木走日記

場末の時事評論

民主党関係者も驚く保守産経の小沢・民主党に対する問題点報道本格化

●「カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかない」〜産経新聞記事の小沢発言より

 二日付け産経記事の冒頭部分から。

民主党解剖】第1部「政権のかたち」(1)「小沢首相」は大丈夫か (1/5ページ)
2009.3.2 00:04

 2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合。党代表、小沢一郎が発した言葉に会場は一瞬凍りついた。

 「拉致問題北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」

 日本人の人権と日本の主権を蹂躙(じゅうりん)した北朝鮮の犯罪をカネで決着させる−。あまりにもドライな小沢発言は、当然のごとく、箝口(かんこう)令が敷かれた。

 外交・安全保障をめぐる小沢の「危うさ」が露呈し始めている。

 2月24日、記者団に「米海軍第7艦隊で米国の極東の存在は十分だ」と語り、波紋を広げた。「対等の日米同盟」を土台に、日本の防衛力増強を志向すると受け取れる発言の真意を、側近は「安保論議を活性化させようとして投じた一石だ」と代弁する。だが、党内にも「先を見据えない、浅はかな言葉だ」(幹部)との批判が出ている。

 「民主党に国民は不安も抱いている」。1月18日、民主党大会で国民新党代表、綿貫民輔はこう指摘した。民主党が政権に王手をかけたいま、小沢が唐突に繰り出す持論は、野党の足並みも乱している。

× × ×

 小沢はどんな「政権のかたち」を描いているのか。

 麻生内閣の支持率が超低空飛行を続ける中、次期衆院選民主党単独過半数(241)を獲得するとの観測が強まっているが、小沢は単独政権を選択できない。参院過半数(122)まで届かず、統一会派を組む国民新党新党日本のほか、社民党や無所属議員との協力が、少なくとも来年夏の参院選までは不可欠だからだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090302/stt0903020008000-n1.htm

 カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかない

 二日付けから産経新聞が掲載を始めた総力特集記事、【民主党解剖】の冒頭部分ですが、「2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合」にての小沢氏の「日本人の人権と日本の主権を蹂躙(じゅうりん)した北朝鮮の犯罪をカネで決着させる」「あまりにもドライな小沢発言」と、うーん、実に産経らしいマクラ話から始まっています。

 記事によれば、「当然のごとく、箝口(かんこう)令が敷かれた」そうでありますが、この記事に書かれた小沢発言に対しての やはり二日付け産経記事から。

細田自民幹事長、小沢氏の拉致問題発言に「事実とすれば背信的」
2009.3.2 19:29

 自民党細田博之幹事長は2日の記者会見で、民主党小沢一郎代表が2月上旬の民主党関係者との会合で北朝鮮による拉致問題に触れ、資金提供と引き換えに拉致被害者の帰国を実現するしかないとの趣旨の発言をしたことについて、「発言が事実とすれば、関係者や被害者家族の期待を裏切る大変背信的な発言ではないか」と批判した。

 公明党幹部も「国民がどう思うかだ。(拉致問題を)お金で解決するなんて失礼な話だ」と不快感を表明した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090302/stt0903021932007-n1.htm

 細田幹事長が「発言が事実とすれば、関係者や被害者家族の期待を裏切る大変背信的な発言ではないか」と記者会見で小沢氏を批判したとあります。

 現在(3日午前)まで、本件を産経以外のメディアでは取り上げていないのでありますが、発言の信憑性も含めてネット上では2ちゃんねるなどで、すこしばかり騒がしくなっております。

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●本件では産経の小沢や民主に対する問題点報道姿勢が本格化してきたことのほうが驚かされる〜民主党関係者

