木走日記

場末の時事評論

政府紙幣の通貨単位は『便』はいかがという与太話

 今日は与太話であります。笑って読み流してくださいませ。

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 大石英司様のブログより失礼して与謝野さんのTV番組での発言を抜粋ご紹介。

景気刺激策あります

※ 無利子非課税国債、与謝野経財相が「研究に値する」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090208-00000018-yom-bus_all

 与謝野さんは、この番組中で、政府紙幣に関してこんなことも言ってました。
政府紙幣は問題外。『円』という単位は使えないから『両』とかいう話になる。1万両で飯食いに行っても、店側は、そんなものは受け取れません、となる。じゃあ銀行に行って日銀券と交換してくれ、ということになったら、それは無利子国債を出したのと同じことになる」
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2009/02/post-fc24.html

 そうか、政府紙幣はもし発行すると『円』という単位は使えないですか、知らなかった。

 でも、『両』はちょっとなあ(苦笑

 政府紙幣とか無利子非課税国債とかを議論している番組で、与謝野さんとしては「無利子非課税国債は研究に値するが政府紙幣は問題外」という主旨の中での発言だそうですが。

 この政府紙幣、言いだしっぺの高橋洋一東洋大教授によれば、国債と違って元手もいらず、印刷代しか費用は発生しないから借金の必要は無く、また政府にはそもそも紙幣発行する権限力があり過去にも事例はあるので法律をいじる必要も無い、10兆でも100兆でもすり放題という、打出の小槌みたいな紙幣なのであるそうです。

 そんなの刷りまくったら円の価値は下がるし物価高(インフレ)になるのは必定と多くの経済学者は否定的なんでありますが、まあ8日付け産経社説によれば、揶揄(やゆ)して済ませる話ではない、まじめに検討すべきとのことであります。

【主張】政府紙幣 悪循環からの脱出に期待
2009.2.8 03:36
(前略)

 政府紙幣の場合、「打ち出の小づち」や「円天まがい」との見方が経済専門紙に出ている。だが、揶揄(やゆ)して済ませる話ではない。同種の学説を含めスティグリッツコロンビア大学教授ら米国のノーベル賞受賞学者数人が以前から学者生命を懸けて提唱してきた、極めてまじめな論議である。

 効果は財政、金融両面にわたる。財政面では一挙に数十兆円規模の財源を捻出(ねんしゅつ)でき、環境など今後の日本の産業の柱になる産業創出に大規模な資金を投入できるようになる。金融面では、日銀券と同じ貨幣であるため、政府紙幣の大量発行はいわゆる金融の量的緩和とも言い換えられる。

(後略)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090208/fnc0902080337002-n1.htm

 そうですか、政府紙幣とは、「スティグリッツコロンビア大学教授ら米国のノーベル賞受賞学者数人が以前から学者生命を懸けて提唱してきた、極めてまじめな論議」なのですか。

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 では本件におけるまじめな論議は能力的にも不肖・木走には荷が重いのでよそ様にお任せするとして、当ブログとしては近く大量に発行されるかもしれないこの政府紙幣の通貨単位について与太話を一席お付き合い願いましょう。

 与謝野さんは政府紙幣の通貨単位について、TV番組で「『円』という単位は使えないから『両』とかいう話」と発言していたそうですが、この21世紀の日本で『両』はないでしょ(苦笑)、時代劇みたいに悪代官がいっぱい沸きそうであります。

 口の悪い輩からは、どうせ政府紙幣などバーチャル(実体が無い)な紙幣なんだから『円天』はどうだなどという無責任な話も出ていますが、通貨の単位というものはその国家の顔であります。

 昔NHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」では、ドン・ガバチョ大統領が通貨『ガバチョ』を制定していて、「1ガバチョ」「2ガバチョ」と数えるのをTVで見ていて、子供心になにやらお金が「ガバチョ」と入ってきそうで響きがいいなあと思ったものでしたが、通貨単位というものは、ことほど左様に(どこが?)国家の顔なのであります。

 世界を見渡せば、主要国の通貨単位ですが、アメリカや豪・カナダなどが『ドル』、ヨーロッパが『ユーロ』、中国が『元』、イギリスが『ポンド』など、やはりまず重要なのは発音するや文字を記すやに、簡潔であることが第一であります。

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■日本政府、政府発行紙幣通貨単位を『便(ベン)』に決定す!!

