木走日記

場末の時事評論

レーザー照射問題:韓国だけが「子供のけんか」を止められないかわいそうな理由

 防衛省は21日、韓国海駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題に関する「最終見解」を公表し、韓国との協議を打ち切ると公表いたします。

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レーダー照射 韓国と協議打ち切り 防衛省が探知音公表
https://www.sankei.com/politics/news/190122/plt1901220004-n1.html

 救難信号を受けて救助のためにすべてのレーダーを可動しただの、P1の無線は聞こえなかっただの、聞こえたけど英語の発音が悪くて聞き取れなかっただの、レーダー照射していないだの、低空飛行で威嚇したのは日本だだのと、ああいえばこういう、という発言をころころ変える韓国の論点ずらしのおかげで、「子供のけんか」状態、際限のない罵り合い状態に陥っていました。

 そこで防衛省は「大人の対応」でこの不毛な「リング」から降りたのであります。

 しかし韓国は降りません。

 日本の打ち切り声明を受けて、韓国側は翌22日、日本に対し正確な資料の提示と低空威嚇飛行への謝罪を改めて要求します。

(関連記事)

“レーダー照射問題”韓国国防省、正確な資料提示と謝罪改めて要求
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3579798.html

 さらに翌23日の日韓外相会談において、韓国外相が「特に、きょうまで3回にわたって日本の哨戒機の韓国の艦艇に対する低空飛行が続いており、遺憾だ」と、日本による威嚇飛行が繰り返されていると非難のボルテージを一気に上げます。

(関連記事)

日韓外相会談 韓国側の「低空で威嚇飛行」主張めぐり応酬
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788551000.html

 そして翌24日、これでもかと自衛隊哨戒機の「威嚇飛行画像」を5枚公開いたします。

(関連記事)

自衛隊哨戒機の「威嚇飛行画像」などを公開 韓国国防省
https://www.sankei.com/world/news/190124/wor1901240039-n1.html

 もっとも公開された写真は背景に何もなく専門家によれば「水平線など比較できるものがないと分析しようがない。話にならない」(防衛省幹部)しろもののようであります。

(関連記事)

レーダー照射問題で韓国“威嚇画像”新たに公開…防衛省幹部「話にならない」
https://www.fnn.jp/posts/00415930HDK

 ・・・

 さて「大人の対応」で「子供のけんか」から一方的に降りた日本なのでありますが、一人韓国だけが「子供のけんか」を続けているのであります。

 興味深いことです。

 レーザー照射問題で日本が降りても韓国だけが延々と「子供のけんか」を続けている理由は何なのでしょうか。

 この問題に対する応酬での日本と韓国の目的の違いが理由だと思われます。

 日本は防衛省公式サイトにも明記されていますがあくまでも「真実の究明」が第一義的目的であり、その上で「同種事案の再発防止」策を講じることを求めています、別に韓国に謝罪せよとも要求していません。

 一方韓国側はどうか。

 本件における韓国側の考え方が明快にわかるテキストがあります、23日付け中央日報のチェ・ビョンゴン/国際外交安保チーム長のコラムです。

【コラム】哨戒機問題、国内の世論がすべてではない=韓国
https://japanese.joins.com/article/431/249431.html?servcode=100§code=120&cloc=jp|main|ranking

 日本側が断固攻勢に出たため、韓国は徹底的に応戦したのだと説明します。

当初、国防部の対応は「ローキー」だった。水面下で日本に誠実に説明すればよいと考えた。ところが日本側は断固攻勢に出た。「レーダーを照射した」(日本)→「哨戒機が威嚇飛行した」(韓国)、「レーダー探知音を公開する」(日本)→「日時、防衛、周波数の特性すべて公開すべき」(韓国)、いわゆるレーダー探知音を公開(日本)→「正体不明の機械音」(韓国)と応戦が続いた。

 そこには「真実の究明」などの視点は皆無です。

 これは「そのままにすれば声の大きい人が勝つ」「世論戦」なのだとし、「国内世論戦は実際、それほど難しくはない。軍の発表が何であれ、国民感情はこれを信じて日本を非難する姿勢になっている」と説明します。

軍の立場では日本の主張に反論するのが世論戦だった。そのままにすれば声の大きい人が勝つため断ち切る必要があったのだ。世論戦は政務的には非常に重要だ。韓日関係を消極的に扱って世論の袋叩きにあうことが多かったからだ。世論管理の失敗による政治的な負担はそのまま青瓦台(チョンワデ、大統領府)に向かう。ところがこうした国内世論戦は実際、それほど難しくはない。軍の発表が何であれ、国民感情はこれを信じて日本を非難する姿勢になっている。

 つまり、韓国ではこの局面で「真実」などは重要ではないのです。

 声の大きい人が勝つ世論戦ですから、徹底的に日本に応戦を続けるわけです。

 真実を軽視している描写はこのコラムにも後半見られます。

 今回は日本が「真実ゲーム」を仕掛けてきたというのです。

日本が韓国を相手に「真実ゲーム」に出たと見なければいけない。

 日本が求める「真実の究明」を、「ゲーム」と表現して軽視しています。

 極めつけはコラムの結びです。

米国であれ日本であれ北東アジアで韓国は欠かせないと思わせることが、こうした真実ゲーム攻勢を防ぐ根本的な解決法となる。

 「韓国は欠かせないと思わせること」つまり韓国の存在感が増せば「真実の究明」からまぬがれるのだとトンでもない結論で結ばれているのです。

 ・・・

 まとめます。

 昨年12月、当ブログは慰安婦問題や徴用工問題や今回のレーダー照射問題に通底するのは韓国社会に欠落している真実に対する「知的誠実さ」なのではないか、とエントリーいたしました。

2018-12-27 韓国社会に欠落しているのは真実に対する「知的誠実さ」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20181227/1545878957

 エントリーより抜粋。

 このような重大なまかり間違えば軍事衝突に繋がりかねない事案に対してその主張を二転三転変転させる韓国政府、そしてそれをほぼ無批判に見守る韓国メディアと世論。

 私は、真実に対してあくまで謙虚な姿勢、地味ですが「知的誠実さ」、そしてそれを尊重する社会風土が、残念ながら韓国には欠落しているのではないか、と考えています。

 つまり「真実の追求」という地味ですが尊い姿勢への軽視であります。

 だから事後に話を二転三転して「真実をかえる」ことに、何の躊躇もないのではないか。

 当ブログは、今回の日本の「大人の対応」を支持いたします。

 日本が真実を求めて何を言っても韓国は必ず反論を繰り返すことでしょう、だって韓国にとって世論戦は声の大きい方が勝ちですから、真実などどうでもよいのです。

 ゴールの無い「子供のけんか」から降りたのは正解です。

 今の韓国をごらんなさい、一人で「子供のけんか」を繰り返しています。

 ゴールが真実の究明ではないのですから、国内世論もあり急には止められないのです。

 あわれなことに大声を出し続けているのです。

 してることにまったく生産性が無いことは本人たちが一番わかっていることでしょう、ある意味かわいそうなことです。

 これはこれで韓国という国家の異様さを韓国自ら国際的に知らしめているともいえましょう。

 それよりも日本は徴用工問題などの国際協定違反に対して、冷徹にかつ冷静に、対韓国制裁を含めた厳しい対抗措置の検討・実施を早めなければなりません。



(木走まさみず)