目に余る朝日新聞の対中国提灯持ち報道〜河野氏・翁長氏の提灯持ち同伴訪中は嬉々として報じフィリピンの悲痛な中国批判声明は無視
訪中している河野洋平元衆院議長と翁長雄志沖縄県知事が、14日北京市の人民大会堂で中国の李克強首相と会談する模様です。
14日付け朝日新聞記事が嬉々として伝えています。
河野洋氏・沖縄知事、中国首相と会談へ きょう、経済交流の訪中団
2015年4月14日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S11703548.html
朝日記事は「中国の首相が日本の訪中団と単独で会談するのは初めて」としたうえで、「日本との関係改善を進めるなか」、「今回の河野氏らの訪中を重視し、会談相手を格上げした格好」とてばなしで称えています。
昨年11月の日中首脳会談を受けて日本との関係改善を進めるなか、習近平(シーチンピン)指導部として今回の河野氏らの訪中を重視し、会談相手を格上げした格好だ。
記事は、中国側には「植民地支配と侵略への反省、おわびを表明した1995年の「村山談話」や、河野氏が93年の官房長官時代に出した慰安婦問題への「おわびと反省」を述べた「河野談話」などを日本側に堅持していくよう働きかける狙い」があると結ばれています。
李首相は会談を通じて、日中の経済交流を促進する方針を伝えるほか、安倍晋三首相の戦後70年談話を前に、アジア諸国に対する植民地支配と侵略への反省、おわびを表明した1995年の「村山談話」や、河野氏が93年の官房長官時代に出した慰安婦問題への「おわびと反省」を述べた「河野談話」などを日本側に堅持していくよう働きかける狙いがあるとみられる。
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中国側が河野洋平元衆院議長と翁長雄志沖縄県知事の会談相手に、李克強首相という大物を用意したことを嬉々として伝えている朝日新聞ですが、この会談が中国側に政治利用されるのは必定と思われるだけに、当ブログでは再三警告を発してまいりました。
(参考エントリー)
2015-04-09 軽く目まいがしてきた!嫌な予感しかしない河野氏と翁長氏の同伴訪中
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150409
当該エントリーより抜粋。
共同通信によれば、戦後70年談話、集団的自衛権、米軍基地問題などが議題になる予定だそうです。
会談では、安倍晋三首相が夏に発表する戦後70年談話や、集団的自衛権行使を可能とする新たな安全保障法制が話題となりそうだ。普天間飛行場の名護市辺野古への移設阻止を掲げる翁長氏が参加するため、米軍基地問題が取り上げられる可能性もある。
うーん、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題がくすぶっているこのタイミングで、この河野洋平と翁長沖縄県知事というキャラの濃い組み合わせで、よりによって中国にのこのこ訪問して、このようなキナ臭い議題を論じようとしているのであります。
ああ、どうか余計なことを中国で語らないでほしいものです。
このタイミングで、この河野洋平と翁長沖縄県知事というキャラの濃い組み合わせで、よりによって中国にのこのこ訪問して、このようなキナ臭い議題を論じようとしている図は、いかにも間が抜けていると当ブログは危惧しているのですが、朝日新聞は中国の首相が対応することを肯定的に報道しているわけです。
愚かとしか言えません。
この同時期に、中国が今南方で何を仕出かそうとしつつあるのか、朝日新聞は知っていてこんな中国寄りの報道姿勢なのか?
中国は現在、フィリピンなどが領有を主張しているスプラトリー諸島の少なくとも七つの岩礁で、サンゴ礁破壊しながら、一方的に埋め立てを進めているわけです。
アメリカ政府関係者ならびにアメリカ軍指導層はこの中国の行為を痛烈に批判し始めています。
(参考エントリー)
2015-04-10 中国による『砂の万里の長城』(Great Wall of Sand)、その別次元の光景を見よ!〜フィリピンが領有を主張している スプラトリー諸島で勝手に「サンゴ礁破壊」して軍事基地を構築する中国
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150410
エントリーより抜粋。
サンゴ礁破壊ですか。
今日は読者の皆さんに、別次元の「サンゴ礁破壊」の光景をご確認いただきましょう。
アジア太平洋を管轄するハリー・ハリス米太平洋艦隊司令官は、「しゅんせつ船とブルドーザーを使い、『砂の万里の長城』を築いている」とあからさまな中国批判を繰り広げています。
中国がここ数カ月、猛烈な勢いで進めている南シナ海の岩礁などの埋め立てのことです、中国はフィリピンなど東南アジアの国々と領有権を争っている島や岩礁のうち、支配している7カ所で、「前例のない規模」(ハリス氏)の埋め立て工事を進めているわけです。
中国による工事のすさまじさは、米戦略国際問題研究所(CSIS)がホームページで掲載している写真などをみると一目瞭然であります。
そのあまりのすさまじさに米軍関係者は『砂の万里の長城』=‘Great Wall of Sand’だと呼称しています。
(参考記事)
中国が「砂の万里の長城」、米軍に広がる危機感 編集委員 秋田浩之
2015/4/10 6:30
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85428750Y5A400C1000000/『砂の万里の長城』=‘Great Wall of Sand’をトップに画像を張り付けている米戦略国際問題研究所(CSIS)トップページはこちら。
■米戦略国際問題研究所(CSIS)トップページ
http://csis.org/
まさに、『砂の万里の長城』=‘Great Wall of Sand’であります。
まわりの砂をかき集めてサンゴ礁の上にコンクリート工場まで立てて、軍用基地を作りまくっているのです。
サンゴ礁の上に土砂をコンクリートで固めて埋め立てて、その上に飛行場作ったり、ヘリポート作ったり、セメント工場作ったり、船着き場作ったり、やりたい放題であります。
