木走日記

場末の時事評論

読者の皆様へ

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当『木走日記』は、はてなダイアリーからはてなブログに引越しいたしました。

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https://kibashiri.hatenablog.com

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http://d.hatena.ne.jp/kibashiri

旧URLにアクセスすると自動的に新URLにリダイレクトされますので、読者には今までどおり当ブログとお付き合いくださいませ。

よろしくお願いいたします。

 

(木走まさみず)

 

レーザー照射問題:韓国だけが「子供のけんか」を止められないかわいそうな理由

 防衛省は21日、韓国海駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題に関する「最終見解」を公表し、韓国との協議を打ち切ると公表いたします。

(関連記事)

レーダー照射 韓国と協議打ち切り 防衛省が探知音公表
https://www.sankei.com/politics/news/190122/plt1901220004-n1.html

 救難信号を受けて救助のためにすべてのレーダーを可動しただの、P1の無線は聞こえなかっただの、聞こえたけど英語の発音が悪くて聞き取れなかっただの、レーダー照射していないだの、低空飛行で威嚇したのは日本だだのと、ああいえばこういう、という発言をころころ変える韓国の論点ずらしのおかげで、「子供のけんか」状態、際限のない罵り合い状態に陥っていました。

 そこで防衛省は「大人の対応」でこの不毛な「リング」から降りたのであります。

 しかし韓国は降りません。

 日本の打ち切り声明を受けて、韓国側は翌22日、日本に対し正確な資料の提示と低空威嚇飛行への謝罪を改めて要求します。

(関連記事)

“レーダー照射問題”韓国国防省、正確な資料提示と謝罪改めて要求
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3579798.html

 さらに翌23日の日韓外相会談において、韓国外相が「特に、きょうまで3回にわたって日本の哨戒機の韓国の艦艇に対する低空飛行が続いており、遺憾だ」と、日本による威嚇飛行が繰り返されていると非難のボルテージを一気に上げます。

(関連記事)

日韓外相会談 韓国側の「低空で威嚇飛行」主張めぐり応酬
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788551000.html

 そして翌24日、これでもかと自衛隊哨戒機の「威嚇飛行画像」を5枚公開いたします。

(関連記事)

自衛隊哨戒機の「威嚇飛行画像」などを公開 韓国国防省
https://www.sankei.com/world/news/190124/wor1901240039-n1.html

 もっとも公開された写真は背景に何もなく専門家によれば「水平線など比較できるものがないと分析しようがない。話にならない」(防衛省幹部)しろもののようであります。

(関連記事)

レーダー照射問題で韓国“威嚇画像”新たに公開…防衛省幹部「話にならない」
https://www.fnn.jp/posts/00415930HDK

 ・・・

 さて「大人の対応」で「子供のけんか」から一方的に降りた日本なのでありますが、一人韓国だけが「子供のけんか」を続けているのであります。

 興味深いことです。

 レーザー照射問題で日本が降りても韓国だけが延々と「子供のけんか」を続けている理由は何なのでしょうか。

 この問題に対する応酬での日本と韓国の目的の違いが理由だと思われます。

 日本は防衛省公式サイトにも明記されていますがあくまでも「真実の究明」が第一義的目的であり、その上で「同種事案の再発防止」策を講じることを求めています、別に韓国に謝罪せよとも要求していません。

 一方韓国側はどうか。

 本件における韓国側の考え方が明快にわかるテキストがあります、23日付け中央日報のチェ・ビョンゴン/国際外交安保チーム長のコラムです。

【コラム】哨戒機問題、国内の世論がすべてではない=韓国
https://japanese.joins.com/article/431/249431.html?servcode=100§code=120&cloc=jp|main|ranking

 日本側が断固攻勢に出たため、韓国は徹底的に応戦したのだと説明します。

当初、国防部の対応は「ローキー」だった。水面下で日本に誠実に説明すればよいと考えた。ところが日本側は断固攻勢に出た。「レーダーを照射した」(日本)→「哨戒機が威嚇飛行した」(韓国)、「レーダー探知音を公開する」(日本)→「日時、防衛、周波数の特性すべて公開すべき」(韓国)、いわゆるレーダー探知音を公開(日本)→「正体不明の機械音」(韓国)と応戦が続いた。

 そこには「真実の究明」などの視点は皆無です。

 これは「そのままにすれば声の大きい人が勝つ」「世論戦」なのだとし、「国内世論戦は実際、それほど難しくはない。軍の発表が何であれ、国民感情はこれを信じて日本を非難する姿勢になっている」と説明します。

軍の立場では日本の主張に反論するのが世論戦だった。そのままにすれば声の大きい人が勝つため断ち切る必要があったのだ。世論戦は政務的には非常に重要だ。韓日関係を消極的に扱って世論の袋叩きにあうことが多かったからだ。世論管理の失敗による政治的な負担はそのまま青瓦台(チョンワデ、大統領府)に向かう。ところがこうした国内世論戦は実際、それほど難しくはない。軍の発表が何であれ、国民感情はこれを信じて日本を非難する姿勢になっている。

