木走日記

場末の時事評論

閉塞感ただよう過去最悪の結果となった二つの世論調査について〜「韓国に親近感を持てない日本人」と「韓国を離れたい韓国人」

さて内閣府の調査によれば、日本人の韓国に対する親近感が過去最悪となりました。

内閣府は20日、「外交に関する世論調査」の結果を発表しました。それによると、日韓関係について「良好だ」、「まあ良好だ」と回答した人の割合が、昨年の前回調査の30.4%から7.5%に大幅下落し、1986年の調査開始以来、過去最低となりました。

韓国に「親しみを感じる」、「どちらかというと親しみを感じる」と答えた人の割合は26.7%で、同じ質問をしている78年以降、初めて2割台となりました。

(関連記事)

日韓「良好」、過去最低7.5% 関係悪化を反映―内閣府調査
2019年12月20日17時04分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019122000962&g=pol

内閣府世論調査の結果は下記内閣府のサイトでCSV形式で公開されています。

内閣府
和元年度 外交に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-gaiko/2-1.html

さて韓国に対する親近感を世代別で見てみましょう。

■表1:韓国に対する親近感

世代 親しみを感じる 親しみを感じない
18~29歳 45.7 52.4
30~39歳 32.5 66.9
40~49歳 27.1 72.5
50~59歳 28.9 70.3
60~69歳 24.7 74.2
70歳以上 17.4 78.2
総数 26.7 71.5

■図1:韓国に対する親近感
f:id:kibashiri:20191222122305p:plain
出典)2019年内閣府『外交に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-gaiko/2-1.html
※出典より『木走日記』が図表作成

うむ、全世代で「親しみを感じない」の割合が多く占めていますが、興味深いのは世代が若いほど「親しみを感じる」の割合が多くなるのですね。
18~29歳では45.7%です、音楽などの韓流の影響なのかしら、よくわかりません。

参考までにアメリカに対する親近感も世代別で見てみましょう。

■表2:アメリカに対する親近感

世代 親しみを感じる 親しみを感じない
18~29歳 84.8 14
30~39歳 86.1 13.3
40~49歳 86.3 13.7
50~59歳 81 17.9
60~69歳 75.6 21.4
70歳以上 70 25.3
総数 78.7 19.1

■図2:アメリカに対する親近感
f:id:kibashiri:20191222124031p:plain
出典)2019年内閣府『外交に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-gaiko/2-1.html
※出典より『木走日記』が図表作成

うむ、「親しみを感じる」「感じない」の割合が韓国とは真逆なのがなんとも(苦笑)ですが、微妙ですがよく見るとやはり年齢が低いほうが「親しみを感じる」の割合が多くなる傾向にあるようです。

さて話を戻しますが、内閣府世論調査で過去最悪となりました日本人の韓国に対する親近感であります。

韓国に「親しみを感じない」のは日本人だけではないようです。

ここに興味深いハンギョレ記事があります。

若者の75%が「韓国を離れたい」
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/35243.html

記事によれば「19~34歳の若者10人のうち、8人は韓国社会を“ヘル(地獄)朝鮮”と評価し、7.5人は韓国を離れて暮らしたい」と解答しています。

19~34歳の若者10人のうち、8人は韓国社会を“ヘル(地獄)朝鮮”と評価し、7.5人は韓国を離れて暮らしたいと答えた。一方、35~59歳の既成世代では、韓国社会をヘル朝鮮と見る人は、10人中6.4人、韓国を離れたいと答えた人は6.5人だった。この研究は、19~59歳の国民5千人を調査して、世代・性別で分析した結果だ。

驚くのは「35~59歳の既成世代では、韓国社会をヘル朝鮮と見る人は、10人中6.4人、韓国を離れたいと答えた人は6.5人」であることです。

ほぼ全世代にわたって「韓国を離れたい」が過半数なのであります。

なんだろう、この閉塞感は・・・

日本と韓国で二つの世論調査が過去最悪の結果を示しています。

非常に象徴的に思えたのでご紹介いたしました。

読者のみなさん。

この結果、いかがお考えでしょうか。

ふう。



(木走まさみず)

ひどくアンフェアな朝日新聞社説〜伊藤氏によりそう「角度」を持って報道する一部メディアの偏向性について

2018年7月28日夜、「日本の秘められた恥」と題する伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送いたしました。

英国BBC公式サイトより。


https://www.bbc.co.uk/programmes/b0b8cfcj

このBBCの放送は世界中のネットで大きく取り上げられていました。


http://www.bbc.co.uk/programmes/articles/3z44Njyr5wzm3wbVMGZ7tFr/shiori-ito-japan-s-attitudes-to-allegations-of-sexual-violence-are-locked-in-the-past

そもそも本件は、刑事事件としては二度の不起訴処分となり、特に2017年9月21日(公表は22日)、市民からなる東京第六検察審査会が「慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がなかった」とし、不起訴相当と議決しています。

刑事事件として不起訴が確定したのを受けて、2017年9月28日、望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、伊藤氏が山口氏を相手に1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。

