木走日記

場末の時事評論

「言論への暴力」と「言論の暴力」について考える

 パリ新聞社襲撃を受けて9日付け各紙社説は一斉にこれを取り上げています。

朝日新聞】フランス週刊紙襲撃―言論への暴力を許すな
http://www.asahi.com/articles/ASH183D3VH18USPT003.html
【読売新聞】パリ新聞社銃撃 表現の自由に挑戦する蛮行だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150109-OYT1T50018.html
毎日新聞】仏週刊紙襲撃 憎悪あおるテロを断て
http://mainichi.jp/opinion/news/20150109k0000m070140000c.html
産経新聞】仏紙銃撃テロ 表現の自由は揺るがない
http://www.sankei.com/column/news/150109/clm1501090003-n1.html
日経新聞表現の自由へのテロは断じて許されない
2015/1/9付
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81746480Z00C15A1EA1000/

 うむ、各紙とも「言論への暴力を許すな」、「表現の自由へのテロは断じて許されない」と言論に対するテロに対して勇ましいほどの勢いで批判しています。

 朝日社説から抜粋。

 ただ、いかに気に食わなくとも、言論を暴力で封じる行動は断じて許されない。一刻も早く容疑者が法にもとづいて裁かれるよう望む。

 言論に対する暴力や脅しはフランスに限った問題ではない。世界の国々で大小いくらでも存在する。この事件を日本も自らの問題として受け止め、言論封殺に向けたいかなる動きにも反対する立場で連帯すべきだ。

 1987年、朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った男に襲われ、記者1人が死亡、1人が重傷を負った。事件はいまだに解決されていない。今回の犠牲者に対し、心から哀悼の意を表するとともに、言論の自由を守る決意を新たにしたい。

 うむ、異論ありません。

 「言論封殺に向けたいかなる動きにも反対する立場で連帯すべき」なのは当然でありましょう。

 ・・・

 さてと。

 マクドナルドの異物混入事件報道であります。

 ほぼメディアスクラム状態で過熱報道が続いています。

 メディアスクラムで徹底的に批判報道されているマクドナルドのこのあわれなホームページを見てください。

2015.01.07
お客様へ

日本マクドナルドでは、このたび発生いたしました商品への異物混入につきまして、お客様に多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。弊社は「すべてを、お客様のために」の考えのもと、お客様に安心して、おいしく、楽しくお食事をしていただけるレストランづくりに日々取り組んでおります。

商品の異物混入対策は、そうした取り組みの大切な土台の1つであり、工場の機械選定や店舗の什器指定から、目視による確認、金属探知機などによる工程検査まで、様々な角度から対策を講じて異物混入ゼロを目指しております。

しかしながら、工場における製造工程の他にも、店舗における調理など、お客様に商品をご提供するまでには様々な過程を経ており、残念ながら実際には、お客様から異物に関するお申し出をいただいておりますため、再発防止に努め、その対策を講じております。

なお、このたび、「マクドナルド三沢店」、「マクドナルド東陽町駅前店」、「マクドナルド4号線郡山安積店」、「マクドナルド外環河内長野店」で発生した異物混入につきましては、下記の通り対応しておりますことをご報告いたします。

マクドナルド三沢店」で発生した異物混入について

●店舗所在地:  青森県三沢市栄町2-31-144
●概要:  2015年1月3日に、「チキンマックナゲット」15ピース入りを3個、ご購入いただいたお客様から「チキンマックナゲット」1ピースにビニール片(青色、数cmの紐状)が混入しているとのお申し出があった旨、本社にて確認をしております。
●対応:  お客様へはお詫びと返金を実施し、また当該異物の成分分析を第三者機関にて調査しております。なお1月5日より当該商品が製造された同じ工場で同じ製造日の「チキンマックナゲット」資材の使用を中止しました。
マクドナルド東陽町駅前店」で発生した異物混入について

●店舗所在地:  東京都江東区東陽4-4-5
●概要:  2014年12月31日に、「チキンマックナゲット」と「ベーコンレタスバーガー」をご購入いただいたお客様より、「チキンマックナゲット」をお召し上がりいただいた際に、口に違和感があり、確認されたところ、ビニール片が混入しているとのお申し出がありました。店舗スタッフによれば、透明もしくは乳白色の5?程度のビニール片であったとのことですが、当該のビニール片は紛失により確認ができておりません。
●対応:  当該商品を製造するタイの工場では、包材などのビニールは、工程での目視の識別が容易な着色されたフィルムを使用しておりますため、工場=製造工程にて混入した可能性は極めて低いと考えられます。従いまして、その他の過程でどのような異物混入の可能性があるのかについて、現在社内で調査しているところです。
マクドナルド4号線郡山安積店」で発生した異物混入について

