木走日記

場末の時事評論

朝日新聞社説が讃える『川崎ヘイト条例』の問題点を検証〜この条例自身が日本人差別を内在していないか

さて、ヘイトスピーチなど差別的な言動を禁止するため、全国で初めて刑事罰を盛り込んだ条例案が12月12日、川崎市議会で可決、成立しました。市の勧告や命令に従わず、差別的な言動を3度繰り返した場合、最大50万円の罰金を科すことになるとしています。

早速、13日付け朝日新聞社説は『川崎ヘイト条例 差別許さぬ策を着実に』とのタイトルで、ヘイト条例を全面支持しています。

(社説)川崎ヘイト条例 差別許さぬ策を着実に
2019年12月13日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14292509.html?iref=editorial_backnumber

社説は、「在日コリアンが多く住」む川崎において「根絶に向けた新たな一歩が踏み出された意義は大きい」と条例成立を称えます。

 差別や排除をあおるヘイトスピーチ刑事罰を科す全国初の条例が、川崎市議会で全会一致で可決・成立した。

 16年にヘイト対策法が施行され、極端に過激な言葉を使うデモの件数は減った。一方で、手口が巧妙・陰湿化した、一部で揺り戻しがあるといった声も強く、罰則規定のない法の限界が指摘されていた。

 そんななか、在日コリアンが多く住み、そこでの反ヘイトの取り組みが3年前の対策法制定の原動力にもなった川崎市で、根絶に向けた新たな一歩が踏み出された意義は大きい。

続いて「最高で50万円の罰金が科される仕組み」を説明します。

 条例によると、公共の場所で拡声機やプラカードなどを使った差別的言動が刑事罰の対象となる。市長は有識者でつくる審査会の意見を聞いたうえで、勧告、命令を順に出し、それでも繰り返した者を刑事告発する。さらに検察と裁判所が相当と判断して初めて、最高で50万円の罰金が科される仕組みだ。

社説は、「ネット上の言動は刑事罰の対象から外されたが、この匿名性の高い空間への対処は、今後の重要な課題」と、ネット言動が対象外になってことに「重要な課題」と警鐘を鳴らします。

 川崎市の条例についても、実際に運用してみて、実効性はあるか、過度な制約が生じていないかなどを検証することが求められる。その営みが、他の自治体の条例づくりや法改正の論議に反映されるのを期待したい。今回まさに表現の自由とのかねあいから、ネット上の言動は刑事罰の対象から外されたが、この匿名性の高い空間への対処は、今後の重要な課題だ。

社説は最後に「ヘイトは、同じ社会で現に暮らす人々を日々深く傷つける」とし、「撲滅への歩みを着実に重ねていかねば」と結ばれています。

 ヘイトは、同じ社会で現に暮らす人々を日々深く傷つける。それを胸に、撲滅への歩みを着実に重ねていかねばならない。

さてこの朝日社説では一切触れられていない重要な事実が、この川崎ヘイト条例には存在しています。

この川崎ヘイト条例ですが、正式には『川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例』といい、川崎市により以下PDFファイルで公開されています。

議案第157号
川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について
http://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000112/112486/gian_157.pdf

さて朝日新聞社説は一言も触れていませんが、この条例において50万円の罰金の対象となりうる差別的行動は第12条で3つ定義されています。

第12条 何人も、市の区域内の道路、公園、広場その他の公共の場所において、拡声機(携帯用のものを含む。)を使用し、看板、プラカードその他これらに類する物を掲示し、又はビラ、パンフレットその他これらに類する物を配布することにより、本邦の域外にある国又は地域を特定し、当該国又は地域の出身であることを理由として、次に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行い、又は行わせてはならない。
⑴ 本邦外出身者(法第2条に規定する本邦外出身者をいう。以下同じ。)をその居住する地域から退去させることを煽せん動し、又は告知するもの
⑵ 本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを煽動し、又は告知するもの
⑶ 本邦外出身者を人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱するもの

その3つの差別的行動はご覧のとおり「本邦外出身者」に対する行為に限定されています。

⑴ 本邦外出身者(法第2条に規定する本邦外出身者をいう。以下同じ。)をその居住する地域から退去させることを煽せん動し、又は告知するもの
⑵ 本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを煽動し、又は告知するもの
⑶ 本邦外出身者を人以外のものにたとえるなど、著しく侮辱するもの

このしばりではこの条例は事実上日本人のみをターゲットにしたものであり、逆に日本に対するヘイト行為に対して何びとの行為であろうと無罪放免野放しになるわけです。

この朝日新聞が讃える川崎ヘイト条例はそれ自身が日本人差別を内在していると考えられませんか。

刑事罰対象は、なぜ「本邦外出身者」を差別した行為に絞られる必要があるのでしょうか。

なぜ国籍でくくる必要があるのでしょうか?

