木走日記

場末の時事評論

がんばれ!香港ディズニーランド〜のっけから大ブーイングの巻

kibashiri2005-09-22


 今日は中国に関するおもしろい話を披露いたしましょう。



●とっても優秀でとっても恐妻家の王(ワン)さんのみあげ話

 私の仕事仲間で、中国人のワンさんは、来日して15年、とっても優秀なITエンジニアかつ企業家でありまして、もう10年来のつき合いになります。

 彼は中国上海の出身なのですが、彼の日中比較文化論がとてもおもしろいです。

 まずはバスの話。

 「日本で感心するのは、公共交通機関の中、電車とかバスの中での乗客のマナーがすばらしいこと。みなさんすごくおとなしいし、たとえ満員でもじっとがまんしていますよね。この前の旧正月で久しぶりに上海に戻りバスに乗ったら、もううるさくて騒々しくて嫌になっちゃいましたよ。運転手と口論している乗客もいれば、客同士で席の取り合いで喧嘩していたり、そうじゃなくてもほぼ全員が怒鳴り合うようにおしゃべりしている。正直、日本に戻りたくなりましたよ(苦笑」

 上海の人に限らず、中国人は公共の場でもあたり構わずよくしゃべるのだそうです。そして、言語学上の発音の問題なのか文化の違いなのかわかりませんが、日常会話も日本人の声量からすると怒鳴りあっているとしか思えないような大声なのだそうです。

 次が地方蔑視の話。

 「日本では、中国人同士が出身地により同じ中国人をひどく蔑視していることは、あまり話題になりませんよね。私達上海人が一番ひどいようですが、田舎モンを馬鹿にする傾向があります。また、北京人に対する敵愾心もすごいですし、香港人に対する嫉妬もはんぱなものじゃありません。もっとも、北京に行けば、軽薄な守銭奴として真っ先に上海人が馬鹿にされますけどね。」

 まあ、彼は大の親日家でもあり、イデオロギー的話ではないこのような無邪気な話が多いのですが、それでも彼も中国人ですからそれなりに愛国心があるようです。

 香港ディズニーランドの話。

 「数年前に誘致合戦で上海が香港に負けたときはとても悔しかったけど、香港にアジアで2番目の、世界でも5番目のディズニーランドが開園になるんですよね。これで中国も先進国の仲間入りですよ、木走さん。
 私は香港の友人に頼んで開園日のチケットを3枚入手できましたので、奥さんと娘(10才)と一緒に香港に遊びに行ってきますよ。楽しみだなあ」

 上海出身の彼にとっても香港ディズニーランド開園はとても嬉しいらしく無邪気に喜ぶ彼をみていると私も思わずほくそ笑み、何となく嬉しくなったものでした。

 で、一昨日彼は私の事務所に仕事の打ち合わせに来たのですが、香港のみあげ話を楽しみにしていた私に、彼は浮かない顔をして開口一番こうのたまったのでした。

「だめだ。中華民族民度は向こう20年変わらないでしょう。香港ディズニーランドはさんざんでしたよ。」

 どうしたの?と尋ねる私に、彼が説明してくれたさんざんな体験とはおおむね次のようでした。

 1:炎天下に行列で並ばされて入門するまで長時間かかったこと。理由は初日ということもあり持ち物検査(ボディチェック)が厳しかったようです。

 2:中国人係員の態度がひどく横柄だったこと。

 3:休憩場所が少なくひどく暑いのに冷房施設が限られていて、しかもそこも人で溢れかえっていて、売店の中でも裸になって寝そべっている人がたくさんいたこと。

 4:あたり構わず食事したりたばこも吸い放題、来場客のマナーもすこぶる悪かったとのこと。

 5:あまりの暑さとさんざんな待遇にワンさんの奥さんが途中から切れまくり、この旅行を計画したワンさんに対し、えんえんと批判し始めたこと(苦笑

 まあ、5番目はワンさん一家の力関係にも関わる個人的事情が大きいようにも思えますが(爆笑

 で、彼の結論は、「だから、あんな亜熱帯でクソ熱く、風紀も悪い香港じゃなくて、涼しい上海に設置すればよかったのに」ということでありました。

 上海がすずしいかどうかはともかく、香港ディズニーランドの評判はすこぶる悪いようでした。



●香港ディズニー:早くも問題続出で、施設も客も大ブーイング

 ワンさんによればこの話題、中国でもメディアで大きく取り上げられているというのでさっそく私が愛読している中国情報局電子ニュースで検索してみたら、おお、ありました、ありました。

