木走日記

場末の時事評論

パチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザーから名前が消えた二人の自民党議員

さて国会議員逮捕者(秋元司容疑者)を出している日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件でありますが、ついに大臣経験者である大物政治家の名前が報道されました、岩屋毅前防衛相であります。

報道によれば贈賄の疑いが持たれている中国企業「500ドットコム」側が現金各約100万円を渡したと供述した衆院議員5人の中の一人であります。

(関連記事)

カジノ汚職聴取の衆院議員5人判明 自民前防衛相ら
[2020年1月4日2時18分]
https://www.nikkansports.com/general/news/202001030000509.html

岩屋毅前防衛相は4日午前に記者会見を開き事実関係を全面的に否定いたします。

岩屋毅
2020年01月04日 13:26
1月4日 記者会見の要旨について
https://blogos.com/article/427481/

その100万円は「同僚議員の地元の政治資金パーティーで、私が講演したことへの感謝の気持ちを込めて、寄附」されたものであると弁明いたします。

【記者会見要旨】

報道にて、中国企業が私を含む5人の衆議院議員に100万円ずつ渡し、IR議連幹部側に工作したとする記事が出ました。

まず、はっきりと申し上げますが、私が中国企業から金銭を受け取った事実は断じてありませんし、まして工作を受けたこともありません。政治資金規正法上も外国企業から寄附を受けることなどあり得ません。

報道によれば、同僚議員の政党支部からの寄附100万円が中国企業からの寄附ではないかとのことです。しかし、この寄附は、平成29年8月の同僚議員の地元の政治資金パーティーで、私が講演したことへの感謝の気持ちを込めて、寄附をしたいとの申し出が同僚議員からあり、平成29年10月5日に政党支部自民党北海道第4選挙区支部)から政党支部自民党大分県第3選挙区支部)へ寄附していただいたものです。

(後略)

ただただ胡散臭い言い分です。

本件は「IR議連」に注目が集まっていますが、その真の裏の繋がりは主要登場人物が「パチンコ」議員であったことです。

事実だけ、粛々と整理しておきます。

昨年5月に当ブログは、当時の韓国擦り寄り発言が止まらない岩屋毅防衛相を批判するエントリーをしています。

この局面で韓国擦り寄り発言が止まらない「パチンコ」議員岩屋毅防衛相
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2019/05/20/162447

岩屋毅防衛相は自他共に認める「パチンコ」議員であります。

岩屋氏は大学在学中は早稲田大学雄弁会に所属し、また選挙でのアルバイトを通じて故鳩山邦夫衆議院議員の事務所に勤務し、大学卒業後は鳩山氏の秘書を務めています。

鳩山邦夫氏といえば、パチンコチェーンストア協会の重鎮の政治分野アドバイザーでありました。

で、岩屋氏は鳩山氏死去後、パチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザーを引き継いでいます。

昨年五月時点のパチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザーを当時のエントリーで紹介しています。

ご覧のとおり、自民党議員政治分野アドバイザー(25人)の中でナンバー3です、IR議連幹事長でもあります。
f:id:kibashiri:20200104144525p:plain
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2019/05/20/162447

ご覧のとおりパチンコアドバイザー自民党議員25名の中に、岩屋毅前防衛相の名前も今回逮捕された秋元司容疑者の名前も存在していたわけです。

で、今日確認してみればご覧のとおりです。

f:id:kibashiri:20200104145100p:plain
http://www.pcsa.jp/member.htm

逮捕されて自民党を離党した秋元司容疑者の名前がないのは当然ですが、パチンコ議員ナンバー3だった岩屋毅防衛相の名前も偶然なのでしょうか、消去されています。

二人とも「パチンコアドバイザー」をこのタイミングで離職しております。

この表でも確認いただけますが、IR議連の議員の全てではありませんが、逮捕された秋元司容疑者や岩屋毅前防衛相など多くの「パチンコ」議員達がギャンブル繋がりでIR議連で熱心に活動してきた事実があります。

当ブログは「パチンコ」議員たちを8年前から着目しております。

関連エントリー

政治家やマスメディアが絶対触れない深刻でダークなパチンコ業界問題
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20120527/1338106493

岩屋毅前防衛相も秋元司容疑者も、ただただ胡散臭い「パチンコ」議員繋がりなのでありました。

今回はなぜか同時期にパチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザーから名前が消えた二人の自民党議員について取り上げました。



(木走まさみず)

韓国を東京オリンピックから排除してほしい件

さて韓国です。

昨年7月4日に日本政府は、「安全保障上の輸出管理措置」として半導体やディスプレイの製造に必要な感光材(レジスト)、エッチングガス(フッ化水素)、ディスプレイ用樹脂材料(フッ化ポリイミド)の3品目について、従来の簡略な手続きを改めて、個別に輸出審査を行なう方針に切り替えました。

これに対し韓国は猛反発、日本産製品不買運動日本旅行自粛などのNOJAPAN運動、また政府レベルでは
日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))破棄を決めたのは、我々の記憶にも新しいところであります。

その一連の反日活動の中で、一際非科学的な嫌がらせだったのが、東京五輪放射能まみれである、韓国スポーツは“放射能の恐怖”にどう対処するのか、といった東京五輪ボイコットも辞さずという論であります。

