木走日記

場末の時事評論

昭和天皇映画「太陽」が日本公開されない理由がわからない

kibashiri2005-06-30




昭和天皇描いた「太陽」グランプリ受賞

 今日の読売の小さな記事から。

昭和天皇描いた「太陽」、露映画祭のグランプリ受賞
 【モスクワ=五十嵐弘一】タス通信によると、第13回サンクトペテルブルク国際映画祭で29日、俳優のイッセー尾形さんが昭和天皇役を演じたロシア映画「太陽」アレクサンドル・ソクーロフ監督)がグランプリを受賞した。

(2005年6月30日10時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20050630i403.htm

 ほほう、ついに「太陽」が賞を取りましたか。
 この作品は、ヒトラーを描いた『モレク神』、レーニンを描いた『牡牛座』に続く、アレクサンダー・ソクーロフ監督の四部作の第三作でありまして、今年もベルリン国際映画祭コンペ部門でも話題になっておりましたね。

 この映画は木走も是非みたいと思っておりますが、いろいろな諸問題があって日本公開は未定なのだそうです。

 この映画に関しては出演した俳優達の口も重いようですが、2月に、昭和天皇を演じたイッセー尾形(53)が最初で最後という貴重なインタビュー(スポーツ報知)に応じていたようですね。



イッセー尾形「恐怖感じた」 ロシア映画「太陽」昭和天皇

 興味深いイッセー尾形のインタビューを抜粋引用してみましょう。

Yahoo!ムービーより
http://movies.yahoo.co.jp/m2?ty=nd&id=20050227-00000029-sph-ent

 ―残念ながら賞には届きませんでした。

 「僕は疎いんですけど、周りから賞の候補だと言われ、ちょっぴり期待しました。賞を取れたら、まじめな作品がまじめに評価されるということ。これは強力なバックアップになるなあ、と」

 ―作品との出合いは?

 「数年前、ロシアの監督が昭和天皇を演じる役者を探している、というので、天皇陛下にふんしたポラロイドを送りました。しばらく忘れていたら、2年くらい前に返事をもらいました。監督は10年以上前から温めていたと聞いています」

 ―日本では非常にデリケートな問題もありますが?

 「役を引き受けたときはそこまでは考えていませんでした。英語と日本語で書かれた台本を食い入るように読み、体がものすごく興奮しました。言葉では言い当てられない感動も。ぜひ、やりたい、という気持ちが先にありました」

 ―役の影響を考えたのは?

 「ロシアに渡り、マッカーサーとの対面シーンのリハーサルをやりました。天皇陛下が『原爆を落としたのはお前たちだろう?』と英語で問う場面があり、天皇の映画を撮るというのはこういうことなんだ、と実感が出てきました。帰国後、いろんな人から“妨害がある”とか“消されちゃうよ”とか言われ、初めて恐怖を感じました」

 ―役を降りようとは?

 「事務所のスタッフと相談しましたが、起こるかどうか分からないことを悩むのはどうかと考えました。僕個人のことと、仕事のことは分けて考え、むしろ、この仕事に誇りを持って、全力で臨もうと考えました。実際、脅迫はありませんでした」

 ―役作りは?

 「本や写真集は読みましたが、あまり役立たなかった。衣装を着て、防空壕(ごう)のセット内に入り、息苦しさを感じた。人間としての当たり前の反応を感じながら、演じていきました」

 ―防空壕のセットは監督の想像なのですか?

 「いえ、実際に資料が残っているそうで、監督は写真も見せてくれました。御前会議も事実に基づいています。監督は相当、下調べをしていました」

 ―一方、史実と違うという指摘もあります。

 「ええ、(終戦間際の御前会議で)昭和天皇明治天皇の歌を朗読する場面がありますが、実際は開戦のときに読まれました。この映画はこれまで誰も知らなかったこと、記録になかったことを、監督が芸術家として想像をはせて描いたもの。僕自身も天皇陛下をチャーミングな方に見せたいと思い、演じました」

 ―口を動かしたり、「あ、そう」との口ぐせをまねていますが。

 「口については監督からは開けていてほしい、という指示だけはありました。天皇陛下は常に周囲からは見られている存在です。まゆを上げたり、下げたりすれば、意味が出てしまう。なるべく、表情に感情を出さないように過ごされていたと思います。それが口に出たのではないか、と指摘された外国のプレスの方もいました。まねというつもりはありません」

 ―演じきり、昭和天皇という方をどう思いましたか?

 「劇中で陛下は自分を神とあがめることを否定します。一人の人間が『自分は人間である』と宣言する。なんて悲しい、なんてナンセンスなんだ、と思いました。これを世界中で唯一、背負わされた人間が昭和天皇。あの大変な時期に、権力の頂点に立たれた。これは想像を絶することです」

 ―会見では「見ていない人と同じ土俵に立ちたくない」と話しました。

 「言いたかったのは、とにかく見てほしい、ということ。見ていただかないことには、映画の意図することは何も伝わらない。日本公開は難しそうですが、正直、理解できません。今後、海外の映画館や映画祭では上映されるので、日本の方も見てほしいです」

 へえー、まあ確かに映画は映画でありエンターテイメントなわけですから、どこまで史実に忠実であったかなどという表層で神経質になってしまっては作品を評価できなくなってしまうでしょうね。

 しかし、見たいですねえ。
 
 で、実際のストーリーはこんな感じ

 ◆映画「太陽」 終戦直前の1945年8月、昭和天皇防空壕に避難しているところから話は始まる。ポツダム宣言受諾を決意する御前会議、甲殻類の研究の様子などが続き、マッカーサーとの対談。そして、皇居に戻り、桃井かおり演じる香淳皇后に、ひとときの安らぎを感じ、最後は46年1月に発表される「人間宣言」を録音、担当技師が自決したことを聞き幕を閉じる。佐野史郎侍従長役を演じる。

 で、イッセー尾形さんはこんな人

 ◆イッセー尾形(いっせー・おがた)本名・尾形一成。1952年2月22日、福岡県生まれ。53歳。建設現場で働きながら芝居を学び、75年に初めて一人芝居に出演。80年「お笑いスター誕生」での金賞受賞をきっかけにタレント活動を開始。以後、フジテレビ系「意地悪婆さん」や、NHKドラマ「花へんろ」「凛凛と」などに出演。82年から一人芝居を定期的に行う。98年にはロンドンでの一人芝居が注目を浴びた。今年3月も独ミュンヘン、ベルリンで公演。5月2〜8日までは東京・草月ホールで。

 で、実際にこの映画を見た人の所感はこんな感じ

berlin im bau「ベルリン工事中」
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/2654/kino_aktuell.html

 16.ソクーロフ 『太陽』

 ・・・

 うーん視覚的に暗い映画のようですね。

 あとは何言ってるのかよくわからんです。(苦笑



●どうして日本公開しないのですか?

 やっぱし、文章じゃ伝わらないのです。(汗

 ああ、猛烈に見たいなあ。

 イッセー尾形さんも「見ていただかないことには、映画の意図することは何も伝わらない」とおっしゃているようですが・・・

 ・・・

 しかし、なんで、どうして日本公開しないんですか(怒

 これも、菊のタブーなのでしょうか?



(木走まさみず)



<テキスト修正履歴>
2005.07.01 17:00
「ベルリン工事中」さんは個人のサイトでありましたので、引用部分を削除いたしました。なお、文中の「よくわからん」発言は、木走が馬鹿なだけですので誤解無きようお願いいたします。(汗
「ベルリン工事中」さん、たいへん失礼いたしました。m(_ _;)m