 つまり、韓国ではこの局面で「真実」などは重要ではないのです。

 声の大きい人が勝つ世論戦ですから、徹底的に日本に応戦を続けるわけです。

 真実を軽視している描写はこのコラムにも後半見られます。

 今回は日本が「真実ゲーム」を仕掛けてきたというのです。

日本が韓国を相手に「真実ゲーム」に出たと見なければいけない。

 日本が求める「真実の究明」を、「ゲーム」と表現して軽視しています。

 極めつけはコラムの結びです。

米国であれ日本であれ北東アジアで韓国は欠かせないと思わせることが、こうした真実ゲーム攻勢を防ぐ根本的な解決法となる。

 「韓国は欠かせないと思わせること」つまり韓国の存在感が増せば「真実の究明」からまぬがれるのだとトンでもない結論で結ばれているのです。

 ・・・

 まとめます。

 昨年12月、当ブログは慰安婦問題や徴用工問題や今回のレーダー照射問題に通底するのは韓国社会に欠落している真実に対する「知的誠実さ」なのではないか、とエントリーいたしました。

2018-12-27 韓国社会に欠落しているのは真実に対する「知的誠実さ」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20181227/1545878957

 エントリーより抜粋。

 このような重大なまかり間違えば軍事衝突に繋がりかねない事案に対してその主張を二転三転変転させる韓国政府、そしてそれをほぼ無批判に見守る韓国メディアと世論。

 私は、真実に対してあくまで謙虚な姿勢、地味ですが「知的誠実さ」、そしてそれを尊重する社会風土が、残念ながら韓国には欠落しているのではないか、と考えています。

 つまり「真実の追求」という地味ですが尊い姿勢への軽視であります。

 だから事後に話を二転三転して「真実をかえる」ことに、何の躊躇もないのではないか。

 当ブログは、今回の日本の「大人の対応」を支持いたします。

 日本が真実を求めて何を言っても韓国は必ず反論を繰り返すことでしょう、だって韓国にとって世論戦は声の大きい方が勝ちですから、真実などどうでもよいのです。

 ゴールの無い「子供のけんか」から降りたのは正解です。

 今の韓国をごらんなさい、一人で「子供のけんか」を繰り返しています。

 ゴールが真実の究明ではないのですから、国内世論もあり急には止められないのです。

 あわれなことに大声を出し続けているのです。

 してることにまったく生産性が無いことは本人たちが一番わかっていることでしょう、ある意味かわいそうなことです。

 これはこれで韓国という国家の異様さを韓国自ら国際的に知らしめているともいえましょう。

 それよりも日本は徴用工問題などの国際協定違反に対して、冷徹にかつ冷静に、対韓国制裁を含めた厳しい対抗措置の検討・実施を早めなければなりません。



(木走まさみず)

フッ化水素にみる韓国経済の脆弱性・日本依存性〜本当に謙虚になるべきは文大統領あなたの方だ

 昨年11月、ネット上でついに日本が韓国に報復開始か?という怪情報が拡散したことがあります。

 日本が戦略物資であるフッ化水素の韓国輸出にストップをかけたというのです。

 騒動を報じる当時のレコードチャイナ記事がこちら。

ついに日本が報復?フッ化水素の輸出ストップ、韓国の半導体業界に緊張走る
https://www.recordchina.co.jp/b660437-s0-c20-d0058.html

 説明いたします。

 半導体用のフッ化水素は高い純度が必要とされるため、森田化学工業やステラケミファなどの日本企業が独占生産しています。

 安定的に高い純度を生む技術を持たない韓国では生産できないのです。

 サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の半導体製造企業はほぼすべてのフッ化水素を日本からの輸入にたよっています。

 そこで「日本政府が韓国に輸出される半導体製造用フッ化水素の一部を承認しないという事態が発生した」ことにより、韓国メディアが「韓国の半導体業界に緊張が走っている」と報道、韓国ネット民がざわつき始めたのです。

 日本企業が供給を中止すれば、韓国の半導体工場は稼働できなくなるためです。

 上記記事より韓国ネットユーザーの声を抜粋。

「これはまずい」
「韓国はフッ化水素国産化できていないのか」
半導体まで駄目になったら、赤化統一に近づく。文大統領はそれを狙っているのでは?」
「韓国の主力として作られる製品に入る核心素材の原料のうち、韓国でまともに作れるものはない。日本から基礎部品や基礎素材を輸入できなくなったら、韓国の産業は回らない。世界が日本にラブコールを送る理由が分かった」
国益を考えず一時的な感情で動く現政府の無能が作り上げた結果」
「ついに日本が実力行使に出た。文政府のせいで韓国の半導体産業は崩壊するかも」
反日もほどほどにしないと」
「韓国の露骨な挑発を受け、日本が黙っていると思った?」
「日本は韓国が半導体だけに頼っていることを知っている」
「言ったでしょ?今、日韓関係が悪化して困るのは韓国だって」

