木走日記

場末の時事評論

石原慎太郎氏は単なるレトリシャンではない!!〜「石原さん、あなたは見事なシンプルタンだ」(By 木走)

 当ブログでも「一票の格差」問題などまじめな話が続きましたので、今日は4月1日「お馬鹿の日」なのでお馬鹿にまつわる話をお馬鹿な私がしてみましょう、どうかお気楽に。

 最近あるTV報道を見ていて、「表六玉」(ひょうろくだま)という懐かしい言葉を思い出してしまいました。

 Weblio類語辞典によれば,「表六玉」(ひょうろくだま)とは、「知性が通常より劣る人」、「分別に欠ける人」、「だまされやすくて、利用しやすい人」、つまりは馬鹿者(ばかもの)の意味であり、類語は以下のとおり、放送禁止用語含め、かなりサンザンな形容の言葉が並んでいるのであります。

「知性が通常より劣る人」
鈍ま ・ ひょうろく玉 ・ 低能者 ・ たわけ ・ 戯者 ・ 二本棒 ・ ぼんくら ・ 知恵遅れ ・ おたんちん ・ 取替え子 ・ 阿房 ・ 薄野呂 ・ のろま ・ 薄のろ ・ 薄ぼんやり ・ 空け者 ・ 鈍間 ・ チョン ・ 馬鹿野郎 ・ 阿呆 ・ あほ ・ 低能 ・ すかたん ・ まぬけ ・ 戯け者 ・ 馬鹿 ・ 腑抜け ・ うすのろ ・ 腑ぬけ ・ 頓馬 ・ ばか者 ・ 薄馬鹿 ・ 安本丹 ・ 痴れ者 ・ 駑馬 ・ ふ抜け ・ 間抜け ・ 薄ばか ・ 空者 ・ ぽんつく ・ 莫迦 ・ 頓痴気 ・ 白癡 ・ とんちき ・ 間ぬけ ・ 戯け ・ 白痴者 ・ 大愚 ・ 箆棒 ・ とんま ・ 痴人 ・ 抜 ・ 兵六玉 ・ 惚者 ・ 虚け ・ 虚仮 ・ うすばか ・ 痴愚 ・ 虚け者 ・ 白痴 ・ 愚人 ・ 空け ・ 盆暗 ・ 薄鈍 ・ 抜け ・ ばか ・ 鈍 ・ 惚け者 ・ 馬鹿者 ・ 愚者 ・ あほう ・ おたんこなす
「分別に欠ける人」
鈍ま ・ ひょうろく玉 ・ 半端 ・ 甚六 ・ たわけ ・ 戯者 ・ 与太郎 ・ 馬鹿垂 ・ 脳たりん ・ 抜け作 ・ 昧者 ・ 愚婦 ・ おたんちん ・ あほんだら ・ 阿房 ・ 薄野呂 ・ のろま ・ 薄のろ ・ 薄ぼんやり ・ 脳足りん ・ 空け者 ・ 鈍間 ・ 愚か者 ・ 馬鹿野郎 ・ 阿呆 ・ 烏滸 ・ あほ ・ すかたん ・ 戯け者 ・ 馬鹿 ・ 頓馬 ・ 槃特 ・ 薄馬鹿 ・ 馬鹿たれ ・ 安本丹 ・ 痴者 ・ 痴れ者 ・ 魯鈍漢 ・ 駑馬 ・ 呆助 ・ 痴 ・ 薄ばか ・ 愚夫 ・ 空者 ・ 鈍物 ・ 半ぱ ・ 馬太郎 ・ ぽんつく ・ 虚者 ・ 莫迦 ・ 頓痴気 ・ とんちき ・ 間ぬけ ・ 鈍付 ・ 戯け ・ 箆棒 ・ 愚か人 ・ とんま ・ 痴人 ・ あんぽんたん ・ 滑稽者 ・ 惚者 ・ うっそり ・ 虚け ・ 虚仮 ・ 虚け者 ・ 愚人 ・ 空け ・ 鈍つく ・ 馬鹿垂れ ・ 呆気者 ・ 芋助 ・ 薄鈍 ・ 抜け ・ 愚物 ・ ばか ・ 下愚 ・ 惚け者 ・ 馬鹿者 ・ 愚者 ・ あほう ・ 鈍才 ・ 三太郎 ・ おたんこなす
「だまされやすくて、利用しやすい人」
阿呆垂れ ・ 阿呆者 ・ 好い鴨 ・ 阿房者 ・ 与太郎 ・ 好い鳥 ・ 馬鹿垂 ・ 好いかも ・ 愚婦 ・ あほんだら ・ 阿房 ・ 薄ぼんやり ・ 空け者 ・ 愚か者 ・ 馬鹿野郎 ・ 阿呆 ・ あほ ・ 馬鹿 ・ 馬鹿たれ ・ 好鴨 ・ 痴者 ・ 痴れ者 ・ お人よし ・ いい鴨 ・ 愚夫 ・ 空者 ・ 馬太郎 ・ 虚者 ・ いいカモ ・ 白痴者 ・ 愚か人 ・ 痴人 ・ あんぽんたん ・ だまされやすい人 ・ お人好し ・ 惚者 ・ 阿呆垂 ・ 虚け ・ 虚け者 ・ 愚人 ・ 空け ・ 馬鹿垂れ ・ 呆気者 ・ 愚物 ・ ばか ・ 惚け者 ・ 馬鹿者 ・ いい鳥 ・ 愚者 ・ あほう ・ 三太郎

