木走日記

場末の時事評論

韓国文大統領「日本は我慢しろ」発言を徹底的に反証する〜この出鱈目な認識を改めさせるには報復的施策しかない

 10日の韓国文大統領の新年記者会見において、「日本は我慢しろ」ととんでもない発言をしました。

<文大統領新年記者会見>日本記者の質問に「不満あっても韓国司法府を尊重すべき」
https://japanese.joins.com/article/993/248993.html?servcode=a00§code=a10&cloc=jp|main|ranking

 これは日本のNHK記者の質問に答えたものですが、実は新年年頭発言20分の中で日本については全く言及がなく事実上無視していました。

 そして年頭発言後の記者会見でも日韓関係に割いた時間は事実上この質問への応答だけで、5分にも満たないのです。

 文大統領の「日本は我慢しろ」発言を取り上げる前に、そもそも文大統領は日韓関係を徹底的に軽視している点は押えておきましょう、前回の当ブログエントリーの指摘どおりです。

2019-01-10 この期に及んで年頭会見挨拶で日本を無視する韓国大統領
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20190110

 さて、NHK記者の質問に答えて、文大統領は何と発言したのか、記事より抜粋いたします。

「政府は司法府の判決に関与できない」

「まず、基本的な話からすれば過去に韓国と日本の間に不幸な歴史があった。35年ほど続いた歴史だ」

「その歴史のために韓日基本協定を締結したが、まだ少しずつ問題が続いている」

「これは韓国政府が作り出した問題ではない。過去の不幸だった歴史のために生じた問題」

「これを政治争点化して問題を拡散するのは賢明な態度ではない」

「韓国最高裁の判決に対し、世界のすべての先進国と同じように政府は司法府の判決に関与することはできない。日本も同じだ」

「日本が不満を表示するかもしれないが、韓国の司法府を尊重しなければいけない。不満があってもその部分はやむを得ないという認識を持たなければいけない」

「韓日両国がこれを政治的な攻防の素材として未来志向的な関係まで毀損するのは望ましくない」

「新しい財団については、その事件に対して捜査が行われている状況であり、状況を見守って判断すべきだと考える」

 文大統領は、韓国最高裁の判決は「韓国政府が作り出した問題ではない」し、「韓日基本協定を締結したが、まだ少しずつ問題が続いている」結果なのであり、「世界のすべての先進国と同じように政府は司法府の判決に関与することはできない。日本も同じだ」とし、「やむを得ないという認識を持たなければいけない」と言い切りました、「日本は我慢しろ」というのです。

 とんでもない発言です。

 韓国大統領が、1965年から両国で守られてきた日韓基本条約国際法)よりも韓国内の判決(国内法)に日韓両国政府は従えと言っているわけです。

 国際法では国家間の合意順守が原則であり、条約は3権(司法、立法、行政)を超越して国家を拘束します。

 『条約法に関するウィーン条約』にも第二十七条(国内法と条約の遵守)に「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」と明記されています。

第三部 条約の遵守、適用及び解釈
第一節 条約の遵守

第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。

第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない。

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm

 国内法で条約を否定されていたら、国家間の外交は成り立ちません。

 したがって徴用工判決は明確な「国際法違反」なのであります。

 この事実は一部韓国メディアも気づいています。

(関連記事)

反日の代償」は高い
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/05/2018120580029.html

 たとえば朝鮮日報上記記事では、「外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにない」と極めて「大韓民国の裁判所らしい」と判決の異常性を記しています。

10月30日の徴用被害者(徴用工)に対する韓国大法院(最高裁判決)は極めて「大韓民国の裁判所らしい」判決だ。外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにないと聞いた。

 ・・・

 国家間の約束を破り、国際法違反の状態をつくっている責任は全て韓国側にあります。

 「これは韓国政府が作り出した問題ではない」などと、人ごとのような言い訳は通りません。そもそも司法人事で自身の息のかかった経験浅い左派を強制的に人事介入、結果司法の暴走を許し、反日を助長しているのは文大統領自身であります。

 1965年に結ばれた協定の内容を確認しておきます。

 「日韓請求権並びに経済協力協定」の内容を抜粋すると次の通りであります。

 第一条で対韓国経済援助の金額と方法が具体的に明記されています。

第一条 日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する
日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

 第二条では、これにおいて「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」と明記されています。

第二条 両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

 この第二条は極めて重要です。

 これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

 これは2005年にも当時の盧武鉉ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれている、徴用工問題は韓国政府が担当すべきである、との見解を示しています。

 文大統領は当時の側近だったことを忘れてはいけません。

 この第二条により国家対国家としては「その国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」がすべて「完全かつ最終的に解決された」わけです。

 これの意味するところは、「個人の実体的請求権の完全消滅」ではなくて、請求権の行為の対象が日本政府から韓国政府に移行した、ということであります。

 これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

 わかりやすく図示するとこうです。


※作成:当ブログ

 繰り返しますが、この考えは日本政府だけでなく歴代韓国政府も共有してきたものなのです。

 しかるに、韓国政府は個人補償よりも自国の経済成長を優先します。

 この協定による日本からの資金で韓国は「奇跡」といわれるほどの戦後の経済発展を果たしたのです。

 ここで徴用工の個人補償を韓国政府ではなく日本企業に求める韓国の判決は、二重取りといえましょう。

 今一度、文大統領の発言から。

「韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ

「日本が不満を表示するかもしれないが、韓国の司法府を尊重しなければいけない。不満があってもその部分はやむを得ないという認識を持たなければいけない」

 この問題は不幸な歴史問題なのだから、日本は韓国司法を尊重しろと、我慢しろと。

 国際法を無視したとんでもない発言です。

 もはやここまでです。

 韓国大統領のこの出鱈目な認識を改めさせるには、報復的施策しかありません。

 日本政府は速やかに対抗策を検討・準備し、実行すべきです。



(木走まさみず)