偏向した条例であるといわざるを得ません。



(木走まさみず)

日本の野党には、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などない

アメリカ議会上院は11月19日、香港での人権と民主主義の確立を支援する法案を全会一致で可決しました。

この法案は、香港に高度な自治を認めた一国二制度が中国政府によって損なわれていないか検証し、抑圧に関わった中国の当局者への制裁を可能にする内容です。

(関連記事)

米議会上院 香港での人権と民主主義確立支援の法案可決
2019年11月20日 11時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/k10012183821000.html

続いて、アメリカ議会下院は12月3日、中国の新疆ウイグル自治区で多くのウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、賛成407、反対1の圧倒的多数で「ウイグル人権法案」を可決しました。

法案は、ウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に対し、制裁の発動をアメリカ政府に求めるとともに、ウイグル族の監視に使用されるおそれのあるアメリカの技術の輸出を制限する内容で、下院は同様の法案をすでに可決している上院と調整し、法案の内容や今後の手続きを決める見通しです。

(関連記事)

米議会下院「ウイグル人権法案」を可決 中国は激しく反発
2019年12月4日 12時31分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191204/k10012201661000.html

中国は猛反発しています、中国外務省の華春瑩報道官は談話を出し「中国のテロ摘発の努力を中傷する著しい内政干渉だ。強い憤慨と断固とした反対を表明する」と激しく反発しました。

そのうえで「アメリカが直ちに法案の成立を阻止し、内政干渉をやめるよう忠告する。中国は事態の進展に伴いさらなる対応を取る」として、対抗措置を取る可能性を示唆しました。

米国議会で、香港とウイグル自治区への人権法案ですが、前者が全会一致で、後者が賛成407、反対1の圧倒的多数で可決されたのは圧巻でした、その行動力はさすが米議会と評価できます。

中国政府が「内政干渉」と猛反発する制裁発動を含んだ強気の内容の法案を立て続けに全会一致近くで可決する、そのような議会は世界広で米議会だけでありましょう。

さて日本の議会はいかがでしょう。

日本維新の会が香港情勢に関して声明を出しています。

香港情勢に関する声明について
https://o-ishin.jp/news/2019/11/20/5939.html

同党は香港情勢に関する決議(案)を参議院事務総長に提出しています。

同決議(案)は、同党松沢議員のサイトでPDFファイルで公開されています。

20191204香港情勢に関する決議(案)
f:id:kibashiri:20191211155438p:plain
https://www.matsuzawa.com/wp-content/uploads/2019/12/124eb61f6dd63a595ed0ed10d5c04458.pdf

うむ、米議会法案のようなペナルティ規定はないですね、もちろん対中国への外交的配慮なのでしょうし、そもそも香港情勢で中国にペナルティを課す能力が日本政府にはありません。

しかし維新の会のこの動きは評価に値します。

維新の会にはぜひともウイグル自治区への人権侵害についても声明を出していただきたいです。

さて、その他の野党諸氏に言いたいのです、立憲民主党、国民民主党社民党、野田元首相以下旧民主残党無所属議員の皆さんです。

中国の香港における人権侵害、ウィグルにおける人権侵害、なぜ沈黙しているのですか、あなた方が大好きな「人権侵害問題」ですよ。

与党・自民党は、中国の習近平総書記を国賓として迎える予定なので、それに慮って声明を躊躇しているのは明らかです。

今野党諸氏がそろって、中国による香港とウィグルにおける人権侵害を非難し、決議案を提出すれば、安倍政権の支持層中核の保守層に響くことは間違いないのです。

野党の出した対中国決議案に安倍政権側が習近平国家主席国賓訪日を理由に沈黙するとすれば、これ以上ないほどの安倍政権を追い込めるチャンスなのです。

読者の皆さん。

予言しましょう。

立憲民主ほか野党は本件で沈黙を守り続けることでしょう。

今の野党には桜の会とかどうでもいい小言で政権の足を引っ張ることには熱心ですが、国益もかかる外交・安全保障面で、ロジカルに安倍政権を追い詰める戦略を描く能力などないからです。

だから安倍政権はいつまでも安泰なのです。



(木走まさみず)

先鋭化するネット世論の二極化とそれを招いた理由

長年メディアをウオッチし続けてきた当ブログですが、安倍政権が長期に渡り継続する中で、新聞の論説の二極化が先鋭化してきたと感じています。

もちろん、朝日、毎日、東京が左派・リベラルで、読売・産経・日経が右派:保守派の論調と、安倍政権以前から分かれていたのはご承知の通りですが、ここへ来て、安倍政権支持・不支持のその論説が先鋭化・絶対化してきたと、日々の新聞を読んで分析しているとつくづく感じるのです。

今回は安倍長期政権下で二極化が進むマスメディアについて検証してまいりましょう。

9日に臨時国会が閉幕しましたのを主要6紙の社説が取り上げています。

興味深いことに、朝日、毎日、東京の左派も、読売・産経・日経の右派も全紙がお怒りモードなのです。

ただし怒りの矛先が異なります。

まず左派・リベラル派の社説。

朝日新聞社説】臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい
https://www.asahi.com/articles/DA3S14288219.html?iref=editorial_backnumber
毎日新聞社説】臨時国会が閉会 長期政権のひずみ一段と
https://mainichi.jp/articles/20191210/ddm/005/070/146000c
東京新聞社説】臨時国会閉会 行政監視果たさぬまま
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019121002000152.html