http://thesaurus.weblio.jp/content/%E8%A1%A8%E5%85%AD%E7%8E%89

 この「表六玉」(ひょうろくだま)、現代では死語に近いですが、この単語が落語や時代劇で「この表六玉があ、なにしやがったあ」などと使用されていたケースでは、個人的主観含めてですが単なる「馬鹿者」という”冷たい”意味合いよりも、もう少し「おたんちん」とか「おたんこなす」とかの”暖かい”意味合いが込められているといいますか、対象が単なる「知性が通常より劣る人」という冷酷な意味だけではなく、馬鹿は馬鹿なれど愛すべき憎めない、そうですね、無邪気な「悪意が無い」という意味合いが含まれている感が強いのであります。

 で、この表六玉の語源なのですが、なんと亀(かめ)なのであります、憎めないはずであります。

 敵が近づいているのにも関わらず、手(2つ)、足(2つ)、首(1つ)、尾っぽ(1つ)の、体の大事な6箇所を甲羅(こうら)にしまわないで、表にさらしているマヌケな亀の様(さま)を、「表六」(ひょうろく)といいまして、そこからそのような「知性が通常より劣るもの」「分別に欠けるもの」を「表六玉」と呼ぶようになったとのことです。

 ようするに、「表六玉」(ひょうろくだま)という単語の語感には、本人は「無邪気」で「悪意もなく」、「表六」つまり、いろいろと恥かしくさらけ出しちゃっているのでありますが、はたから見たら「馬鹿丸出し」、というような「愛らしさ」があるのでございます。

 どのようなお人を「表六玉」(ひょうろくだま)と表現すべきか、私達の身の回りで一例をあげればですが・・・

 例えば、スピーチで自身のインテリぶりをひけらかすためにやたら横文字ばかり使用するのですが、日本語で表現すればいいところまで無理に横文字にしちゃって結果として本人が何を言っているのかまったく聴衆に伝わらず、「バッカジャナイノ」と、ご本人の知性の無さをひけらかしちゃった、よく居ますよね、こういうオヤジ、カッコつけたのにかえって馬鹿が目立ってしまう、「知性が通常より劣る人」達。
 
 さて、「表六玉」(ひょうろくだま)を英訳するならばですが、「フール」("fool")や「ステューピッド」("stupid")のような冷たい形容詞はダメですね、それでは「馬鹿者」とか「愚者」とかと同じで愛がありません。