 結局この輸出は承認され、日本の報復というのは誤報ということでこの騒動はおさまりました。

 フッ化水素は戦略物質に分類されるため、輸出・輸入するには当局の事前承認が必要となります。

 従って、例えば韓国に輸出するフッ化水素北朝鮮横流しされる可能性が明確にあったりすれば、日本政府は輸出を停止可能なのです。

 さて日本から韓国はどのぐらいフッ化水素を輸入しているのでしょうか。

 統計数値で正確に検証しておきましょう。

 財務省貿易統計のサイトでは品目別の貿易統計を調べることができます。

財務省貿易統計
http://www.customs.go.jp/toukei/sankou/howto/krei.htm

 フッ化水素(品目番号:2811.11-000)の日本の輸出先国別統計(2017年)を検索した結果がこれ。

品別国別表:検索結果
http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=01&P=1,1,,,,,,,,1,0,2017,0,12,0,2,281111,,,,,,,,,,1,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,200

 2017年のフッ化水素輸出量ですが、総量が30238279KGであります。検索結果より上位9箇国を表にまとめてみます。

■表:フッ化水素国別輸出量(2017年)

国名 輸出量(KG)
韓国 29057640
アメリ __842621
中国 __103640
シンガポール ___72094
インドネシア ___69750
台湾 ___56750
ドイツ ___35524
マレーシア _____242
英国 ______18
合計 30238279

※この表は財務省統計検索結果より『木走日記』作成

 ご覧のとおり総量30238279KG中29057640KGが韓国に輸出されています。

 円グラフにすれば96%が韓国への輸出なのであります。

■図:フッ化水素国別輸出量(2017年)

※この図は財務省統計検索結果より『木走日記』作成

 ここで中国の輸出量が103640KGと韓国への輸出量の0.35%に過ぎないからくりを説明いたしましょう。

 フッ化水素の原料である蛍石(アシッドグレード)を、日本はその8割を中国から輸入しています。

 中国政府は、2004年に蛍石の輸出入関税を設置し、徐々にその税率を引き上げていきました。

 これにより、日本の多くのフッ化水素生産企業が中国での現地生産中国企業との合弁会社設立)に切り替えたのです。
 中国は自力で高純度フッ化水素を生産する技術力はなかったのですが、技術力を有する日本企業を国内に向かい入れることで、この戦略物資を国内生産可能としているわけです。

 さすがと申せましょう、中国お得意の「海外技術を合弁会社でただで獲得する」作戦です。

(参考資料)

1.需給動向 1-1.世界の需給動向 工業的に使用されるフッ素(フッ化物)は ...
http://mric.jogmec.go.jp/public/report/2014-06/28.20140601_F.pdf

 さて韓国です。

 ぼぼ100%日本からの輸入に頼っているフッ化水素の輸入が停止されれば、韓国半導体産業には大きな打撃となることでしょう。

 繰り返しになりますが、外為法上、フッ化水素は「軍事転用が可能な品目」と位置付けられており、日本企業が日本国外に輸出するときには、経済産業省の許可を受ける必要がある、ということですから、日本政府が承認しなければ、明日にもフッ化水素の韓国への輸出は停止されます。

 ・・・

 まとめます。

 別にフッ化水素だけではないのです、韓国の多くの産業は、日本からの基礎部品や基礎素材を輸入しなければ生産が止まるという、非常に脆弱な構造になっています。

 従って韓国の対外輸出が好調になればなるほど対日赤字が増大するという、日本依存体質にあります。

 基礎部品や基礎素材をどれかひとつでも日本が輸出停止すれば、韓国経済は大騒ぎになってしまうのです。

 もちろん韓国経済界はこの事実(韓国経済の脆弱性・日本依存性)をよく理解しており、日本の経済報復を真剣に恐れています。

 韓国経済新聞社説ではすでに「経済ブーメラン」が始まっていると警鐘を鳴らしています。

韓経:【社説】最悪に突き進む韓日関係、「経済ブーメラン」として返ってきている
https://japanese.joins.com/article/229/249229.html?servcode=100§code=110&cloc=jp|main|ranking

 社説は日本が韓国政府の造船産業支援が不当だとして世界貿易機関WTO)に提訴したのは、韓国を圧迫する手段として通商問題を持ち出したのだと指摘した上で、21年前日本の資金回収により韓国がIMF救済に追い込まれた事実をあげ、日本を本気で怒らせてはならないという論調で結ばれています。