2017年12月5日、民事訴訟第一回口頭弁論が行われています。

当時は本件は訴訟中であり、また伊藤氏と山口氏の主張には大きな隔たりがある中で、このBBCの番組は、率直に言って公平性が担保されていない印象を強く持ちました。

当ブログは「ひどくアンフェアなBBCドキュメンタリー」と批判、当時の一部メディアの報道姿勢の偏向性をエントリーで取り上げています。

2018-07-02
ひどくアンフェアなBBCドキュメンタリー「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」〜本件は現在法廷で争われている最中、真実はいまだ確定していない
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20180702/1530514266

エントリーより抜粋。

 番組の構成は双方の主張を公平に取り上げてはいますが、一時間近くのそのドキュメンタリーの切り口は、あくまでも伊藤氏によりそうように密着して進行していきます。

 その映像は美しくかつときに涙する伊藤氏のその横顔は健気であり、視聴者は間違いなく伊藤氏の心情に同調してしまうような番組構成となっています。

 民事訴訟が現在進行中でいまだ結論が出ていない本件において、このようなドキュメンタリー番組が英国BBCで放映されたことは極めて遺憾です。

 BBCの影響力は無視しがたく、例えば英紙ガーディアンのレビューなど、「女性への暴力や構造的な不平等、差別といった大きな話題を、もっと小規模で個人的な物語に焦点を当てて描いている」と、本件ではすでに伊藤氏の言い分が正しい、女性への暴力があったとの前提で評されています。

 真実はどちらにあるのか。

 法的な決定がいまだ下されていない段階で一方的に片側に寄り添い密着してドキュメンタリー放映する・・・

 残念ながらこのBBCドキュメンタリーはひどくアンフェアであるといわざるを得ません。

 「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」タイトルからして理不尽な決め付けを含んでいます。

 繰り返しますが本件は現在法廷で争われている最中なのです。

 真実はいまだ確定していません。

さて、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者山口敬之氏を訴えた民事裁判で、東京地裁は「酒を飲んで意識を失った伊藤氏に対し、合意のないまま性行為に及んだ」と認め、330万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

山口敬之氏は判決を不服として即時控訴を表明しています。

会見の山口氏の以下の発言が批判を呼んでいます。

「伊藤さんは性犯罪被害者ではありません」

「私の所にも性犯罪を受けたといってご連絡をくださる方が複数。お目にかかった方もおります」

「本当に性被害に遭った方は『伊藤さんが本当のことを言ってない。こういう記者会見の場で笑ったり上を見たり、テレビに出演して、あのような表情をすることは絶対ない』と証言して下さったんです」

「性被害に遭った方が『嘘つきだと言われる』といって出られなくなっているのだとすれば、非常に残念なことだと思います」

(関連記事)

女性自身
2019年12月19日 20:04
山口敬之氏の発言が偏見と物議「腹が立つ」「呆然とした」
https://blogos.com/article/424722/

伊藤氏勝訴を受けて朝日新聞は全国紙で唯一この「民事訴訟」を社説で取り上げます。そして「社会の病理も問われた」のだと畳み掛けます。

(社説)伊藤氏の勝訴 社会の病理も問われた
https://www.asahi.com/articles/DA3S14301062.html?iref=editorial_backnumber

朝日社説は「見過ごせない発言」「こうしたゆがんだ認識」と早速批判を展開しています。

 山口氏は控訴を表明したが、判決後の記者会見で見過ごせない発言があった。自らが話を聞いたとする「本当の(性犯罪)被害者は会見で笑ったりしない」という女性の声を紹介し、身の潔白を訴えたのだ。

 苦しみを抱え込み、下を向いて生きていくのが被害者の正しい姿だ、と言うに等しい。こうしたゆがんだ認識が、過酷な傷を負いながらも生きていこうとする人々を、追い詰めてきたのではないか。

朝日社説は「安倍首相を取材した著作のある山口氏」と安倍政権との関わりにふれ、「右派系雑誌には、伊藤氏の人格をおとしめる記事が掲載された」と指摘しています。

 この間(かん)、伊藤氏にはネット上などで異常な攻撃が加えられた。政権寄りの論者らが、安倍首相を取材した著作のある山口氏の応援にまわり、右派系雑誌には、伊藤氏の人格をおとしめる記事が掲載された。

社説は、「性犯罪に向けられる目は厳しさを増している」とし、「被害者の尊厳を守る。私たちの社会が背負う重要な課題」であると結ばれています。

 曲折を経ながらも性犯罪に向けられる目は厳しさを増している。罰則を強化する改正刑法がおととし成立し、さらなる見直しの議論が進む。相談・支援態勢も強化されてきている。この歩みをより確かなものにし、被害者の尊厳を守る。私たちの社会が背負う重要な課題である。

まるで本件で「性犯罪」が認められたかのようなこの朝日社説の結論は、偏向していると言わざるを得ません。

本件ではいまだ一度も法廷で「性犯罪」は認められてはいません。

そもそも朝日新聞は、東京地裁が2016年7月に嫌疑不十分で刑事不起訴にした際も、東京第6検察審査会が2017年9月、不起訴を覆すだけの理由がないとして「刑事不起訴相当」と議決したときも、社説では取り上げていません、沈黙しています。

「性犯罪」が否定された2つのトピック、2016年7月の伊藤氏の刑事敗訴、さらに2017年9月の伊藤氏が訴えた検察審査会でも刑事不起訴相当と刑事敗訴、この2回のタイミングでは一切沈黙していたのです。

しかしながら、伊藤氏が民事勝訴したこのタイミングで初めて社説に取りあげる、報道機関としてのその報道姿勢は明らかにある「角度」を持って報道している、偏向しているといわざるを得ません。

本件はいまだ決着を見ていません。

それなのに一部メディアの露骨な伊藤氏によりそう報道姿勢には、真実を伝えるメディアの持つ本来の使命に著しく抵触していると考えます、その報道姿勢に疑問を持たざるを得ません。



(木走まさみず)

「安倍政権は速やかに脱石炭へと方針を転換せよ」(朝日新聞社説)だと?~原発反対の朝日に反論する、この国が世界最悪の化石燃料比率に陥ったのはなぜだ?