何にお怒りなのか、それぞれの社説の冒頭を列挙すれば、浮き彫りになります。

朝日新聞社説】
 説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった観がある。

 臨時国会が閉幕した。野党は「桜を見る会」をめぐる一連の問題を究明するため、会期を40日間延長する動議を提出したが、与党の反対で否決された。

毎日新聞社説】
 「桜を見る会」をめぐる疑惑に揺れた臨時国会が、きのう閉会した。

 異例と言える野党の会期延長要求を、与党が拒んだのは、疑惑の早期幕引きを安倍晋三首相や自民党が狙ったからにほかならない。

東京新聞社説】
 臨時国会が閉会した。六十七日間の会期を振り返ると、さまざまな疑惑や疑問は解明されないままだ。国会は行政監視や国政の調査という機能を有するが、その責任を果たしたとはとても言えない。

ごらんの通り左派の論説は、安倍政権の対応に批判が集中しています、朝日の冒頭の一文、「説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった観がある」これが象徴的であります。

一方の右派・保守派の社説。

読売新聞社説】臨時国会閉幕へ 政策論議の劣化を懸念する
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191207-OYT1T50276/
産経新聞社説】臨時国会閉幕 役割果たしたとは言えぬ
https://www.sankei.com/column/news/191210/clm1912100002-n1.html
日経新聞社説】懸案の先送りを続ける国会では困る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53124990Z01C19A2SHF000/

何にお怒りなのか、こちらも平等を期してそれぞれの社説の冒頭を列挙してみましょう。

読売新聞社説】
 不祥事の追及に労力を費やし、与野党政策論争は深まりを欠いた。憂うべき事態である。

 臨時国会は、9日に会期末を迎える。政府が重視した日米貿易協定は承認された。農産品などの関税を撤廃・削減する。

産経新聞社説】
 臨時国会が終わった。帝国議会から国会へ衣替えして200回の節目だったが、国会本来の役割を十分果たせたと言えないのは残念である。

 日米貿易協定をめぐっては、活発な論戦もあった。大学入試共通テストの議論は英語民間検定試験導入の見送りにつながった。だが、それで満足してもらっては困る。

日経新聞社説】
国家的課題への議論を深め、合意点を見いだすのが立法府の仕事のはずだ。67日間に及んだ臨時国会与野党の対立ばかりが際立ち、重要な政策論争は後回しとなった。憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案は採決がまたも見送られ、各党の調整力不足を露呈する結果となった。

右派の論説は安倍政権にではなく国会の有り様を批判しています、読売の冒頭の一文、「不祥事の追及に労力を費やし、与野党政策論争は深まりを欠いた。憂うべき事態である」これが象徴的であります。

興味深いのは、朝日・毎日・東京の主張が、ほぼ安倍政権批判一色なのに対し。読売・産経・日経は、議論が深まらない国会の有り様を批判していますので、もちろん野党批判に主眼を置いてはいますが、安倍政権批判も含まれています。

例えば【産経新聞社説】は、政権に対して「ゆるみが目立った」「説明責任が今も果たされていない」と批判することも忘れてはいません。

産経新聞社説】
 安倍晋三首相は在任記録が最長になったが、政権のゆるみが目立った。不祥事で重要閣僚2人が辞任した。説明責任が今も果たされていないのはどうしたことか。

いずれにせよ、朝日・毎日・東京の徹底的な安倍政権批判、対して読売・産経・日経の安倍政権擁護、それぞれの政治的な傾斜をより先鋭化させているのは、この社説群を検証してもはっきりあらわれています。

長期安倍政権がマスメディアの二極化を招いたのは何故か。
私が分析する限り先に先鋭化したのは、朝日を代表とするリベラル派です、民主党政権の崩壊と、長期に渡る保守安倍政権の継続(自民の国政選挙6連勝)は、リベラル派にある種の虚無感をもたらし、政権を奪取する気構えを失い、モリカケ・さくらの会と本質的ではない揚げ足取り政権批判に終始するようになります。
そのような左派の先鋭化を受け、右派メディアは政権の問題点は認めながら、左派の先鋭化をたしなめる様に、本質的議論を促します、問題はそこではないだろう、と。
しかしその姿勢は相対的に先鋭化する左派の論説と対立していきます。
結果長期安倍政権のもとでマスメディアの二極化が表出いたします。
読者や視聴者は、マスメディアの報道とは「そういうモノだ」と認識するようになり、自分の政治的な性向に合ったような記事を載せているメディアやサイトを選択し、自分の気に入った記事しか支持しなくなり、そういう記事しか読まない事で、右にせよ左にせよ、読者自身も次第にその立場が先鋭化して、お互いに「ネトウヨ」「パヨク」とののしり合うようになります。
読者や視聴者は、新聞紙という紙媒体やテレビの画面を離れ、より選択の自由度と幅が広いネットという世界に不可逆的に移行していっている中で、世論二極化も進行し始めているとも言えないでしょうか?
ネット上の政治的意見・評価も二極化してしまっています。
ちなみに、この先鋭化するネット世論の二極化が、BLOGOSのコメント欄廃止方針にも影響を与えているかもしれません。