重要なのはこれが終わりではないかもしれないというところにある。韓国は素材、部品、装備の面ではまだ日本に依存している。1997年11月初め、日本は韓国から100億ドルの資金を回収していった。当時の対外債務1200億ドルを考慮すると相当な金額だった。それなりの事情があっただろうが韓国はほどなくIMFに救済金融を申請した。外交では名分も重要だがこれにばかり執着していてはさらに大きな実利を失いかねない。韓日関係の不協和音がさらに大きな経済ブーメランとして返ってきてはならない。

 文大統領は、年頭演説の記者会見で「日本はがまんしろ、謙虚になれ」と日本を突き放した言い方をされました。

 韓国経済の脆弱性・日本依存性を正しく理解しているのならば、本当に謙虚になるべきは文大統領あなたの方でしょう。



(木走まさみず)

安倍政権の改憲は「上からの改憲」(朝日社説)だと?〜そもそも「下からの改憲」ってあるのか?

 さて自民党が今年の運動方針案でついに「改憲への道筋」をつけることを前面に掲げました。

 18日付け毎日新聞記事より。

自民党
改憲に向けて道筋」 今年の運動方針案

 自民党は2019年運動方針案を固めた。安倍晋三首相が目指す憲法改正について「改めて国民世論を呼び覚まし、新しい時代に即した憲法の改正に向けて道筋をつける覚悟だ」と前文に明記。改憲案の賛否を問う国民投票をにらみ、世論の醸成を図る姿勢を打ち出す。

(後略)

https://mainichi.jp/articles/20190118/ddm/005/010/085000c

 「改めて国民世論を呼び覚まし、新しい時代に即した憲法の改正に向けて道筋をつける覚悟だ」とのことです。

 さて9条を確認しておきましょう。

第9条
1項:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項:前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 安倍首相の改憲案は、9条に3項を追加し、自衛隊の存在を憲法上に明記するというものです。

 2項を従来通り維持することに対する批判があるのは周知の通りですが、ここに触れると公明党などがまず賛成してくれませんから、安倍案は現実的な改憲案であるといえます。

 憲法改正発議を目指す自民党に残された時間は少ないのです。

 戦後73年、現行憲法発布以来71年、この国の憲法は一言一句変わっておりません。

 この国の憲法が「不磨の大典」と化してしまったのは、憲法改正論議自体をいつでも反対と決めつけ、その改正内容を議論して国民の理解を深めることをしないまま「平和憲法を守れ」と思考停止の、改憲議論が結論を得ることが事実上不可能な高さにハードルを上げてきた一部野党や一部メディア勢力の愚かな主張によるものでしょう。

 安倍政権には、堂々とかつ粛々と改憲発議まで政治日程をこなしていただきたいです。

 繰り返しますが、安倍政権に発議成立に残された時間は少ないのであります。

 ・・・

 しかし朝日新聞です。

 朝日新聞はここ数年、「安倍政権下の憲法改正は反対」キャンペーンを紙面にて派手に展開しています。

 例えばこんなアンケート調査も繰り返しています。

安倍政権下の改憲「反対」58% 朝日世論調査
https://www.asahi.com/articles/ASL4R4HT3L4RUZPS005.html

 さらにです。

 2015年6月30日、朝日新聞憲法学者ら209人にアンケートをしています。

 当時国会で討論されていた安全保障関連法案は合憲か、違憲か、はたまた自衛隊そのものは合憲か、違憲か、そして憲法9条は改正すべきか否か問われました。

 その偏ったアンケート結果が話題となりました、非常に有名な朝日憲法学者アンケートであります。

 現在でも以下でネットで公開されています。

朝日新聞
安保法案学者アンケート
https://www.asahi.com/topics/word/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%B3%95%E6%A1%88%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88.html

 さてその質問4「現在の自衛隊の存在は憲法違反にあたると考えますか。」との問いの結果がこちらです。


朝日新聞社による2015年6月30日付アンケート調査より
 グラフは『木走日記』で作成

 ご覧のとおり過半数(6割以上)の憲法学者自衛隊憲法違反もしくはその可能性があると答えていました。

 さらに質問5「憲法9条の改正について、どのように考えますか。」との問いの結果がこちらです。


朝日新聞社による2015年6月30日付アンケート調査より
 グラフは『木走日記』で作成

 実に8割の憲法学者が改正する必要なしと答えています。

 このアンケート調査が示していることは、わが国の憲法学者の多数は「自衛隊違憲である」が「平和憲法は守れ」と主張しているのであります。

 日米安保条約により米軍の攻撃力に依拠しつつ防御力主体に国土防衛に当たっている自衛隊による現実のわが国の安全保障政策の実態を、「憲法違反」の一言で現実を無視し「憲法改正反対」と机上の空論を弄んでいるのであります。