COP25における日本の対応に風当たりが強いです。

国際NGOは「弱腰」と批判しています。

COP25「政府の対応、弱腰過ぎた」、国際NGOが批判
オルタナS編集部(若者の社会変革を応援)
https://blogos.com/outline/424022/

例によって朝日新聞社説が日本政府の対応を批判しています。

(前略)

 石炭火力に固執する日本への風当たりも強い。

 G7のなかで日本だけが石炭火力の新設にこだわっている。会場で演説した小泉環境相が脱石炭を表明しなかったため、温暖化対策に後ろ向きな国に環境NGOから贈られる「化石賞」を受賞したのは当然といえよう。梶山経産相の国内会見で出た石炭温存発言とあわせ、計2回の不名誉な受賞である。

 どんなに省エネや再エネの拡大に努めても、石炭火力を使い続ける限り、温暖化対策を真剣に考えていないとみられてしまう。それが世界の潮流であることを、小泉氏だけでなく安倍首相らも認識する必要がある。

 海外のシンクタンクの分析では、昨年、日本は世界で最も気象災害の影響が大きかったという。気候変動対策は日本にとっても待ったなしである。安倍政権は速やかに脱石炭へと方針を転換し、本気でCO2削減に踏み出さねばならない。

(社説)気候変動会議 これでは未来が危ない より抜粋
https://www.asahi.com/articles/DA3S14297072.html?iref=editorial_backnumber

この朝日新聞の社説の結語に注目してください、「安倍政権は速やかに脱石炭へと方針を転換し、本気でCO2削減に踏み出さねばならない」と高らかに唱えています。

なんたる偽善。

あれだけ原発再稼働に反対しておいて「速やかに脱石炭へと方針を転換」と綺麗ごとを具体策の例示もなく主張するとは、なんと無責任なことか、原発再稼働なくしてどうやって「本気でCO2削減」を実現できるというのでしょうか。

そもそも、原発の再稼働が長期にわたって進まない状況下では、石炭火力を使わざるを得ません。エネルギー源の多様性確保は、日本国民の暮らしに欠かせない要件であります。

また日本が輸出する石炭火力発電所は環境性能に優れた設備で、途上国では人が生きていくための電気を必要としています。日本の石炭火力技術は安価で安定した電力を供給する能力を備えているのです。

さらに、各国が提出する自主目標として日本は2030年度までにGHG排出の26%減(13年度比)を表明済みです。

今回その上積みをCOPで求められたが、小泉氏はスルーしました。

理由は明確で、世界に先駆けて省エネを進めてきた日本にとって減らせる余地は少なく、26%削減は非常に高い目標なのです。

感情論ではなく信頼できる統計数値をもとに科学的検証に耐えうる議論をいたしましょう。

まず、『EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版』)より世界の二酸化炭素排出量を押さえておきます。

■表1:世界の二酸化炭素排出量(2016年)

順位 国名 排出量※ 割合(%)
1 中国 9,057 28.0
2 アメリ 4,833 15.0
3 インド 2,077 6.4
4 ロシア 1,439 4.5
5 日本 1,147 3.5
6 ドイツ 732 2.3
7 韓国 589 1.8
8 カナダ 541 1.7
9 インドネシア 455 1.4
10 メキシコ 446 1.4
11 ブラジル 417 1.3
12 オーストラリア 392 1.2
13 イギリス 371 1.0
14 イタリア 326 1.0
15 フランス 293 0.9
その他 9,199 28.5
各国の排出量の合計
(世界の排出量) 32,314 100.0

■図1:世界の二酸化炭素排出量(2016年)
f:id:kibashiri:20191216155120p:plain
※排出量の単位は[百万トン-エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)]
出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版
https://www.jccca.org/chart/chart03_01.html
出典より『木走日記』が図表再作成

ご覧の通り、中国、アメリカ、インド、ロシアの上位4カ国で50%を超える排出量です。
日本も5位で3.5%ですが、例えば25%削減しても、日本のシェアでは0.875%の削減効果しかありません、上位4カ国が25%削減をなしえたならば13.475%の削減効果になります、日本の15.4倍の効果です。