被災地福島県に対する韓国の言いたい放題が止まりませんでした。

与党・共に民主党の「日本経済侵略対策特別委員会」の崔宰誠委員長は、「ソウル外信記者クラブ」主催の会見で、「日本に、オリンピックを開催する資格があるのか」と発言します。

「日本の措置への国際世論の反発が広まれば、東京オリンピックにも影響が及ぶ。歴史認定と率直な謝罪をしない日本に、オリンピックを開催する資格があるのかを聞きたい」

「日本国民も冷遇する(福島の)食品を全世界の参加選手らの食卓に上げるという。政治に目がくらんで、オリンピック選手まで人質に取るものだ」

翌26日には、同委員会の幹事を務める呉奇炯幹事も、記者団に対し、「日本に平和の祭典であるオリンピックを主催する資格はない。放射能水産物にも問題があり、日本も落ち着いて考えねばならない」と語っています。

8月5日、崔宰誠委員長は、ラジオのインタビューで「それ(放射能)が基準値よりはるかに高く検出されたので、(日本)全域に旅行禁止地域を拡大すべきと見る」と述べます、実際に、特別委員会は外交部に対し「日本旅行規制措置を検討してほしい」と公式要請しました。

外交部のキム報道官は「今後、必要に応じて国際機関と被害が懸念される太平洋沿岸の国々とも緊密に協力し、福島原発汚染水の放出問題に積極的に対応していく」と述べました。

韓国政府は今年9月の国際原子力機関(IAEA)総会と11月に中国で開かれる韓中日原子力規制者会議などで、関連問題を提起する案を検討中です。

韓国政府は「福島汚染水に積極的対応」することで、対日本の新たなカードを切り出した形です。

与党・共に民主党の「日本経済侵略対策特別委員会」の崔宰誠委員長は、8月12日、みたび、暴言を放ちます。

記者たちを前に「日本の放射能のリスクが度を越えている。五輪選手らはもちろん、隣国の命まで人質にしている」と主張しました。

(関連記事)

韓国政府「福島汚染水に積極的対応」…新たなカードを切り出した
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34094.html

韓国政府の日本の経済報復への対抗措置と受け止められていました。

当時の韓国スポーツ紙スポーツソウルより関連記事を抜粋。

東京五輪の福島開催に懸念の声。「食事は別途用意」「出場権確保してから検討する」

韓国スポーツは“放射能の恐怖”にどう対処するのか。

日本は来年、1964年以来56年ぶりに首都・東京で2度目のオリンピックを開催する。津波の被害に遭った2011年東日本大震災からの「復興五輪」もオリンピックのテーマのひとつだが、とあることが引っかかる。

放射能汚染があった福島原子力発展所がある福島県産の農産物が使われることと、福島で野球とソフトボールの試合が開催されるということだ。福島を「見て食べる」ということを世界の人々に経験させることで、「この地域が安全だということを知らせる」ということを東京五輪で実現させる考えたのようだ。

(後略)

https://sportsseoulweb.jp/sports_topic/id=5425

さて、2020年1月の最新ニュースです。

東京五輪選手村で提供される食事に東京電力福島第1原発事故が起きた福島産の食材が使われるとしてその食事をボイコット、選手村から約15分離れたホテルを借り切り、韓国選手団のための食事を提供することを正式決定したのです。

朝鮮日報1月2日付け記事より。

韓国五輪委 東京のホテル借り切り選手に食事提供へ=放射能懸念で

【ソウル聯合ニュース】大韓体育会(韓国オリンピック委員会)の李起興(イ・ギフン)会長は2日、聯合ニュースとの新年のインタビューで、「昨年末に東京を訪問し、五輪期間中、わが国の選手団の食事をサポートする支援センターとの契約を終えた」と明らかにした。

 東京五輪を巡っては、選手村で提供される食事に東京電力福島第1原発事故が起きた福島産の食材が使われるとして、韓国をはじめ各国から安全性を懸念する声が出ている。

 大韓体育会は選手村から約15分離れたホテルを五輪期間中に借り切り、選手団のための拠点を用意した。

 放射能汚染に対する懸念が払拭(ふっしょく)されていない中、大韓体育会は韓国選手団の食の安全を最優先に考え、韓国選手団のための食堂を用意すると早くから明らかにしており、先ごろ関係機関との契約を終えた。

 忠清北道・鎮川の国家代表選手村から派遣された調理師が韓国から空輸された食材を使って選手団の食事を24時間サポートする。

(後略)

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/01/02/2020010280005.html

・・・

日本のメディアはどこも取り上げないのが不思議なのですが、本件は外交的に問題だと思うのです。

日本政府は一連の福島県に対する韓国の根拠なき暴言・暴挙に対し断固抗議をすべきです。

またオリンピック開催国として、韓国政府の選手村近傍で勝手に韓国選手に対する食事支援施設の設置を許してはいけません。

そこまで福島に嫌がらせ・ボイコットをするなら、いっそのこと望み通り東京オリンピックをボイコットしてほしいです。

読者のみなさんは、本件いかがお考えでしょうか?



