世にも奇妙な朝日記事〜非科学的な記述が怖すぎるっての(爆笑)
今日は、昨日(27日)のなんとも非科学的な朝日新聞の科学記事の小ネタです。
●「銀河は踊る」はいいけど、科学的記述がデタラメな朝日の科学記事
昨日(27日)の朝日の科学記事から・・・
「銀河は踊る」 NASAが合体の様子を撮影
宇宙のかなたで二つの銀河が合体する様子を米航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線カメラがとらえ、26日に公表した。仮面舞踏会に使われるマスクのように見えるため、NASAは「踊る銀河」と呼んでいる。二つの銀河は地球から1億4000万光年離れた場所にあり、約4000万年前に出会った。マスクの「目」の部分が、それぞれの銀河の中心。周囲にみえる多数のビーズ状の明るい部分は、新しい星が続々と生まれている場所だという。
これらの「ビーズ」は二つの銀河が出会ったとき、その衝撃でお互いに揺さぶられ、星のもとになるちりやガスが集まってできた。NASAによると、二つの銀河が完全に一体化するのは、5億年後だという。
2006年04月27日
http://www.asahi.com/science/news/TKY200604270126.html
素晴らしい写真ですね。
銀河同士の衝突だそうであります。
・・・
しかしです、この記事を書いた朝日記者に物申したいです。
なんですかこの意味不明の説明は・・・
二つの銀河は地球から1億4000万光年離れた場所にあり、約4000万年前に出会った。
もうね、いちいち本当に細かいこと言って申し訳ありませんが、なんなんでしょうこの記述のデタラメさは。
・・・
朝日記者さん、いいですか、「光年」は確かに距離の単位であります。
光の速さで1年かかるというとんでもない距離が1光年という距離なんですね。
従って記事にある「地球から1億4000万光年離れた場所」にある二つの銀河ですが、途方もなく遠方にあるわけですね。
で、「地球から1億4000万光年離れた場所」にあるこの二つの銀河の姿を、今、私たちは地球から観測していて、写真のような美しい合体しつつある様子をとらえているのですが、当たり前ですが、この姿が地球に届くまでに「1億4000万年」かかっているのでありますよ。
つまり今私たちが目にしてる合体しつつあるこの二つの銀河の写真は、実は「1億4000万年」前の姿なのです。
「1億4000万年」前にすでに合体しつつあるのに、二つの銀河が「約4000万年前に出会った」とは、デタラメな話であります。
これじゃ、「14年前に結婚式をあげた二人が出会ったのは実は4年前だった」みたいなとんちんかんな話でしょ(苦笑)
ん? なんか人間に比喩してみたけど、冷静に考えるとちょっと気持ち悪いですねえ(汗
・・・
朝日の科学記事よ、お前はSFファンタジーか?
「世にも奇妙な物語」か?
非科学的な記述が怖すぎるっての(爆笑)
・・・
科学記事なら科学的事実だけは正確に記述しなければいけません。
この二つの銀河が出会ったのは、約1億8000万年前ですから。
ですから、「二つの銀河は地球から1億4000万光年離れた場所にあり、約4000万年前に出会った。」は誤りで、正確には「二つの銀河は地球から1億4000万光年離れた場所にあり、約1億8000万年前に出会い、地球で観測できたのは約4000万年前」です。
ついでに、記事の結語、「NASAによると、二つの銀河が完全に一体化するのは、5億年後だという。 」のも誤りで、「二つの銀河が完全に一体化するのは、3億6千万年後で、その姿を地球で観測できるのは5億年後 」ですから。
・・・
ふう。
日本の大新聞の科学記事のいいかげんさは本当に頭が痛いのであります。
「世にも奇妙な朝日記事」なのでした。
ジャンジャン。
(木走まさみず)
<関連テキスト>
●マスメディアのいいかげんな科学記事にメディアリテラシーの鉄槌を!!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060416