木走日記

場末の時事評論

現代生活はブラックボックスだらけ?

 今日は雑談です。まずすこし古いですが半月前の記事からこんなところ。

車にもブラックボックス EUが検討

 欧州連合(EU)の欧州委員会は27日までに、交通事故防止や捜査に役立てるため車両に航空機のように記録装置の入った「ブラックボックス」の設置義務付けを検討、域内の警察に効果について調査を依頼した。

 保険会社は導入を歓迎しているが、メーカーやドライバー側は「監視されるようでプライバシーの侵害につながる」と危ぐしている。

 ブラックボックスを据え付けることで、事故発生時のスピードやブレーキを踏んだ頻度、シートベルト着用の有無など当時の状況が分かる。衛星と連動し、車がどのような進路をとったかも追跡できる。

 欧州委は事故防止に効果があると認められれば、2009年までに新車に導入を義務付けたい考えだ。設置には約400ユーロ(約5万6000円)かかるとされるが、設置しているドライバーには保険料を安くする特典を検討している。

 英国のパトカーの多くは既に導入しており、犯人追跡中の事故の分析などに使用しているという。EUは年間4万人といわれる域内の交通事故死を10年までに半減する計画を立てており、ブラックボックス導入もその一環。

(共同)(02/28 09:23)
http://www.sankei.co.jp/news/050228/kok036.htm

 へえ〜、すごいことですよね。これで車も飛行機並みになるわけで、万が一事故が発生しても原因とか、自動車同士の事故などではどちらが主因で事故発生したのか、いっぱつでわかるわけでありますか?

 しかしなあ、便利になればすべていいわけじゃないとも思えます。「衛星と連動し、車がどのような進路をとったかも追跡できる」って、これは恐ろしいことだと思いませんか?
 たとえばあなたが車を使う営業マンで、たまたま仕事さぼってパチンコ屋でパチンコして時間つぶして会社戻ったら、会社の上司が全て会社のパソコンでトレースしてて、「はい、君、クビね」なんて管理されたら、たまったものじゃないです。はい。

 あるいはあなたが休日に奥さんに内緒で、飲み屋のオネイサンと車でデートして、うまいこと展開があってラブホテルなど寄り道して、すっきり爽やかに帰宅したら、奥さんが自宅のパソコンでトレースしてて、「はい、あなた、離婚ね」なんてスマイルされたりして・・・

 あ、たとえがお下品ですか? すみません、ブログのイメージがくずれてしまって・・・(汗

 え〜と、現在でもGPS機能付き携帯電話もありますし、技術的には驚きはありませんが、日本も導入するのかなあ、やめてほしい気もするのですが。

 ところで、「ブラックボックス」という言葉自体は、別な意味で使われていますよね。

ブラックボックス

     
 直訳すれば「黒い箱」。で、真っ黒な箱のイメージから、中に何が入っているか分からない、あるいは中がどうなっているか分からないモノやコトをブラックボックスという。
 単に見ることができない、知ることができないというだけでなく、見てはいけない、手出しをしてはいけないモノやコトに対してブラックボックスということもある。

 たとえば、アナログ式の時計は、ふたを開けると歯車が見える。時計に詳しい人なら、どの歯車がどんな働きをしているか分かるだろう。しかしデジタル時計は、中を見ても半導体部品が入ってるだけで、どうやって時間をはかり時刻を表示しいてるのか仕組みが分からない。我々一般人に分かるのは、電気が供給されていれば時刻が表示されるという結果だけ。これが、ブラックボックスの一例だ。

 パソコンも、多くの人にとってはブラックボックスだと思う。しかし、とりあえず箱を開けて中にどんな部品が入っているか見ることはできる(一部のパソコンは開けると保証が利かなくなるので注意)。そして、少し勉強すれば、どの部品がどんな働きをしているか、おおむね分かる。

 しかし、個々の半導体部品の中身、具体的な回路や仕組みは専門家でも詳しく知ることができない。仮に分かったとしても、特許などで守られていて、それに手を加えて改良するといったことはできないケースが多い。そのため、半導体部品はブラックボックスといえる。

 ブラックボックスは、もともと機械など形のあるものに対して使われる言葉だったと思う。しかし今は、より多くのものに対して使われている。

『PC View > 用語解説』(http://www.pc-view.net/Help/manual/1295.html)より

 まあ、世の中ブラックボックスだらけであるとも言えるわけでして、例えばテレビ。テレビの中がどんな構造になっているのかなんて知識が無くたって、3才の幼児だってリモコン使ってテレビを見てますよね。

 あるいは、インターネット。TCP/IP通信プロトコルがどんな規約に基づいてるのかなど知ったこっちゃ無くたって、パソコンの中身にどんなユニットで構成されているのか勉強しなくたって、利用できちゃうわけです。

 現代人はどんどんブラックボックスが増えているわけですよね。これは、利便性で考えたら、ある意味すばらしいことなんですが、ものごとの本質、あるいは原理を知らないで、ただユーザーに徹しているばかりだと、これは間違いなく思考停止・オバカになっていくような気がしますです。

 ある意味、メディアと大企業の関係なんかも、知らなくたって、そんなのブラックボックスにしちゃって、テレビで8チャンネルつけて、バラエティ番組見て大笑い、『テレビなんかおもしろければいいじゃん』と思考停止・・・

 原発が危険かなんてめんどくさいことはおくにに任せてブラックボックスにしちゃって、こちとら家に電気がくればそれでいいのさ、電気代上がるのは許さないけど、思考停止・・・・

 こう考えると、ブラックボックスの恐ろしいところは、その内在する問題点までユーザーからは遮蔽されて見えなくなってしまうことであります。そして利用者側もその中身の構造・問題点に関しては思考停止であります。

 時にブラックボックスの箱をあえて開いてその中をぐしゃぐしゃに分解しちゃうようなやんちゃ小僧が必要かもですよね。

 そう、ホリエモン坊やみたいにね。