笹井氏に反論する〜現段階でSTAP細胞は「科学的信ぴょう性ゼロ仮説」である
17日付け読売新聞記事から。
笹井氏STAP説明に、同僚「理解できない」
2014年04月17日 10時04分笹井氏の記者会見は、神戸市の理研発生・再生科学総合研究センターでも同時中継され、報道陣約20人が集まった。
同センター研究者らも会見の模様をインターネットなどで注視。STAP細胞について「合理性の高い仮説」と述べたことに対し、笹井氏の同僚からは懐疑的な声も聞かれた。研究者の一人は「会見で示されたデータに、ネイチャー論文以上のものはなかった。論文の信頼性が失われている以上、そのデータをもって合理性が高いと言われても正直、理解できない」と指摘。一連の論文問題を振り返り、「著者だけでなく、我々も当事者として肝に銘じ、地道な再発防止の対策を続けていく必要がある」と強調した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140417-OYT1T50027.html?from=ytop_top
うむ、STAP細胞について「合理性の高い仮説」と述べた笹井氏に対し、「論文の信頼性が失われている以上、そのデータをもって合理性が高いと言われても正直、理解できない」と同僚が批判しています。
この問題に対する当ブログのスタンスは一貫しています。
明らかな剽窃や捏造・改竄常習者である小保方氏は科学者として完全にアウトであり、今回のSTAP論文は”全否定”しなければならない、というものです。
2014-04-10 小保方論文は”全否定”しなければならない
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140410
2014-03-12 学生時代からの剽窃常習犯である小保方晴子さんは完全にアウト
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140312
2014-03-16 深刻なモラルハザードを招きかねない理研の記者会見
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140316
笹井氏も含めて理化学研究所の対応は非常におかしいのです。
理研の管理責任が厳しく問われなくてはいけません。
理研は、共著者の1人を実施責任者としてSTAP細胞再現の検証作業を行うと言っていますが、これもまったく非常識です。
不正が認められたなら、元の論文は存在しないと同じ。「再現」というべきではないし、理研の当事者たちはこの研究から手を引くべきです。
今回の論文に関わった科学者たちは本件からひとり残らず排除すべきです、追再実験を行うというなら、理研に関わらない第三者的立場の科学者によって行われるべきなのは最低条件です。
・・・
科学の定義は反証可能性−つまり、反証できるかどうかということです。
カール・ポパー(1902〜94年)が『科学的発見の論理』のなかで、「科学は、常に反証できるものである」という定義を初めて示しました。
一般の人が考えている科学のイメージというと、実験によって理論が「検証」されるといったイメージがあります。
ある種の実験をすると、ある理論が正しいということが決定的に決まる、証明される、というようなイメージがあるわけです。
ポパーは逆説的に科学を考えたのです。
もしその理論がうまくいかないというような事例が一回でもでてしまえば、つまり反証されれば、その理論はダメになってしまうということです。
つまり、100万回実験を行って100万回理論を支持するような実験結果がでてきたとしても、その次の100万1回目に否定的な結果、理論がうまくいかないことを示すような精密実験データがでてきたら、もうその時点でその理論は通用しなくなる。
要するに、決定的な証明などということは永遠にできない、ということです。
反証可能性を持つ仮説のみを科学的な仮説とみなす科学哲学上の立場を反証主義と呼びます。
反証主義によれば、科学理論は反証可能性を持ちつつ未だ反証されていない仮説の総体であると定義されます。
そして、厳しい反証テストに耐え抜いた仮説ほどより信頼性が高いものとみなされるわけです。
ニュートンの万有引力の法則は、火星などの惑星の軌道を説明するのに矛盾なく見事にその軌跡を計算できました。
しかしもっとも太陽に近い水星の軌道のわずかなゆらぎを説明することはアインシュタインの相対性理論によらなければならなかったのです。
ニュートンの法則は反証されました。
アインシュタインの相対性理論も現在は反証されていませんが、「仮説」に過ぎない点では科学的には平等な扱いを受けています。
笹井氏は、STAP細胞について「合理性の高い仮説」と述べています。
これは全く合理性のない科学的ではない物の言い方です。
ある仮説の科学論文は、他者がその仮説の反証実験するための唯一の科学的拠り所であり重要なデータであり真摯に誠実に科学的事実に忠実に作られていなければなりません。
そこに不正が認められたなら、元の論文は存在しないと同じです、関わった科学者が「合理性の高い仮説」と擁護しては断じてなりません、不正論文は全否定されなければなりません。
第三者による元論文に基づく再実験や反証実験が不可能な論文など、科学的信頼はゼロです。
STAP細胞は「仮説」であることは認めましょう。
しかし現段階で「合理性の高い仮説」では断じてありません。
科学的信ぴょう性はゼロです。
(木走まさみず)