そもそも論になりますが、GDP上位3カ国のアメリカ・中国・日本では、世界に先駆けて省エネを進めてきた日本の省エネ技術は突出しています。

では、人口1人当たりCO2排出量を確認しておきましょう。

一般社団法人海外電力調査会のデータ集では、人口1人当たりCO2排出量と発電量1kWh当たりCO2排出量が並列で検証できます。

■図2:人口1人当たりCO2排出量(2015年)
f:id:kibashiri:20191217074718p:plain
■図3:発電量1kWh当たりCO2排出量(2015年)
f:id:kibashiri:20191217075601p:plain
出典)一般社団法人海外電力調査会 データ集
https://www.jepic.or.jp/data/g08.html
出典より『木走日記』が図表再作成

一人当たりCO2排出量は、主要国では、米国、カナダ、韓国、ロシア、日本、ドイツと続いています、またインド、中国といった人口の過多の国は当然ながら低い数値となっております。
また発電量1kWh当たりCO2排出量ですが、これは如何に効率的に発電するかの目安でありますが、効率のいい3か国ですが、カナダ、スウェーデン水力発電、フランスは原子力発電が主流なのでCO2排出を抑えることが実現できているのです。

日本の一人当たりのCO2排出量がそれほど抑えられていないのは、もちろん原子力発電がほぼ止まっており、火力発電にたよっているからです。

では、主要国の発電電力量の電源構成を比較してみましょう。

■表2:主要国の発電電力量の電源構成(2015年)

国名 石油 石炭 ガス 原子力 水力 その他
カナダ 1.2 9.8 10 15.1 56.7 7.1
米国 0.9 34.2 31.9 19.3 5.8 7.8
フランス 0.4 2.2 3.5 77.6 9.7 6.7
ドイツ 1 44.3 9.8 14.3 3 27.7
イタリア 4.8 16.1 39.4 0 16.2 23.6
英国 0.6 22.8 29.7 20.9 1.9 24
スペイン 6.2 19 18.9 20.6 10.1 25.2
スウェーデン 0.2 0.8 0.3 34.8 46.5 17.5
ロシア 0.9 14.9 49.7 18.3 15.8 0.4
インド 1.7 75.3 4.9 2.7 10 5.4
中国 0.2 70.3 2.5 2.9 19.1 5
韓国 2.3 43.1 22.4 30 0.4 1.9
日本 9 33.2 39.6 0.9 8.2 8.2

■図4:主要国の発電電力量の電源構成(2015年)
f:id:kibashiri:20191217083923p:plain
出典)一般社団法人海外電力調査会 データ集
https://www.jepic.or.jp/data/g08.html
出典より『木走日記』が図表作成

表とグラフから、石炭・石油・ガスの化石燃料と、原子力・水力・その他の化石燃料以外に各国の電源構成をまとめ直してみましょう。

■表3:主要国の発電電力量の電源構成(化石燃料比重)(2015年)

国名 化石燃料 化石以外
カナダ 21 78.9
米国 67 32.9
フランス 6.1 94
ドイツ 55.1 45
イタリア 60.3 39.8
英国 53.1 46.8
スペイン 44.1 55.9
スウェーデン 1.3 98.8
ロシア 65.5 34.5
インド 81.9 18.1
中国 73 27
韓国 67.8 32.3
日本 81.8 17.3

■図5:主要国の発電電力量の電源構成(化石燃料比重)(2015年)
f:id:kibashiri:20191217094711p:plain
出典)一般社団法人海外電力調査会 データ集
https://www.jepic.or.jp/data/g08.html
出典より『木走日記』が図表作成

御覧ください、化石燃料の比重が80%を超えているのはインドと日本だけです、突出しているのです。

震災以来原子力発電がほぼ再稼働できずにいる日本は、エネルギー効率で最後進国といわれるインドと同程度まで現状は化石燃料に頼っています、インド81.9%、日本81.8%です。

そしていま一度、図3:発電量1kWh当たりCO2排出量(2015年)をご覧にいただければ日本(540)はインド(771)に比べて
30%も発電効率が高いことがわかります。

世界シェア3.5%の日本は、原発停止の中で、インドと同じ世界最悪の化石燃料比率80%水準を超えてしまっています。

しかしその最悪の電源構成ベースの中で、発電量1kWh当たりCO2排出量の効率化を懸命に図ってきたのです。

今一度朝日新聞社説より。

 どんなに省エネや再エネの拡大に努めても、石炭火力を使い続ける限り、温暖化対策を真剣に考えていないとみられてしまう。それが世界の潮流であることを、小泉氏だけでなく安倍首相らも認識する必要がある。

まとめます。

「石炭火力を使い続ける限り、温暖化対策を真剣に考えていないとみられてしまう」(朝日社説)と批判します。

ならば、朝日新聞に逆に問う。

原発再稼働なくしてどうやって化石燃料依存率を下げることができるのか。

あれだけ原発再稼働に反対しておいて「速やかに脱石炭へと方針を転換」と綺麗ごとを具体策の例示もなく主張するとは、なんと無責任なことか、原発再稼働なくしてどうやって「本気でCO2削減」を実現できるというのでしょうか。

CO2削減を求めるならば原発再稼働を認めるべきです。

原発再稼働を認めないならば、当面C02削減は二の次に考えるべきです。

感情論ではなく信頼できる数値をもとに科学的検証に耐えうる議論をしていただきたいです。


(木走まさみず)

