効果を利用したモノです。

 有名なところでは共産党機関誌「赤旗」ですが、最近は「しんぶん赤旗」と自称していますね。

 このひらがな効果でたまたまですが目に付いたのが、今日の大晦日の「赤旗」社説であります。

主張
年の瀬に
たたかい強め、希望を開こう
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-12-31/2010123102_04_1.html

 タイトルを含め「たたかい」というひらがなが6箇所で使用されています。

 たたかい強め、希望を開こう

 世界でも日本でも国民のたたかいが情勢を突き動かしてきた

 県民のたたかいでことしも杭(くい)一本、打たせませんでした

 労働者は、不当な解雇に年末返上でたたかい、支援も広がっています

“大企業減税のため”ときびしい批判をあび、いったんは引っ込めなければならなくなったのは、国民のたたかいの結果 

 国民のたたかいでくらしと平和を守り、政治を変えていきましょう

 左翼言論ではその昔ならば「戦い」どころか「闘争」とか「戦線」とか物騒な表現が多用されていましたが、この社説の「たたかい」の使い方は、むき出しではなく語感をオブラートで包む効果というひらがな効果をうまく使用している例でしょうね。

 このひらがな効果ですが、デメリットは長所の裏返しですが鋭い印象が除外されてしまいますので使い方によっては、「ピンぼけ」のような「ぼやけた」印象を与えてしまいます。

 

●カタカナ効果・・・語感の持つ鋭利さ(ネガティブ含む)を強調する効果

 日本共産党の「たたかい」の例のように、ひらがな効果は語感の持つ物々しさを弱めてソフトにする効果があるわけでありますが、一方漢字で書くべき所をカタカナであえて表記するカタカナ効果は、逆に語感の持つ何らかの特徴を強調するときによく使われます。

 プロ野球の鈴木一郎選手の登録名が「いちろう」でなく「イチロー」であるのもカタカナ効果であるシャープさからであります。

 小沢一郎氏にまつわる「政治とカネ」問題でも、メディアはこぞって「金」を「カネ」とカタカナ表記していますのもカタカナ効果のまさに好事例と申せましょう、「政治とかね」じゃあ締まりがありませんものね。

 派遣問題を「ハケン問題」とカタカナ表記する記事もよく見かけますが、これも問題の深刻さを強調するためのカタカナ表記によるネガティブ効果を利用しているわけです。

 漢字で書くべきをカタカナにすれば語源の持つシャープさが強調されるわけで、「イチロー」などのプロ選手の登録名やあるいは「キリン」などの企業名などのうまい使い方もある一方、「カネ」や「ハケン」などネガティブな面を強調する使い方もあるのですよね。

 「みんなの党」が「ミンナの党」でないのもこのあたりの効果を考慮したのかも知れません。

 ・・・

 共産党機関誌はなぜ「しんぶん赤旗」であって「新聞あかはた」とは自称しないのか、本当の理由は私には勿論わかりませんが、歴史的な共産主義シンボルである「赤旗」へのリスペクトもあるでしょうし、「赤旗」をピンぼけの「あかはた」にはしたくなかったのでしょうね。

 でもここ私は異論があるのですよ。

 私だったら「新聞」を「しんぶん」とオブラートにつつんでも余り意味はないわけで「赤旗」を「あかはた」とオブラートに包んだほうが効果的だと思うんですよね、特に「赤」という共産革命や旧ソ連北朝鮮を連想させる負のイメージがつきまとう漢字をやわらかいイメージにできますもの。

 もちろん「新聞あかはた」だと漢字とかなの順番というかすわりが悪いですから新聞は呼称から取って「あかはた」でいいじゃないですか。

 そのほうが内容にふさわしいでしょ。

 「戦う」を「たたかう」と表記している今の「赤旗」は「あかはた」の方がふさわしいと思うのです。



※ 今年もご愛読ありがとうございました、どうかみなさま、よいお年をお迎え下さいませ。



(木走まさみず)