木走日記

場末の時事評論

望月義夫環境相は何を寝言をほざいているのだ?〜「国ではなくて一般社団法人が交付決定を行っている」だと?

 漢の時代の古辞“君子行”にこうあります。

君子は未然に防ぎ
嫌疑の間に処(お)らず
瓜田に履を納(い)れず
李下に冠を正さず

 すぐれた人は禍の起こらぬよう未然のうちに防がなければならないし、嫌疑を受けるような状況に自分の身を於いてはならない。瓜畑で履をはきなおしたりすれば盗人と思われてもしかたがない、たわわに実ったスモモの木の下で冠を直せば盗人と思われても仕方がない。

 さて安倍政権です。

無届け団体、金銭支援か 下村文科相、週刊誌報道を否定
2015年2月26日12時02分
http://www.asahi.com/articles/ASH2V3FTBH2VUTIL00F.html

環境相側に寄付140万円 補助金交付企業から
2015年2月27日05時34分
http://www.asahi.com/articles/ASH2V5RHQH2VUTIL02M.html?iref=comtop_list_pol_n02

上川法相側にも鈴与から寄付、補助金通知後に60万円
2015年2月27日11時29分
http://www.asahi.com/articles/ASH2W362YH2WUTIL00F.html

 後から後から現役大臣の不正献金疑惑が出てくるわけですが。

 特に望月義夫環境相の件は、西川公也元農相の件と酷似しています。

 政治資金収支報告書によると、望月氏の「自民党静岡県第4選挙区支部」は13年12月30日に、鈴与から140万円の寄付を受けた。

 国交省環境省によると、同社は13年3月15日に国交省所管の「広域物資拠点施設整備費補助金」の交付決定を通知され、3件計4200万円を受け取った。また同社は環境省所管の「低炭素価値向上基金事業」についても補助金を申請。同省所管の一般社団法人から、同年8月19日に約1億7千万円の補助金の交付決定を通知された。

 つまり補助金2件の交付決定を通知された4カ月後と9カ月後に、同社から140万円の寄付を受けていたわけです。

 特に環境省所管の「低炭素価値向上基金事業」補助金1億7千万円交付決定を受けた企業から他ならぬ環境大臣が直後に献金を受けてはだめでしょう。

 本件に関して望月氏は「国ではなくて一般社団法人が交付決定を行っている」から「適法」である、発覚した昨日(26日)「返金した」と国会で居直っています。

 2015.2.27 11:25
「政治とカネ」報道 望月氏「適法だ」 上川氏「調査し、説明責任果たす」

 望月義夫環境相は27日の衆院予算委員会で、自身が代表を務める政党支部が、国の補助金交付が決まっていた会社から計140万円の寄付を受けていたとの一部報道について「補助金を受けているとは知らなかった。ただ、国ではなくて一般社団法人が交付決定を行っている。適法だと思っている」と反論した。望月氏閣議後の記者会見で「26日に返金した」と説明した。

(後略)

http://www.sankei.com/politics/news/150227/plt1502270017-n1.html

 「適法」ならなんで返金する必要があるのでしょうか。 

 「国ではなくて一般社団法人が交付決定を行っている」だと?

 何を寝言をほざいておられるのでしょう。 

 政治資金規正法では確かに「国から補助金」と明記されてはおります。

(寄附の質的制限)
第二十二条の三  国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党助成法 (平成六年法律第五号)第三条第一項 の規定による政党交付金(同法第二十七条第一項 の規定による特定交付金を含む。)を除く。第四項において同じ。)の交付の決定(利子補給金に係る契約の承諾の決定を含む。第四項において同じ。)を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日(当該給付金の交付の決定の全部の取消しがあつたときは、当該取消しの通知を受けた日)までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。

 では「低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金」ですが、ここに他ならぬ環境省が用意している当基金の説明資料があります。

テーマ:地球温暖化対策に関するPDCAサイクルの在り方
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gyoukaku/h26_fall/pdf/ronten/06kankyousetumei.pdf

 その資料の二ページ目に事業スキームが図示されています。

 確かに一般社団法人が間に入っていますが、この事業スキームを見れば環境省つまり国から助成金が出ていることは自明です。

 多くの国の助成事業でこのような基金を作って非営利法人で運用する手法が使われていますが、望月義夫環境相の屁理屈が通れば、政治資金規正法は天下のザル法になってしまいます。

 そもそもの法律の主旨からいってこのような言い逃れが通用すると思っておられるのでしょうか?
 
 政治家としての矜持はないのでしょうか。



(木走まさみず)