木走日記

場末の時事評論

『嘘つきプロパガンダ』政治家・翁長氏の過去の「変節」を検証しておく

 さて、沖縄県翁長雄志知事の国連スピーチであります。

 23日付け朝日新聞記事から。

国連で「辺野古ノー」 翁長知事、国際社会にアピール
ジュネーブ=上遠野郷、松尾一郎2015年9月23日05時26分

 スイスで開かれている国連人権理事会で、沖縄県翁長雄志(おながたけし)知事が21日(日本時間22日)、米軍基地が集中する現状を「人権侵害だ」と訴えた。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、翁長氏が対立する日米両政府を飛び越え、国際社会に「辺野古ノー」を直接アピールした格好だ。

(後略)
http://digital.asahi.com/articles/ASH9Q5J3QH9QTIPE00G.html?_requesturl=articles%2FASH9Q5J3QH9QTIPE00G.html

 うーん、「翁長氏が対立する日米両政府を飛び越え、国際社会に「辺野古ノー」を直接アピールした」ですか、朝日記事の結びは、翁長氏の訪欧を支援した東京のNGO「市民外交センター」の上村英明恵泉女学園大教授の分析とともに、翁長氏の「沖縄が間違っているのか、日米両政府の民主主義が間違っているのか。世界に判断していただきたい」で結ばれています。

 翁長氏の訪欧を支援した東京のNGO「市民外交センター」の上村英明恵泉女学園大教授は「民主的な選挙で住民に選ばれた知事が、先進国と見られている日本や米国による人権侵害を訴えた。知名度は低くても、インパクトはあったはず」と分析。異例のスピーチを終えた翁長氏は「沖縄が間違っているのか、日米両政府の民主主義が間違っているのか。世界に判断していただきたい」と記者団に語った。

 なんで基地移設問題が国際人権問題に昇華されるのか意味不明ですが、それはともかく実際の翁長スピーチでは、朝日記事は触れていませんが、二人の日本人女性によるカウンタースピーチを食らってタジタジになっていたことが、産経新聞により報じられています。

「沖縄で人権侵害ない」「知事は尖閣狙う中国の脅威を無視」 国連人権理で辺野古賛成派が反論
http://www.sankei.com/world/news/150922/wor1509220045-n1.html

 一人は日本政府を代表して、ジュネーブ国際機関日本政府代表部の嘉治美佐子大使。

「日本政府は、沖縄の基地負担軽減に最大限取り組んでいる。普天間基地辺野古への移設は、アメリカ軍の抑止力の維持と、危険性の除去を実現する、唯一の解決策だ。日本政府は、おととし、仲井真前知事から埋め立ての承認を得て、関係法令に基づき移設を進めている。沖縄県には、引き続き説明をしながら理解を得ていきたい」

 もう一人は名護市の我那覇真子さん(26)。

 産経記事より抜粋。

 一方で移設賛成派にも発言の機会が設けられ、沖縄県名護市の我那覇真子(がなはまさこ)さん(26)が22日、翁長氏の「人権侵害」発言は「真実ではない。プロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください」と呼びかけた。

 沖縄生まれの我那覇さんは、沖縄が日本の他の地域と同様に人権が守られていると明言。「沖縄が先住民の土地だと主張することで沖縄を独立に導こうとする人たち、それを支持する中国こそが地域の平和と安定を脅かし、人権への脅威だ」と報告した。

 さらに、尖閣諸島を抱える沖縄県石垣市の砥板芳行(といたよしゆき)市議会議員(45)の言葉を引用する形で、「中国が東シナ海南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を国連の皆が認識することが重要だ」と締めくくった。

 うむ、実は我那覇さんのカウンタースピーチは、反対派には極秘でセッティングされたものであります。

 「沖縄に人権侵害などない、翁長知事の発言は中国寄りのプロパガンダだ!」という沖縄女性の発言は、朝日新聞はいっさい取り上げていませんが、効果的なカウンタースピーチになったようです。

