木走日記

場末の時事評論

天下り率85%の「財団法人防衛施設技術協会役員名簿」を見よ〜公務員の公務員による公務員のための公益法人

 財団法人「防衛施設技術協会」、その驚くべき実態を徹底検証であります。



防衛施設庁幹部16人、「技術協会」経由天下り

 今日の朝日新聞記事から・・・

防衛施設庁幹部16人、「技術協会」経由天下り

 東京地検特捜部が摘発した防衛施設庁の官製談合事件で、逮捕された元技術審議官が理事長を務める施設庁所管の公益法人防衛施設技術協会」(東京都)に、技術審議官ら幹部職員16人が2年前後の短期間在籍し、さらに建設会社などに天下っていたことがわかった。協会は事業収入の9割近くを施設庁から得ている。技術審議官らは自衛隊法で退職後2年間、施設庁の工事を受注するなどした営利企業への天下りを禁じられているが、幹部職員らはこの期間を経過した後で、同規定に該当する民間企業に再就職していた。

●規制の抜け道

 自衛隊法は、98年に発覚した防衛庁調達実施本部(当時)を舞台にした背任事件を受けて改正され、役員になる場合以外も天下りが制限されるなど規制が強化された。しかし、同協会は施設庁OBが天下りの制限期間が過ぎるまで、施設庁から直接には再就職できない会社への転職を待つ「トンネル組織」の役割を果たしており、法改正を骨抜きにした形だ。

 今回、特捜部が摘発した空調設備工事の官製談合事件で逮捕された生沢守容疑者(57)は施設庁の元技術審議官で協会の理事長。業界側の仕切り役とされるOBも、協会経由で大手空調設備メーカーの役員に就いている。

 協会は90年7月、別の施設庁所管の公益法人などが約1億円を出資し設立。理事長は施設庁の技術審議官から、3人の常務理事は防衛施設局長クラスから天下るのが慣例だという。職員約100人のほとんどが施設庁建設部の出身で、設立時以来、常勤の理事として天下った施設庁幹部は23人。すでに協会を退職した19人の8割強にあたる16人は、2年前後の勤務を経て主にゼネコンに再び天下っている。

 協会OBらの話によると、協会への天下りは施設庁の建設部幹部らが決め、在職中に知らされる。その際、協会からの天下り先は決まっておらず、協会転出後は、協会から再々就職先をあっせんされるのを待つという。

 元理事長の男性は「天下り制限を逃れるために2年を過ごしているという指摘は、結果的にそうなっているということだ。再々就職先は理事長ら幹部が探し、就職時からのひも付きではない」とする。現職時の8割の給料で約2年働き、200万円ほどの退職金を受け取って中堅ゼネコンに転職した。「施設庁にはやはり顔を出す。それが仕事のうちだから」と言う。

 協会常務理事からゼネコンに転じた元防衛施設局長は「再就職の受け皿になっているのは認める。でも、仕事をしないわけじゃない」と話した。

 協会が施設庁から請け負う業務は(1)各施設局が発注する建設工事の現場監督(2)防衛施設の建設技術などの調査研究――の二つ。04年度は現場監督は全国の44件を約10億円で、調査研究が同21件を約2億円で請け負い、年間14億円前後の事業収入の9割近くを施設庁から随意契約でとった委託業務で得た。協会に天下ったOBたちの仕事は、大半が施設庁の予算で賄ったことになる。

     ◇            ◇

防衛施設技術協会を経由した防衛施設庁幹部OBの天下り先一覧

(【】は協会内での役職)

施設庁退職時役職 協会在任期間  天下り

【理事長】

技術審議官    1年      なし

技術審議官    3年    コンサル会社

技術審議官    2年11カ月  建設会社

技術審議官    1年11カ月  建設会社

技術審議官    3年      建設会社

技術審議官    2年11カ月  建設会社

【常務理事】

札幌防衛施設局長 1年10カ月  建設会社

施設調査官    7年      なし

横浜防衛施設局次長3年 2カ月  建設会社

札幌防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

札幌防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

横浜防衛施設局長 6年      建設会社

大阪防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

広島防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

東京防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

大阪防衛施設局長 2年      建設会社

東京防衛施設局長 2年      建設会社

東京防衛施設局長 1年10カ月  建設会社

仙台防衛施設局長 1年11カ月  建設会社

防衛施設技術協会の調べなどをもとに作成)

【総合面】2006年02月01日(水曜日)付  朝日新聞
http://www.asahi.com/paper/front.html

 自衛隊法は、98年に発覚した防衛庁調達実施本部(当時)を舞台にした背任事件を受けて改正され、役員になる場合以外も天下りが制限されるなど規制が強化された」わけですが、なんと公益法人を隠れ蓑にして2年間を過ごした上で「施設庁から直接には再就職できない会社への転職」をして組織的に法改正を骨抜きにしてきたわけです。

 協会常務理事からゼネコンに転じた元防衛施設局長は「再就職の受け皿になっているのは認める。でも、仕事をしないわけじゃない」と宣ったそうであります。

 「仕事をしないわけじゃない」ってなんだかなあ・・・

 また、元理事長の男性は天下り制限を逃れるために2年を過ごしているという指摘は、結果的にそうなっているということだ。再々就職先は理事長ら幹部が探し、就職時からのひも付きではない」と宣ったそうです。

 「結果的にそうなっているということだ」って、ヲイ、マジで言ってます?

 ・・・

 官製談合事件自体もまたかよって感じでうんざりなのですが、しかし公益法人をトンネル組織にしておいて天下っていた事実は極めて重大な国民に対する背信行為なのであります。

 だいたい、公益法人防衛施設技術協会」(東京都)って何よ?

