日本の野党には、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などない
アメリカ議会上院は11月19日、香港での人権と民主主義の確立を支援する法案を全会一致で可決しました。
この法案は、香港に高度な自治を認めた一国二制度が中国政府によって損なわれていないか検証し、抑圧に関わった中国の当局者への制裁を可能にする内容です。
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米議会上院 香港での人権と民主主義確立支援の法案可決
2019年11月20日 11時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/k10012183821000.html
続いて、アメリカ議会下院は12月3日、中国の新疆ウイグル自治区で多くのウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、賛成407、反対1の圧倒的多数で「ウイグル人権法案」を可決しました。
法案は、ウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に対し、制裁の発動をアメリカ政府に求めるとともに、ウイグル族の監視に使用されるおそれのあるアメリカの技術の輸出を制限する内容で、下院は同様の法案をすでに可決している上院と調整し、法案の内容や今後の手続きを決める見通しです。
(関連記事)
米議会下院「ウイグル人権法案」を可決 中国は激しく反発
2019年12月4日 12時31分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191204/k10012201661000.html
中国は猛反発しています、中国外務省の華春瑩報道官は談話を出し「中国のテロ摘発の努力を中傷する著しい内政干渉だ。強い憤慨と断固とした反対を表明する」と激しく反発しました。
そのうえで「アメリカが直ちに法案の成立を阻止し、内政干渉をやめるよう忠告する。中国は事態の進展に伴いさらなる対応を取る」として、対抗措置を取る可能性を示唆しました。
米国議会で、香港とウイグル自治区への人権法案ですが、前者が全会一致で、後者が賛成407、反対1の圧倒的多数で可決されたのは圧巻でした、その行動力はさすが米議会と評価できます。
中国政府が「内政干渉」と猛反発する制裁発動を含んだ強気の内容の法案を立て続けに全会一致近くで可決する、そのような議会は世界広で米議会だけでありましょう。
さて日本の議会はいかがでしょう。
日本維新の会が香港情勢に関して声明を出しています。
香港情勢に関する声明について
https://o-ishin.jp/news/2019/11/20/5939.html
同党は香港情勢に関する決議(案)を参議院事務総長に提出しています。
同決議(案)は、同党松沢議員のサイトでPDFファイルで公開されています。
20191204香港情勢に関する決議(案)
https://www.matsuzawa.com/wp-content/uploads/2019/12/124eb61f6dd63a595ed0ed10d5c04458.pdf
うむ、米議会法案のようなペナルティ規定はないですね、もちろん対中国への外交的配慮なのでしょうし、そもそも香港情勢で中国にペナルティを課す能力が日本政府にはありません。
しかし維新の会のこの動きは評価に値します。
維新の会にはぜひともウイグル自治区への人権侵害についても声明を出していただきたいです。
さて、その他の野党諸氏に言いたいのです、立憲民主党、国民民主党、社民党、野田元首相以下旧民主残党無所属議員の皆さんです。
中国の香港における人権侵害、ウィグルにおける人権侵害、なぜ沈黙しているのですか、あなた方が大好きな「人権侵害問題」ですよ。
与党・自民党は、中国の習近平総書記を国賓として迎える予定なので、それに慮って声明を躊躇しているのは明らかです。
今野党諸氏がそろって、中国による香港とウィグルにおける人権侵害を非難し、決議案を提出すれば、安倍政権の支持層中核の保守層に響くことは間違いないのです。
野党の出した対中国決議案に安倍政権側が習近平国家主席国賓訪日を理由に沈黙するとすれば、これ以上ないほどの安倍政権を追い込めるチャンスなのです。
読者の皆さん。
予言しましょう。
立憲民主ほか野党は本件で沈黙を守り続けることでしょう。
今の野党には桜の会とかどうでもいい小言で政権の足を引っ張ることには熱心ですが、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などないからです。
だから安倍政権はいつまでも安泰なのです。
(木走まさみず)