朝日新聞社説が讃える『川崎ヘイト条例』の問題点を検証〜この条例自身が日本人差別を内在していないか

さて、ヘイトスピーチなど差別的な言動を禁止するため、全国で初めて刑事罰を盛り込んだ条例案が12月12日、川崎市議会で可決、成立しました。市の勧告や命令に従わず、差別的な言動を3度繰り返した場合、最大50万円の罰金を科すことになるとしています。

早速、13日付け朝日新聞社説は『川崎ヘイト条例 差別許さぬ策を着実に』とのタイトルで、ヘイト条例を全面支持しています。

(社説)川崎ヘイト条例 差別許さぬ策を着実に
2019年12月13日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14292509.html?iref=editorial_backnumber

社説は、「在日コリアンが多く住」む川崎において「根絶に向けた新たな一歩が踏み出された意義は大きい」と条例成立を称えます。

 差別や排除をあおるヘイトスピーチ刑事罰を科す全国初の条例が、川崎市議会で全会一致で可決・成立した。

 16年にヘイト対策法が施行され、極端に過激な言葉を使うデモの件数は減った。一方で、手口が巧妙・陰湿化した、一部で揺り戻しがあるといった声も強く、罰則規定のない法の限界が指摘されていた。

 そんななか、在日コリアンが多く住み、そこでの反ヘイトの取り組みが3年前の対策法制定の原動力にもなった川崎市で、根絶に向けた新たな一歩が踏み出された意義は大きい。

続いて「最高で50万円の罰金が科される仕組み」を説明します。

 条例によると、公共の場所で拡声機やプラカードなどを使った差別的言動が刑事罰の対象となる。市長は有識者でつくる審査会の意見を聞いたうえで、勧告、命令を順に出し、それでも繰り返した者を刑事告発する。さらに検察と裁判所が相当と判断して初めて、最高で50万円の罰金が科される仕組みだ。

社説は、「ネット上の言動は刑事罰の対象から外されたが、この匿名性の高い空間への対処は、今後の重要な課題」と、ネット言動が対象外になってことに「重要な課題」と警鐘を鳴らします。

 川崎市の条例についても、実際に運用してみて、実効性はあるか、過度な制約が生じていないかなどを検証することが求められる。その営みが、他の自治体の条例づくりや法改正の論議に反映されるのを期待したい。今回まさに表現の自由とのかねあいから、ネット上の言動は刑事罰の対象から外されたが、この匿名性の高い空間への対処は、今後の重要な課題だ。

社説は最後に「ヘイトは、同じ社会で現に暮らす人々を日々深く傷つける」とし、「撲滅への歩みを着実に重ねていかねば」と結ばれています。

 ヘイトは、同じ社会で現に暮らす人々を日々深く傷つける。それを胸に、撲滅への歩みを着実に重ねていかねばならない。

さてこの朝日社説では一切触れられていない重要な事実が、この川崎ヘイト条例には存在しています。

この川崎ヘイト条例ですが、正式には『川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例』といい、川崎市により以下PDFファイルで公開されています。

議案第157号
川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について
http://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000112/112486/gian_157.pdf

さて朝日新聞社説は一言も触れていませんが、この条例において50万円の罰金の対象となりうる差別的行動は第12条で3つ定義されています。

第12条 何人も、市の区域内の道路、公園、広場その他の公共の場所において、拡声機(携帯用のものを含む。)を使用し、看板、プラカードその他これらに類する物を掲示し、又はビラ、パンフレットその他これらに類する物を配布することにより、本邦の域外にある国又は地域を特定し、当該国又は地域の出身であることを理由として、次に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行い、又は行わせてはならない。
⑴ 本邦外出身者(法第2条に規定する本邦外出身者をいう。以下同じ。)をその居住する地域から退去させることを煽せん動し、又は告知するもの
⑵ 本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを煽動し、又は告知するもの
⑶ 本邦外出身者を人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱するもの

その3つの差別的行動はご覧のとおり「本邦外出身者」に対する行為に限定されています。

⑴ 本邦外出身者(法第2条に規定する本邦外出身者をいう。以下同じ。)をその居住する地域から退去させることを煽せん動し、又は告知するもの
⑵ 本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを煽動し、又は告知するもの
⑶ 本邦外出身者を人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱するもの

このしばりではこの条例は事実上日本人のみをターゲットにしたものであり、逆に日本に対するヘイト行為に対して何びとの行為であろうと無罪放免野放しになるわけです。

この朝日新聞が讃える川崎ヘイト条例はそれ自身が日本人差別を内在していると考えられませんか。

刑事罰対象は、なぜ「本邦外出身者」を差別した行為に絞られる必要があるのでしょうか。

なぜ国籍でくくる必要があるのでしょうか?

