木走日記

場末の時事評論

静かに膨張する首都東京の華人圏〜東京の中国人数が過去最高を記録

kibashiri2007-08-09


 今日はなぜかネットでほとんど話題になっていない記事を取り上げてみたいと思います。



●東京の華人圏が日に日に拡大、100人に1人は中国人〜「人民網日本語版」

 私の愛読(ネット上でですが)する中国情報局の昨日(8日)の気になる記事から。

東京の華人圏が日に日に拡大、100人に1人は中国人

東京の外国人登録者数は7月1日で38万1671人を数え、全都民の2.99%に達した。最も多いのは中国人で、過去最高の13万23人を記録した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

日本の「中文導報」によると、東京都民の100人に1人は中国人という計算になる。中国人の東京集中が高まるにつれて、中国人向けの商業区や中国人街の形成が進んでいる。池袋駅新宿駅大久保駅新大久保駅周辺では、中華料理店、中国物産店、中国語書店が増え続け、北区の赤羽駅周辺でも中華料理店や中国物産店が繁盛している。

概算統計によると東京には中国人の投資経営者が671人おり、各種の中華料理店100軒以上、大小の中国物産店100軒以上、中国人向け理髪店・美容室40軒以上、中国人向けネットカフェ30軒以上、中国人向け書店20軒以上、中国語新聞10社以上があり、中国語テレビ局3局が5つのチャンネルで放送を行っている。(編集NA)

人民網日本語版」2007年8月8日
http://j.peopledaily.com.cn/2007/08/08/jp20070808_74961.html

 うーん、「東京の華人圏が日に日に拡大、100人に1人は中国人」という記事タイトルなんでありますが、新華社ウェブサイト「新華網」によれば、 首都東京の外国人登録している中国人は過去最高の13万23人を記録したのだそうであります。

 首都東京の100人に1人は中国人ですか。

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 しかし、興味深い記事ですがこの13万人という人数ですがこれって実数からするとかなり少な目な数字だと思われます。

 実際はこの正規の外国人登録している13万人の他に、おそらく数万に及ぶであろう不法残留者(いわゆるオーバーステイ)や統計的数字を捉えることがまったく不可能である密航等の手段による不法入国者達が首都東京にいるわけで、本当のところ何万人の中国人が東京にいるのかはわからないのであります。

 警察庁機関誌『焦点』269号によれば、法務省入国管理局の電算統計に基づく推計によれば少し古いデータですが、平成15年1月1日現在で22万552人で内中国人は3万人程度と推計されています。

(中略)

 こうした国際化の進展の中、法務省入国管理局の電算統計に基づく推計によれば、我が国の不法残留者数は、統計を取り始めた平成2年には10万6、497人であったのが、4年には20万人を超え、5年の29万8、646人をピークに若干の減少傾向を示しつつも、15年1月1日現在22万552人と、依然として20万人以上の大量の不法残留者が滞留しています(図1参照)。

 加えて、正規の入国ではなく、密航等の手段により不法に入国し、そのまま本邦に在留する不法在留者が計上不可能であることから、不法滞在者は相当な数に上るとみられます。

 これら不法滞在者のほとんどは不法に就労しているとみられますが、不法就労よりも効率的に利益を得る手段として犯罪に手を染める者もおり、さらに、地縁、血縁等によって我が国国内で犯罪グループを形成し、あるいは我が国の暴力団や外国に本拠を置く国際犯罪組織と連携を図るなど、大量の不法滞在者の存在は来日外国人による各種犯罪の温床になっていると指摘され、我が国の治安に重大な影響を与えています。

(後略)

http://www.npa.go.jp/kouhousi/biki2/sec02/sec02_08.htm

 まあ、いずれにしても正式登録している人数だけでも13万人という過去最高を記録して「日に日に拡大」を続ける首都東京の中国人なのであります。

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●清(チン)さんの話

 私は数年前あるタウン誌の特集で東京の外国人オーバーステイ不法滞在者)の取材をしたことがあります。

 2年前にご紹介した記事を引用。

清(チン)さんの話

チンさんと初めてあったのは、2000年夏、ある飲屋街の雑居ビルの5Fのカラオケスナックだった。たばこの煙が充満する薄暗い10坪ほどの店の奥で、彼女は酔客の隣に座っていた。

日本語の上手な中国人のママさんと、チンさん以外に中国人の女性が二人働いていた。聞けば、3月に来日して、すぐに水商売に入ったのだという。まだ、片言の日本語で会話もあまりできない様子だったが、彼女は英語が話せたのでいろいろ話を聞くことが出来た。

