韓国アイドル歌詞に一箇所日本語「ピカ」が混入で放送禁止〜何の疑問もない当然である感が芳ばしい朝鮮日報記事
今回はテレビやラジオで放送される音楽において、マスメディアはどのような基準で自主規制しているのかということを取り上げてみたいです。
3日付けJ-CASTニュース記事から。
乙武洋匡、4月1日の嘘を種明かし「『障害者』放送禁止用語リスト入りはネタです」
2014/4/ 3 08:47作家の乙武洋匡が4月1日(2014年)のエイプリルフールにちなんで「『障害者』も放送禁止用語リストに追加されるらしい」とツイッターに投稿したところ騙される人が続出したため、ネタであることを同日中に明かした。
乙武は「今朝のニュースを見てビックリ。今日から、『障害者』も放送禁止用語リストに追加されるらしい。これから身体障害者は、『身体に恵まれない方々』が正式名称になるのだとか。僕としては恵まれたと思ってるんだけどなあ…」と投稿した。
実際には、メディア共通の「放送禁止用語リスト」というものは存在せず各媒体が自主的に言い換えを行っているため、ネタであることが分かる。だが、ツイートにはエイプリルフールのネタであるという説明はなく、乙武は普段から障害者にまつわる問題に度々言及してきたとあって、信じる人が続出した。
こうした反応を受けてか、乙武は先ほどの投稿に「本日は、4月1日」と書き加えて再投稿し、ネタであることを明かした。続けて「午前中の『障害者』も放送禁止用語にというツイートは、もちろんエイプリルフールです」と改めて説明。その上で、
「しかし、いまの日本を見ていると、あながち冗談とも言いきれない空気となりつつあることを危惧しています。ただ、あのネタの内容に対して、多くのみなさんが反発してくださったことが、せめてもの救いです」
と、語った。
脳科学者の茂木健一郎は「げっ。ぼく、実は乙武さんの今朝のネタに、引っかかっていました」と騙されたことを告白した。
「今朝のニュースを見てビックリ。今日から、『障害者』も放送禁止用語リストに追加されるらしい。これから身体障害者は、『身体に恵まれない方々』が正式名称になるのだとか。僕としては恵まれたと思ってるんだけどなあ…」
うーん、ほかならぬ乙武さんのつぶやきだけに茂木健一郎さんなど信じる人が続出したんですね。
ここに日本民間放送連盟が「日本民間放送連盟 放送基準」を公開しています。
日本民間放送連盟 放送基準
http://www.j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032
で、ここの最後に付則として「放送音楽などの取り扱い内規」がありよくまとめられていて理解しやすいです。
1.人種・民族・国民・国家について、その誇りを傷つけるもの、国際親善関係に悪い影響を及ぼすおそれのあるものは使用しない。
2.個人・団体の名誉を傷つけるものは使用しない。
3.人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別するものは使用しない。
4.心身に障害のある人々の感情を傷つけるおそれのあるものは使用しない。また、身体的特徴を表現しているものについても十分注意する。
5.違法・犯罪・暴力などの反社会的な言動を肯定的に取り扱うものは使用しない。特に、麻薬や覚醒剤の使用などの犯罪行為を、魅力的に取り扱うものは使用しない。
6.性に関する表現で、直接、間接を問わず、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせるものは使用しない。
7.表現が暗示的、あるいは曖昧であっても、その意図するところが民放連放送基準に触れるものは使用しない。
8.放送音楽の使用にあたっては、児童・青少年の視聴に十分配慮する。特に暴力・性などに関する表現については、細心の注意が求められる。
特定の人種・民族・国民・国家・個人・団体・性別・職業・境遇・信条への誹謗中傷や差別表現はアウト、心身に障害のある人々の感情を傷つけるおそれのあるものもアウト、違法・犯罪・暴力などの反社会的な言動を肯定的に取り扱うものもアウト、過激な性表現もアウトなわけです。
このような基準のもとで、民放連では放送禁止用語リストを作っているわけです。
放送禁止用語は時代とともに増え続けていまして、最近では「看護婦」や「保母」などの職業名称が禁止用語になりましたよね、「看護士」や「保育士」という中性的な名称になりました。
私がインターネット新聞の記者の頃、私の取材記事に「片手落ち」との表現があったのですが、これが編集部から待ったがかかりまして、この場合の「手」は「仕事」の意味で本来侮蔑語ではないのですが、なぜか使用しないで欲しいと要請され、訂正をしたことを思い出しました。
歌謡曲で言うと美輪明宏さんが自ら作詞作曲した1966年のヒット曲、「ヨイトマケの唄」(ヨイトマケのうた)は、長らく放送禁止扱いでしたね。
歌詞の中に差別用語として扱われる「土方」(どかた)「ヨイトマケ」が含まれているという理由からでしたが、NHKの紅白歌合戦で堂々と歌われていましたから、こちらはリストから外されたのでしょうか。
まあ放送禁止用語は時代とともにその内容に変遷があるのは当然ではありますが、どうなんでしょう上記のサイトで見てみれば「支那竹」(しなちく)もアウトなんですね、「メンマ」だとOKなのか。
なんだかあまり神経質になるのも考えもののような気がします、言論・表現の自由が認められている民主主義国家である日本としては、さじ加減が難しいところではあります。
日本では日本国憲法の下、放送法に定めるところに従い、各放送事業者がそれぞれ定めている各放送基準(ガイドライン、俗に言う「放送コード」)の「解釈」に従い、全て自主規制により行われているわけです。
ん?
まあ「お国変われば」いろいろな事情があるのでしょうが。
3日付け朝鮮日報記事から。
韓国アイドルの新曲 日本語使用で「放送不適合」
【ソウル聯合ニュース】韓国の5人組女性アイドルグループCRAYON POP(クレヨンポップ)の新曲「オイ」(原題)が、歌詞に日本語的な表現があるとして韓国テレビ局のKBSから放送不適合の判定を受けた。KBS関係者は3日、最近行われた歌謡審議の結果、新曲「オイ」の歌詞のなかで、日本語のピカピカのピカを入れた「ピカポンチョク」という表現が問題になったと明らかにした。
これに関連し、所属事務所の関係者は「歌詞を『ポンチョクポンチョク(ピカピカの韓国語)』に修正し、直ちに再審議を申し入れた」と述べた。
「オイ」は、昨年のヒット曲「BAR BAR BAR」のリリース以来10カ月ぶりの新曲となる。非常に独特なコンセプトのグループとあって、発表前から衣装やダンスの振り付け、歌詞に関心が集まっていた。新曲の音源とミュージックビデオは今月1日に公開された。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/03/2014040301688.html
うーん、韓国の女性アイドルグループの新曲の歌詞で、日本語のピカピカのピカを入れた「ピカポンチョク」という表現が韓国テレビ局の歌謡審議の結果、「放送不適合」になったのだそうです。
この記事全編に醸し出されている、何の疑問もない当然である感が、とっても芳しくてよろしいですね。
しかし、付き合いきれないなあ(苦笑)
どうぞご勝手にしてください。
ふう。
(木走まさみず)