 2009年X月X日、指定時刻ちょうどに会見場に姿を現した河村建夫官房長官は、多くの内外の報道陣が見守る中、厳かに会見をはじめた。

官房長官「皆様ご承知のとおり、すでに閣議決定されているこのたびの総額30兆円の政府紙幣発行に関わり、『政府紙幣単位名称を検討する学術諮問会議』における検討を踏まえて新しい政府紙幣の単位が決定いたしましたのでここに国民の皆様に発表いたします」

官房長官は右手に持っていた巻物を、丁寧に開き正面に堂々と掲げた、そこにはものすごいフラッシュの中で、白い和紙に墨で達筆にかかれた2文字のカタカナが堂々と示されている。

 「ベン」

報道陣「ザワザワザワザワ」

官房長官「このたび発行する政府紙幣の単位は『ベン』に決定されました。もちろん、1ベンは1円に将来にわたり固定されることを政府が保証しております」

報道陣「『ベン』の名前の由来といいますか、意味合い、決定するまでの経過を説明してください」

官房長官「その質問にはここに同席されている『政府紙幣単位名称を検討する学術諮問会議』座長のキバシリ教授に直接お答え願いましょう」

 会見場にキバシリ教授がやはり巻物を持って登場(ものすごいフラッシュ

キバシリ「『ベン』の名前の由来ですが、此度の政府紙幣の発行するその崇高な目的は、財政、金融両面にわたります。財政面では一挙に数十兆円規模の財源を捻出でき、環境など今後の日本の産業の柱になる産業創出に大規模な資金を投入できるようになります。また、金融面では、日銀券と同じ貨幣であるため、政府紙幣の大量発行はいわゆる金融の量的緩和とも言い換えられましょう。そこで、あくまで日本の真の通貨単位『円』を尊重し、この政府紙幣はあくまで円を補助する『仮想円』『擬似円』という位置付けになります」

 ここまで説明してキバシリ教授は右手に持っていた巻物を、高々と正面に持ち上げいっきに開いた。そこにはやはり白い和紙の上に墨で今度は英字と漢字が書かれていた。

 「Ven」
『Virtual Yen』
 「便」

報道陣「ザワザワザワザワ」

キバシリ「新通貨単位『ベン』はバーチャル・エンの略称という形から由来されています。また中国など漢字圏の国も含めて考慮し、漢字一字の表記も『便』を用意いたしました。利便性の高い便利な紙幣という。この政府紙幣の発行目的が成就するよう希望も込めております」

報道陣「オー」

キバシリ「それだけではありません、約一ヶ月にわたる『政府紙幣単位名称を検討する学術諮問会議』で日本の英知を結集して決定された「ベン」ですが、そもそもどんどん真の通貨である『円』に変えて投資や消費など有効に活用する使命を持っています、したがって富裕層や大会社などが大量の『便』を保持し続けることは許されない行為であり、『便』の発行目的とそぐいません。したがって本来『大金持ち』と富裕層を表現していた肯定的な日本語ですが、政府貨幣『便』を不当にも大量に保持しその流通を妨げる会社や個人は、これから『大便持ち』と表記することを提案します」

報道陣「オー、ダイベン持ちか、これはすごい」

官房長官「政府としては、今回の30兆円の『便』発行を皮切りに、今後も市況を慎重に観察しつつ、今後も大量の『便』を出し続ける予定です。そこで今後も毎月の『便』が『円』として変わっている割合、これを御通時(おつうじ)指標と命名して、毎月公表いたします」

官房長官「さらに、その公表にあたり政府としては、発行済み『便』がたまり過ぎる傾向を『便が便秘気味』、発行『便』がどんどん『円』に変わりすぎその傾向が過熱気味であるときを『便が下痢気味』と表現、『御通時(おつうじ)指標』を一般国民が理解しやすいように配慮していきます」

報道陣「オー、一般国民が理解しやすいように配慮か」

官房長官「最後に、今回発行する最高額紙幣である『10万便札』の肖像ですが、この政府紙幣『便』の大量発行という歴史的英断を下した麻生太郎総理大臣のお顔を使用することに決定いたしました」

報道陣「オー、(大拍手パチパチパチパチ」

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 どうでしょうか、今回は、政府発行紙幣の通貨単位を『便』としたらという、架空与太話でございました。

 なんか政府発行紙幣の「垂れ流し感」を強調してしまいましたが。この与太話が政府発行紙幣を「揶揄(やゆ)して済ませる話」(産経社説)に結果としてなったとしたら、不肖・木走の不徳のいたすところであります、産経社説子さん、申し訳ありません。

 ジャンジャン。



(木走まさみず)