偏向した条例であるといわざるを得ません。



(木走まさみず)

日本の野党には、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などない

アメリカ議会上院は11月19日、香港での人権と民主主義の確立を支援する法案を全会一致で可決しました。

この法案は、香港に高度な自治を認めた一国二制度が中国政府によって損なわれていないか検証し、抑圧に関わった中国の当局者への制裁を可能にする内容です。

(関連記事)

米議会上院 香港での人権と民主主義確立支援の法案可決
2019年11月20日 11時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/k10012183821000.html

続いて、アメリカ議会下院は12月3日、中国の新疆ウイグル自治区で多くのウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、賛成407、反対1の圧倒的多数で「ウイグル人権法案」を可決しました。

法案は、ウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に対し、制裁の発動をアメリカ政府に求めるとともに、ウイグル族の監視に使用されるおそれのあるアメリカの技術の輸出を制限する内容で、下院は同様の法案をすでに可決している上院と調整し、法案の内容や今後の手続きを決める見通しです。

(関連記事)

米議会下院「ウイグル人権法案」を可決 中国は激しく反発
2019年12月4日 12時31分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191204/k10012201661000.html

中国は猛反発しています、中国外務省の華春瑩報道官は談話を出し「中国のテロ摘発の努力を中傷する著しい内政干渉だ。強い憤慨と断固とした反対を表明する」と激しく反発しました。

そのうえで「アメリカが直ちに法案の成立を阻止し、内政干渉をやめるよう忠告する。中国は事態の進展に伴いさらなる対応を取る」として、対抗措置を取る可能性を示唆しました。

米国議会で、香港とウイグル自治区への人権法案ですが、前者が全会一致で、後者が賛成407、反対1の圧倒的多数で可決されたのは圧巻でした、その行動力はさすが米議会と評価できます。

中国政府が「内政干渉」と猛反発する制裁発動を含んだ強気の内容の法案を立て続けに全会一致近くで可決する、そのような議会は世界広で米議会だけでありましょう。

さて日本の議会はいかがでしょう。

日本維新の会が香港情勢に関して声明を出しています。

香港情勢に関する声明について
https://o-ishin.jp/news/2019/11/20/5939.html

同党は香港情勢に関する決議(案)を参議院事務総長に提出しています。

同決議(案)は、同党松沢議員のサイトでPDFファイルで公開されています。

20191204香港情勢に関する決議(案)
f:id:kibashiri:20191211155438p:plain
https://www.matsuzawa.com/wp-content/uploads/2019/12/124eb61f6dd63a595ed0ed10d5c04458.pdf

うむ、米議会法案のようなペナルティ規定はないですね、もちろん対中国への外交的配慮なのでしょうし、そもそも香港情勢で中国にペナルティを課す能力が日本政府にはありません。

しかし維新の会のこの動きは評価に値します。

維新の会にはぜひともウイグル自治区への人権侵害についても声明を出していただきたいです。

さて、その他の野党諸氏に言いたいのです、立憲民主党、国民民主党社民党、野田元首相以下旧民主残党無所属議員の皆さんです。

中国の香港における人権侵害、ウィグルにおける人権侵害、なぜ沈黙しているのですか、あなた方が大好きな「人権侵害問題」ですよ。

与党・自民党は、中国の習近平総書記を国賓として迎える予定なので、それに慮って声明を躊躇しているのは明らかです。

今野党諸氏がそろって、中国による香港とウィグルにおける人権侵害を非難し、決議案を提出すれば、安倍政権の支持層中核の保守層に響くことは間違いないのです。

野党の出した対中国決議案に安倍政権側が習近平国家主席国賓訪日を理由に沈黙するとすれば、これ以上ないほどの安倍政権を追い込めるチャンスなのです。

読者の皆さん。

予言しましょう。

立憲民主ほか野党は本件で沈黙を守り続けることでしょう。

今の野党には桜の会とかどうでもいい小言で政権の足を引っ張ることには熱心ですが、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などないからです。

だから安倍政権はいつまでも安泰なのです。



(木走まさみず)

先鋭化するネット世論の二極化とそれを招いた理由

長年メディアをウオッチし続けてきた当ブログですが、安倍政権が長期に渡り継続する中で、新聞の論説の二極化が先鋭化してきたと感じています。

もちろん、朝日、毎日、東京が左派・リベラルで、読売・産経・日経が右派:保守派の論調と、安倍政権以前から分かれていたのはご承知の通りですが、ここへ来て、安倍政権支持・不支持のその論説が先鋭化・絶対化してきたと、日々の新聞を読んで分析しているとつくづく感じるのです。

今回は安倍長期政権下で二極化が進むマスメディアについて検証してまいりましょう。

9日に臨時国会が閉幕しましたのを主要6紙の社説が取り上げています。

興味深いことに、朝日、毎日、東京の左派も、読売・産経・日経の右派も全紙がお怒りモードなのです。

ただし怒りの矛先が異なります。

まず左派・リベラル派の社説。

朝日新聞社説】臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい
https://www.asahi.com/articles/DA3S14288219.html?iref=editorial_backnumber
毎日新聞社説】臨時国会が閉会 長期政権のひずみ一段と
https://mainichi.jp/articles/20191210/ddm/005/070/146000c
東京新聞社説】臨時国会閉会 行政監視果たさぬまま
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019121002000152.html

何にお怒りなのか、それぞれの社説の冒頭を列挙すれば、浮き彫りになります。

朝日新聞社説】
 説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった観がある。

 臨時国会が閉幕した。野党は「桜を見る会」をめぐる一連の問題を究明するため、会期を40日間延長する動議を提出したが、与党の反対で否決された。

毎日新聞社説】
 「桜を見る会」をめぐる疑惑に揺れた臨時国会が、きのう閉会した。

 異例と言える野党の会期延長要求を、与党が拒んだのは、疑惑の早期幕引きを安倍晋三首相や自民党が狙ったからにほかならない。

東京新聞社説】
 臨時国会が閉会した。六十七日間の会期を振り返ると、さまざまな疑惑や疑問は解明されないままだ。国会は行政監視や国政の調査という機能を有するが、その責任を果たしたとはとても言えない。