 「憲法違反」と批判している自衛隊が現実に存在しているのに、でも「憲法改正」には反対という自己矛盾の主張を繰り返す学者たちなのであります。

 この状態は異常としか言えません。

 世界主要国の中で自国の軍隊を学者の多数がその存在そのものが「違憲」であるとみなしている国は日本以外にはありません。

 さて朝日新聞は10日付け社説で安倍政権の改憲は「上からの改憲」であり無理筋であると批判します。

憲法論議 「上からの改憲」の無理
2019年1月10日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S13842493.html?ref=editorial_backnumber

 安倍首相の自衛隊明記案は「自衛隊員の誇り」という情緒論が理由だと痛罵します。

 首相は自衛隊明記にこだわるが、理由として強調するのは「自衛隊員の誇り」という情緒論だ。9条が改正されても自衛隊の役割は何も変わらないというなら、何のための改正なのか。

 「憲法に縛られる側の権力者が自ら改憲の旗を振る」のは「無理筋である」と批判しています。

 昨年の憲法をめぐる動きを振り返ると、憲法に縛られる側の権力者が自ら改憲の旗を振るという「上からの改憲」が、いかに無理筋であるかを証明したといえよう。

 朝日新聞の「憲法に縛られる側の権力者が自ら改憲の旗を振る」という「上からの改憲」はダメだとの主張ですが、それこそ現行憲法違反の暴論と言えましょう。

 96条には憲法改正には「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議」と明文されています。

 その上での「国民投票」です。

第九十六条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 すなわち憲法改正には「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」を国会で実現しなければ不可能なわけで、ときの政権(朝日新聞いわく「憲法に縛られる側の権力者」)が必要ならばいくつかの野党を巻き込んで改正案を国会に提示(朝日新聞いわく「自ら改憲の旗を振る」)せざるを得ません。

 ほかに手段はない。

 これを「上からの改憲」はダメだと批判するならば、それは現行憲法の改正手順を批判するに等しいのです。

 そもそも「下からの改憲」ってあるのか?

 「下からの改憲」ってなんなのか?

 こうして朝日新聞による「安倍政権下の憲法改正は反対」キャンペーンは「無理筋」に続くのであります。



(木走まさみず)

韓国文大統領「日本は我慢しろ」発言を徹底的に反証する〜この出鱈目な認識を改めさせるには報復的施策しかない

 10日の韓国文大統領の新年記者会見において、「日本は我慢しろ」ととんでもない発言をしました。

<文大統領新年記者会見>日本記者の質問に「不満あっても韓国司法府を尊重すべき」
https://japanese.joins.com/article/993/248993.html?servcode=a00§code=a10&cloc=jp|main|ranking

 これは日本のNHK記者の質問に答えたものですが、実は新年年頭発言20分の中で日本については全く言及がなく事実上無視していました。

 そして年頭発言後の記者会見でも日韓関係に割いた時間は事実上この質問への応答だけで、5分にも満たないのです。

 文大統領の「日本は我慢しろ」発言を取り上げる前に、そもそも文大統領は日韓関係を徹底的に軽視している点は押えておきましょう、前回の当ブログエントリーの指摘どおりです。

2019-01-10 この期に及んで年頭会見挨拶で日本を無視する韓国大統領
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20190110

 さて、NHK記者の質問に答えて、文大統領は何と発言したのか、記事より抜粋いたします。

「政府は司法府の判決に関与できない」

「まず、基本的な話からすれば過去に韓国と日本の間に不幸な歴史があった。35年ほど続いた歴史だ」

「その歴史のために韓日基本協定を締結したが、まだ少しずつ問題が続いている」

「これは韓国政府が作り出した問題ではない。過去の不幸だった歴史のために生じた問題」

「これを政治争点化して問題を拡散するのは賢明な態度ではない」

「韓国最高裁の判決に対し、世界のすべての先進国と同じように政府は司法府の判決に関与することはできない。日本も同じだ」

「日本が不満を表示するかもしれないが、韓国の司法府を尊重しなければいけない。不満があってもその部分はやむを得ないという認識を持たなければいけない」

「韓日両国がこれを政治的な攻防の素材として未来志向的な関係まで毀損するのは望ましくない」

「新しい財団については、その事件に対して捜査が行われている状況であり、状況を見守って判断すべきだと考える」

 文大統領は、韓国最高裁の判決は「韓国政府が作り出した問題ではない」し、「韓日基本協定を締結したが、まだ少しずつ問題が続いている」結果なのであり、「世界のすべての先進国と同じように政府は司法府の判決に関与することはできない。日本も同じだ」とし、「やむを得ないという認識を持たなければいけない」と言い切りました、「日本は我慢しろ」というのです。

