木走日記

場末の時事評論

ドラゴン騒動が晒した2つのとっても恥ずかしい「沈黙」

 5日付けJ−CASTニュースから。

共産党・小池前参院議員「松本大臣発言は部落解放同盟の地金」

辞任を表明した松本龍復興担当相の発言をめぐり、共産党小池晃・前参院議員は2011年7月4日、ツイッターで松本氏の出自について言及しながら批判を展開した。
小池氏は、松本氏の発言を
「内容も口調も人間として最低。大臣はもちろん国会議員の資格なし」
と批判した上で、
「『書いたら終わりだぞ』というマスコミ恫喝は、部落解放同盟の地金が出たものでしょう」
と続けた。松本氏が部落解放同盟の副委員長を務めていることを引き合いに出したものだ。
さらに小池氏は、
「いわれのない差別がまかり通ってきた旧同和地区でも長年の住民の努力で同和問題は基本的に解消。不公正で乱脈な同和対策を続けること自体が新たな偏見を生みます。部落解放同盟による無法な利権あさりを許さず同和行政の完全終結を!。『解同』に対する批判を『差別』だというのは完全なスジ違いです」
と、解放同盟への批判を展開した。解放同盟と共産党は、1960年代後半から対立関係にある。

http://www.j-cast.com/2011/07/05100537.html

 共産党小池晃氏が松本氏が現役の部落解放同盟の副委員長であることから、ツイッター上で「『書いたら終わりだぞ』というマスコミ恫喝は、部落解放同盟の地金が出た」と喝破されておりますが、さすが長年部落解放同盟と抗争を繰り広げてきた共産党であります、個人的には解放同盟にも共産党にも距離を置く私ですが、本件に関しては「マスコミ恫喝は、部落解放同盟の地金が出た」、この秀逸な分析ですべてであると、納得しています。

 ネットでもその傲慢さや下品さはすでに批判されていますしあっさり本人も辞任してしまいましたので、当ブログとしてはこの人物をこれ以上取り上げることは止めにしておきます、批判する価値もない御人であります。

 さて今回の騒動では2つのとっても恥ずかしい「沈黙」が国民の前に晒されたと思っております。

 ひとつは任命責任者である菅総理大臣の恥ずかしい「沈黙」であります。

 このような人物をよりによって復興大臣という重職に任命した総理大臣の責任はどう取るのか、国民に何も語らないのは責任放棄であり実に情けない極みであります。

 辞めろと言われて「めどがついたら辞める」といって不信任案を回避したらこれ幸い、野党だけでなく与党内部からも連日の辞めろ圧力も何するものぞ、夜の外食もすっかり復活、料理店3店はしごするなど意気軒昂な図太さを示す菅首相でありますが、このような本来自ら責任を取り自ら説明をする必要があるときには、ピタっと貝のように口を閉じてしまうわけです。

 一国の政府の最高責任者としてはとっても恥ずかしい沈黙であります。

 そしてもうひとつの恥ずかしい沈黙はマスメディアです。

 『書いたら終わりだぞ』というマスコミ恫喝にびびったわけでもないでしょう、発言があった当日、全マスコミはほぼ「沈黙」、TBS系列の地元ローカルTV局東北放送のみがローカルニュースを流します。

 この画像はネットで拡散、瞬く間にネット上で松本氏非難の嵐が起こるのですが、それでもほとんどのマスコミは恥ずかしい「沈黙」を続けたのであります。

 カメラも回っている席で「オフレコ」であるわけがありません、このマスメディアのチキン(臆病)ぶりは、松本氏の部落解放同盟副委員長という肩書きを必要以上に配慮したきわめて情けない日本のマスメディアのチキン体質にあることは十分に想像できます。

 TBS系列ではローカルTV局東北放送の画像を全国ネットで報道、4日になると、朝日、読売、毎日、産経、日経の大新聞も、ようやくおそるおそる報道し始めますが、最初はオフレコ発言部分は取り上げない慎重さであります。

 で、午後になって本人の釈明会見が行われる頃になると、一社が突出する事がもはやないことで安心したのでしょう、最初の「沈黙」はどこへやら、鬼の首を取ったように批判報道が雨あられのごとく湧き上がります。

 本当に恥ずかしいことなんですが、こうやって横並び批判報道が始まると、今度はメディアスクラム一直線、5日付け各紙社説を見てください、恥ずかしげもなく自身の「沈黙」のチキンぶりは忘れたのか、堂々と復興大臣批判社説の横並びであります。

【朝日社説】復興相発言―こんな人では心配だ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
【読売社説】国会正常化へ 無策のまま時間を浪費するな
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110704-OYT1T01252.htm
【毎日社説】松本復興担当相 「司令塔」のあきれた放言
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110705k0000m070114000c.html
【産経社説】松本復興相 被災者と共に歩めるのか
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110705/plc11070503130008-n1.htm

 よくこういう正義論を振りかざせます。

 私にはその神経が理解できません。

 今回の騒動では2つのとっても恥ずかしい「沈黙」が国民の前に晒されたのであります。

 菅総理とマスメディア、両者に共通するのは、チキンなわりに自己の振る舞いを省みず恥ずかしげもなく「正論」を掲げる厚かましさであります。



(木走まさみず)