(木走まさみず)

ゴーン氏によるこの脱出コメディ劇で証明されたこと

さて、元日産社長カルロスゴーンの隠密かつ電撃のレバノンへの日本脱出劇であります。

そして今回は、未確認ではありますが、レバノンの主要テレビMTV(電子版)は三十一日、カルロス・ゴーン被告が楽器箱に隠れ、日本の地方空港から出国したと報じています。

(関連記事)

ゴーン元会長「楽器箱に隠れ出国」 現地メディア報道
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54001500R31C19A2I00000/

さて、今回の日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の国外逃亡について、逃亡先のレバノンや国籍を持つフランスのメディアはおおむね好意的に伝えています。

レバノン紙によると、ゴーン被告は三十日に首都ベイルートの国際空港に到着。大手紙アンナハル記者は「レバノン市民として合法的に入国した。アウン大統領と面会した」としています。

両親の出身地で被告が少年時代を過ごしたレバノンでは、立身出世の「英雄」として被告を擁護する声が多いく、友人の一人は「新年に訪れた奇跡だ」と歓迎し、「彼はいま、適切な保護下にある」と明かしています。

また仏高級紙ルモンドは、再保釈された四月から監視下に置かれ「妻と会い、話す権利すらなかった」と一定の理解を示しています。

(関連記事)

ゴーン被告逃亡 海外報道は好意的 レバノンや仏メディア
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202001/CK2020010102000104.html

「ゴーン氏の華々しい新展開」と伝えた仏経済紙レゼコーは、連日本件で複数記事を掲載しているのですが、中でも注目すべき深い記事がありましたのでご紹介。

記事タイトルは、"Pourquoi Carlos Ghosn ne court quasiment plus aucun risque judiciaire"、そのものズバリ「カルロスゴーンが法的リスクをほとんど負わない理由」であります。

Pourquoi Carlos Ghosn ne court quasiment plus aucun risque judiciaire
f:id:kibashiri:20200102141131p:plain
https://www.lesechos.fr/industrie-services/automobile/pourquoi-carlos-ghosn-ne-court-quasiment-plus-aucun-risque-judiciaire-1159717

記事を要約すれば、「カルロスゴーンは偶然レバノンを選択したわけではない」、極めて計画的な「大脱走」であるとの分析です。

ブラジルで生まれたがレバノン出身で6歳で母親と一緒にベイルートに戻った彼はそこで育ち、17歳でフランスのスタニスラス高校に留学、彼のキャリアのおかげで、カルロスゴーンはブラジル、レバノン、フランスの三重国籍者、3つの国籍を持っているわけです。

結果、彼は引き渡しから保護されます。

この企業家はレバノン市民であるため、ベイルートはカルロスゴーンを日本に引き渡すことができません。レバノンと日本は犯罪者引き渡し契約に署名していません。

また、日本からの要望で、フランスがフランス国籍を根拠にパリへの身柄引き渡しをレバノンに要求し、その後彼を東京に送るケースはどうでしょう?

フランス人弁護士は「それも不可能であり、フランスは何も要求することができない」と断言します。。

レバノンとフランスも、刑事問題における相互法的支援協定に拘束されていないのです。

従って最も可能性の高いのは、消極策ではありますが日本によるインターポールを介した国際逮捕令状の申請です。

申請が通れば、カルロス・ゴーンは、逮捕される危険を冒すことなく、レバノンを離れることができなくなります。

日本もしくはフランスと犯罪者引渡し条約を結んでいる国への渡航はリスクを伴うことに、理論上ではなります。

しかし隠密に入出国をする多くの手段を資産家の彼はもっているのです。

以上のことから、仏経済紙レゼコーは、記事タイトル通りの「カルロスゴーンが法的リスクをほとんど負わない理由」があるのだと主張します。

すでに彼が日本の法を犯している事実を無視して「法的リスクをほとんど負わない」と言い切るレゼコー記事なのでした。

・・・

まとめます。

おそらくこの仏紙記事の報じるように、残念ながら彼は逃げ延びる公算が高いのでしょう。

このコメディのような展開は、今振り返れば昨年3月の、保釈に際し、世界中の注目を集めた「変装劇」、あそこから繋がっているように思えてなりません。

当時の産経新聞記事から。

保釈時の変装「名声に泥」 ゴーン前会長弁護人が謝罪
f:id:kibashiri:20200102143404p:plain
https://www.sankei.com/affairs/photos/190308/afr1903080008-p1.html

あの「変装劇」は日本人弁護士の発案だったそうですが、何が顰蹙を買ったかと言えば他人の発案であろうとも、ゴーン氏自ら積極的に変装してまで世間を欺こうと劇に参加していたことです。

今回の「楽器箱に隠れ、日本の地方空港から出国した」のが事実だとすれば、これも世間を欺く全くのコメディ劇そのものです。

ひとつはっきり証明されたことは、やはりカルロスゴーン氏には法律を守ろうという遵法意識は欠片もなかったことであります。

おそらく日産の社長をしていたときも、遵法意識は欠片もなかったことは容易に想像できるのでした。

やれやれです。



(木走まさみず)

元旦早々その「角度」の付いた報道姿勢を見せつける朝日新聞社説

あけましておめでとうございます。

元旦の朝日新聞社説を取り上げたいです。

少し長くなります、お時間のある読者はお付き合いくださいませ。

国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」、この国際的かつユニバーサル(普遍的)な目標から、いかに日本の安倍政権を批判する論に展開するのか、その『アサヒロジック』の見事さを読者のみなさんと味わってみたいのです。

まずは「持続可能な開発目標(SDGs)」について、外務省の説明を公式サイトより抜粋。

持続可能な開発目標(SDGs)とは

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGs発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

外務省資料「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(PDF)によれば、17の目標は以下のとおり。