安倍政権の政策を少しでも支持すれば「ネトウヨ」、少しでも批判すれば「パヨク」とレッテルがはられてしまいます。

私は自分の政治的立ち位置を「プチリベラルのナショナリスト」と自称していましたが、今では恥ずかしくて自称するのをやめてます。

ネット上ではすっかりネトウヨ・安倍政権信者の『木走日記』とレッテルいただいている(苦笑)わけです。

ふう。





(木走まさみず)

BLOGOS編集部の再考を期待したい~コメント欄廃止でネットの特性を弱めるのは危険な方針

さて私・木走まさみずがネット言論空間に初参加したのは、いまは廃刊になりましたが「インターネット新聞JANJAN」の市民記者登録をしたのがきっかけでした、16年前です。

元朝日新聞社出身の編集長のもとで、「インターネット新聞JANJAN」に掲載される記事はかなり反政府・反権力的に偏向していました。

事実検証の弱い記事でも反権力であれば大抵掲載されていました。

編集部の言う事を聞かない不良(?)記者である私は、JANJAN編集部と衝突を繰り返します。

やがて私はJANJANのコメント欄や掲示板を通じてJANJAN編集部と激しく論争する、「反逆グループ」のリーダー(?)のような役回りになりました。

そして私は事実上締め出しにあいます、出入り禁止です。

そしてJANJANは実名以外のコメント欄書き込みを禁止いたします。

当時「市民メディア」などと呼称されていましたが、老舗のJANJAN廃刊は、後発の「オーマイニュース日本版」「ツカサネット新聞」に続いての廃刊となりました。

興味深いのは「オーマイニュース日本版」も廃刊までの道のりが、JANJANと酷似していたことです、やや荒れ気味のコメント欄を年俸3000万円で乗り込んだ鳥越俊太郎編集長の「鶴の一声」で匿名コメントはオミット、実名のみ掲示と制約を設けます。

利用者は激減、あっという間に「オーマイニュース日本版」は廃刊に追い込まれました。

さて、提携先のBLOGOSが、来年1月いっぱいでコメント書き込み機能を停止する旨通知しています。

編集部からのお知らせ
記事のコメント欄について
12月05日 12:49

BLOGOSでは、2020年1月31日をもって、記事ページのコメント書き込み機能を停止いたします。停止前のコメントは1月31日以降もPC版BLOGOSから閲覧できますが、新規の書き込みやコメントに対する支持、通報などは不可能となります。

また、これに伴い、記事ページではFacebookコメントプラグインを用いてのコメント機能を提供いたします。なお、議論ページについては従来通りご利用いただけます。

ユーザーの皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
https://blogos.com/

うーん、これはおそらくLINEの中でのBLOGOSの位置付けにも影響があるような大きな決断であります。

マネタイズ、収益性の面でBLOGOS単体ではあまり儲かってはいないのかも(失礼)知れませんが、母体のLINEの売り上げがしっかりしているので運営上の支障はないと思うのですが・・・

何か方針が変わったのかも知れません。

しかし、私の個人的経験で語らせていただければ、コメント欄の廃止はウェブサイトにとり、滅びの呪文”バルス”を唱えたようなものなのであります。

少しメディア論をお許しください。

広告市場規模ではネットの躍進と既存メディアの斜陽傾向が止まりません。

来年ネット広告はテレビをも抜いて広告媒体のトップとなることでしょう。

新聞やTVなど既存マスメディアはネットの媒体としてのその真の特性を理解していません。

ネットの媒体としての最大の特徴はそのインタラクティブ性にこそあります。

このSNSが普及した時代。情報発信はマス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の独占物ではなくなりつつあります。

考えてみれば一般大衆に情報発信するマスメディアのジャーナリズムなど、教員や医師のように免許がいるわけでもなく、何の資格も必要としない職業なのであり、本来社会の誰でも情報発信可能なものである性質だったのが、新聞・ラジオ・TVと既存のマスメディアは、放送電波の免許や独禁法例外の新聞再販制度などで、幾重にも法により守られた選ばれた「特権階級」として情報発信を独占してきただけです。

旧来のメディアは限られた情報発信手段を独占し、新聞は「大衆」に情報を一方的に発行、TV・ラジオは「大衆」に情報を一方的に放送、情報は「特権階級」であるメディア・「ジャーナリスト」から一般大衆に一方通行に発信されるものでありました。

ネットの普及により情報の流れは革命的な変化をいたしました。

今日のネットの技術革新は、ネット上の情報発信を完全にインタラクティブな双方向性、すなわちネット参加者のすべての人に情報発信能力を与えたのです。

ネットメディアでは、情報発信者が起こした記事は、コメント欄やツイッターなどのSNS、ブックマーク、トラックバック、あらゆる手段で読者の意見がぶつけられていきます。

アマゾンの商品レビューしかり、ネットメディアの記事ページしかり、ネット情報は完全に双方向性を有しており、リアルタイムに会話的に情報のキャッチボールが可能となった初めての媒体、それがネットなのです。

