木走日記

場末の時事評論

聞いてるこっちが恥ずかしくなる蓮舫「二枚舌」発言〜そんなことよりいまこそ憲法についてアツく議論するとき

 さて、国会における安倍首相「細かいことは読売新聞を読んでね」発言であります。

 さっそく、民進党蓮舫代表が国会軽視とお怒りです、ご苦労様です。

(関連記事)

産経新聞
2017.5.9 21:55
参院予算委】
安倍首相vs蓮舫代表詳報 蓮舫氏は「二枚舌」「ダブルスタンダード」「理解できない」と追及したものの…

http://www.sankei.com/politics/news/170509/plt1705090038-n1.html

 「二枚舌」「ダブルスタンダード」「理解できない」とさんざんです、しかしなあ「二枚舌」「ダブルスタンダード」と国会でわめく人が「二重国籍」疑惑者なのだもの、頭がくらくらしてしまいます。

 ご自身はのらりくらり疑惑追及をかわし、そして言い訳がましく弁解して最後は何の解決も見ずそれで終わり、以降国籍問題ではだんまりを決め込んでおります。

 他者には厳しいのに自分にはとっても甘い、「二枚舌」「ダブルスタンダード」とは、蓮舫さん、あなたのことでしょ、ほんとよく言うよ、聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ、と思ったのは私だけではありますまい。

 それはともかく、蓮舫氏と安倍首相のやり取りの抜粋。

蓮舫氏「民進党の、蓮舫です。まず昨日の衆議院予算委員会における首相の『読売新聞を熟読しろ』発言。立法府軽視であり、到底容認できません。読売新聞の単独インタビューを受け、改憲の意向を表明したけれども、国会では首相だから説明しない。総裁としての考えは読売新聞を熟読しろ。国民の代表機関である国会で説明する責任を放棄していますが、撤回を致しますか」
首相「憲法改正については、内閣として改正原案を提出する考えはなく、国会の憲法審査会で各党各会派が議論すべきものであろうと考えています。私は今、行政府の長である内閣総理大臣としてこの場に立って答弁をしているわけでございます。まさに、政府の方針などについて、内閣総理大臣として答弁する義務を負っているわけであり、自民党総裁として一政党の考えを披瀝(ひれき)すべきではない、と考えているわけであります。これは国会軽視ではなく、私はむしろ憲法審査会で各党各会派による国会の議論が深まることに期待をしています」

 安倍さんとしては内閣総理大臣としての立場と自民党総裁としての立場を使い分けているのでありますね。

 自民党総裁としての憲法改正案は「読売新聞を読んでね」と、で、ここは国会だから行政府の長である内閣総理大臣としては、ここで憲法改正案を私の口から述べるわけにはいかない、と。

 よく理解できます、それでよろしい。

 蓮舫氏は「二枚舌」とか文句ばかり言わないで、日本国憲法についてもっと本質的な議論に踏み込めばいいでしょ。

 いまこそこの国の憲法について、国会にてアツく議論をするときであります。

 ・・・

 ふう。

 安倍発言の言葉尻を捉えるならば、不詳・木走ならば、ココをえぐりますですね。

 なぜ読売なのか、です。

 読売? なんで読売?

 首相憲法改正案スクープインタビュー記事が何で読売新聞独占なんだ? どうして朝日じゃないんだ? 

 産経じゃないんだ?

 当然の疑問です。

 実は、政治ジャーナリストの泉宏氏の記事によれば、安倍さんは読売主筆ナベツネさんと4月24日に密会、会食しております。

(関連記事)

東洋経済オンライン)
安倍改憲の本丸「9条改正」に待ち受ける関門
ついに改憲をブチ上げた首相の戦略とは?http://toyokeizai.net/articles/-/170745?page=1

 当該記事より該当箇所を抜粋ご紹介。

首相が着目したのは施行70年の節目となる憲法記念日だった。4月24日夜には、数年前に独自の改憲試案を紙上で発表した読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆と会食。同26日には同紙の単独インタビュー応じ、その内容が同紙の5月3日朝刊の一面トップに掲載された。同日の集会での首相メッセージはこれを受けたもので、70年に合わせて憲法特集を組んでいた大手マスコミ各社は、首相の改憲案を競って報道した。 

 うむ、つまりです。

 読売ナベツネ主筆と安倍首相は4月24日夜密会して、同紙単独インタビューを密約したわけです。

 で同26日には同紙の単独インタビュー応じ、その内容が同紙の5月3日朝刊の一面トップに掲載されるのです。

 発行部数世界一のナベツネ率いる読売新聞が憲法記念日に一面で首相インタビューをぶっちぎりのスクープ報道をする、それ自体、胡散臭い話ですがまあそういうことが行われたのでしょう。
 で、実際この内容は国会で絶対揉めるはずなのだから、もめたら安倍ちゃんリップサービスのひとつもよろしくね、とナベツネさんがジョークをとばしたと。
 はいよ、わかりました、国会でもめたら「詳しくは読売新聞読んでね」と読売新聞のPRに一役買いましょう、と、首相がリクエストに応えました。と。
 これが密約の全貌です、どうです? ありえそうでしょ?
 以上、すべて当ブログの憶測でエントリーしてみました。
 まあこんなところでしょう。

 ・・・

 この論の本質はそんなところではないのです。
 蓮舫氏や野党は「二枚舌」とか文句ばかり言わないで、日本国憲法についてもっと本質的な議論に踏み込まなければなりません。

 船田氏も手続き論でうだうだ文句言ってないで、そんな手続きは一気にワープして、アツく本質について語るべきでしょ、そうあの時のあなたのように、激しい情熱(パッショ)を有したならば、それが正しいと信じれば世間のくだらない常識とか小さなルールは無視していいんです。

 いまこそこの国の憲法について、国会にてアツく議論をするときであります。

 だって安倍さんの提案はいろいろ論理的に難問なのですもの。

 改憲論議の最大のポイントは、戦争放棄をうたい戦力不保持を明記した「9条1・2項」の扱いです。

 憲法学者らが「自衛隊違憲論」の根拠としてきたもので、自民党改憲草案では戦力の不保持を削除し、「国防軍の保持」を盛り込んでいます。

 しかし、今回首相は「9条1・2項」はそのままにして、新たに加える第3項で自衛隊を明文化することを提起したのです。

 「加憲」を主張する公明党への配慮をしたとも言われてますが、これはしかしアクロバティックな論法を使わない限りおさまりが極めて難しいのであります。

 だって、護憲派改憲派が角突き合わせてきた9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)は残し、自衛隊の存在を3番目の項目として明文で書き加えるというのです。

 戦力不保持、交戦権否定なのに自衛隊明記とは、どのような手法で実現するのか、とても興味深いのです。
 ていうか、常識的には無理筋ですし・・・
 しかしです。
 せっかく安倍さんが一石投じたのです。
 いまこそこの国の憲法について、国会にてアツく議論をするときであります。
 そうは思いませんか。



(木走まさみず)