木走日記

場末の時事評論

勝手に妄想し被害者意識を増幅する国は安全保障上の無視できないリスクだと思う

 こちらが如何にあたりさわりがないように配慮したところで、勝手に妄想し勝手に被害者意識を増幅されてはかないませぬ、これではどうふるまえばよろしいのでしょう、というお話です。

 こたびの北朝鮮に関わる緊迫した情勢の中、お隣の国韓国メディアの同盟国米国同盟国仲間の日本に対する論調が、なにやらだいぶ変調をきたしているのです。

 まずは、安倍首相の国会答弁に勝手に勘違い、激怒いたします。

 なんでいつもこうなるのかなあという話ではあります。

 今回、日本政府は朝鮮半島有事に備え、国家安全保障会議NSC)で対応策の検討に着手しているとのことが報道されております。

 北朝鮮軍兵士が難民を装い流入することが想定される武装難民への対処や、韓国在留邦人の救出を中心に、2月から検討を進めています。

 言うまでもなく、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮への圧力を強化するため、トランプ米政権が軍事行動など「あらゆる選択肢」の検討に入ったことを受けた具体的動きであります。

 安保関連法に基づく事態の認定や、日米安保条約も踏まえた米軍支援、北朝鮮国内の拉致被害者の救出も課題になっているもようです。

(関連記事)

時事通信
2月から朝鮮半島有事の対応検討
政府、武装難民対処や邦人救出
https://this.kiji.is/225299690989076484?c=110564226228225532

 で、安倍晋三首相は17日の衆院決算行政監視委員会で、朝鮮半島有事の際に予想される日本への難民流入の対処策を検討していることを明らかにします。

 「避難民の保護に続いて、上陸手続き、収容施設の設置および運営、(日本政府が)庇護(ひご)すべき者にあたるかのスクリーニング(ふるい分け)といった一連の対応を想定している」と述べました。

 難民の「スクリーニング(ふるい分け)」、この発言はもちろん、国家安全保障会議NSC)で対応策が検討されている重要項目『北朝鮮軍兵士が難民を装い流入することが想定される武装難民への対処』を意識してのものであります。

 欧州の事例を持ち出すまでもなく、大量の難民が発生すると難民にまみれて凶悪なテロリストなどが入国することを警戒する必要があり、朝鮮半島有事の際には北朝鮮武装難民の排除、スクリーニング(ふるい分け)は喫緊の課題ではあります。

(関連記事)

産経新聞
朝鮮半島有事】
朝鮮半島有事には日本に難民…首相「想定内」 収容施設、ふるい分け…
http://www.sankei.com/politics/news/170418/plt1704180004-n1.html

 ニュース報道で国会における本件に関する安倍首相の答弁も動画で流れていましたが、質問者が与党自民党瀬戸隆一氏であったこともあり、興奮することもなく粛々とスクリーニング(ふるい分け)などの一連の想定される対応を説明していました。

 まあここまでは、なんということもない日本国内の話であります。

 さて、なぜか韓国が激怒です。

 で、韓国を代表するメディアが社説を掲げるのであります、激しく日本政府に反発した怒りの社説をです。

 社説タイトルが「【社説】韓国の不幸を願い、楽しむような安倍首相の言動」であります。

(関連記事)

朝鮮日報
【社説】韓国の不幸を願い、楽しむような安倍首相の言動
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/04/18/2017041800512.html

 社説本文は直接お読みいただくとして、社説から安倍発言批判部分だけを抜粋、ご紹介。

 韓半島の緊張をあおるような質問も答弁もレベルの低い稚拙な言動といわざるを得ない。

 日本は「いつまで反省しなければならないのか」というが、いくら反省してみたところで、安倍首相のような人々がこのようにレベルの低い言動をすれば意味がない。

 安倍首相の言葉は少女像に対する感情的な腹いせにしか聞こえない。

 公職者たちがまるで隣国の不幸を願い、楽しむような言動でこれに迎合しようというなら、両国関係の正常化はますます遠ざかるしかない。

 ふう。

 まあ、毎回ながら、なんでいつもこうなるのかなあという話ではあります。

 どこが「韓半島の緊張をあおるような質問も答弁もレベルの低い稚拙な言動」なのでしょうか。

 なぜ、朝鮮半島有事には(北朝鮮武装難民排除のため「難民を一旦スクリーニングして受け入れる」という日本国総理大臣の国防上当たり前の発言が、「まるで隣国の不幸を願い、楽しむような言動」と批判されなければならないのでしょうか。

