木走日記

場末の時事評論

「テキサス親父」署名10万超を政府は傍観するな〜でたらめな碑文内容を検証

 4日付けNHKニュース記事から。

慰安婦”の像撤去を 署名10万超
1月4日 8時57分

アメリカの韓国系市民団体がロサンゼルス近郊の都市に設置したいわゆる従軍慰安婦の問題を象徴する銅像について、撤去するようホワイトハウスに求める署名の数が、10万人分を超えました。

この銅像は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡って、日本政府に賠償などを求めてカリフォルニア州で活動している韓国系市民団体が、去年7月、ロサンゼルス近郊の都市、グレンデールの公園に設置しました。
この銅像について、南部テキサス州に住む評論家のアメリカ人男性が、先月、「銅像は、日本人や日本に対する憎しみを増長する」などとしてホワイトハウスに対して撤去するよう求める署名を専用のウェブサイトで呼びかけたところ、署名は、3日までに、アメリカの国内外から10万8000人分以上、集まりました。
ホワイトハウスは、こうした署名は10万人分を超えた場合、受理することになっていて、今後、対応を検討する見通しです。
この銅像の設置を巡っては、日本政府が「極めて残念だ」として遺憾の意を示したほか、地元の日本人や日系人からも反発が出ています。
アメリカではほかの自治体でもこうした銅像の設置が議論されていて、署名を呼びかけた男性の代理人を務める日本人男性は「今回の署名で、銅像の設置をこれ以上進めさせないという意思表示ができた。問題は解決済みだということを訴えたい」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140104/k10014252131000.html

 うむ、記事中に「南部テキサス州に住む評論家のアメリカ人男性」とあるのは、「テキサス親父」こと親日家のイタリア系白人のトニー・マラーノさん(64)なのでありますが、目出度くグレンデール市の従軍慰安婦像を撤去するようホワイトハウスに求める署名の数が、1月10日の期限を待たずに10万人分を超えて、請願が成立したのであります。

 トニー・マラーノさんに関しては当ブログでも昨年末に取り上げておりましたので、参考までにご案内。

2013-12-20 日本のために奮闘する「テキサス親父」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20131220

 さて請願が受理されても、連邦政府地方自治体の案件に介入する可能性はほとんどありません。

 だがしかしこれでホワイトハウスはこの請願に必ず何らかの回答をするわけで、その文面がたいへん興味深いですね、注目したいと思います。

 さてだがしかしです、この問題は何も本質的には解決していません。

 そもそもすでに全米で慰安婦像および碑文が4ヶ所設置されてしまっているのですが、韓国系市民団体の計画では今後新たに20箇所の設置が計画されているのです。

 問題なのはトニー・マラーノさんも指摘しているように碑文の内容が不正確なだけでなく明らかに日本を悪意を持ってターゲットにしていることです。

 ここは原点に戻って、グレンデール市の慰安婦像の碑文の内容を正確にご紹介しましょう。

Peace  Monument

In memory of more than 200,000 Asian and Dutch women who were removed from their homes in Korea, China, Taiwan, Japan, the Philippines, Thailand, Vietnam, Malaysia, East Timor and Indonesia, to be coerced into sexual slavery by the Imperial Armed Forces of Japan between 1923 and 1945.

And in celebration of proclamation of “Comfort Women Day” by the City of Glendale on July 30, 2012, and of passing of House Resolution 121 by the United States Congress on July 30, 2007, urging the Japanese Government to accept historical responsibility for these crimes.

It is our sincere hope that these unconscionable violations of human rights shall never recur.

July 30, 2013

平和の記念碑

1923年から1945年の間、大日本帝国軍によって強制的に性奴隷にされた、朝鮮、中国、台湾、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、東ティモール、そしてインドネシアの、それぞれの家から強制連行された20万人以上のアジアとオランダの女性を偲ぶ。

2012年7月30日のグレンデール市による「慰安婦の日」宣言と、2007年7月30日に合衆国下院においてこの犯罪の歴史的責任を日本政府が受諾することを要請する121条決議案が議会を通過したことを祝す。

私たちの真摯な望みはこの並外れた人権侵害が二度と再び繰り返されないことである。

2013年7月30日
(訳:木走)
Comfort Women Monument Unveiled in Glendale
http://www.ncrr-la.org/news/comfortwomenmonument/comfortwomenmonument.html

 まず「朝鮮、中国、台湾、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、東ティモール、そしてインドネシア」と10カ国が列挙されていますが、これは単に日本軍の慰安施設が設置されていた国々という事実なだけであり、この国々ですべて慰安婦が「それぞれの家から強制連行された」と誤読されるように文章は意図して構成されていますが、これはまったく事実に即していません、根拠はありません。
 悪徳業者が介在していた可能性はありますが、日本軍が直接組織的に強制連行した事実は、インドネシアでの一部の犯罪行為以外では、ほとんどの国で証明されていません。
 さらに慰安婦数ですが、"more than 200,000"つまり「20万人以上」と碑に刻まれているわけですが、この数字にはまったく根拠はありません。
 20万人という数値は学者による数ある当時の慰安婦数の推定値のひとつに過ぎません。

2万人と推定の慰安婦 韓国が人数多く見積もり20万人一人歩き
2014.01.06 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20140106_234560.html

 正確な数を今日明らかにすることは不可能なのですが、上記記事にもあるとおり、「昨年11月5日、韓国の国会議員は「韓国政府が推定する日本軍慰安婦の被害者は8万〜20万人だが、確認できているのは243人のみだ」と、女性家族省の資料を基に明らかにした」わけです。

 韓国政府ですら慰安婦と認定できたのはわずか「243人」だけなわけで、しかも日本軍が直接強制連行に関与したことは一人として証明できていません。

 何の根拠もなく数字だけが韓国の思惑どおり膨らんでいつの間にか慰安婦数が「20万人以上」と「事実化」して全米各地で石碑に刻まれようとしているのです。

 後世に残る記念碑を作るならばせめて碑文の内容は事実に基づかなければなりませんが、今検証したとおり、事実は誇大に湾曲されています。

 でたらめに近いのです。

 本件を一人のアメリカ人の奮闘をたたえるだけでは情けないことです。

 これはもはや広く世界で日本の国家イメージを損ねようとしている反日勢力との情報戦争です。

 日本政府は傍観していてはいけません。

 ひとつひとつ事実に基づいて毅然とした反論・反証を行い、韓国系団体の計画を阻止すべきです。



(木走まさみず)