ネットでは情報発信はマスメディアの独占物ではなくなった、唯一の情報発信者としての「特権階級」だったマスメディアのその独占的利権が、インターネットにより今崩れ去ろうとしているわけです。

このような大きな流れの中で、必然的に媒体としてネットが勃興し旧マスメディアが衰退しつつあるのであり、その広告市場が逆転するのも必然なのであります。

その流れの中でです。

ネットのメディアとしての最大の特質である、全員がリアルに情報発信可能である、「全員参加」型メディアを、コメント欄廃止という手段でその特性を弱めるのはサイトとしては危険な方針だと言わざるを得ません。

Facebookコメントプラグインを用意するとのことですが、これは過去の市民メディアが失敗してきたコメント欄実名制とニヤイコール、ほぼ同値の策ではないでしょうか。

BLOGOS編集部の再考を期待したいです。



(木走まさみず)

「食料品など」と軽減税率から「新聞」を隠す姑息な朝日新聞世論調査

さて消費税率が10%に増税されて2ヶ月が経ちました。

朝日新聞が行なった世論調査では、消費増税に「納得」54%とあります。

消費増税に「納得」54% 景気への悪影響「不安」61% 朝日新聞社世論調査
https://www.asahi.com/articles/DA3S14226785.html?iref=pc_ss_date

記事では「食料品などの税率を8%に据え置いた軽減税率を「評価する」は58%、「評価しない」は33%だった」とあります。

姑息な調査です。

「食料品など」とごまかしていますが、はっきり「食料品と新聞」と読者に示さなければなりません。

それにしても私のまわりでは、軽減税率の評判がすこぶるよろしくないわけですが、食料品は生活必需品とのことで8%据え置きとなったわけですが、どうにも我々消費者が納得がいかないのが食料品と並んで紙の新聞も軽減税率対象となっていることです。

軽減税率の評価は「食料品」と「新聞」に分けて個別に世論調査すべきです。

紙の新聞って、生活必需品でしたっけ?

日本新聞協会のサイトでは6年前の『軽減税率を求める声明』が、恥ずかしげもなく今でも参照できます、新聞=知識といううぬぼれた論理で「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」と高々と表明しています。

軽減税率を求める声明
2013年1月15日

 日本新聞協会は、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求める。

 知識への課税強化は国の力を衰退させかねないほか、欧州では民主主義を支える公共財として新聞などの活字媒体には課税しないという共通認識がある。民主主義社会の健全な発展と国民生活に寄与する新聞を、全国どこでも容易に購読できる環境を維持することが重要である。

 付加価値税の標準税率が二桁を超える欧州でも、新聞に対する税率は、英国、ベルギー、デンマークノルウェーはゼロ税率となっているほか、フランス2.1%、スペイン・イタリア4%、ドイツ7%など、主要国では一桁に抑えられている。新聞協会が昨年11月に実施した調査でも、8割を超える国民が軽減税率の導入を求め、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいる。

 また、国民に知識、教養を普及する役割を果たしている書籍、雑誌、電子媒体にも同様の措置をとることが望ましい。

https://www.pressnet.or.jp/statement/130115_2234.html

一歩譲って「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」のが事実であったとしても、その知識の代表媒体が紙の新聞であるとのうぬぼれ、誤った自負心はなんとかなりませんでしょうか。

日本新聞協会の誤った主張をもはや紙の新聞など知識の代表媒体などではないことを徹底的に反証しておきましょう。

国民がいかに紙の新聞を必要としていないのか、他ならぬ日本新聞協会の資料で確認いたしましょう。

2000年〜2018年のこの19年間に、53,708,831部から、39,901,576部へと、実に1380万部も発行部数を減らしているのです。

■表1:新聞の発行部数の推移

発行部数
2000年 53,708,831
2001年 53,680,753
2002年 53,198,444
2003年 52,874,959
2004年 53,021,564
2005年 52,568,032
2006年 52,310,478
2007年 52,028,671
2008年 51,491,409
2009年 50,352,831
2010年 49,321,840
2011年 48,345,304
2012年 47,777,913
2013年 46,999,468
2014年 45,362,672
2015年 44,246,688
2016年 43,276,147
2017年 42,128,189
2018年 39,901,576

■図1:新聞の発行部数の推移
f:id:kibashiri:20191207125222p:plain
https://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php

この19年間で25%も紙の新聞は販売部数を落としています。

しかもグラフを細かく分析してみれば、その減少率が明らかに年を追うごとに加速していることがわかります。

発行部数の対前年減少率をグラフにしてみましょう。

■表2:新聞の発行部数対前年減少率の推移

発行部数 対前年減少率
2000年 53,708,831 -.--
2001年 53,680,753 0.05
2002年 53,198,444 0.90
2003年 52,874,959 0.61
2004年 53,021,564 -0.28
2005年 52,568,032 0.86
2006年 52,310,478 0.49
2007年 52,028,671 0.54
2008年 51,491,409 1.03
2009年 50,352,831 2.21
2010年 49,321,840 2.04
2011年 48,345,304 1.98
2012年 47,777,913 1.17
2013年 46,999,468 1.63
2014年 45,362,672 3.48
2015年 44,246,688 2,46
2016年 43,276,147 2,19
2017年 42,128,189 2.65
2018年 39,901,576 5,29

■図2:新聞の発行部数対前年減少率の推移
f:id:kibashiri:20191207140727p:plain

この19年間にわたる減少率の増大は異常値といっても過言ではありません、そして近年悪化の一途をたどっています、直近の2018年では、前年度5.29%減、この一年だけで220万部以上も減少しています。

滝を落ちるが如く部数の減少が止まらない新聞業界なのです。

この媒体のどこが「知識への課税強化は国の力を衰退させかねない」主張できるのか?

