木走日記

場末の時事評論

従軍慰安婦問題〜朝日新聞による際限の無い『負の拡散』報道を検証する

 当ブログでは過去何度か朝日新聞偏向報道を検証してまいりました。

2013-05-15 検証!朝日新聞(NYT)マッチポンプ従軍慰安婦」報道
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130515
2013-06-01自ら放った火が国際的に大炎上、それを社説で嘆いてみせる朝日新聞〜もはやここまで、朝日を国会へ召喚せよ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130601
2013-09-17 韓国メディアに利用される特異な朝日新聞イプシロン報道姿勢を検証
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130917

 食傷気味ですが、今回もしっかりとメディアリテラシーをして分析しておくことが重要と考えます。

 朝日新聞が「従軍慰安婦問題」でまたしても独占スクープ記事を掲載、紙面では1面トップ記事から社会面まで動員しています。

慰安婦記録、出版に「懸念」 93年、日本大使館インドネシア側に伝達
http://digital.asahi.com/articles/TKY201310130420.html?
表現の自由、軽視外交 「勇み足」批判も 「慰安婦」出版懸念
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201310130430.html?ref=reca
慰安婦問題の拡大阻止 92〜93年、東南アで調査せず 外交文書、政府見解と矛盾
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201310120621.html?ref=reca

 朝日新聞の独自調査で、「韓国で沸騰した慰安婦問題が東南アジアへ広がるのを防ぐ外交を進めたことが明らかになったが、高須氏の動きは文学作品発禁を促すものとみられ、当時のスハルト独裁政権言論弾圧に加担したと受け取られかねない」事実が判明したとのことです。

 駐インドネシア公使だった高須幸雄・国連事務次長が1993年8月、旧日本軍の慰安婦らの苦難を記録するインドネシア人作家の著作が発行されれば、両国関係に影響が出るとの懸念をインドネシア側に伝えていた。朝日新聞が情報公開で入手した外交文書などで分かった。
▼2面=ニュースがわからん!、36面=「勇み足」批判も
 日本政府が当時、韓国で沸騰した慰安婦問題が東南アジアへ広がるのを防ぐ外交を進めたことが明らかになったが、高須氏の動きは文学作品発禁を促すものとみられ、当時のスハルト独裁政権言論弾圧に加担したと受け取られかねない。

 本エントリーではこの朝日新聞の報道に関して、メディア論的な分析を試みたいと思います。

 まず朝日新聞として独自に20年前の「情報公開で入手した外交文書」の洗い出し作業を行っていることの意味することは、メディアとして「従軍慰安婦問題」関連の事案に並々ならぬ報道価値を見出していることが理解できます。

 20年前までに遡って「情報公開で入手した外交文書」をトレースしていること、1面トップから社会面まで割いて関連記事を掲載していること、これらの事実から本報道は朝日新聞社を挙げての「スクープ」記事掲載であると容易に推測できます。

 メディア論的に興味深いことは、朝日新聞読者に発信しているこれらの記事は、実際には国際的に発信されて「日本の朝日新聞によると」という体裁で広く海外に波及していく点です。

 本件でも、国内で朝日新聞以外が取り上げていない段階で、韓国主要紙が一斉に取り上げるという現象を招いています。

 韓国主要紙はこの「従軍慰安婦問題」に関する朝日新聞独占「スクープ」記事を大きく速報いたします。

 「朝日新聞が14日報じた」と報じる韓国・朝鮮日報記事。

慰安婦:「日本政府、インドネシアで記録本出版に圧力」
1993年、インドネシア政府に日本の公使が懸念伝える
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/15/2013101500716.html

 同じく「朝日新聞が14日報道した」と報じる韓国・中央日報記事。

日本、「慰安婦本」出さないようインドネシアに圧力
2013年10月15日08時23分
http://japanese.joins.com/article/100/177100.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|top_news

 朝日新聞記事が海外に波及するもうひとつのルートとしては、朝日新聞東京本社に日本支局を置くニューヨーク・タイムスがヒロコ・タブチ記者などにより、朝日記事と同様の内容を世界に向けて発信をするケースがありますが、現段階(15日午前)ではこちらは確認できません。

 ・・・

 当ブログで過去に検証したように、いわゆる「従軍慰安婦問題」がここまで国際化したのは一連の朝日新聞捏造報道にあることは疑いようが無い事実であります。

2012-09-01 「河野談話」の真の生みの親は朝日新聞である
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120901