 彼女は1970年に上海に生まれた。家族の写真を見せてもらうと少し驚いたのが、彼女は双子であり、顔のそっくりな妹と彼女にはさまれて、嬉しそうにほほえむご両親の顔が並んでいた。

 上海では彼女は小さな貿易会社の社員だったという。数年前に離婚して、上海のご両親に預けている7才の娘が一人いるそうだ。

 今は店のママの家に居候しながら、毎日夜の7時から朝の4時までこの店で働いていて、給料の半分を中国に仕送りしているのだという。

 一年後、ひさしぶりにお店に顔を出すと、チンさんはとても日本語が上手になっていた。それでも英語で話しかけてくる。「ママは英語がわからないからね。」といたずらっぽく笑いながら、日本人の彼ができたこと、サラリーマンのその人と隣町のアパートで同棲していて、毎日日本語を教わっていること、そして、最後に、本当はこういう話をお客さんにしてはいけないことを教えてくれた。

 彼とは店の客として知り合い、彼女がアパートを借りるとき、保証人になってくれたのだそうだ。とても優しい人で、すぐに同棲を始めたという。

 それから数ヶ月後、彼女がお店を辞めると言い出した。ママと喧嘩したのだという。喧嘩の理由はチンさんの彼氏だ。彼がお店にくるとチンさんは彼のそばから離れない。他の客がいようがいまいがかまわず彼に寄り添っている。それをママが怒ったのだという。

 この店で働く女性たちにはノルマがあり、自分の客を店に何人呼ぶかで給料が違うのだという。当然ながら、チンさんは同棲している彼氏に来てもらうことが多い。まあ。他の客からのクレームもあったのだろう。

 しばらくしてチンさんは違う店で働きだした。やはり、水商売で同じカラオケスナックだが、今度の店は、韓国人のママの方針でノルマ無しだという。

 「給料は少し下がったけど、ノルマがないから」

 「結婚するのかい?」とひやかすと、彼女の顔から笑顔が消えた。相手は、実は妻子持ちだという。チンさんも日本に来るときある日本人と偽装結婚しているのだという。どうも現在はオーバーステイ状態のようだった。

 3ヶ月後、彼女は警察に捕まり強制送還された。韓国人ママの話だと警察に通告したのは同棲していた男性だったらしい。

 後味の悪い話である。

■[中国][キャラ][TEXT]中国ってすごいですね。 より抜粋引用
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050224/1109214883

 彼女のように日本人男性と偽装結婚をして来日し、そのまま夜の商売に身を置きビザを切らして不法滞在者になるケースは後を絶たないようです。

 法務省入国管理局の電算統計によれば不法滞在者の国籍は、韓国、フィリピン、中国、タイの順でありますが、その中の女性のうちかなりの割合が大都市・地方都市の夜の客商売に従事しているようです。

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●驚いた『アメ横』地下に存在した中国人向け商業区

 上記の清(チン)さんたちなどを取材していた頃、すでに東京の上野・御徒町あたりでは、いわゆる華人圏のようなものがすでに生まれていました。

 私がびっくりしたのは、上野・御徒町間にある有名なアメ屋横町商店街、通称『アメ横』の一角に、一般の日本人がほとんど知らないだろう地下商店街が存在することです。

 狭い階段を下りてその地下商店街に入ると、そこは中国人向けの物産店が市場を形成しており多くの中国人でごったがえしておりました。

 売り手も中国人なら買い手も中国人、会話も中国語が飛び交い、ここは本当に日本なのか上海あたりじゃないかと錯覚してしまいそうです。

 特に印象的だったのは海産市場のコーナーで、上海蟹やスッポンや日本ではあまり馴染みのない魚介類が生きたまま売られていたことでした。

 上記の「人民網日本語版」記事でも「中国人向けの商業区や中国人街の形成」が東京で進んでいると指摘がありました。

 中国人向けの商業区や中国人街の形成が進んでいる。池袋駅新宿駅大久保駅新大久保駅周辺では、中華料理店、中国物産店、中国語書店が増え続け、北区の赤羽駅周辺でも中華料理店や中国物産店が繁盛している。

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 今、急激な少子化にあえぐ日本の首都東京で、中国人人口が静かに膨張しています。

 彼らとどう折り合いをつけていくか、好むと好まざるとに関わらず、現実問題として今後真剣に対処しなければならない課題なのでありましょう。



(木走まさみず)