 ようし、久しぶりに腹が立ちましたので、しつこい検証では定評のある当ブログの総力を挙げて公益法人防衛施設技術協会」(東京都)を徹底的に検証してみましょう。



防衛施設技術協会の目的のひとつは「国と民間との間の相互交流」だって・・・どうりでね(苦笑

 で、防衛施設技術協会のホームページはこちら・・・

防衛施設技術協会(Defence Facilities Technology Foundation)
http://www.dftf.or.jp/

 設立は平成2年ですから15年程前ですね。

設 立

財団法人防衛施設技術協会は、平成2年7月19日,内閣総理大臣の許可を受けて設立された公益法人です。

 でこの公益法人の目的は次の3つであります。

目 的

防衛施設技術協会は、次の活動を通じ、防衛施設の建設技術等の発展と防衛基盤の育成強化に寄与することを目的として設立されました。

①防衛施設に関する正しい理解と知識を広める。

②防衛施設の建設技術などの調査研究と技術の向上のための奨励・助成を行う。

③国と民間との間の相互交流を図り、防衛施設の円滑かつ効率的な建設に協力する。

 なるほど、「国と民間との間の相互交流」かあ、どうりで施設庁と天下り先民間会社の橋渡し役してるのでありますね。(爆

 って、しゃれにもならないわけであります。

 で、事業は以下のとおり。

事 業

防衛施設技術協会は、この目的達成のため、具体的に次の事業を行っています。

①防衛思想の普及。

②防衛施設の建設技術、装備の機能を有効に発揮させるための防衛施設の技術対策、環境を保全するための防衛施設の技術対策、その他防衛施設に係る技術的事項等に関する調査研究と提言。

③防衛施設及び建設技術等に関する講演会などの開催・協力と刊行物の発行。

④防衛施設の建設技術等の調査研究についての奨励・助成など。

⑤防衛施設の整備に関する技術業務などの受託。

⑥防衛施設周辺対策の調査研究などへの技術的協力。

⑦その他協会の目的を達成するための必要な事業。  

http://www.dftf.or.jp/htm/setsuritsu.htm

 ・・・

 なんだかな、世の中に本当に必要な公益法人なんですかね。

 よくわからんです。



●完全に防衛庁防衛施設庁に依存している驚くべき収支計算書〜どこが公益法人なんだ?

 で、平成16年度の収支計算書は以下のPDFファイルであります。

(1)収支計算書
http://www.dftf.or.jp/img/pdffiles/004-01_17.pdf

 収入の部の事業収入に注目であります。

2 事業収入     1,371,906,000円
現場技術業務受託収入  984,166,000円
調査研究等業務受託収入 204,498,000円
出版・設計図書等事業収入163,193,000円
パス発行等手数料収入   19,000,000円
会報実費収入        1,049,000円

 なんですか、13億7千万の収入の内訳の11億8千万が防衛庁防衛施設庁からのお金じゃないですか。

 ・・・

 とんだ公益法人であります。

 で支出の部もしつこく検証しちゃいます。

 事業費人件費が6億3587万7千円で、管理費人件費が1億5365万4千円ですか。

 人件費計が7億8900万ですか。

 ふーん。

 ・・・

 職員数を調べてみましょうか。

 平成17年度事業計画書の3ページ目に以下の記述がありました。

9 管理運営等(1) 事務局職員のうち、技術職員を61名とし、図書販売職員、パス発行事務所を含む事務職員を37名とし、職員総数を2名減員することにより98名とする。

http://www.dftf.or.jp/img/pdffiles/005_17.pdf

 ということは平成16年度はちょうど100人だったわけですね。

 100人で7億8900万ですか。

 ふーん、一人789万平均ですか。

 ・・・

 少し国民を舐めてませんか?(怒



天下り率85%の「財団法人防衛施設技術協会役員名簿」を見よ〜公務員の公務員による公務員のための公益法人

 現時点での「財団法人 防衛施設技術協会 役員名簿」を見てみましょう。

財団法人 防衛施設技術協会 役員名簿
平成17年10月1日現在

理 事 長 常勤 生 澤 守 防衛施設庁技術審議官
常務理事 常勤 野 津 敬 造 横浜防衛施設局
常務理事 常勤 舞 田 克 己 東京防衛施設局
常務理事 常勤 山 下 憲 一 防衛施設庁行政評価官
理 事 非常勤 石 川 信 隆 防衛大学校教授
理 事 非常勤 大八木 勝 彦
理 事 非常勤 黒 岩 博 保 防衛施設庁建設部長
理 事 非常勤 黒 目 元 雄 防衛施設庁技術審議官
理 事 非常勤 小 平 申 二 建設省住宅局・都市整備公団監理官
理 事 非常勤 重 村 利 幸 防衛大学校教授
理 事 非常勤 松 木 明 東京防衛施設局
理 事 非常勤 渡 邉 正 身 東京防衛施設局
監 事 非常勤 植 村 裕 之
監 事 非常勤 村 井 久 美 会計検査院事務総長官房上席審議調査官

http://www.dftf.or.jp/img/pdffiles/002_17.pdf

 すごいですね、14人中12人が公務員出身であります。

 天下り率85%であります。

 どうせ2年もすれば民間会社に本当の天下りしちゃう予備軍さんたちであります。

 ・・・

 「防衛施設技術協会」は、まさに公務員の公務員による公務員のための公益法人の鑑であります。

 読者のみなさん、そうは思いませんか?(怒



(木走まさみず)