持続可能な開発目標

目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標 4 . すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標 5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
目標 6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標 8 . 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標 9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標 10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標 11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標 12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標 13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる※
目標 14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源保全し、持続可能な形で利用する
目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標 16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標 17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。

外務省資料「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(PDF) より
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402.pdf

この少し硬い邦訳を外務省が「超訳」したのが以下です。

目標 1.貧困をなくそう
目標 2.飢餓をゼロに
目標 3.すべての人に健康と福祉を
目標 4.質の高い教育をみんなに
目標 5.ジェンダー平等を実現しよう
目標 6.安全な水とトイレをみんなに
目標 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標 8.働きがいも経済成長も
目標 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
目標 10.人や国の不平等をなくそう
目標 11.住み続けられるまちづくりを
目標 12.つくる責任つかう責任
目標 13.気候変動に具体的な対策を
目標 14.海の豊かさを守ろう
目標 15.陸の豊かさも守ろう
目標 16.平和と公正をすべての人に
目標 17.パートナーシップで目標を達成しよう

すべての国、すべての人が対象であり、「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)こと」つまり包摂的な目標であることが唱われています。

貧困・飢餓をなくし、福祉と教育を平等に提供し、気候変動に対策を講じつつ海や陸を守り、産業を振興し雇用を守り、結果、平和と公正をすべての人に提供しよう、という崇高な目標なのであります。

余談ですが、「持続可能な開発目標」は"SDGs"の直訳でありまして、"Sustainable Development Goals"の略称であり、発音は(エス・ディー・ジーズ〉(最後の"Gs"は"Goals"の略なのでジーエスと2音では発音しない)なそうであります。

10年で実現可能なのかなどの議論もありながらですが、まあこの国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」自体は、理想的な崇高な目標なのであり、言うまでもありませんが特定の政治色のないニュートラル(中立的)なものであります。

さあここから如何に日本の安倍政権批判に展開していくのか、その『アサヒロジック』の見事さを読者のみなさんと味わってみたいのです。

例年の恒例ですが元旦の朝日新聞社説は普段2本掲げる社説を一本に絞っての力作であります。

(社説)2020年代の世界 「人類普遍」を手放さずに
https://www.asahi.com/articles/DA3S14313780.html?iref=editorial_backnumber

社説は冒頭、「普遍」という言葉の定義から始まり、「持続可能な開発目標」(SDGs)が17の「普遍的な」目標を掲げていることを説明いたします。

「普遍」とは、時空を超えてあまねく当てはまることをいう。抽象的な言葉ではあるが、これを手がかりに新たな時代の世界を考えてみたい。

 国連の「持続可能な開発目標」(SDGs〈エスディージーズ〉)は、17の「普遍的な」目標を掲げている。

 たとえば、貧困や飢餓をなくす、質の高い教育を提供する、女性差別を撤廃する、不平等を正す、気候変動とその影響を軽減する、などだ。

 2030年までに「我々の世界を変革する」試みである。「誰も置き去りにしない」という精神が、目標の普遍性を端的にあらわす。

「人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義」は、日本国憲法にも示されている「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」なのであり、「普遍的な理念」であると強調いたします。

 人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。

 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる。

 基本的人権の由来を記した日本国憲法の97条にならえば、「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」である。

さてここからが、『アサヒロジック』が全開になります。

なぜか移民対策に対するロシアのプーチン大統領の発言が取り上げられます。

 だが、21世紀も進み、流れがせき止められつつあるかに見える。「普遍離れ」とでもいうべき危うい傾向が、あちこちで観察される。

 ロシアのプーチン大統領は昨年6月、移民に厳しく対処するべきだとの立場から、こう述べた。「リベラルの理念は時代遅れになった。それは圧倒的な多数派の利益と対立している」

 リベラルという語は多義的だが、ここでは自由や人権、寛容、多様性を尊ぶ姿勢を指す。

ここでプーチンの指す「リベラル」は「自由や人権、寛容、多様性を尊ぶ姿勢」のことだと、朝日社説は、勝手に定義します。

ここでの詭弁性を指摘しておきます。

まず「持続可能な開発目標(SDGs)」とは直接は関係の無い、プーチンの移民政策に関する「リベラル」批判を取り上げ、「リベラル」を「自由や人権、寛容、多様性を尊ぶ姿勢」と勝手に再定義し、本来政治的にニュートラル(中立的)なはずの国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を、勝手にリベラル色に読者に印象付けています。

ここから、朝日は、「自由と民主主義が押し込まれている」とし、プーチンやトランプ、さらに欧州の排外的移民政策を批判、「排外的な右派ポピュリズムが衰えを見せない」と批判を展開します。

 自由と民主主義が押し込まれている。

 プーチン氏は強権的なナショナリズムを推し進め、米国のトランプ大統領も移民を敵視し、自国第一にこだわる。

 欧州では、排外的な右派ポピュリズムが衰えを見せない。

ここで、各国に「排外的な右派ポピュリズム」が勃興していることを指摘して巧妙に読者に、「持続可能な開発目標(SDGs)」が有する崇高な「リベラル」(と朝日が勝手に誤誘導しただけですが)が持つ「人類普遍」性が、「右派ポピュリズム」により「押し込まれている」と、思わせるわけです。