ごらんの通り左派の論説は、安倍政権の対応に批判が集中しています、朝日の冒頭の一文、「説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった観がある」これが象徴的であります。

一方の右派・保守派の社説。

読売新聞社説】臨時国会閉幕へ 政策論議の劣化を懸念する
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191207-OYT1T50276/
産経新聞社説】臨時国会閉幕 役割果たしたとは言えぬ
https://www.sankei.com/column/news/191210/clm1912100002-n1.html
日経新聞社説】懸案の先送りを続ける国会では困る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53124990Z01C19A2SHF000/

何にお怒りなのか、こちらも平等を期してそれぞれの社説の冒頭を列挙してみましょう。

読売新聞社説】
 不祥事の追及に労力を費やし、与野党政策論争は深まりを欠いた。憂うべき事態である。

 臨時国会は、9日に会期末を迎える。政府が重視した日米貿易協定は承認された。農産品などの関税を撤廃・削減する。

産経新聞社説】
 臨時国会が終わった。帝国議会から国会へ衣替えして200回の節目だったが、国会本来の役割を十分果たせたと言えないのは残念である。

 日米貿易協定をめぐっては、活発な論戦もあった。大学入試共通テストの議論は英語民間検定試験導入の見送りにつながった。だが、それで満足してもらっては困る。

日経新聞社説】
国家的課題への議論を深め、合意点を見いだすのが立法府の仕事のはずだ。67日間に及んだ臨時国会与野党の対立ばかりが際立ち、重要な政策論争は後回しとなった。憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案は採決がまたも見送られ、各党の調整力不足を露呈する結果となった。

右派の論説は安倍政権にではなく国会の有り様を批判しています、読売の冒頭の一文、「不祥事の追及に労力を費やし、与野党政策論争は深まりを欠いた。憂うべき事態である」これが象徴的であります。

興味深いのは、朝日・毎日・東京の主張が、ほぼ安倍政権批判一色なのに対し。読売・産経・日経は、議論が深まらない国会の有り様を批判していますので、もちろん野党批判に主眼を置いてはいますが、安倍政権批判も含まれています。

例えば【産経新聞社説】は、政権に対して「ゆるみが目立った」「説明責任が今も果たされていない」と批判することも忘れてはいません。

産経新聞社説】
 安倍晋三首相は在任記録が最長になったが、政権のゆるみが目立った。不祥事で重要閣僚2人が辞任した。説明責任が今も果たされていないのはどうしたことか。

いずれにせよ、朝日・毎日・東京の徹底的な安倍政権批判、対して読売・産経・日経の安倍政権擁護、それぞれの政治的な傾斜をより先鋭化させているのは、この社説群を検証してもはっきりあらわれています。

長期安倍政権がマスメディアの二極化を招いたのは何故か。
私が分析する限り先に先鋭化したのは、朝日を代表とするリベラル派です、民主党政権の崩壊と、長期に渡る保守安倍政権の継続(自民の国政選挙6連勝)は、リベラル派にある種の虚無感をもたらし、政権を奪取する気構えを失い、モリカケ・さくらの会と本質的ではない揚げ足取り政権批判に終始するようになります。
そのような左派の先鋭化を受け、右派メディアは政権の問題点は認めながら、左派の先鋭化をたしなめる様に、本質的議論を促します、問題はそこではないだろう、と。
しかしその姿勢は相対的に先鋭化する左派の論説と対立していきます。
結果長期安倍政権のもとでマスメディアの二極化が表出いたします。
読者や視聴者は、マスメディアの報道とは「そういうモノだ」と認識するようになり、自分の政治的な性向に合ったような記事を載せているメディアやサイトを選択し、自分の気に入った記事しか支持しなくなり、そういう記事しか読まない事で、右にせよ左にせよ、読者自身も次第にその立場が先鋭化して、お互いに「ネトウヨ」「パヨク」とののしり合うようになります。
読者や視聴者は、新聞紙という紙媒体やテレビの画面を離れ、より選択の自由度と幅が広いネットという世界に不可逆的に移行していっている中で、世論二極化も進行し始めているとも言えないでしょうか?
ネット上の政治的意見・評価も二極化してしまっています。
ちなみに、この先鋭化するネット世論の二極化が、BLOGOSのコメント欄廃止方針にも影響を与えているかもしれません。

安倍政権の政策を少しでも支持すれば「ネトウヨ」、少しでも批判すれば「パヨク」とレッテルがはられてしまいます。

私は自分の政治的立ち位置を「プチリベラルのナショナリスト」と自称していましたが、今では恥ずかしくて自称するのをやめてます。

ネット上ではすっかりネトウヨ・安倍政権信者の『木走日記』とレッテルいただいている(苦笑)わけです。

ふう。





(木走まさみず)

BLOGOS編集部の再考を期待したい~コメント欄廃止でネットの特性を弱めるのは危険な方針

さて私・木走まさみずがネット言論空間に初参加したのは、いまは廃刊になりましたが「インターネット新聞JANJAN」の市民記者登録をしたのがきっかけでした、16年前です。

