木走日記

場末の時事評論

「オバマは若く、格好が良く、日焼けしている」〜またベルルスコーニか

 今日はヨーロッパ一の危険な政治家について触れてみます。



●「捨て犬飼いたいが、私みたいな雑種多い」とオバマ氏〜読売新聞から

 読売新聞記事から。

「捨て犬飼いたいが、私みたいな雑種多い」とオバマ

 【シカゴ=貞広貴志】オバマ米次期大統領は、7日の記者会見で、ホワイトハウスで飼う予定の犬選びが「オバマ家の最大の課題」としたうえで、「捨て犬を飼いたいが、私みたいな雑種が多い」と述べた。

 オバマ氏は会見で、娘たちにせがまれて飼うことになった犬の選択について聞かれ、二つの条件を挙げた。娘の1人がアレルギー体質のため、「アレルギーを起こしにくい犬種でなければならない」と述べた上で、動物保護の立場から、捨て犬の収容施設にいる犬を飼いたいとした。

 ただ、捨て犬は「私みたいな雑種」が多く、アレルギーを起こしにくい犬種を見つけるのは難しいとの見方も示し、2条件の両立が課題だと明らかにした。

 発言は、記者会見場では笑いを呼んだが、後になってAP通信は、微妙な人種問題を「あまりにさらりと持ち出し、驚いた」と伝えた。

(2008年11月8日21時46分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081108-OYT1T00589.htm

 私も雑種犬を飼っていましたが、まあ一般的に言って血統書付きのやわな純血種よりも、雑種の方がたくましいし育て方にもよりますが性格も穏和な犬が多い気がします。

 純血種って神経質な性格が多い気がします。

 ただ「アレルギーを起こしにくい犬種でなければならない」となると雑種は難しいかも知れませんね、雑種って一般的に毛並みが悪いモノですものね。

 それはともかく、AP通信に同感なのは、微妙な人種問題を「あまりにさらりと持ち出し、驚いた」点でありまして、発言は、記者会見場では笑いを呼んだとあるので幸いでしたが、「捨て犬を飼いたいが、私みたいな雑種が多い」とは、ご自身の発言とはいえリスキーです、アメリカでは人種問題はとてもデリケートな問題ですから、この種の不必要な発言が思わぬ反発を呼び不用意に敵を増やしてしまう可能性だってゼロではありません。

 ちょっとばかりひやっとさせられるオバマ氏の発言でありました。

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●「オバマ氏は日焼けしている」イタリア首相の発言が物議醸す〜産経新聞から

 こっちの政治家は敵だらけ・失言だらけでいまさらなのでしょうが、このような輩(やから)が一国の首相とは呆れた話ではあります。

 産経新聞記事から。

オバマ氏は日焼けしている」イタリア首相の発言が物議醸す
2008.11.7 09:50

 モスクワを訪問中のベルルスコーニ・イタリア首相は6日、黒人として初の米大統領に選ばれたオバマ上院議員について、「日焼けしている」と発言し、イタリアのメディアや野党が「謝罪すべきだ」と批判する騒ぎとなった。

 ベルルスコーニ氏はロシアのメドベージェフ大統領との会談後、記者会見で、「オバマ氏はメドベージェフ氏と気が合うはず。オバマ氏は若く、格好が良く、日焼けしている」とメドベージェフ氏に述べたことを明らかにした。2人とも若く、うまくやっていけることを示す意図があったとみられ、「(オバマ氏への)賛辞だ」とも強調した。

 だが、最大野党民主党の副書記長は「世界はオバマ氏への侮辱と受け取るだろう」と批判。イタリア主要紙、レプブリカ(電子版)も「米国では人種は大きな問題」と懸念を示した。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081107/amr0811070952008-n1.htm

 私は古い歴史のあるイタリアという国を尊敬していますし、仕事よりも食事と家族をこよなく愛すイタリア人のライフスタイルも大好きですが、このような危険な男を3度も首相に送り込んでいるイタリア人の無邪気さ(?)だけはどうしても理解できません。

 「オバマ氏は若く、格好が良く、日焼けしている」とは、品性のかけらもないユーモアと言うレベルではなくまったく笑えませんし、どこが「(オバマ氏への)賛辞だ」なのか理解不能です。

 おそらくこれは失言ではなく彼は確信犯でありましょう。

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●「ベルルスコーニはただの右翼ではない、彼は民主主義への脅威だ」〜英ガーディアン紙記事から

 このベルルスコーニという男は、真性の極右人種主義者だと彼の人気が高いイタリアを含めヨーロッパのメディアからは警戒されているのであります。

 私が彼の危険性を知ったのも5年前の英国ガーディアン紙に載った強烈な見出しの記事からでした。

The Italian poisoner
Berlusconi is not just another rightwinger; he is a threat to democracy
http://www.guardian.co.uk/politics/2003/jul/05/media.italy