そしてここで論に日本を持ち出します。

プーチン、トランプ、香港デモと来て日本の安倍政権へと繋げるのです。

見事な『アサヒロジック』です。

「日本はどうか」と読者に問いかけ、強烈な安倍政権批判を展開します。

 日本はどうか。

 「民主主義を奉じ、法の支配を重んじて、人権と、自由を守る」。安倍政権は外交の場面で、言葉だけは普遍的な理念への敬意を示す。

 しかし、外向けと内向けでは大違いだ。

 国会での論戦を徹底して避け、権力分立の原理をないがしろにする。メディア批判を重ね、報道の自由表現の自由を威圧する。批判者や少数者に対する差別的、攻撃的な扱いをためらわない。

 戦前回帰的な歴史観や、排外主義的な外交論も、政権の内外で広く語られる。

批判が足らないからなのか、今では誰もほとんど話題にしない自民党改憲草案の批判まで飛び出します、「人類普遍の原理」という文言を、草案は前文から削除してしまったと指摘します。

 旧聞に属するとはいえ、自民党が野党時代の12年に作った改憲草案は象徴的である。

 現行憲法がよって立つところの「人類普遍の原理」という文言を、草案は前文から削除してしまった。

 代わりに「和を尊び」「美しい国土を守り」などの文言を盛り込んだ。日本の「固有の文化」や「良き伝統」へのこだわりが、前文を彩る。

 この草案にせよ、現政権のふるまい方にせよ、「普遍離れ」という点で、世界の憂うべき潮流と軌を一にしていることはまぎれもない。

ここまでいかがでしょうか。

ニュートラルなはずの国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を勝手にその主張を「リベラル」と染め上げ、世界各国の移民政策を「排外的な右派ポピュリズム」と、強引に「持続可能な開発目標(SDGs)」と対峙させ、批判展開します。

その延長で日本の安倍政権を、「批判者や少数者に対する差別的、攻撃的な扱いをためらわない」と一刀両断します。

社説の後半のロジックではもはや「持続可能な開発目標(SDGs)」との言葉は出現してしません、論の主題は間違いなく、安倍批判に移っているのであります。

社説は結論で唐突に「SDGsはうたう」と話を戻します、そして「高く掲げられる理念は、差し迫った眼前の危機を乗り越えるためにこそある」と結ばれています。

 近代社会を、そして戦後の世界を駆動してきた数々の理念。それを擁護し、ままならない現実を変えていくテコとして使い続けるのか。その値打ちと効き目を忘れ、うかつにも手放してしまうのか。予断を許さない綱引きが20年代を通じ、繰り広げられるだろう。

 SDGsはうたう。

 「我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になりうる。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない」

 高く掲げられる理念は、差し迫った眼前の危機を乗り越えるためにこそある。

どうでしょう、この朝日社説は、崇高なSDGsの「高く掲げられる理念」を「それを擁護し、ままならない現実を変えていくテコとして使い続ける」リベラル派と、「その値打ちと効き目を忘れ、うかつにも手放してしまう」安倍政権に代表される「排外的な右派ポピュリズム」と対峙させることで、見事に本来は中立的な国連目標を、痛烈な安倍政権批判に結びつけているわけです。

安倍政権批判はいいのです。

しかしその目的のために、ニュートラルなはずの国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を勝手にその主張を「リベラル」と染め上げる詭弁性を用いて、安倍政権を「排外的な右派ポピュリズム」と印象づけ強引に批判展開するその論法はいかがなものか。

この社説自体の持つある「角度」を感じぜずを得ません、つまりはじめに『安倍政権批判』という目的があり、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」は単に論を展開し目的を達成するための「道具」にすぎないのです。

見事な『アサヒロジック』です。

国連の中立的な「持続可能な開発目標(SDGs)」から、かなり強引に安倍政権批判を導いたのでした。

元旦早々その「角度」の付いた報道姿勢を見せつける朝日新聞社説なのでした。

ふう。



(木走まさみず)

玉木さん、政権奪取したいなら共産党と組むのは致命的な戦略ミスです〜ゲーム理論で理論的な説明を試みる

21日付けの共産党機関紙『しんぶん赤旗』の記事に驚きました。

立憲主義格差是正、多様性――政権交代での協力を合意
共産・志位委員長、国民・玉木代表と会談
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-12-21/2019122101_01_1.html

日本共産党志位和夫委員長と国民民主党玉木雄一郎代表が党首会談を行い、安倍政治を転換するため、(1)憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する(2)格差をただし、家計・くらし応援第一の政治に切り替える(3)多様性を尊重し、個人の尊厳を大切にする政治を築く――の3点の方向で、政権交代を図るために協力することで合意したというのです。

さらになんと今回の会談は玉木氏の呼びかけで行われたものなのだそうです。

共産党と協力合意ですか。玉木さん、そっちに行ってはダメでしょう。

ここへ来て日本の野党の左旋回が止まりません。

もし日本の野党が本気で自民党を打倒して政権をダッシュしたいのならば、戦略的にはただひとつです。

自民党政権を支える穏健保守票の奪取です。

現在の我が国の政党はこの11政党です。

■表1:我が国の政党一覧(2019年12月現在)

政党名 国会議席
自由民主党 397
立憲民主党 91
国民民主党 60
公明党 57
日本維新の会 27
日本共産党 25
社会民主党 4
NHKから国民を守る党 2
れいわ新選組 2
希望の党 2
沖縄社会大衆党 1
無所属 41