 まず初日にさんざんの目にあったお客さんの話。

香港ディズニー:早くも問題続出で、客はブーイング
2005/09/13(火) 15:18:01更新

  12日に開園したばかりの香港ディズニーランドだが、早くも来場者の不満が噴出し始めている。来場者からは、「スタッフの態度が横柄だ」「狭すぎる」といったブーイング。また、人気のアトラクションが故障し、一時運転を停止するなどのハプニングも起きた。13日付で信息時報が伝えた。

  12日は開幕初日ということもあり、入り口には長蛇の列。しかし、ディズニーランド側は万全を期して荷物チェックを実施した。そのため、炎天下で開園を待ちわびていた観光客からは不満が噴出した。

  人気のアトラクション「スペース・マウンテン(中国語名:飛越太空山)」が現地時間午後4時過ぎに故障し、10分ほど運転を停止するというハプニングも。来場者からは、「1時間以上も並んだのに、遊べる時間はたった4分だけだった」と不機嫌さを隠そうとしない人も見られた。

  開園前のリハーサルの段階では、休憩時間が短いことや勤務時間中は水を飲んでいけないという規定などに対し、スタッフから不満の声が上がっていた。また、レストランでふかひれスープを出すことについて、環境保護団体から非難され、メニューから削るなどの対応に追われるなどのトラブルも出た。

  なお、香港ディズニーランドの自慢の一つとして、「多くの言語が使われていること」がある。園内では、広東語、英語、標準語が使われ、案内板などの表記は簡体字繁体字、英語と、様々な地域からの来場者の利便性が図られている。また、「チケット代が最安」で、東京ディズニーリゾートでは、1デーパスポートで3700−5500円なのに対し、香港では、平日で170−295香港ドル(約2400−4200円)、祝日・休日でも200−350香港ドル(約2800−5000円)だ。

  一方で、「面積が最小」、「アトラクション数が最少」などのマイナス面も指摘されている。「営業時間も最短」で、平日は午前10時から午後7時までの9時間。祝日や週末でも午前10時から午後9時までの11時間。ただし、10月11日までは統一して午前10時から午後9時までとなっている。東京ディズニーリゾートでは、平日は通常午前9時から午後22時、祝日・週末では午前8時または8時30分から22時というケースが多い。(編集担当:田村まどか・如月隼人)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0913&f=business_0913_005.shtml

 で、ワンさんもご立腹のお客さんのマナーの話。

香港ディズニー:大陸メディア、「下品な客」批判
2005/09/14(水) 14:40:25更新

  12日に開園した香港ディズニーランドでは、早くも来場者の不満が噴出。一方で、来場者の3分の1を占めた中国大陸からの観光客による下品かつ非文明的な行為が指摘されている。14日付で大陸のメディアである信息時報が伝えた。

  開幕初日となった12日、炎天下の中、各地から多くの人が来場。ミッキーマウスがデザインされた日傘を購入し、強い日差しを避ける人もいたが、中には、道端や冷房の効いたショップに入り込んで堂々と座り込んだり、上半身裸になって涼む観光客の姿もみられた。

  こうした観光客らは、「園内は涼めるような木陰が少なくて、レストランのように空調がきいている所は人だらけ。ベンチで休みたいけれど、みな太陽が直射して暑くて座れない。こうするしかなかった」などと説明。

  また、「眠れる森の美女」の城の前では、1人の男の子が立っておしっこをし、パンツを脱いだ姿で走り回る姿も。広東(カントン)省・広州(こうしゅう)市出身という母親は、「息子が、突然おしっこに行きたくなったので仕方がなかったのよ」と語った。

  信息時報は、「タバコを吸いたくなったら構わず吸う」「横になりたければ所構わず寝る」「脱ぎたければ脱ぐ」といった行為を「非文明的なもの」と批判。ただし、こうした観光客の中には、中国大陸出身者だけでなく、香港の観光客も含まれていたと指摘している。(編集担当:田村まどか・如月隼人)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0914&f=national_0914_001.shtml

 あらら、おしっこまでしちゃったのか(苦笑

 えーと、私は別に嫌中派でも媚中派でもないし中国人の友人もたくさんおりますが、ワンさんのお怒りは良く理解できます。

 まあ、しかし、公共マナーをよくしていくことはある程度時間の掛かることでしょうし、このひとつをもって中華民族全体を卑下してしまうのは、ちょっと何だなあと思ってしまうのであります。

 ワンさんは奥さんにペナルティーとして東京ディズニーシーホテル一泊家族旅行を約束させられたそうです。(苦笑

 ・・・

 がんばれ、香港ディズニーランド

 夜明けは近いぞ!(たぶん)

 今日は雑談でありました。



(木走まさみず)