「翼賛体制」とは、片腹痛い、古賀茂明氏のデタラメ発言を検証〜ジャーナリストが根拠のないでたらめの解説をしたら批判されて当然
古賀茂明氏のデタラメ発言を検証します。
TV報道や新聞報道でも基本的事実の誤解からジャーナリストが安倍外交を批判しています。
まず日本は国際的には既に対ISIL有志連合の主要構成国と認知されていることは重要です。
当ブログでは5日付けでエントリーしています。
2015-02-05 日本は国際的には既に対ISIL有志連合の主要構成国と認知されている
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150205
一部抜粋してご紹介。
基本的な事実を押さえておきます。
昨年9月19日に米国務省の公式ページに米国主導の対ISIL有志連合参加国が公表されています。
Building International Support to Counter ISIL
Media Note
Office of the Spokesperson
Washington, DC
September 19, 2014
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2014/09/231886.htmその初期のメンバーである57の国・機関には日本国が参加していることがリストアップされています。
Albania
Arab League
Australia
Austria
Bahrain
Belgium
Bulgaria
Canada
Croatia
Cyprus
Czech Republic
Denmark
Egypt
Estonia
European Union
Finland
FranceGermany
Greece
Hungary
Ireland
Iraq
Italy
Japan
Jordan
Kosovo
Kuwait
Latvia
Lebanon
Lithuania
Luxembourg
Macedonia
Montenegro
Moldova
Morocco
NATOThe Netherlands
New Zealand
Norway
Oman
Poland
Portugal
Qatar
Republic of Korea
Romania
Saudi Arabia
Serbia
Slovenia
Slovakia
Spain
Sweden
Turkey
Ukraine
United Arab Emirates
United Kingdom5日付けJBPRESSの北村淳氏のレポートによれば、昨年12月のアルジャジーラの特集記事では、有志連合主要35カ国の中に日本は含まれています。
失礼して当該箇所を引用。
例えば、アルジャジーラの特集記事(2014年12月16日英文ウェブ版「Countries countering ISIL」)によると有志連合参加国は35カ国で、次のように分類されていた。
・軍事支援と人道支援を実施する有志連合:17カ国
アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリア、デンマーク、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エストニア、ハンガリー、チェコ、ブルガリア
・軍事支援だけを実施する有志連合:4カ国
・人道支援だけを実施する有志連合:14カ国
日本(シリアとイラク領内の難民に対しておよそ2550万ドルの人道支援)、韓国、クウェート、トルコ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スペイン、アイルランド、スイス、オーストリア、ルクセンブルグ、スロバキア、グルジア
つまり国際的には昨年9月発足の時点より日本は対ISIL有志連合の主要構成国と認知されているのであり、「・人道支援だけを実施する有志連合:14カ国」の一員なのであります。
従って、日本国内の一部メディアが主張するように1月の安部首相のイスラエルはじめ中東歴訪と「IS対策としての2億ドル拠出」によって日本が反ISの立場を明確にした、と理解するのはまったく時系列を無視した誤りです、そのような内向きの屁理屈は日本国内でしか通用しません。
ご覧のとおり、すでに昨年9月にアメリカ主導でIS支配地域に対する航空攻撃が開始された当時から、アメリカ政府の説明では、日本も60カ国の「有志連合」に含まれていたのであり、それは昨年12月のうちアルジャジーラなどのアラブ系メディアでも広く認知されていた国際的「常識」なのであります。
さてこの基本的事実を無視して出鱈目な安倍外交批判が横行しています。
報道ステーションの2015年1月23日放映における古賀茂明氏による安倍外交批判発言ですが、その主要発言を文字起こししたサイトより抜粋してご紹介。
(前略)
古舘:
古賀さん、これはどうなんですか。
古賀さんのお考えとしては、今日の動きを見ても、あるいは昨日あたりからを見ても、総理、あるいは防衛大臣、有志連合のイギリス、アメリカをはじめとして、あるいはオーストラリア、それがいけないっていうんじゃなくて、
空爆を敢行している人たちの方向に向いていて、これで交渉が進むだろうか人質解放の、ということを、ちょっと気をもむ方は多いんじゃないかなというところは、どんなふうに捉えますか?古賀:
ですからそこは、人命第一ですというのは、少なくとも向こうに行く前にはそうじゃなかったんじゃないかと思うんですけども、