しかもここはフィリピンがその領有を主張している、世界有数の美しいサンゴ礁の島々、 スプラトリー諸島なのであります。
これぞ中国による別次元の「サンゴ礁破壊」の光景であります。
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これらの動きに、「中国外務省の報道官は9日、スプラトリー諸島での埋め立てや建設作業の目的について、海上捜索や救助、防災、気象観察などを挙げ、「国際的責任と義務を果たす」と主張」、つまり平和目的を偽装していますが、そもそもその発言を鵜呑みにする国など世界中に中国以外誰もいませんでしょう。
(参考記事)
中国、南沙諸島に2本目?滑走路建設か…比報道
2015年04月10日 22時52分
【台北=向井ゆう子】中国が南シナ海の岩礁を埋め立てている問題で、フィリピンの地元メディアは10日、スプラトリー(南沙)諸島にあるファイアリー・クロス礁(永暑礁)で、中国が2本目の滑走路を建設している可能性があると伝えた。
比当局などによると、中国は現在、スプラトリー諸島の少なくとも七つの岩礁で埋め立てを進めている。そのうちファイアリー・クロス礁は、埋め立て作業の結果、スプラトリー諸島で最大の人工島となっている。1月末に上空から撮影された写真によると、港湾も整備中で、地元メディアは「潜水艦基地の可能性がある」と報じた。
中国外務省の報道官は9日、スプラトリー諸島での埋め立てや建設作業の目的について、海上捜索や救助、防災、気象観察などを挙げ、「国際的責任と義務を果たす」と主張した。
(後略)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150410-OYT1T50121.html?from=yartcl_popin
この中国の理不尽極まりない国際法違反の動きに小国フィリピンはなすすべがありません。
そしてついにフィリピン政府は、一連の中国の一方的なフィリピン領土侵犯及び大規模なサンゴ礁破壊を伴う軍事基地建設に対し、悲痛な対中国批判声明を出すのです。
フィリピン外務省は13日、「中国は、何世代にもわたって海に生計を頼っている周辺国の人々を顧みず、埋め立てを進めている」と批判。「南シナ海の環境を損なっていないとする中国の主張は受け入れられない」と強く中国を非難いたします。
(参考記事)
中国の岩礁埋め立て工事、フィリピンが強く非難
2015年04月13日 21時12分
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150413-OYT1T50122.html
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最後に問題のスプラトリー(南沙)諸島の位置を確認しておきましょう。
画像をパブリックドメインとして使用フリーで公開しているウィキペディアから引用してご紹介。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%AE%B5%E7%B7%9A#/media/File:9_dotted_line.png
図中の緑の破線が中国が主張する悪名高き「九段線」であります。
この内側はすべて中国の領海なのだと一方的に主張しているわけです。
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まとめます。
朝日新聞は翁長沖縄県知事の中国訪問での会談相手が中国首相という大物であることを嬉々として報道しているわけです。
愚かとしか言えません。
朝日新聞は翁長沖縄県知事が辺野古基地移設問題で、社説にて、沖縄のサンゴ礁が破壊されている可能性を説き、次のように「翁長知事が岩礁破砕許可の取り消しに言及したのも無理からぬこと」と擁護しています。
もとはといえば、沖縄防衛局が知事から許可を得た岩礁破砕区域の外に大型コンクリートブロックをいくつも沈めたことが発端である。県は当初、必要な手続きを取るよう防衛局に求めたが、防衛局は応じなかった。県はさらに現地調査ができるよう米軍との調整も要求したが、これも拒否された。翁長知事が岩礁破砕許可の取り消しに言及したのも無理からぬことだ。
(参考記事)
(社説)政府と沖縄 捨て石にしてはならぬ
2015年4月1日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S11681086.html?ref=editorial_backnumber
一方、中国がまさに同じタイミングでフィリピンが領有権を主張しているスプラトリー諸島において、米軍関係者が『砂の万里の長城』=‘Great Wall of Sand’と呼称するほどの、すざまじい規模でサンゴ礁破壊して軍事基地を建設していることは、朝日新聞はアメリカ政府が非難しているというベタ記事が一本だけです。
尖閣諸島の問題を抱える日本が、同じく中国との領土問題を抱えている小国フィリピンを見捨てて、理不尽な中国の蛮行を黙認してよいはずがありません。
それにしても朝日新聞です。
辺野古移設問題の内向きの「サンゴ礁破壊」には社説まで掲げて政府批判にこだわりつつつ、河野洋平元衆院議長と翁長雄志沖縄県知事が14日北京市の人民大会堂で中国の李克強首相と会談することには、嬉々として日中関係改善の兆しであると報じながら、小国フィリピンへの中国の蛮行には、フィリピンの悲痛な強い中国批判の声明すら報じようとしないのです。
河野氏・翁長氏の提灯持ち同伴訪中を嬉々として取り上げつつ、フィリピンの悲痛な強い中国批判声明は一切報じない。
日本政府による沖縄のサンゴ礁破壊はどんな些細な規模でも断じて認められないが、中国による大規模なサンゴ礁破壊を伴う軍事基地建設には、日中関係改善のために、あえて沈黙を守るというのか?
これでは朝日自身が、中国政府の提灯持ちではありませんか。
まあ、朝日新聞に公正な報道を求める方が間違いなのかもしれませんが。
ふう。
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(木走まさみず)