 とんでもない発言です。

 韓国大統領が、1965年から両国で守られてきた日韓基本条約国際法)よりも韓国内の判決(国内法)に日韓両国政府は従えと言っているわけです。

 国際法では国家間の合意順守が原則であり、条約は3権(司法、立法、行政)を超越して国家を拘束します。

 『条約法に関するウィーン条約』にも第二十七条(国内法と条約の遵守)に「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」と明記されています。

第三部 条約の遵守、適用及び解釈
第一節 条約の遵守

第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。

第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない。

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm

 国内法で条約を否定されていたら、国家間の外交は成り立ちません。

 したがって徴用工判決は明確な「国際法違反」なのであります。

 この事実は一部韓国メディアも気づいています。

(関連記事)

反日の代償」は高い
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/05/2018120580029.html

 たとえば朝鮮日報上記記事では、「外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにない」と極めて「大韓民国の裁判所らしい」と判決の異常性を記しています。

10月30日の徴用被害者(徴用工)に対する韓国大法院(最高裁判決)は極めて「大韓民国の裁判所らしい」判決だ。外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにないと聞いた。

 ・・・

 国家間の約束を破り、国際法違反の状態をつくっている責任は全て韓国側にあります。

 「これは韓国政府が作り出した問題ではない」などと、人ごとのような言い訳は通りません。そもそも司法人事で自身の息のかかった経験浅い左派を強制的に人事介入、結果司法の暴走を許し、反日を助長しているのは文大統領自身であります。

 1965年に結ばれた協定の内容を確認しておきます。

 「日韓請求権並びに経済協力協定」の内容を抜粋すると次の通りであります。

 第一条で対韓国経済援助の金額と方法が具体的に明記されています。

第一条 日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する
日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

 第二条では、これにおいて「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」と明記されています。

第二条 両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

 この第二条は極めて重要です。

 これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

 これは2005年にも当時の盧武鉉ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれている、徴用工問題は韓国政府が担当すべきである、との見解を示しています。

 文大統領は当時の側近だったことを忘れてはいけません。

 この第二条により国家対国家としては「その国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」がすべて「完全かつ最終的に解決された」わけです。

 これの意味するところは、「個人の実体的請求権の完全消滅」ではなくて、請求権の行為の対象が日本政府から韓国政府に移行した、ということであります。

 これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

 わかりやすく図示するとこうです。


※作成:当ブログ

 繰り返しますが、この考えは日本政府だけでなく歴代韓国政府も共有してきたものなのです。

 しかるに、韓国政府は個人補償よりも自国の経済成長を優先します。

 この協定による日本からの資金で韓国は「奇跡」といわれるほどの戦後の経済発展を果たしたのです。

 ここで徴用工の個人補償を韓国政府ではなく日本企業に求める韓国の判決は、二重取りといえましょう。

 今一度、文大統領の発言から。

「韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ

「日本が不満を表示するかもしれないが、韓国の司法府を尊重しなければいけない。不満があってもその部分はやむを得ないという認識を持たなければいけない」

 この問題は不幸な歴史問題なのだから、日本は韓国司法を尊重しろと、我慢しろと。

 国際法を無視したとんでもない発言です。

 もはやここまでです。

 韓国大統領のこの出鱈目な認識を改めさせるには、報復的施策しかありません。

 日本政府は速やかに対抗策を検討・準備し、実行すべきです。



(木走まさみず)

この期に及んで年頭会見挨拶で日本を無視する韓国大統領〜もはやここまで、対韓国経済報復を検討・実施せよ


 本年もよろしくお願いいたします。

 さて韓国です。

 今年に入ってからの主な動きを抑えておきましょう。

 まず3日にレーダー照射問題で日本に対する反論動画を公開いたします。

態度硬化させる韓国 レーダー照射で反論動画公開へ
https://www.sankei.com/world/news/190103/wor1901030014-n1.html

 公開されたその動画はほとんどが自衛隊が公開したものを流用しているわけで、文字による反論と煽動的BGMとは裏腹に、具体的な反証にはなっていませんでした。

 7日、韓国側は反論動画を8言語に対応して拡大公開に踏み切ります。

レーダー否定、8言語で 韓国動画、文氏は10日会見
https://www.sankei.com/world/news/190107/wor1901070004-n1.html

 敵対的行為で挑発したのは日本のほうだ、謝罪せよと8言語で拡散を始めました、動画と文字情報の不一致などその情報精度は政府機関の製作物とは思えないレベルですが、煽るようなBGMとともに世界に発信し始めました。

 これは言葉は悪いのですが、韓国お得意の情報操作である「嘘も百回繰り返せば本当になる」大作戦であります。

 8日、韓国国防省は日本の敵対行為に対してマニュアルを作成する事を決定します。

友好国機の威嚇飛行の対応マニュアル作成 韓国国防省
https://www.sankei.com/world/news/190108/wor1901080027-n1.html