※『木走日記』作成

イデオロギー的に左右の立ち位置を確認いたしましょう。

議席以下の小党は割愛して7党の政策ポジションは、例えば憲法改憲論議で言えばこんな感じ。

■図1:主要政党の憲法改正に対する立ち位置
f:id:kibashiri:20191226081216p:plain
※『木走日記』作成

中よりの3党のポジションは少し迷いましたが、立憲民主はもう少し右寄りかもとも考えましたが、最近の党代表の改憲消極的発言でこの辺にまで左にシフトしました、まあ、当ブログの私見ではあります。

さて、国民民主はこの中よりの立ち位置から一気に最左翼の共産党にまで手をつなごうとしているわけです。

完全な戦略ミスです。

この国で野党が打倒自民を目指し政権を奪回しようとするならば、野党第一党は「保守回帰」すべきであり、間違っても共産党についてはダメだと、当ブログは考えます。

当ブログが野党の立場ならば、自民党に対抗するには、政権を奪取するためには、共産党と協力するのとは真逆のベクトルを取ります。

ズバリ、『保守回帰』であります。

今の選挙制度のもとでは、野党が自民党に代わり政権奪取するためには、唯一の戦略であります。

野党の『保守回帰』こそが政権奪取の唯一の戦略であること、その理由は、2大政党制を目指しこの国に小選挙区制を導入されたことを今一度よく考えて見れば自明なのであります。

限られた小さな選挙地区を2大政党で議席を競うとすると、選挙に勝つためには両党の主張は競うように中庸(ちゅうよう)に寄り合うことになるからです。
 
ゲーム理論で理論的な説明を試みます。

ゲーム理論を思いついた人はハンガリー出身の数学者で近代コンピュータの父祖とも言われるジョン・フォン・ノイマンであります。

それを発展させたのは、アメリカ出身の数学者ジョン・F・ナッシュでありました。

ビーチのアイスクリーム屋の話です、少しの間お付き合いください。

ある浜辺で商品も価格も同じアイスクリームを売ろうとしているAとBがいて、いま浜辺のどこに店を構えれば一番売り上げが伸びるかを考えています。

浜辺は直線で客は均等に存在しています、夏の炎天下の浜辺のことです、客はもっとも近い場所にあるアイスクリーム屋から買うことが想定されます。

さてA,Bはお店をどこに立地すれば相手より売り上げを上げることができるか思案します。

結論から言うとA,Bともに浜辺の中央、ど真ん中に並ぶように店を構えることになります。

最初Aは浜辺の左側4分の1ほどの位置に、逆にBは浜辺の右側4分の1ほどの位置に店を構えたとしましょう。

※『木走日記』作成
この状態では、浜辺の左半分にいる客たちはAの店に、右半分にいる客たちはBの店にいくことでしょう、客は均等に存在していますから売り上げも均等、AとBの店は仲良く棲み分けられます。

しかし、どちらか少し賢ければどうでしょう、必ず店を中央よりに移し始めるはずです。

たとえばBの店が中央に移り、Aの店が左4分の1の場所のままだったら、Bの店が浜辺の8分の5の客にとって最寄の店となり売り上げを伸ばすことでしょう。

※『木走日記』作成
こうしてこの条件では、A,B両方の店は浜辺の真ん中中央に並ぶようにくっついて店を立地することになります。

※『木走日記』作成
売り上げを重視しライバルに負けないためのこれしかない戦略です。

これがこのゲームにおける均衡点なのです、このような均衡点をナッシュ均衡と呼びます。

それぞれ左右のイデオロギーを有する2つの政党が、閉じた地域で1議席を争う場合、ライバルより1人でも多くの有権者を引き付けるために、最初は左右に分かれていたその主張が中庸(ちゅうよう)にシフトしていく、戦略上浜辺のど真ん中に店が並ぶように、ゲーム理論によれば議席獲得のために2つの政党は小選挙区制では似たような中庸の政策を掲げざるを得なくなるわけです。

議席獲得のためには最も多くの支持を得られる政策を取らざるを得ないわけで、2大政党の政策は似たもの同士にならざるを得ないのです。

さて現状ですが、護憲派リベラルの論客諸氏は自民党安倍政権を「極右」との現状評価をしていますが、この現状認識こそが根本的に誤りなのです。

自民党安倍政権の政策は、欧米の極右政党の主張と比べれば極めて「リベラル」なのであり、今回の安保法制にしても大きな「自衛権」のくくりの中での法制化にすぎません。

安倍政権は安全保障政策で支持を得ているわけではなく、「アベノミクス」などの経済政策などが中心に支持を集めているわけです、その何よりの証拠として安保法案が国会で可決されても政権の支持率は大きく落ち込むことはありませんでした。

日本に極右政党など存在しないのです、すなわち安倍政権は保守の範疇の中でも政策的には極めてリベラルよりであると言えるのです。

つまり、現状は保守自民党が多くの支持を得ている状況なのです。

浜辺でいえばこの感じです。

※『木走日記』作成

この状況を野党が挽回するには、自民党と見紛うばかりの政策の『保守回帰』しかありません。

※『木走日記』作成

自民党政権が最も恐れているのは、自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党の存在です。

これは机上の空論ではありません。

例えば大阪です。

大阪では賛否はありますが「都構想」などの現実的改革を唱える維新の伸長が著しいわけです。

維新のその主張は自民党のそれとかなり親和性を有しているのはご承知のとおりです。

自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党が登場した結果、大阪府議会、大阪市議会における政党別議席数の構成は劇的な変化を遂げました。