●店舗所在地:  福島県郡山市安積町荒井字戸蘭塔1-7
●概要:  2014年12月19日に、「サンデー チョコレート」をご購入いただいたお客様から、当該商品にプラスチック片が混入していたとのお申し出がありました。
●対応:  原因究明のため、「サンデー チョコレート」に使用しているソフトクリームフリーザーの供給元において調査を実施いたしました。その結果、商品に混入していたプラスチック片は、組立不具合により破損した部品の一部であることが分かりました。なお、「マクドナルド4号線郡山安積店」では、問題発覚から原因解明までの期間については、このフリーザーを利用した商品(「サンデー」及び「ソフトツイスト」)の販売を中止いたしました。
マクドナルド外環河内長野店」で発生した異物混入について

●店舗所在地:  大阪府河内長野市西之山町2-4
●概要:  2014年8月26日に、「ビッグマックセット」をドライブスルーでご購入いただいたお客様がご自宅でお食事され、翌27日にポテトより固いものを感じ口から取り出したところ、プラスチックのような硬いものだったとのお申し出が電話でありました。
●対応:  原因究明のため異物を外部調査機関に出し、調査を依頼。歯の破片と判断されました。油脂は検出されていないことから=フライしていないものと判断。製造工程の作業員はマスクの着用をしていることや手順に関するトレーニングも受けているため、工場での混入の可能性は低いと判断していることをお伝えしつつ、混入経路の特定はできないとお客様及び保健所にもご報告いたしました。
日本マクドナルドでは、上記のような案件を重く受け止め、徹底的な原因究明と再発防止策に努めることで、商品の異物混入ゼロを目指してまいります。

2015年1月7日
日本マクドナルド株式会社
http://www.mcdonalds.co.jp/news/150107.html

 ・・・

 さすがにネットでも、今回のメディア報道ははしゃぎ過ぎだろと批判が起こり始めています。

「歯」はおかしいだろ?
http://blogos.com/article/103035/
「あら探し文化」に傾斜、低俗化しつつある日本文化
http://blogos.com/article/103120/

 長谷川氏は、「このニュース、流していいやつか?」とマスメディアの過熱報道に疑問を呈しています、これは「マクドナルドの方が被害者じゃね?」と。

繰り返すけど、人間の「歯」って入るか?

思うんですけど、絶対入らない気、しません?誰の歯よ?どうやって入れるのよ?しゃべってたらスポッと入ったって?んなアホな。

全ニュース番組に聞きたいんだが…

このニュース、流していいやつか?これって…イタズラの可能性、無いか?普通に考えて。何、マクドナルドがずさんだ、的な流れの中でやってるの?常識から考えて、「本物の歯」だったことが確定している以上、これは

マクドナルドの方が被害者じゃね?

 脇田氏は「クレーマー社会を作っているのは日本の「あら探しメディア」である」と結んでいます。

率直にいって、今回のマクド騒動における「デザートの中にプラスチック片」、「チキンマックナゲットにビニールのようなものが混入」なんて事例は当事者とスタッフとの小さな問題であり、外部に大きく報じるような大した問題ではない。大した事件でもないのに、なぜわざわざ騒ぎを大きくしようとするのか?自分には分からない。

長谷川氏のいうように大袈裟さだ。その裏には、こういう問題に関し便乗しようとする日本のバカメディアの存在がある。クレーマー社会を作っているのは日本の「あら探しメディア」である事に間違いはない。

 ・・・

 「言論への暴力」は許されないことは論を待ちません。

 では「言論の暴力」は許されるのかしら。

 ときにこの国のマスメディアはスクラムを組んで「暴力的」報道をし、あるときは個人をあるときは組織を、それこそコテンパンに社会的制裁を与えてきました。

 マスメディアは自らの言論そのものがときに暴力的にメディアスクラムでもってヒステリックな攻撃性を帯びることを強く自覚しなければなりません。

 言論への暴力は許すまじと勇ましく語るマスメディアですが、自分たちの暴力性には無自覚なところが、なんともはやなのであります。

 そうは思いませんか、読者のみなさん。



(木走まさみず)