このグラフのどこに新聞が食品と並び生活必需品であることを示しているのか?

この部数減少は新聞など軽減税率の対象にする必要が一切ないことを示しているのです。

繰り返します。

朝日新聞よ、軽減税率の評価は「食料品」と「新聞」に個別に分けて世論調査すべきです。

「食料品など」と軽減税率から「新聞」を隠す姑息な調査を行うなと言いたいです。

そうすれば国民の本当の新聞軽減税率に対する真の評価があぶりだされるはずです。



(木走まさみず)

「桜を見る会」問題で朝日新聞のアツき報道姿勢を検証~事実に角度をつけた報道は事象を相対化できない

ここに慰安婦捏造報道朝日新聞が認めたときの第三者委員会の報告書が公開されています。

2014年12月22日
報告書
朝日新聞社三者委員会
http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf

その92ページに岡本行夫委員の個別意見が朝日新聞の報道体質を見事に表現しています。

まず朝日新聞は「レールが敷かれていない時には、いかなる指摘を受けても自己正当化を続ける」「保守性」を有していると指摘します。

(1)岡本委員
我々の今回の検証作業に対して、朝日新聞社はまことに誠実に対応した。新しい方向へレールが敷かれた時の朝日の実行力と効率には並々ならぬものがある。しかしレールが敷かれていない時には、いかなる指摘を受けても自己正当化を続ける。その保守性にも並々ならぬものがある。

吉田清治証言を使い続けた責任は重い」しかしより重いのは「「慰安所 軍関与示す資料」と題して6本の見出しをつけたセンセーショナルなトップ記事」だと指摘します。

吉田清治証言を使い続けた責任は重い。しかし、同様に国際的に大きなインパクトを与えたのは、1992年1月11日の「慰安所 軍関与示す資料」と題して6本の見出しをつけたセンセーショナルなトップ記事だ。数日後の日韓首脳会談にぶつけたこの報道は、結果としてその後の韓国側の対日非難を一挙に誘うことになった。(同記事の問題点については本報告書をお読みいただきたい)。

「何人もの朝日社員から「角度をつける」という言葉を聞いた」とし、「朝日新聞としての方向性をつけて、初めて見出しがつく」との発言に驚きます。

当委員会のヒアリングを含め、何人もの朝日社員から「角度をつける」という言葉を聞いた。「事実を伝えるだけでは報道にならない、朝日新聞としての方向性をつけて、初めて見出しがつく」と。事実だけでは記事にならないという認識に驚いた。

「出来事には朝日新聞の方向性に沿うように「角度」がつけられて報道され」、「方向性に合わせるためにはつまみ食いも行われ」、「なんの問題もない事案でも、あたかも大問題であるように書かれ」たりするのだと、朝日の報道姿勢を一刀両断します。

だから、出来事には朝日新聞の方向性に沿うように「角度」がつけられて報道される。慰安婦問題だけではない。原発、防衛・日米安保集団的自衛権、秘密保護、増税、等々。
方向性に合わせるためにはつまみ食いも行われる。(例えば、福島第一原発吉田調書の報道のように)。なんの問題もない事案でも、あたかも大問題であるように書かれたりもする。

朝日新聞のこの「事実に角度をつける報道」は、残念ながら全く改まっていません。

今回は朝日のアツき報道姿勢を検証しましょう。

朝日が本気で「角度」を付けた報道に取りかかるとその紙面構成は大きく偏向したものになります。

12月に入ってからの朝日新聞紙面は「桜を見る会」批判記事に埋め尽くされているかのごとくです。

電子版で確認できる範囲で朝日新聞記事を列挙します。

桜を見る会と揺れ動いた首相 番記者が見た誤算と焦り
2019年12月1日18時35分
https://www.asahi.com/articles/ASMCR0D8QMCQUTFK01S.html

桜を見る会」首相の関与と説明焦点に 野党追及強める
2019年12月1日19時02分
https://www.asahi.com/articles/ASMD14T4QMD1UTFK005.html

政権象徴する公私混同と文書廃棄 疑念膨らむ桜を見る会
2019年12月1日23時35分
https://www.asahi.com/articles/ASMCX5WTTMCXUTFK01P.html

桜を見る会の招待者名簿データ 菅氏「復元は不可能」
2019年12月2日12時45分
https://www.asahi.com/articles/ASMD23TQSMD2UTFK004.html

桜を見る会名簿廃棄、首相「野党の資料要求とは無関係」
2019年12月2日14時24分
https://www.asahi.com/articles/ASMD24K9NMD2UTFK00B.html

