民進党蓮舫代表の戸籍謄本公開は本当に「排外主義」「いじめ」「差別」なのか?
民進党の蓮舫代表が台湾籍と日本国籍の「二重国籍」問題をめぐり、日本国籍の選択宣言をした証明として戸籍謄本を公開する意向を示したことが、党内外で波紋を広げています。
蓮舫氏の判断には「排外主義に屈する」などと反発があがり、謄本の公開を求めた同僚議員を攻撃する動きすら出ているのであります。
「排外主義に屈する」などと反発する動きはこちら。
(関連エントリー)
キャリコネニュース
2017年07月12日 15:47
蓮舫氏の戸籍開示要求は「出自によって他人を差別」することになる 小田嶋隆さんら著名人から批判上がる
http://blogos.com/article/234234/
で、謄本の公開を求めた同僚議員を攻撃する動きですが、民進党の有田芳生参院議員は11日のツイッターで、公開を促した同僚議員を批判します。
「戸籍を公開せよとツイッターで書いた民進党の国会議員は誰だ。黙せずに『うん』とか『すん』とか言えよ。安倍晋三政権が窮地にある局面で、『敵』に塩を送っている」
有田芳生議員は、これは「社会的・歴史的な『いじめ』」であると批判します。
「公表を求めることは、社会的・歴史的な『いじめ』で間違っている。長年にわたる被差別部落問題などの闘いへの逆行だ」
有田氏らの動きを報じる記事はこちら。
(関連記事)
蓮舫代表の戸籍公表宣言で民進党分裂のカウントダウンが始まった!? 有田芳生氏vs原口一博氏…あの山口二郎法政大教授も参戦
http://www.sankei.com/politics/news/170712/plt1707120039-n2.html
一方、メディアですが、朝日新聞は社説にて取り上げます。
(社説)民進党 勘違いしていませんか
http://www.asahi.com/articles/DA3S13033443.html?ref=editorial_backnumber
朝日社説は民進党議員の動きをこのように批判します。
民進党の議員たちに問う。
蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く。そう本気で思っているのか。
朝日社説の結びはこうです。
もう一つ懸念されるのは、蓮舫氏が戸籍謄本を公開することが社会に及ぼす影響だ。
本人の政治判断とはいえ、プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか。
朝日社説は、「蓮舫氏が戸籍謄本を公開すること」が、「外国籍の親を持つ人々らにとってあしき前例にな」ることを危惧しているわけです。
・・・
やれやれです。
民進党の蓮舫代表自身が戸籍謄本を公開する意向を示したことが、他ならぬ民進党議員やリベラル派と称する学者やマスメディア(朝日新聞社説)から、「排外主義に屈する」、「いじめ」「差別」を助長すると批判を受けているわけです。
朝日社説の次の問いかけ。
民進党の議員たちに問う。
蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く。そう本気で思っているのか。
当ブログとしてもここだけは同意するものであります。
確かに「蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く」、この可能性は極めて低いことでしょう。
絶望的な民進党の党勢にとり、本件は、公開しないよりはしたほうがまし、程度の影響力であることだと思われます。
その程度のことです。
しかしです。
首相を目指す野党第一党の党首が国籍の説明責任を果たすのは当然なのです。
これは「排外主義」でも「いじめ」でも「差別」でもありません。
当たり前のことです。
野党第一党の党首は、一般人とは違う、ということです。
そもそも今回蓮舫氏が決断したのは、これまで国籍問題の説明が二転三転したうえ、事実関係の説明が公的書類抜きの記者会見だったことも踏まえ、首相を目指す立場の公人として国民の信頼性を取り戻すために、ご本人も納得して同意されたはずです。
さらに、徳島文理大の八幡和郎教授ご指摘のとおり、「生まれてから現在に至るまでの国籍の異動について正確な情報を公開せずに、政治家であることを許す国が世界中にあるとは思わない」(徳島文理大八幡和郎教授)のです。
・・・
何を民進党が騒いでいるのか、理解に苦しみます。
首相を目指す立場の公人にもかかわらず、ここまで国籍問題の説明が二転三転した以上、蓮舫氏は粛々と戸籍を公開すべきです、すればよろしいのです。
国権の中枢を握る可能性のある政治家のその国籍を、正しく国民が正確にトレース可能なように政治家側が自らオープンにすること、これ自体、国際的に見てまったくノーマルな話です。
それだけです。
(木走まさみず)