このとき維新は共産党に依らず独自の力で自民党を打倒し第一党の地位を勝ち取りました。

この国の選挙で「ヤマ」が動くとき、それは自民党を緩やかに支持している多数派である「穏健保守層」が投票行動を変化させるときなのです。

この国には自由民主党という保守政党があります。

その自民党支持層の中の多数派であろう穏健保守層の何割かの支持を獲得できれば、大阪のように、大きく「山」は動きます。

かつて民主党政権が誕生した理由も、別に共産党などとの共闘などありませんでした、そうではなく自民党政権の経済政策の行き詰まりを主な理由に、穏健保守層の何割かが自民から民主に支持を変えたことが最大の理由です。

繰り返しますが、自民党政権が最も恐れているのは、自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党の存在なのです。

玉木さん共産党と組むのは致命的な戦略ミスです、残念です。



(木走まさみず)

「お友達」関係をいくら攻めても安倍政権は安泰な件

今回は小ネタです。

「お友達」関係をいくら攻めても安倍政権は安泰な件について考えます。

まず、命題「安倍政権の支持層はネトウヨ嫌韓派・お友達である」の真偽を検証しましょう。

舛添要一氏が韓国大統領は5つの誤算をしていると指摘しています。

(関連記事)

舛添要一
2019年12月25日 07:37
文在寅大統領、5つの誤算
https://blogos.com/article/425691/

その中で興味深いのが「第四の誤解」であります、失礼してエントリーより引用。

 第四は、安倍晋三首相に対する誤算である。「安倍は極右で、嫌韓派に属しているが、対韓強硬政策を続けることの愚に気づけば、自らの信念で局面打開を図るだろう。そのためにも、韓国は強硬姿勢を貫いたほうがよい」と考えていたようだ。しかし、安倍は、自ら確固たる信念や政策を持つというのではなく、お友達や周囲の空気に支配される政治家である。「ネトウヨ」をはじめ、嫌韓派が安倍応援団である。お友達もそうである。そのような中で、韓国に対する妥協を少しでもするわけにはいかないのである。

うーん、ポイントはここでしょうか。

安倍は、自ら確固たる信念や政策を持つというのではなく、お友達や周囲の空気に支配される政治家である。「ネトウヨ」をはじめ、嫌韓派が安倍応援団である。お友達もそうである。

なるほど、安倍の応援団は、「ネトウヨ」はじめ嫌韓派やお友達であると。

興味深いです。

当ブログは、朝日新聞及び韓国政府への批判を繰り返しエントリーし、なおかつ、安倍政権の政策支持も繰り返し表明してきたので、ネットの一部参加者から「ネトウヨ」ブロガーとの「評価」をいただいておりますので、舛添要一氏の安倍晋三首相分析には、実は、文面的にはとても納得するのであります。

しかしです。

この「安倍の支持者はネトウヨ嫌韓派・お友達」というある意味単純化された分析は、安倍の最大支持層が抜け落ちている点で誤りであります。

安倍政権の最大支持層は、「ネトウヨ」でも「嫌韓派」でも「お友達」でもない、消極的支持層でありましょう。

安倍政権よりましな選択肢は見いだせないため、結果安倍政権を支持する穏健層こそが、実は安倍政権を支える最大支持層なのだと考えます。

一部の「ネトウヨ」「嫌韓派」「お友達」だけが支持層ならば、この憲政史上最長にならんとする長期政権が成り立つはずはありません。

おそらく安倍支持層のサイレントマジョリティーは消去法的選択肢で政権を消極的支持している穏健保守層や中間層だと推測いたします。

私はそう考えます。

だから安倍政権は大きく支持率を落とすことなく長期に渡り国民の支持を維持できてきたのです。

命題「安倍政権の支持層はネトウヨ嫌韓派・お友達である」

この命題の真偽は「偽」です。

安倍政権の最大支持層は消極的支持層なのだと、私は考えています。

だからこそ、「モリトモ」や「桜を見る会」など、問題が起こって国会で野党が騒いでも、安倍政権は安泰なのだと考えます、それでもほかの政権よりましだと消極的支持されるのです。

もちろん、一部に「ネトウヨ」「嫌韓派」「お友達」など、コアな支持層もいるのでしょう。

つまり、安倍政権の支持層は多層化しているのです。

結果、政権として「生命力」があるのです。

従って「お友達」関係をいくら攻めても安倍政権はびくともしない、安泰のです。

政権の多数支持者は「だから何?」と思うだけです。

与論調査では7割強が「桜を見る会」関連で安倍政権の対応を「十分ではない」と指摘しつつ、内閣支持率は若干の低迷にとどまっています。

(関連記事)

桜を見る会の首相説明「十分ではない」74% 世論調査
https://www.asahi.com/articles/ASMDR55DVMDRUZPS00B.html

繰り返します、安倍政権の支持層は多層化しているのです。

結果、政権として「生命力」があるのです。

「お友達」関係をいくら攻めても安倍政権はびくともしない、安泰のです。

政権の消極的支持者は「確かに問題だ、でもだから何?」と思うだけです、だって安倍政権にとって変わるライバルが皆無なのですから。

安倍政権よりましな選択肢は見いだせないため、結果安倍政権を支持する穏健層こそが、実は安倍政権を支える最大支持層なのだと考えます。

野党やアンチな評論家が安倍政権の支持層を、かなり「右より」と見間違っているのはこっけいですらあります。

ふう。



(木走まさみず)