「データ復元不可」のシンクライアント方式 桜を見る会
2019年12月2日15時28分
https://www.asahi.com/articles/ASMD23V2GMD2UTFK005.html?iref=comtop_list_pol_n07

夕食会の明細、首相「『営業の秘密』と報告受けた」
2019年12月2日19時34分
https://www.asahi.com/articles/ASMD254FQMD2UTFK00Q.html?iref=comtop_list_pol_n05

首相、元会長の招待回答せず「個人的な関係は一切ない」
2019年12月2日20時17分
https://www.asahi.com/articles/ASMD24VLHMD2UTFK00F.html?iref=comtop_list_pol_n04

菅氏「データ廃棄の知識なかった」 桜を見る会
2019年12月3日00時26分
https://www.asahi.com/articles/ASMD25QV2MD2UTFK012.html?iref=comtop_list_pol_n02

国文書、ジャパンライフ巡り「特異性」記載か 野党追及
2019年12月3日07時30分
https://www.asahi.com/articles/ASMD2546YMD2UTFK00L.html

本数だけではないのです、有料記事も多いのですが多くの記事のボリュームもすごいのです。

そして3日付けで社説が掲載されます。

(社説)桜を見る会 これで責任は果たせぬ
2019年12月3日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14279912.html?iref=editorial_backnumber

社説は冒頭から安倍首相の「説明責任を軽んじる行為」を批判します。

 安倍首相はなぜ、一問一答形式の委員会質疑に応じないのか。「桜を見る会」をめぐる一連の疑問について、一方通行の答弁で済む本会議への出席にしか応じないということ自体、説明責任を軽んじる行為と言わざるを得ない。

野党の要求する予算委員会の開催に応じないのは「答弁の矛盾やごまかしを突かれるのが嫌だ」からではないかと勘繰ります。

 首相がきのう参院本会議で答弁にたった。野党は参院規則に基づいて予算委員会の開催を要求している。委員の3分の1以上の求めがあれば、委員長は委員会を開かねばならないと定められているにもかかわらず、与党が応じないのはルール無視もはなはだしい。答弁の矛盾やごまかしを突かれるのが嫌だと見られても仕方あるまい。

「相変わらずの説明の小出しは、不誠実きわまる」と菅官房長官の対応も痛罵します。

 招待者名簿の廃棄をめぐる首相の説明は、野党議員の資料請求とは全く無関係という、政府の従来の立場をなぞるだけだった。一方、電子データの復元はシステム上、不可能と明言した。菅官房長官は先週まで「復元はできない」と言いながら、その根拠は示していなかった。相変わらずの説明の小出しは、不誠実きわまる。

ジャパンライフの元会長は首相の推薦枠じゃないのかと疑い、「個人情報だとして「回答を控える」の一点張り」は「人ごとのような反応」だと断じます。

 多くの消費者被害を出したジャパンライフの元会長が、桜の会の招待状を宣伝に使い、首相の推薦枠だった可能性も指摘されている問題については、招待者も推薦元も個人情報だとして「回答を控える」の一点張り。一般論として「会が企業や個人の違法、不当な活動に利用されることは容認できない」と語ったものの、首相との関係を信じて契約した被害者の証言も明らかになるなか、人ごとのような反応ではないか。

後援会の懇親会の会計処理についても、「政治資金規正法公職選挙法違反の可能性まで指摘されているというのに、本気で疑念を払拭(ふっしょく)するつもりが」ないのではないかと批判します。

 毎年、会の前夜に開いていた後援会の懇親会の会計処理についても、納得のいく新たな説明はなかった。ホテル側と相談した際、費用などの明細書は示されなかったというが、にわかには信じがたい。ホテル側が「営業の秘密」を理由に資料提供に応じないとも語った。政治資金規正法公職選挙法違反の可能性まで指摘されているというのに、本気で疑念を払拭(ふっしょく)するつもりがあるのだろうか。

会期を延長しない与党に対して「首相の保身を優先した幕引きなど、決して許されない」とダメ出しです。

 今国会は残り1週間。与党は会期の延長はせず、首相の説明もきのうの参院本会議で区切りとしたい考えだという。首相の保身を優先した幕引きなど、決して許されない。

社説は「まず、何よりも、さまざまな疑問について、首相が真摯(しんし)に説明を尽くすことが出発点にならなければいけない」と結ばれています。

 首相は桜を見る会の運用について「私自身の責任において全般的な見直しを行う」と繰り返し、招待者名簿の保存期間の見直しにも言及した。しかし、政治の公平・公正に関わる重大な問題である。小手先の対応では、信頼回復はおぼつかない。まず、何よりも、さまざまな疑問について、首相が真摯(しんし)に説明を尽くすことが出発点にならなければいけない。

確認いただいたように、この朝日社説は冒頭から結びまで、徹頭徹尾「桜を見る会」がらみで安倍政権を批判しています。

5年前の報告書で、朝日新聞はレールが敷かれていない時には、いかなる指摘を受けても自己正当化を続ける保守性を有していると指摘されていました。

確かに朝日新聞が「事実に角度をつけた報道」を始めると、御覧のようにそこには恐ろしいほどの自己の報道・主張すなわち「角度」の絶対化が起きるわけです、多くの記事が「ある角度」を指し示すのです。