「イタリアの毒殺者」と言う見出しで、副題は「ベルルスコーニはただの右翼ではない、彼は民主主義への脅威だ」と警告しています。

 このマーティン・ジャックス記者の記事で、冒頭で書かれている彼の問題発言を要約しますと、

 当時、彼にはイタリア国内で汚職の嫌疑がかけられていたのですが、彼は何とイタリア首相職に在任する間は刑事訴追されないとの法律を制定してしまいます。

 そこで欧州議会の席上、ドイツの欧州議会議員のマーチン・シュルツが、半年交代のEU議長職に就いたばかりのベルルスコーニに対し、この問題を指摘したのです。

 怒ったベルルスコーニは、ドイツ人のシュルツに向かい「現在イタリアで、ある人がナチス強制収容所についての映画を製作中だが、その映画に登場する監視役を演じるのをあなたにお勧めしたい。まさにはまり役だ。」(監視役は通常、囚人の中から選ばれる)と放言、大問題になったのです。

 ドイツのシュレーダー首相を始め、オランダやルクセンブルグの首相もベルルスコーニ発言を非難しました。

 ・・・

 記事によれば、ベルルスコーニはイタリアのメディア王であり、イタリア一の大金持ちであり、彼は自分が所有している三つのテレビチャンネルと複数の新聞を自らの政治目的達成のために全面的に利用して恥じるところがありません。

 2001年に首相に就任して以来、彼はこのメディアの力とカネの力で自分に刃向かう可能性のある勢力、国営放送、有力新聞、検察や裁判所などを、そして気骨のある政治家を次々に辞任に追い込んできました。

 そしてついには、刑事訴追されない「権利」まで獲得し、自らを法の上に置いたのです。

 つまり、マーティン・ジャックス記者によれば、シュルツ議員を貶めた発言は、国内の「敵」を同じように貶めて葬ってきた彼のやり口そのままだと言うのです。

 マーティン・ジャックス記者は記事の結語をこう締めくくっています。

He is not just another rightwing politician; he represents the greatest challenge to democracy anywhere in Europe.
彼はただの右翼政治家ではない、彼はヨーロッパでどこでも民主主義への最大の挑戦を出現させる。

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●伊首相ベルルスコーニの人気を支える“武勇伝”とは?〜R25.jpの村木哲郎記者の記事から

 こんな彼がなぜ繰り返し首相に返り咲くのか私には理解不能ですが、彼のイタリア国内での人気は彼のめちゃくちゃな数々の暴言にあるようです。

 R25.jpの村木哲郎記者の記事から。

伊首相ベルルスコーニ
人気を支える“武勇伝”とは?

ベルルスコーニがまたしてもイタリアの首相になった。サッカー好きの人なら知っていると思うが、ベルルスコーニは、ACミランの前会長でありオーナーで、イタリアのメディアの7割をコントロールするといわれるメディア王でもあり大富豪。さらに、過去2回にわたってイタリア首相を歴任した世界的にも有名なひと。そのベルルスコーニが、また首相に返り咲いたというのである。

いったいなんでベルルスコーニは何度も首相になれるのか。その理由はイタリアの政界が人材難だからというわけじゃない。じつはこのひと、数々の失言・暴言で知られ、その奔放なキャラで人気が高いのだ。

たとえば2006年のイタリア総選挙。ベルルスコーニはまず、1月の党大会で「投票日までセックスをしない」と変な公約をし、3月には「毛沢東時代の中国は赤ん坊を茹でていた」と発言。中国から猛抗議を受け、4月の投票日数日まえにいたっては、対立候補の支持者たちに対して「キ●タマ野郎がこんなにいるなんて考えられない!」と放送禁止用語を連発。その後、街中で「私はキ●タマ」Tシャツやバッジがたくさん売られる事態を招いてしまったのである。

こうしたベルルスコーニの武勇伝は3回目の首相になってもまったく変わらない。なにしろ、女性閣僚が半数を占めるスペイン内閣を「ピンク色すぎる」と評して顰蹙を買う一方で、自分の新内閣にもかつてナンパしたことのある女性議員を閣僚に起用。この女性は「ミス・イタリア」コンテストで入賞したこともある美女で、ベルルスコーニは1年ほどまえ、あるパーティーで彼女を熱心に口説き、それが妻に発覚。公の場で謝罪させられたこともあったのだ。

それにしても、こんなムチャクチャなひとがかりにも主要8カ国の一員である国の首相に何度もなるとは…。イタリアってなんてすごい国なんだろう(笑)。ちなみに、なぜか過去一度も来日したことがなかったベルルスコーニだが、7月の洞爺湖サミットでついに初来日するという。
(村木哲郎)

http://r25.jp/magazine/ranking_review/10001000/1112008061904.html

 2006年のイタリア総選挙では「投票日までセックスをしない」と変な公約、

 3月には「毛沢東時代の中国は赤ん坊を茹でていた」と発言、

 4月には対立候補の支持者たちに対して「キ●タマ野郎がこんなにいるなんて考えられない!」と放送禁止用語を連発、

 その後、街中で「私はキ●タマ」Tシャツやバッジがたくさん売られる事態を招き、

 ですか。

 暴言もここまで来るとゲップが出てしまいます(苦笑

 おそらく多くのイタリア人は彼の危険な本質を正しく見抜いているとは思えません、村木哲郎記者の指摘するとおり「その奔放なキャラで人気が高い」だけなのでしょう。

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 ベルルスコーニに比べればなんか日本の政治家たちがとっても上品に思えてきましたが、これは比較対象が酷すぎるだけなのでしょうネ。

 アブナイ、アブナイ。



(木走まさみず)