 ・・・

 事実は事実としてしっかり読者のみなさんとともに検証しておきます。

 翁長氏の驚くべき「変節」ぶりを確認ください。

 ここに沖縄県議会公式サイトがあります。

沖縄県議会
http://www.pref.okinawa.jp/site/gikai/

 で、過去の県議会の「会議録」が公開されているわけですが、『平成11年 第 6回 沖縄県議会(定例会)第 6号 10月14日』の会議録において、当時沖縄県議会自民党であった翁長雄志氏は13回発言しています。

 まず冒頭の発言から。

 ただいま議題となりました議員提出議案第2号普天間飛行場の早期県内移設に関する要請決議について、提出者を代表して提案理由を申し上げます。

 翁長雄志氏はなんと『普天間飛行場の早期県内移設に関する要請決議』の提出者代表として沖縄県議会で堂々と発言しているわけです。

 発言の中では「私たちが何ゆえにこの県内移設を早期にやらなきゃならぬかという見地に立ったの」か、堂々と説明しています。

 少し長めですが、ここ重要な発言なのでしっかりご紹介(なお文中太字は木走付記)。 

 それから11番目、新しい県内の移設先で人命にかかわる事件・事故が発生した場合ということですけれども、これは安次富議員が話したのはいわゆる今の普天間基地が動かない場合でもですね、いわゆる大田知事の言葉をかりますと県内で一番危険だという場所にあるという意味では人命が大変私どもは心配されると。ですから私たちが何ゆえにこの県内移設を早期にやらなきゃならぬかという見地に立ったのは、県全体の立場に立っての危険性の軽減であります。ですから、その意味では確かに基地というもの、あるいはそれ以外にも交通事故とかいろんな形で人命には恐ろしい脅威を与えるものがありますけれども、その意味でいわゆる普天間の人命の問題、それから移設先でも当然軽減はされましてもあろうかと思いますが、その意味でむしろ普天間、そういうようなことの県内全体からの視野から話をしたと思いますんで、御理解をいただきたいと思っております。
 それから、13番目の名護市民投票の中でのことでありますが、そのときはまだまだ移設先の問題について詳しく触れられておりませんでした。知事は昨年の選挙でいわゆるトータルプランということを発表いたしまして、国際社会や県民の安全保障あるいは県土の有効利用あるいは跡地利用や経済振興策等を検討した上でと、それからまた今回の決議案にも並々ならぬ決意で跡地利用と経済振興策が述べられておりますが、そのような事情の中で私は2年前に行われました猛烈な反対運動というものに対してどの場所であれ、そういう方々に真剣に話をし、そして県全体の立場からこの現実の国際情勢等も踏まえた上で県全体の基地の整理縮小というものを訴えていけば必ず御理解が得られると、このように確信をして稲嶺県政に頑張っていただきたいなと思っているわけであります。


平成11年 第 6回 沖縄県議会(定例会) 会議録より
http://www2.pref.okinawa.jp/oki/Gikairep1.nsf/

 興味深いのは、「県全体の立場からこの現実の国際情勢等も踏まえた上で県全体の基地の整理縮小というものを訴えていけば必ず御理解が得られる」と、国際情勢にも配慮して『普天間飛行場の早期県内移設に関する要請決議』を提出したのだとしているわけです。

 読者の皆さん。

 「国際情勢等も踏まえた上で、普天間飛行場の早期県内移設を要請する」

 これが現在、国連にて「国際社会に「辺野古ノー」を直接アピール」(朝日新聞記事)している同じ政治家の沖縄県議会における平成11年の公式発言なわけです。

 この180度の「変節」はなんなのだ?

 国連スピーチでも中国の脅威にはいっさい触れない、この中国への配慮はなんなのだ?

 当ブログとしては、残念ながら政治家としての翁長雄志氏をまったく信用できません。

 政治家として、沖縄基地問題に対するその重要な発言内容が、ここまで理由もなく「変節」してしまうこと自体、ありえないことだと考えるからです。



(木走まさみず)