 嘘をいい続けて固めた「本当」に基づき、より普遍性を有する(ように見える)銅像や政府文書を作成して嘘に韓国政府のお墨付きを与える、これは慰安婦問題や徴用工問題でもさんざん使われてきた「嘘の権威付け」手法であります。

 徴用工問題においても、8日韓国裁判所は、日本企業の資産差し押さえを決定いたします。

 その額約11億円に相当します。

韓国元徴用工判決で差し押さえ決定 新日鉄住金の資産
https://www.sankei.com/world/news/190108/wor1901080032-n1.html

 ・・・

 そして10日、注目の文在寅大統領の年頭会見冒頭挨拶では、大統領は完全に日本を無視いたします。

文在寅氏、年頭会見冒頭挨拶では日韓問題言及せず
https://www.sankei.com/world/news/190110/wor1901100019-n1.html

 うーん。

 レーダー照射問題と徴用工問題で、ますますエスカレートしてきた韓国の暴走、「嘘も百回繰り返せば本当になる」大作戦および韓国政府による「嘘」の権威付け大作戦であります。

 興味深いのは、躊躇なく国際的に嘘を振り撒く韓国のその異常性が改めてかつ鮮やかに浮き彫りになっている、にも拘らず韓国政府はあたかもリスクなどないがごとく平然としていることです。

 レーダー照射問題ではこれだけ嘘を付き続け、あるいは徴用工問題では国内法で国際条約を踏みにじり続け、ある意味で日本にとってこれはよい機会だと考えられます。

 韓国のその異常性が鮮明になりつつある今回の二つの事案は、国内世論と国際世論双方へ韓国のその主張の偽善性を知らしめる日本にとっては絶好のチャンスです。

 こんな状況なのに平然とした韓国政府の嘘は止まらないのです。

 そして平気で日本を無視する大統領。

 政府だけではない、韓国メディアおよび世論も、本事案に対して、激怒する日本のメディアや世論に比較して、報道は一応するけれど関心が薄いのです。

 平気で嘘をつき続ける政府に対して、その嘘に慣れきってしまい、ああまたかと関心すらあまり示さない国民、という図式なのでしょうか。

 なぜでしょうか。

 この局面で、日本国民が過去最悪なほど韓国に対しその振る舞いに激怒し、日本政府が真剣に国内韓国企業の資産差し押さえなど対韓国報復施策を具体的に検討していることが日本主要メディアで報じられていることを、韓国政府および韓国世論は、そこにあまり危機感を感じてはいないのでしょう。

 これは過去の日本政府の韓国への対応、何をしても目をつぶってきたその甘やかし対応に問題があったと思われます。

 「友好国」日本にレーダーを照射するなど、国家として日本を舐めているとしか思えません。

 2年前、韓国は中国の経済制裁に外交的に屈服いたしました。

 文在寅政権は、THAAD問題で激怒する中国からの報復を止める条件に、安保政策の根幹に関わる「3不」を提示して、国家の主権を手放したことを忘れてはいけません。

 「3不」とは・THAADの追加配備はしない、・米国のミサイル防衛(MD)には参加しない、・韓米日軍事同盟を推進しない、この3つを中国に約束して、その経済報復をとくように懇願したわけです。

 韓国が「友好国」日本に平気でレーザー照射をして威嚇するのは、日本が中国ほど怖い存在ではないからです。

 この期に及んでも平然と日本を無視する韓国大統領。

 もはやここまで、韓国に対して経済報復を検討・実施すべきです。



<補足>
 年頭会見挨拶の後の新年の記者会見では、文大統領は日本に対する質問には応えています。

強制徴用:文大統領「日本の政治家や指導者が政治争点化、賢明な態度ではない」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/01/10/2019011080070.html

(木走まさみず)

慰安婦問題や徴用工問題に通底するレーダー照射問題〜韓国社会に欠落しているのは真実に対する「知的誠実さ」


 さて海上自衛隊の哨戒機が、韓国軍の艦艇からレーダー照射を受けた問題です。

 韓国国防省は「日本側が脅威と感じるいかなる措置もなかった」と、レーダーを照射したとの見方を改めて否定した。
 韓国側は、当初射撃統制レーダー「STIR-180」の使用を一旦は否定(20日)、しかし翌日には射撃統制レーダー「STIR-180」を北朝鮮漁船探索に使用と表明、さらに24日には再び否定、光学カメラだけを自衛隊機に向けたのだと主張、その主張を二転三転させます。

 その他、自衛隊機からの3種類の無線問い合わせに返信しなかった理由として、「電波が弱くて聞き取れなかった」と軍艦にあるまじき低能力(?)を露呈したり、途中から実は「威嚇飛行をしたのは、むしろ日本の海上哨戒機」「無線で国籍と正体を明らかにしなかった」など、日本側こそ挑発行為を先にしたのだと言い出す始末です。