元朝日新聞社出身の編集長のもとで、「インターネット新聞JANJAN」に掲載される記事はかなり反政府・反権力的に偏向していました。

事実検証の弱い記事でも反権力であれば大抵掲載されていました。

編集部の言う事を聞かない不良(?)記者である私は、JANJAN編集部と衝突を繰り返します。

やがて私はJANJANのコメント欄や掲示板を通じてJANJAN編集部と激しく論争する、「反逆グループ」のリーダー(?)のような役回りになりました。

そして私は事実上締め出しにあいます、出入り禁止です。

そしてJANJANは実名以外のコメント欄書き込みを禁止いたします。

当時「市民メディア」などと呼称されていましたが、老舗のJANJAN廃刊は、後発の「オーマイニュース日本版」「ツカサネット新聞」に続いての廃刊となりました。

興味深いのは「オーマイニュース日本版」も廃刊までの道のりが、JANJANと酷似していたことです、やや荒れ気味のコメント欄を年俸3000万円で乗り込んだ鳥越俊太郎編集長の「鶴の一声」で匿名コメントはオミット、実名のみ掲示と制約を設けます。

利用者は激減、あっという間に「オーマイニュース日本版」は廃刊に追い込まれました。

さて、提携先のBLOGOSが、来年1月いっぱいでコメント書き込み機能を停止する旨通知しています。

編集部からのお知らせ
記事のコメント欄について
12月05日 12:49

BLOGOSでは、2020年1月31日をもって、記事ページのコメント書き込み機能を停止いたします。停止前のコメントは1月31日以降もPC版BLOGOSから閲覧できますが、新規の書き込みやコメントに対する支持、通報などは不可能となります。

また、これに伴い、記事ページではFacebookコメントプラグインを用いてのコメント機能を提供いたします。なお、議論ページについては従来通りご利用いただけます。

ユーザーの皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
https://blogos.com/

うーん、これはおそらくLINEの中でのBLOGOSの位置付けにも影響があるような大きな決断であります。

マネタイズ、収益性の面でBLOGOS単体ではあまり儲かってはいないのかも(失礼)知れませんが、母体のLINEの売り上げがしっかりしているので運営上の支障はないと思うのですが・・・

何か方針が変わったのかも知れません。

しかし、私の個人的経験で語らせていただければ、コメント欄の廃止はウェブサイトにとり、滅びの呪文”バルス”を唱えたようなものなのであります。

少しメディア論をお許しください。

広告市場規模ではネットの躍進と既存メディアの斜陽傾向が止まりません。

来年ネット広告はテレビをも抜いて広告媒体のトップとなることでしょう。

新聞やTVなど既存マスメディアはネットの媒体としてのその真の特性を理解していません。

ネットの媒体としての最大の特徴はそのインタラクティブ性にこそあります。

このSNSが普及した時代。情報発信はマス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の独占物ではなくなりつつあります。

考えてみれば一般大衆に情報発信するマスメディアのジャーナリズムなど、教員や医師のように免許がいるわけでもなく、何の資格も必要としない職業なのであり、本来社会の誰でも情報発信可能なものである性質だったのが、新聞・ラジオ・TVと既存のマスメディアは、放送電波の免許や独禁法例外の新聞再販制度などで、幾重にも法により守られた選ばれた「特権階級」として情報発信を独占してきただけです。

旧来のメディアは限られた情報発信手段を独占し、新聞は「大衆」に情報を一方的に発行、TV・ラジオは「大衆」に情報を一方的に放送、情報は「特権階級」であるメディア・「ジャーナリスト」から一般大衆に一方通行に発信されるものでありました。

ネットの普及により情報の流れは革命的な変化をいたしました。

今日のネットの技術革新は、ネット上の情報発信を完全にインタラクティブな双方向性、すなわちネット参加者のすべての人に情報発信能力を与えたのです。

ネットメディアでは、情報発信者が起こした記事は、コメント欄やツイッターなどのSNS、ブックマーク、トラックバック、あらゆる手段で読者の意見がぶつけられていきます。

アマゾンの商品レビューしかり、ネットメディアの記事ページしかり、ネット情報は完全に双方向性を有しており、リアルタイムに会話的に情報のキャッチボールが可能となった初めての媒体、それがネットなのです。

ネットでは情報発信はマスメディアの独占物ではなくなった、唯一の情報発信者としての「特権階級」だったマスメディアのその独占的利権が、インターネットにより今崩れ去ろうとしているわけです。

このような大きな流れの中で、必然的に媒体としてネットが勃興し旧マスメディアが衰退しつつあるのであり、その広告市場が逆転するのも必然なのであります。

その流れの中でです。

ネットのメディアとしての最大の特質である、全員がリアルに情報発信可能である、「全員参加」型メディアを、コメント欄廃止という手段でその特性を弱めるのはサイトとしては危険な方針だと言わざるを得ません。

Facebookコメントプラグインを用意するとのことですが、これは過去の市民メディアが失敗してきたコメント欄実名制とニヤイコール、ほぼ同値の策ではないでしょうか。

BLOGOS編集部の再考を期待したいです。



(木走まさみず)