政党助成金用銀行口座凍結〜反社会的勢力も真っ青の維新の党分裂騒動
さて政党助成金であります。
今回は国民が知っているようで理解が不足していると思われる政党助成金の制度について直近の平成27年度助成金についての動きを、読者のみなさんとともに、おさらいすることから始めましょう。
そもそも政党助成金の対象団体は総務省によれば以下の条件をクリアしている政治団体であります。
要は「国会議員が5人以上」でなおかつ「直近の選挙で得票率2%以上」の政党というわけです。
で、政党助成金を受けたい政党は毎年1月にその旨を届け出ることで、初めて受け取ることができるわけですね。
で、助成金の総額は直近の国勢調査の人口に250円を掛けた額が基準になります、ちなみに平成27年度では約320億円となります。
で各党の配分ですが、過去三回の選挙の議員数と得票数で、ややこしく(苦笑)分配されます。
一応総務省のHPの計算表をご紹介。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seitoujoseihou/seitoujoseihou04.html
さて総務省報道資料(平成27年1月21日)によれば、今年は(自由民主党、民主党、公明党、維新の党、次世代の党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたち、日本を元気にする会、新党改革、太陽の党の10政党)から届出があったとのことです。
で、その報道資料の別紙によれば、さきほどご紹介をしたややこしい計算をするための基礎数値(議員数や得票数)が表になって発表されます。
なお、これ以降はいま話題の「維新の党」の数値でご説明(赤枠は当ブログ付加、以下同様)。
で、総務省で計算された各政党の助成金ですが、4月、7月、10月、12月、年四回に分けて交付されることから、毎年四月に発表されます。
総務省報道資料(平成27年4月10日)によれば、維新の党は26億6478万3000円に決定です。
で、その報道資料の別紙には決定した金額の積算根拠が表になって公開されています。
つまり、維新の党で言えば、26億6千万余りの助成金を4月、7月、10月、12月、年四回に分けて交付されることになりますから、一回当たり6億6千万あまりが交付されることになります。
今月も10月20日付けで交付されたのですが、総務省報道資料(平成27年10月20日)によれば、維新の党で言えば6億6600万ほどが交付されています。
・・・
さて維新の党であります。
大阪系は大阪市の党本部で党員名簿や銀行口座の通帳、印鑑を握っており、執行部への抵抗を続ける構えであります。
10月20日には、今年三回目の政党助成金6億6千万余りが振込まれる大切な銀行口座の通帳と印鑑であります。
これに先立ち執行部は16日、松木謙公幹事長代行を大阪に派遣し、通帳と印鑑を引き渡すよう要求したが、大阪系は拒否いたしました。
ならばと、これを受け執行部は、大阪系が資金を引き出せないようなんと銀行に口座の凍結を依頼し、銀行もこれに応じたのであります。
口座凍結とは、しかし執行部自身も資金を動かせない状況になったのではあります。
(参考記事)
維新の「本家争い」激化=執行部が代表選実施、口座は凍結
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102000789&g=pol
うーむ、通常はその口座が詐欺行為など犯罪に使用されていることが証明された場合や、口座名義人が死亡したりした場合や自己破産した場合など、よほどの特殊事情がない限り、銀行は個人からの特定口座凍結の要望には応じないものですが、今回は応じた模様です。
これですね、一旦口座凍結してしまうと、その口座は当面誰も使うことができなくなりますから、維新の党執行部の執念の成せる技でもありましょう。
たとえ自分たちが使えなくなっても大阪系にだけは使わせないぞと・・・
東洋経済の記事によればことは急を告げています。
執行部側議員は、これで大阪系は住民投票にかかった広報費用5億円などの支払いの目途がたたなくなったというのです。
記事より当該部分を抜粋。
(前略)
「維新の党を作った者の責任として維新の党を解党し支払いを終えて残ったお金は国庫に返納することを決めました」
「維新の党は日本の国にとって百害あって一利なしです。これから潰しにかかります。これは政党交付金を少しでも国民の皆様にお返しするためです」
8月に維新の党を離党したものの、いまだ大阪系の議員たちに大きな影響力を持つ橋下徹大阪市長は19日、ツイッターでこうつぶやいた。だが執行部側の議員は冷笑する。
「5月の大阪都構想の住民投票にかかった広報費用が約5億円。他に全国から動員されたボランティアの交通費や滞在費などで、1億5000万円かかっている。彼らは10月に支給される政党交付金でこれを払おうとしたところ、銀行口座が凍結されてそれができない状態だ。橋下氏は『残ったお金を国庫に返す』と言いだしたが、こう言えば国民の多くが賛同し、その声に押されて我々が口座凍結を解除せざるをえなくなると計算しているのだろう」
すでに広告代理店から広報費用の請求書が届いているというが、支払いの目途はたっていない。そもそも銀行口座が凍結されているのに、お金が残るのだろうか。
(後略)
「維新の党」分裂騒動、銀行口座凍結の舞台裏
http://toyokeizai.net/articles/-/89093?page=2
うーむ、さて凍結された10月分の政党交付金とこれから支払われる予定の12月分の政党交付金。
その行方はどうなるのでしょうか。
しかしなあ、通帳と印鑑を返せ、いや返さない、なら銀行口座凍結だ、とは、これは反社会的勢力も真っ青の分裂騒動なのではあります。
ふう。
(木走まさみず)