読売記事タイトルの「世界初!」は「宇宙初!」じゃないのか愚考してみる
5日付け読売新聞科学記事から。
世界初!自転と逆向きに公転する惑星を発見
中心の恒星が自転する向きと逆方向に公転している惑星が、世界で初めてみつかった。国立天文台やマサチューセッツ工科大学などのグループが4日、発表した。国立天文台のすばる望遠鏡による観測成果で、惑星系の進化を考えるうえで重要な手がかりになるという。
発見された逆行惑星は、はくちょう座の方向に地球から約1000光年離れた恒星の周囲を回っている「HAT―P―7b」。恒星の前を横切る惑星の動きを詳細に観測して逆行がわかった。この惑星は木星の1・8倍もの重さがあり、恒星のごく近くをわずか2・2日で1周していた。
惑星は、円盤状に分布したちりやガスが中心の恒星と一緒に回転しながら誕生したと考えられている。したがって、惑星は恒星の自転と同方向に周回するのが標準的とされており、太陽と太陽系の8惑星の関係もそうなっている。
しかし、惑星系が進化する過程では、巨大な惑星同士が互いにはじき合うことなどにより、逆行惑星が誕生することもあるはずだとみられていた。このため、世界中で逆行惑星を探していた。
国立天文台の成田憲保・日本学術振興会特別研究員は「惑星進化の仮説を裏付けるためにも、逆行惑星の誕生に影響したと考えられる巨大惑星などをみつけたい」と話している。
(2009年11月5日05時12分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20091105-OYT1T00054.htm?from=main1
うーむ、「中心の恒星が自転する向きと逆方向に公転している惑星」が「世界で初めてみつかった」そうであります。
うーむ。
・・・
小さいことですがどうも記事タイトル「世界初!」が気になりますです。
これって「宇宙初!」じゃないのか。
うむ、実に興味深いです。
「世界で初めてみつかった」じゃなくて、「宇宙で初めてみつかった」じゃないのか。
だって「世界平和」とか「世界の国々」とか、「世界」というのは一般に、宇宙空間的にはこの太陽系第三惑星の地球の球体表面の我々人類生息域限定ですよね。
いわば宇宙空間的には「世界」とは局所であります。
goo辞書から。
せかい 1 【世界】
(1)地球上のすべての国家・すべての地域。全人類社会。
「―の平和」
「―最高の山」(後略)
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/107093/m0u/%E4%B8%96%E7%95%8C/
やはり第一義的には「世界」は、「(1)地球上のすべての国家・すべての地域。全人類社会」であります。
・・・
(長考)
そうか、読売記事タイトルの解釈としては、「世界初!」は「自転と逆向きに公転する惑星」に掛かるのではなく「発見」に掛かるとすれば、成立するのか。
つまり、「(宇宙空間で初めて)自転と逆向きに公転する惑星が(人類として初めて、つまり世界で初めて)発見した」と。
うーん。
納得はするけどこれは記事タイトルとしてはどうなのかな。
たとえば、「世界」を「日本」に、「宇宙」を「世界」に、「自転と逆向きに公転する惑星」を「酸素を還元する生命体」に置き換えて、スケールを小さくして、考えてみましょうか。
日本人科学者が日本海溝深海で「酸素を還元する生命体」を発見したとしましょう。
読売記事タイトルのルールでいけば、日本人で初めて発見したからこうなります。
日本初!酸素を還元する生命体を発見
でもやはり、
世界初!酸素を還元する生命体を発見
こっちのほうがしっくりきますよね。
もう一度。
世界初!自転と逆向きに公転する惑星を発見
宇宙初!自転と逆向きに公転する惑星を発見
うーむ。
やはり、この読売記事タイトルの「世界初!」は「宇宙初」じゃないのでしょうか?
え? どうでもいいって?
そりゃそうかもですが気になります.
(木走まさみず)