安倍総理よ対韓外交には気をつけて~日本世論は対韓国で「堪忍袋の緒が切れた状態」

前回のエントリーでも取り上げましたが、内閣府20日、「外交に関する世論調査」を発表、韓国に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」と回答した人は前回2018年10月の調査に比べ12.7ポイント減り、26.7%となりました

調査を開始した1978年度以来、最低の数字でありました。

(関連記事)

韓国に「親しみを感じる」過去最低 内閣府調査
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53612530Q9A221C1EA3000/

また、日本経済新聞社テレビ東京による20~22日の世論調査で、日韓関係に関しては「日本が譲歩するぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」が70%、「関係改善のためには日本が譲歩することもやむを得ない」は20%でありました。

(関連記事)

内閣支持率横ばいの50% 日経世論調査]
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53674130S9A221C1MM8000/

つまり日本人の対韓国の認識は完全に冷え切っており、「親しみを感じない」が七割を超え過去最悪の数値が現出しており、さらには日経世論調査によれば、「日本が譲歩するぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」も七割です。

この二つの世論調査が意味していることは、日本人の約束を守らない韓国への怒りは絶頂を極めつつあり、さらに日本国民は、日本政府はこれ以上韓国には絶対譲歩するべきではないとの、強い意思が読み取れます。

そもそも世論調査の数値をどこまで信じるのか、また世論というものは移ろいやすいものであり対韓国との外交関係が改善すれば数値も改善するだろうとの見通しもあることでしょう。

しかし私は「韓国に親しみを感じない」「韓国に譲歩すべきでない」との回答がともに7割を超しているこの調査内容は、中長期的に重い意味を持っていると考えます。

私は今、日本の世論の韓国への意識が、大きく変化、不可逆的ともいえる勢いで急激に悪化してきていると感じています。

ここ数年の韓国の国際公約の約束破りやレーザー照射の嘘つき発言など、日本人としては理解に苦しむ数々の韓国の愚行に、「堪忍袋の緒が切れた状態」なのではないでしょうか。

この状態は「不可逆的」であり二度と元には戻らないのだと考えます。

例えれば、これは金属の圧力に対する耐性に似ています。板・棒状の金属製品は計算された圧力内では少ししなってもすぐに元に戻ります。

しかし限界計算を越えた強い圧力では、塑性変形(不可逆的な変形)を起こします、元には二度と戻らないのです。

この日本世論の対韓国で「堪忍袋の緒が切れた状態」であることを日本の政治家は強く意識しなければなりません。

さて、安倍晋三首相は23日午後、中国四川省成都で24日に開かれる日中韓3カ国首脳による日中韓サミットに出席するため訪中するのを前に、いわゆる徴用工訴訟問題について、官邸で記者団の取材に応じました。産経新聞記事より首相の発言は次の通り。

 日韓関係は依然として厳しい状況にありますが、現下の東アジアの安全保障環境を考えれば、日米韓、日韓の連携が重要であると認識しています。他方、国と国の約束は守ってもらわなければなりません。日韓請求権協定は、日韓国交正常化の前提であり、日韓関係の根本をなすものであります。

 今回、文在寅ムン・ジェイン)大統領と首脳会談が予定されておりますが、文在寅大統領に対して、朝鮮半島出身労働者の問題も含めて、日本の考え方をしっかりと伝えたいと考えています。

 そしてまた、(韓国の)文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が提出をしている法案については他国の立法府の議論でございますので、コメントは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、日韓関係を健全なものにするためにですね、韓国側に行動を取ってもらいたい、きっかけを作ってもらいたいと、こう考えています。

首相、外遊出発前の発言全文 元徴用工問題「韓国がきっかけを」 より抜粋
https://www.sankei.com/politics/news/191223/plt1912230008-n1.html

おおよそ日本から妥協はしないというメッセージは伝わりました。

気になる点はここ。

そしてまた、(韓国の)文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が提出をしている法案については他国の立法府の議論でございますので、コメントは差し控えたいと思います

ムン・ヒサン議長のこの法案は、日韓両国の企業や国民から寄付を募って財団をつくり、韓国での裁判の原告などに慰謝料を支払うとした内容で、日本側としては到底受け入れられるものではありません。

さらに彼は「責任の認定や公式な謝罪があってこそ、真の和解が成立する」と、この法案には日本の再度の「謝罪」が前提であると韓国側で説明しています。

(関連記事)

「徴用」韓国国会議長 ”法案は日本の謝罪が前提”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191222/k10012224771000.html

当ブログは憲法改正を強く支持していますので、周知の通り基本的に安倍政権の政策を支持しております。

しかしながら僭越ながら安倍政権に警鐘を鳴らしておきます。

日本人の対韓国感情は史上最も悪化しております。

今までのように日本政府がすぐ妥協する、ぬるま湯のような対韓国外交政策は国民が許さないでしょう。

もし安倍政権が同じ轍を踏むとすれば、政権の鉄板支持層である、保守層および穏健保守層の支持を失う可能性があります。

もはや国民は韓国に対するこれ以上の妥協は我慢ならないのです。

韓国に安直に妥協した政治家はその支持を失う可能性が高いです。

安倍総理にはくれぐれも気を引き締めて妥協なく対韓国外交をこなしていただきたいです。



(木走まさみず)