 「表六玉」(ひょうろくだま)が有する、頭は足りないけれど「御めでたい人」という愛くるしさをかもし出すならば、ここはズバリ、「シンプルタン」("simpleton")しかないでしょう。

 「シンプルタン」("simpleton")とは、「単細胞みたいな御めでたいマヌケなお方」のことなのであります。

 ・・・

 さて、枕話が長くなってしまいましたが、私が「表六玉」(ひょうろくだま)という懐かしい言葉を思い出したのは、我らが石原慎太郎氏が見事無事退院され、報道陣の前で元気に石原節をぶっ放した記者会見の模様をTVで見たときなのであります。

 いやじつに「おめでたい」その会見の模様は、ありがたいことに産経新聞がネット上で一言一句記事として残しております。

次の参院選「橋下氏に出てもらいたい」「俺が死んだら日本は退屈になるぞ」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130330/stt13033017020006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130330/stt13033017020006-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130330/stt13033017020006-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130330/stt13033017020006-n4.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130330/stt13033017020006-n5.htm

 でですね、この会見、入院中、短編小説を2編書いたがこれがすごく出来がいい、つまりは、俺はいまだ優秀だぞ、ぼけていないぞと、自らの健在振りをアピールしっぱなしなのがとても微笑ましいのですが、ほとばしるインテリジェンスがそうさせたのか、短い会見の中で横文字が19箇所も出てくるわけですよ、これが。

入院しているときに、テレビとか新聞、限られたニュースで、世界を眺めてね、

病院にリファーしたら、

ずいぶんスポーツもしたつもりなんですがね。

勝手なことを書いてて。本当に卑しいね、メディアっていうのはね。

人を陥れることにそんなエクスタシーがあるのかね。

まあ、ワープロなんかはミスタッチで済むけども…

それに対するフラストレーションっていうのはやっぱり、どういうのかなあ、大阪の市民は持っていると思うしね、

だいたい西成区なんて驚くほどのパーセンテージの人間が生活保護もらってんですよ、

参議院そのものがフォーカスされるためにもやっぱり維新の会がこれから伸びていくためにも大変大きなメルクマールだと思うし

公明党はおそらく改憲に非常にラクタント(乗り気でない)でしょうね。

そういう点では、何というのかなあ、憲法というのは非常に大きなトリガーになると思いますよ

石原さん、あなたがレトリシャン(修辞家)なんだから、任せますから。

メディアの人たちがちょっと失笑を買った節があるんだよ

そりゃねえ、選挙っていうのはやっぱりねえ、非常にタクティカルなものがあるからねえ、

サッカーの川淵(三郎)キャプテンを、絶対彼をひっぱり出そうと思ってたんだけど、

 いや、「テレビ」「ニュース」「サッカー」「キャプテン」などは使用して当然なのです、そんなの誰だって使いますよね、問題はそこではないのです。

 「病院にリファー」とか「大きなメルクマール」とか、「公明党はリラクタント」とか、「石原さん、あなたがレトリシャン」とか、「選挙って、非常にタクティカル」って、こっちの暴走気味の表現のほうです。

 退院会見で見事な知性が健在なことを証明したかったのでしょうが、これでは、多くの国民にとって、石原さんが何を言っているのか、ちっとも分からなくて、逆効果になったことでしょう。

 失礼ながら、これは「表六玉」、つまり「カッコつけたのにかえって馬鹿が目立ってしまう」の典型かと、不肖・木走は感じてしまったのであります。

 うむ、橋下さんは「石原さん、あなたがレトリシャン(修辞家)なんだ」と石原さんに話したそうでありますが、なかなかどうして、石原さん、あなたは単なるレトリシャンだけでなく、実に見事なおめでたいシンプルタンでもありましょう。

 あなたは横文字の修辞がお上手であるばかりでなく、見事な「表六玉」なのであります。

 石原慎太郎氏、無地退院、いや、実におめでたいのであります。



(木走まさみず)