木走日記

場末の時事評論

暗愚な傀儡と傲慢な帝王〜できの悪いマンガみたいにショー化してきた民主党政権

 暗愚。

 一ヶ月前、鳩山由紀夫首相は、シンガポールブルネイのボルキア国王と会談し、「国民に税金が課されていないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」と、「所得税は無税」(国王)という同国の税制をうらやむような発言をしていましたよね。

 首相自身が資産報告漏れで「脱税の疑い」を指摘されている中での不用意な発言とマスメディアから批判されました。

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 13日付け日経新聞記事から。

首相「寄付税制を変えることも大事」

 鳩山由紀夫首相は12日、「寄付税制を変えることも大事かなと思う。税金を国に納めるぐらいなら、その一部をボランティアで頑張っている人たちのためにということをやってみたい」と述べ、公益事業を担う団体への寄付に関する優遇税制を検討する考えを示した。千葉県松戸市で福祉関連の団体を視察後、都内で記者団に語った。(07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091213AT3S1202H12122009.html

 たしかに私も「寄付税制を変えることも大事」だと思います、公益事業団体への献金を税制面で優遇することには賛成です。

 なので、発言内容の細部でもって揚げ足取りするようなことはしたくないのですが、したくはないがそれにしても「税金を国に納めるぐらいなら、その一部をボランティアで頑張っている人たちのために」というこのくだりは、一国の首相としていただけません。

 ご自身の年間1億8000万円6年余に提供された総額11億円に及ぶ、ご母堂からの『子ども手当』を当初貸与と言い張り、弟邦夫氏が贈与と認めるに至って、しぶしぶ修正申告し贈与税を支払う意向を示した鳩山首相なのであります。

 つまり首相ご自身が相続税法違反(贈与税の脱税)という脱法行為の疑いを持たれており国民の厳しい批判にさらされている正にそのときに、「税金を国に納めるぐらいなら、その一部をボランティアで頑張っている人たちのために」など国民の義務である納税行為を「ぐらい」などと蔑(さげす)む表現を用いるのは、あまりにタイミングが悪いのであります。

 首相には、約7200万円の株式売却益の申告漏れも指摘されています。

 これでは納税意識が薄いとみられてもしかたがありますまい。

 それにしても「宇宙人」鳩山首相の納税に対するこの公人としての無自覚な一連の不用意発言はなんなんでしょう。

 この納税意識の薄さは、国民の税を預かり予算を執行する政権、その最高権力者である内閣総理大臣にご自身があるという自覚がまったくないのではないか、こと納税に関してはまるで道理がわからず賢さに欠けているようにさえ見えてしまいます。

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 一方こちらは・・・

 傲慢。

 12日付け朝日新聞記事から。

天皇会見実現へ「努力する」 小沢氏、中国大使に

2009年12月12日15時0分

 民主党小沢一郎幹事長が崔天凱(ツォイ・ティエンカイ)中国大使と9日に国会内で会談した際、来日する習近平(シー・チンピン)国家副主席と天皇陛下の会見実現に協力を求めた崔氏に対し、「趣旨はよくわかりました。努力します」と答えていたことがわかった。党関係者が明らかにした。

 民主党は中国政府の要請を受け、山岡賢次国会対策委員長鳩山由紀夫首相や宮内庁などに会見実現を働きかけていたが、難航していたため小沢氏と崔氏の会談がセットされたという。ただ、首相は11日、「小沢幹事長から話があったわけではない」と記者団に語っている。

http://www.asahi.com/politics/update/1212/TKY200912120201.html

 13日付け日経新聞記事から。

小沢氏、天皇訪韓「結構なこと」

 【ソウル=小嶋誠治】韓国を訪問している民主党小沢一郎幹事長は12日、1910年の日韓併合から100年になる2010年中の天皇陛下の韓国訪問について「韓国の皆さんが受け入れて、歓迎してくださるなら結構なことだ」と語った。ソウル市内のホテルで記者団の質問に答えた。
 与党幹事長としての小沢氏の発言は「韓国国内における天皇訪韓の期待を一段と強めた」(日韓関係筋)。陛下と中国の習近平国家副主席との会見問題に加え、今回の発言に宮内庁が再び懸念を示す可能性もある。
 陛下の訪韓は歴代の韓国大統領が来日時に要請してきたが、実現していない。李明博(イ・ミョンバク)大統領は08年4月の来日時に陛下に直接、訪韓を要請。今年9月にも来年中の訪韓の希望を重ねて表明していた。一方、日本側には宮内庁や警備当局などを中心に根強い慎重論がある。(07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091213AT3S1202I12122009.html

 中国国家副主席と天皇陛下の会見を中国側の要求を受け強引にセッティングし、韓国では、2010年中の天皇陛下の韓国訪問について「韓国の皆さんが受け入れて、歓迎してくださるなら結構なことだ」と語った民主党小沢幹事長なのであります。

 この韓国での発言は、私は天皇陛下の韓国訪問について機が熟せばいつかは実現すべきと考えている一人ですが、国内で天皇陛下会見の小沢氏圧力問題がくすぶっている今です。

 その意味では、まったく間が悪い、これは「傲慢」と感じとられても仕方ない発言です。

 天皇の政治利用とかいくつかの論点はありますが、それはともかく、なんていうか今この国の政治権力がいかに小沢さんに集中しているかを示す象徴的な出来事には映りますよね。

 「天皇陛下のスケジュールまで押さえる闇の帝王、小沢さん」という図式が出来上がってしまう。

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 暗愚な傀儡と傲慢な帝王。

 民主党政権が、なんかできの悪いマンガみたいにショー化してきた師走の日曜日なのでした。



(木走まさみず)