朝日新聞従軍慰安婦捏造報道を繰り返していた時もまさにそうでした。

朝日が「角度をつけた報道」に陶酔すると、視野狭窄あるいは袋小路に陥っている自分の記事に気づかない、物事には相対化して、見る・つかむ・考察することも必要であるのに異論や反論が入り込む余地を失っていくのです。

報道を相対化するというのは、その報道姿勢を信奉している自分を外部から客観視してみるということです。

例えば、安倍政権には内外の課題が山積しています。

これに比して日本の国会は、米中新冷戦とわが国の立ち位置など国家のあり方をめぐる大所高所の議論はおろか、激しさを増す香港情勢、韓国との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題の解決、国民投票法改正案といった課題についてまともに議論せず、決議一つ可決していません。

今国会で議論すべき課題は本当に「桜を見る会」問題最優先でよろしいのか?

「事実に角度をつけた朝日新聞報道」には、事象を相対化して分析することはありません。

もし「角度」が間違っていたらどうするのでしょう?

ちょっと恐ろしい報道姿勢だと感じます。

今回は朝日のアツき報道姿勢を検証いたしました。



(木走まさみず)

同じ過ちを繰り返すならば日韓議員連盟はすみやかに解散すべき

さて、ここ一ヶ月日韓議連の動きがおかしいのです。

日韓議員連盟河村建夫幹事長(自民党)は10月末に、テレビ番組で、徴用工問題で日韓協力基金の創設可能であると言い出します。

(関連記事)

日韓協力基金の創設可能 自民・河村氏
2019.10.31 23:41政治政局

 超党派の日韓議員連盟河村建夫幹事長(自民党)は31日のBSフジテレビ番組で、いわゆる徴用工問題をめぐり悪化した日韓関係の改善に向けて、エネルギー分野など経済協力名目の基金創設は可能だとの認識を示した。

 日韓の企業が自発的意思で資金を拠出する方式を前提としている。

https://www.sankei.com/politics/news/191031/plt1910310068-n1.html

20日、河村建夫氏は今度は安倍首相と約40分間意見を交わした後、わざわざ記者会見をして、徴用問題の解決のために文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が提案した「韓日両国企業と国民の自発的な寄付で作った基金を通した賠償案」に対して安倍首相は「きちんと日韓の間の約束を守ったものなら進めばいい」と話したと説明します。

河村幹事長が「文喜相案」について説明したのに対して安倍首相がこのような「肯定的」反応を見せたというのです。

この件は早速韓国メディアで大きく取り上げられます。 

(関連記事)

中央日報
「安倍首相、文喜相氏の案は考慮できる…GSOMIA、諦めるという段階ではない」
https://japanese.joins.com/JArticle/259791

河村氏の発言はエスカレートしていきます。

韓国観光公社日本支社設立50周年」の記念行事で述べた挨拶で、彼は徴用問題の解決のために文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が提案した「韓日両国の企業と国民の自発的寄付で作った基金を通した賠償案」に対して「解決策はこれしかないと考える」と話します。

この発言も早速韓国メディアが取り上げています。

(関連記事)

中央日報
安倍首相と会談した河村氏「徴用解決策は『文喜相氏の案』しかない」
https://japanese.joins.com/JArticle/259850

そうこの発言が飛び出した22日は、「日韓軍事情報保護包括協定(GSOMIA)破棄通告の効力をいつでも終了できる前提のもとに停止する」、土壇場で韓国大統領府が発表したその日です。

同日、額賀日韓議員連盟会長は韓国の発表を受け間髪入れず、韓国の対応を称える声明を発表します。

(関連記事)

額賀 日韓議員連盟会長「韓国の建設的対応よかった」
2019年11月22日 18時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191122/k10012187631000.html

日韓議員連盟の一連の動きは看過できません。

基金創設案は、「完全かつ最終的に解決」とした1965年の日韓請求権協定に反することになり、日本は政府も企業も一円も出さないという安倍政権の基本方針と乖離しています。

河村幹事長がさらにたちが悪いのは、安倍首相も文喜相氏の案を肯定的に受け止めたようにメディアを誤誘導している点です。

特に韓国メディアは、日韓議連の誤ったメッセージを大きく報道しています。

日韓議連がこのタイミングで何をなそうとしているのか、もし日本政府の意向を無視して韓国に親しいシグナルを送っているとすれば大問題です。

賠償請求問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と明記されました、それが国家同士の約束事であります。

日本が供与した無償3億ドルには徴用の未払い賃金や被害補償問題の解決金も含まれているのです。

個人で請求したいなら、相手はあくまで韓国政府なはずです。

うわべだけの言葉で逆に、相手に誤ったメッセージを与えることを厳しく認識すべきです。

日韓議員連盟よ、あなた方が過去韓国をさんざん甘やかしてきた主犯なのをおわすれではないでしょうな。

まだ同じ過ちを繰り返すのであれば、我が国にとりその存在価値はありません。

すみやかに解散すべきです。



(木走まさみず)