 この発言のどこが「少女像に対する感情的な腹いせ」なのでしょうか。

 よく理解できません。

 このあたり前回のエントリーで取り上げましたので未読の読者はご一読あれ。

関連エントリー

2017-04-18「なにを勘違いして怒り出すかわからない」韓国リスクの話〜「難民を一旦スクリーニング」安倍発言に激怒する韓国メディア
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20170418

 で、さらに朝鮮日報社説は日本に理不尽ななおかつ「無慈悲(苦笑)」な、怒りの矛先を向けるのであります。

 THAAD配備で中国が韓国に大人げない嫌がらせをしているのは、みなさんご承知のとおりですが、なんと朝鮮日報は中国さん、嫌がらせするなら日本の方ですよ、と理不尽な「ご注進」あそばせるわけです。

 中国様いじわるするなら韓国ではなく日本にしてください、とチクるわけです、しかも社説であります。

朝鮮日報) 
【社説】中国が抗議すべきは韓国のTHAADではなく日本のXバンドレーダー
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/04/27/2017042701001.html

 当該箇所を抜粋。

 当初中国は「THAADレーダーの設置は中国を監視するのが目的」などと主張していたが、これも単なる言い掛かりだった。中国が本当に抗議すべきは韓国に配備されるTHAADのような終末段階のミサイル防衛システムではなく、前方の探知を目的として日本に配備されているXバンドレーダーの方だ。中国は韓国を思い通り操ろうとすべきでなく、また韓国の進歩勢力も中国に同調すべきでない。

 いやはや、確かに韓国のTHAADレーダーより「日本に配備されているXバンドレーダー」のほうが探知性能は上なのですが、これって新聞が社説で主張することがらなのかしら?

 いやはや、ジャイアン中国にちくるあなたはのび太スネ夫かなんなのか、そのメンタリティがよくわからんのです。

 さらにです。

 今度は韓国聯合ニュースなどが、北朝鮮弾道ミサイル発射に対して日本は「過剰対応」していると、批判し出しました。

(関連記事)

産経新聞
2017.4.29 23:19
東京メトロ運転見合わせは「過剰対応」 韓国メディアが批判
http://www.sankei.com/world/news/170429/wor1704290077-n1.html

 東京メトロが「初めての挑発でもなく、北朝鮮国内に落ちただけ」なのに「利用客の不便も顧みず運行を中止した」ことで「(日本国内で)不満があふれている」と報じているのであります。

 日本政府が「戦争の恐怖を醸成することに熱を上げている」のだと批判しております。

 ・・・

 ふう。

 まとめます。

 日本国総理大臣が、朝鮮半島有事のとき、北朝鮮軍兵士が難民を装い流入することが想定されるため、そのような武装難民への対処のため、難民の「スクリーニング(ふるい分け)」すると、国防上の当たり前の国会答弁をすれば、「少女像に対する感情的な腹いせにしか聞こえない」(朝鮮日報社説)と勘違いしてお怒りです。

 中国政府が、国内旅行社に対し韓国旅行商品の販売を全面的に中止など、米軍の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対する本格的な報復措置をとり、系列ゴルフ場を配備地に提供した韓国ロッテグループへの狙い撃ちも相次いでいることに対し、「中国が本当に抗議すべきは」「前方の探知を目的として日本に配備されているXバンドレーダーの方だ」(朝鮮日報社説)と、韓国じゃなくていじわるするのは日本にしてください、と主張します。

 度重なる北朝鮮弾道ミサイル発射に対して災害大国である日本が、万全を期して交通機関の運転見合わせの措置を取り始めたことに対し、「戦争の恐怖を醸成することに熱を上げている」(韓国聯合ニュースと批判します。

 いやはや、なにゆえにそこまでよその国の振る舞いを気になさるのか?

 これでは、こちらが如何にあたりさわりがないように配慮したところで、勝手に妄想し勝手に被害者意識を増幅されてはかないませぬ、これではどうふるまえばよろしいのでしょう、というお話です。

 こたびの北朝鮮に関わる緊迫した情勢の中、お隣の国韓国メディアの同盟国米国同盟国仲間の日本に対する論調が、なにやらだいぶ変調をきたしているのです。

 前回も指摘しましたが、これはこれでこの韓国の感情的変調は、我が国の安全保障上の無視できないリスクだと思うのです。

 こう毎回平時から過剰反応が繰り返されるとするとですよ。
 日本にとって、半島有事の際の韓国の「勘違い」による怒りの反日的暴走も、無視できないリスク因子なのですよね。
 なにを勘違いして怒り出すかわからないのであります。
 勝手に妄想し被害者意識を増幅する国は安全保障上の無視できないリスクなのであります。 いや正直な話です。
 そう思いませんか、読者の皆さん。



(木走まさみず)