じゃあ何が大事だったんですかというと、やっぱり今おっしゃったように、
イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れてほしいと、正式なメンバーにまではなれないけど、仲間と(認めて?)欲しい。
で、そのためには、空爆をしたり、あるいはイラクに武器を供与したりとかできればいいんですけど、これ、できないじゃないですか。
だから、もともと安倍さんが願ってる目標っていうのは、ほんとはできないことなんですよ。
でもそれをやりたい。
それをやるために、じゃあ何ができるかというと、人道支援しかできないと。
じゃあ、人道支援を、あたかもイスラム国と戦うための支援なんです、というふうに表現してしまう。
で、それを思いっきり宣伝してしまうってことをやっちゃったんだろうなと、いうふうに思います。
ある意味、目標は達成したと思うんですね。
アメリカやイギリスは多分、安倍さんはそんなテロなんかに屈しないと、テロと戦う人たちのためにお金を出しますって言ってくれるのを、非常に評価していると思うし、
もう今はまさに、あなたは仲間ですねと、じゃあ最後まで屈しないで、身代金なんて払わないで頑張ってくださいね、みんなで応援しますからねって、
そっちにどんどんどんどん、今引き込まれている感じがするんですよ。
ですけどこれは、後藤さんのお母さんが憲法のことを言ってましたけど、日本は戦争をしない国なんだと、
で、やっぱりちょっと一回、我々もそこに立ち返らないといけないと思うんですね。安倍さんは、有志連合に入りたいんだ、あるいはそういう国なんだって言いたいかもしれないけど、
でもそんなことは、日本は憲法もあるしできない、はずなんですよ。で、世界の人たちに、今回は非常に変な宣伝になってしまって、イスラム国にうまく利用されてですね、
いかにも日本というのは、アメリカの正義というのを日本の正義だと思い込んでいるんじゃないかと、
あるいは、アメリカやイギリスと一緒なんだと、そういう国だぞっていうふうに思われてしまいつつある、
で、それを世界に発信されていると。
それに対して私たちは、いや、そうじゃないんですと。
だって日本は今まで、戦後ずっと戦争をしてませんよと。
憲法では、日本のことを攻めてこないような人たちのことを、一方的に敵だなんて絶対思いませんよと。
なるべく多くの人と仲良くしたいんですよと、こういう国が日本なんですよ、日本人なんですよっていうことを、
もう一回ここで、世界にアピールしていく必要があるだろうなと。
今回は、そういう日本のイメージの、全く逆の方に、
まあ安倍さんの発言もそうなんですけど、それをイスラム国にうまく利用されて、
そうするとみんな、イスラム諸国の人たちも、
「いや、なんか日本って結局アメリカなのか」みたいな、「Japan is the (one of the) United States」みたいなですね、
それに対して我々は、例えば、
「いや、安倍さんはそういう印象を与えちゃったかもしれないけども、違うんですよ」と。
『Je suis Charlie(私はシャルリ)』っていうプラカードを持って、フランス人が行進しましたけど、
私だったら、『I am not Abe』というプラカードを掲げて、日本人は違いますよと、
そんなことじゃない、ほんとにみんなと仲良くしたいんですと。
決して日本は、攻めてない国に対して、攻撃するとか、敵だっていう、そういうことは考えない国なんですっていうのを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いました。(後略)
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/77f67fbadbb72fe4e04fd0fc3b8bee08
いろいろ問題のある発言なのですが、ここの発言はもう前提となっている事実関係が滅茶苦茶です。
安倍さんは、有志連合に入りたいんだ、あるいはそういう国なんだって言いたいかもしれないけど、
でもそんなことは、日本は憲法もあるしできない、はずなんですよ。
まず日本はとっくに有志連合主要国に認知されていますし、有志連合は何も直接空爆に参加する国だけで構成されているわけではありません。
日本のように人道支援だけを行う参加国もたくさんあります。
そして「イスラム国」は国でもなんでもありません、ただのテロリスト集団であり犯罪者グループに過ぎません。
「でもそんなことは、日本は憲法もあるしできない、はずなんです」などの暴論がどこから出てくるのか、何重にも前提事実と現状認識を間違えているから、とんでもない根拠ない安倍批判となっているわけです。
イスラム思想を専門とする東京大学先端科学技術研究センターの池内准教授も繰り返し指摘されていますが、そもそも日本の難民支援や、ヨルダン、レバノン、トルコなどへのインフラ、人的資源育成の支援は、移民の流出や難民の再難民化を防ぐための、国際的な共通認識に基づいたものです。
別に安倍首相が集団的自衛権行使の代わりに言い出したものでもなんでもない、そもそも、ずっと現地から要請されていたものに、今回応えただけです、
こういった当たり前のことも知らずにテレビでコメントした挙句、批判されたら「言論の自由がない」などと言う人は、頭がかなり固いとしか言えません。
安倍批判はしたらいい、ただ明らかに間違ったことを言えば批判されるのは当然なのです。
根拠のないでたらめの解説をしたら批判されるのは当然でしょう。
「翼賛体制」とは、片腹痛いです。
(木走まさみず)