 今回の朝日のスクープ記事を分析するにおいて朝日新聞捏造報道が発端であることは根本的な重要部分でありますので、過去のエントリーから当該部分を再掲します。

 本件に関わる捏造報道の始まりは、河野談話が発表される11年前の82年9月2日、朝日新聞は「朝鮮の女性 私も連行」と題する「スクープ」記事を大きく掲載します。

(前略)
  その証言が始まると、大阪の500人の聴衆はしんとして聞き入ったという。
 「当時、われわれは『狩り出し』という言葉を使っていた・・・泣き叫ぶというような生やさしいものではない。船に積み込まれる時には、全員がうつろな目をして廃人のようになっていた・・・」
 これは、昭和18年夏、わずか一週間で朝鮮・済州島若い女性200人を狩り出した吉田清治氏の懺悔だ。吉田氏は女工から海女まで手当たり次第に拉致し、慰安婦に仕上げたという。
(後略)

 これ以後、吉田氏は朝日紙面に何度も登場し、従軍慰安婦の悲惨さを語り尽くします。

 しかしこの吉田証言は完全な作り話でした。証言が本になってすぐに現地の『済州新報』が取材していますが、一つも事実が見つかりませんでした。また韓国の郷土史家は何年も調査し、拉致の事実はなかったと断定、吉田の本を『日本人の悪徳ぶりを示す軽薄な商魂の産物』とこき下ろします。

 つまり、吉田氏は本を売って儲けるため、嘘八百を並べ立てたということです、最後には吉田氏自身が「証言は捏造だった」と認め、朝日新聞も《氏の著述を裏付ける証拠は出ておらず、真偽は確認できない》(97年3月31日付)と、「証拠は出ておらず、真偽は確認できない」ことは認めます。

 しかしこの証言は独り歩きし、その後「日本軍が韓国人女性を性奴隷にした」ことが国際的に広まってしまうきっかけを作りました、吉田氏を祭り上げた朝日新聞の罪は極めて重いといっていいでしょう。

 朝日の大スクープ第二段は、91年8月11日付の《元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く》という記事で、元従軍慰安婦が初めて名乗りを上げたことを報じたものです。

 この記事は『女子挺身隊の名で連行され』と書いてありますが、実はこれは大捏造であり、名乗りを上げた金学順さんは女子挺身隊で連行されたのではなく、母親に40円でキーセンに売られたと明言していることが今ではわかっています。

 問題は、記事を書いた朝日ソウル支局記者の韓国人妻の母が、太平洋戦争遺族会の常任理事だったことです。

 この団体が金学順さんに日本政府相手に裁判を起こすよう勧めるんです。キーセン出身を隠し、しかも身内を利する記事を書いたわけで、悪意に満ちた意図的な捏造報道であります。

 この第二段捏造記事は朝日の狙い通り、国の内外で大反響を起こします、この記事が一つのきっかけになって1991年12月の政府による従軍慰安婦問題調査開始に繋がっているのです。

 さて朝日捏造記事により日本政府は従軍慰安婦問題調査開始にまで追い込まれていったわけですが、ここで朝日新聞は第三弾の記事を1面トップで報道します。

 政府が調査を開始した翌月、すなわち1992年1月11日付の1面トップで《慰安所 軍関与の通達・日誌 募集含め監督・統制》という記事を掲げます。

 この陸軍資料は『慰安婦募集に際して業者が悪どい手口を使うので取り締まれ』という内容なだけなのに、それをあたかも『軍の関与』とさも悪いことのように報じます。

 この記事は当時の宮沢喜一政権にとって最悪のタイミングとなります、宮沢首相が訪韓する5日前で、それまで国の介入を否定していた日本政府に、決定的な「圧力」を加える意図を感じます。

 この記事も大反響を起こし、記事を受け、当時の加藤紘一官房長官は事実調査の前に「お詫びと反省」の談話を発表してしまうのです。

 そしてあわれ宮沢首相は、空港に押し寄せた大デモ隊の罵倒する声に迎えられ、韓国で宮沢首相はなんと8回も謝罪するハメになるのです。

 このような朝日新聞の悪意ある報道により、日本政府はどんどん追い詰められていったわけです。

 そして、93年8月4日、「河野談話」が表明されます。

 自らの「従軍慰安婦問題」に関する捏造報道を検証・訂正することなく、新たな「スクープ」記事を起こして自己の主張の補強をする、さらに言えば韓国紙などの海外メディアが追随することを計算に入れつつその影響力を利用しようとしている、このような分析が成り立つといえましょう。

 この問題、過去の朝日新聞の報道に遡って公正公明な検証が必要なのだと考えます。

 事実誤認・捏造を発端とした際限の無い『負の拡散』報道は、日本を代表するメディアとして許されるものではありません。



(木走まさみず)