 まずは詳細を知る民主党関係者からこの産経記事の内容の信憑性を確認してみました。

木走「今日の産経記事で、小沢代表が、「2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合」で「拉致問題北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」と発言、この問題発言は「当然のごとく、箝口(かんこう)令が敷かれた」と報道している。産経は「日本人の人権と日本の主権を蹂躙(じゅうりん)した北朝鮮の犯罪をカネで決着させる」発言として批判している。この記事内容は事実なのか確認したい」
民主関係者「ほう、「日本人の人権と日本の主権を蹂躙」とは産経らしい、たいそうな書き方だね(苦笑」
木「まず記事にある「2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合」だが具体的にどの会合のことか」
関「2月5日午後の東京の八王子市内の阿久津幸彦東京第24区総支部長の事務所訪問の際、そこで代表が支持者やスタッフを激励したことをさしているんではないか」
木「発言内容は事実か、また関係者に「箝口(かんこう)令が敷かれた」のは事実か」
関「その場に居合わせたわけではないので発言内容が事実かどうかわからない。また関係者に「箝口(かんこう)令が敷かれた」のかどうかも知らない。ただ代表は、北朝鮮拉致問題では日本は軍事力を行使できない以上、金銭での取引が結果的には解決の早道につながるという内容の発言は、オフレコではしばしばしている。この記事の発言の字句が正確なのか知らないが、「てにをは」は身内の会合での配慮に欠いた表現には確かになったのだろう」
木「記事内容からすると、産経に代表の発言をリークした民主党関係者がいるということでは」
関「リークとはオーバーだね(苦笑 まずこのような選挙区事務所での会合では関係者といっても、支持者からボランティアまでいろいろな人が集まっているし、もしメディア記者がその場にいても普通排除などしないものだ。記事になったほうがありがたいぐらいだから。また、最近は小沢さんの行くところ多くのメディア記者が同行取材するのが常になっているしね。おそらくリークとかじゃなくて、産経記者が現場にいたんじゃないのかな」
木「なるほどそれほどの秘密情報ではないんだ」
関「それより、本件では産経の代表や民主に対する問題点報道姿勢が本格化してきたことのほうが驚かされるよ。場末の事務所の会合での発言まで、関係者を取材したにしろ記者を同行させたのにしろ、他紙にはない熱心さが感じられる」
木「最近、小沢さんの「第七艦隊」発言もあったしね、ここは産経だけじゃなく小沢氏の発言はメディアは何かと注目してる時だからね」
関「確かに党本部の記者数も増えているのは事実。麻生さんじゃないが、民主党の幹部諸氏は発言に齟齬や瑕疵のないように十分注意すべきなんだね」

 確証を得たわけではありませんが、私の電話取材で民主党関係者は代表から概ねそのような発言があったとしてもさして驚きはないという感じでありました。

 それよりも彼はここへきて「産経の代表や民主に対する問題点報道姿勢が本格化してきた」ことのほうに警戒を強めたようです。

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●「問題点を指摘するのがメディアの役割と心得、今後も民主党を大胆に解剖していきたい」〜乾正人政治部長

 「産経の代表や民主に対する問題点報道姿勢が本格化してきた」のは、産経自身も認めているようです。

 三日付けの産経【from Editor】では、乾正人政治部長が、「今後も民主党を大胆に解剖」していくと力強く宣言しています。

【from Editor】見えてこない「小沢政権」 (2/2ページ)
2009.3.3 08:22

(前略)

 きのうからスタートした連載「民主党解剖」は、民主党や小沢代表のちょっとした欠点や瑕疵(かし)をとらえ、攻撃することが目的ではない。政権交代が実現すれば、この国はどこへ向かい、何が変わるのか。政官癒着は本当に打破できるのか。民主党に政権を担当できる人材はそろっているのか。首相候補の小沢氏はそもそもどういう政治家なのか、といった日々小社に寄せられる読者からの疑問に答えようと企画されたものだ。

 前出の緊急アピールが、「現在の政権党に代わる政党が同様の醜態をさらけ出すならば、政党政治そのものが崩壊しかねない」と指摘しているように、政権奪取後に醜態をさらしてもらっては、この国は沈没する。修正が可能な今こそ、問題点を指摘するのがメディアの役割と心得、今後も民主党を大胆に解剖していきたい。(政治部長 乾正人

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090303/stt0903030823004-n2.htm

 なるほど、民主党を大胆に解剖していくその目的は、「民主党や小沢代表のちょっとした欠点や瑕疵(かし)をとらえ、攻撃すること」ではなく「日々小社に寄せられる読者からの疑問に答えようと企画されたもの」であり、「政権奪取後に醜態をさらしてもらっては、この国は沈没する。修正が可能な今こそ、問題点を指摘するのがメディアの役割と心得」ているからなのであります。

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 保守派を自認する産経が、民主党に対する問題点報道姿勢を本格化してきました。

 産経の場合、その崇高な目的とは裏腹に、記事が結果として「民主党や小沢代表のちょっとした欠点や瑕疵(かし)をとらえ、攻撃すること」になっている感は否めない(苦笑)のですが、それはさておきこのような報道姿勢は我々読者は歓迎すべきでありましょう、確かに日本のメディアでは、政権党に対する報道に比し民主党への報道は少なすぎます。

 また、民主党も本当に政権を取る覚悟ならば、産経の批判的な本格化報道にたえうる政党に脱皮しなければなりません。



(木走まさみず)