 今回の真相はいまだ不明ではあるものの、発生から時間が経つにつれて韓国側が説明を二転三転変えたのは不可解であり、混乱を深めています。

 ネット上でも本件は多くのサイトや論客が取り上げ熱く議論されています。

 当ブログとしては例によって少し視点を変えて本件を論じたいのであります。

 ・・・

 仮にですが立場を変えて自衛隊艦が韓国機にレーダー照射したと韓国側からクレームをもらったとして、そのとき日本の防衛省の主張が一週間で二転三転変わっていった場合どうなるでしょうか。

 間違いなく日本のメディア及び世論は、韓国ではなく防衛省側の二転三転する主張に対して疑問を呈することでしょう、「事実を隠していないか」「真実を語れ」と。

 ところが現段階で韓国国防省の二転三転と変転するその主張に対し、韓国のメディアおよび世論からその部分を批判する意見はほとんど見られません。

 繰り返しますが今回の真相はいまだ不明ではあるものの、事後に韓国側の主張が二転三転している現象に注目したいのです。

 このような重大なまかり間違えば軍事衝突に繋がりかねない事案に対してその主張を二転三転変転させる韓国政府、そしてそれをほぼ無批判に見守る韓国メディアと世論。

 私は、真実に対してあくまで謙虚な姿勢、地味ですが「知的誠実さ」、そしてそれを尊重する社会風土が、残念ながら韓国には欠落しているのではないか、と考えています。

 つまり「真実の追求」という地味ですが尊い姿勢への軽視であります。

 だから事後に話を二転三転して「真実をかえる」ことに、何の躊躇もないのではないか。

 当ブログは2年前「韓国がノーベル賞をほしいならば、まず慰安婦少女像を撤去せよ」と暴論気味のエントリーをしました。

2016-10-07 韓国がノーベル賞をほしいならば、まず慰安婦少女像を撤去せよ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20161007

 ノーベル賞が取れない韓国ではなぜか日本人がノーベル賞を取るたびにメディアが熱く報道しています、なぜ韓国は取れないのかと。

 もっと科学に予算を掛けよとのその主張に、私は次のように反論しました。

 少し長めですが引用します。

 問題は科学に掛ける「お金」の絶対額、掛け方ではまったくないと思います。

 当ブログは長年工学系教育機関で学生の指導をさせていただいてきたわけですが、科学研究においてその長期にわたる地味な研究を続けるメンタルな面でのモチベーションの原動力は、あくまでも「真実・事実を解明したい」、「本当のことを知りたい」という知的探究心にこそあると思うのであります。

 科学実験は、極めて地味な失敗の連続から構成されています、多くの場合実験が「成功」という果実を得るまでには、長い年月を費やすことになります。

 科学者たちも人間です、もちろん「成功して特許を取ってお金持ちになりたい」とか「成功して学内で出世して生活を安定させたい」とか、あるいは「成功してあわよくばノーベル賞を獲得し名声を得たい」とか、俗物的な欲望が全くないとはいえないでしょう。

 しかし長期にわたる地味な研究活動を維持するためには、そのような俗物的欲望のみでは絶対に実現できません、そもそも研究の成果が「成功」する保証もないし、「成功」したところで実は多くの研究は科学会で評価されることなく埋もれていきます。

 実験が「成功」してたまたまその「果実」が人類社会に貢献する貴重な科学的成果と評価されることは稀なことですし、さらに結果としてノーベル賞受賞にまでの結果を得ることなど、極めて極めて稀なことです、多くの実験は「成功」したとしても社会的評価はともなわないことが普通なのです。

 科学者が長期的研究をする原動力はもっと心の内側にあると考えます。

 科学者は自分の実験をノーベル賞を取るために続けてはいません、そうではなく「真実・事実を解明したい」、「本当のことを知りたい」という知的探究心に正直であるがためにだけで、研究に没頭しているのです。

 研究を成功させるために真摯に試行錯誤を繰り返しますが、それは「真実・事実を解明したい」という知的探究心がそうさせるのであります。

 真実に対してあくまで謙虚な姿勢、この地味な「知的誠実さ」を尊重する社会風土こそが、極めて大切なことです。

 韓国社会に欠落しているのは、この真実に対する「知的誠実さ」です、これこそが韓国がいまだノーベル賞を受賞できない、根源的な問題であると思うのです。

 ・・・

 まとめます。

 このような重大なまかり間違えば軍事衝突に繋がりかねない事案に対してその主張を二転三転変転させる韓国政府、そしてそれをほぼ無批判に見守る韓国メディアと世論。

 当ブログはこの現象の奥底に、慰安婦問題や徴用工問題に通底する韓国社会の抱える問題点を見て取ります。

 韓国社会に欠落しているのは、真実に対する「知的誠実さ」です。



(木走まさみず)