木走日記

場末の時事評論

赤っ恥をかかされた中国・習近平指導部〜首都北京の政治中枢でのウイグル族自爆テロの衝撃

 29日付け朝日新聞電子版記事から。

天安門突入、ウイグル出身者の犯行か 当局通知で名指し
2013年10月29日11時31分

 【北京=林望】中国・北京市天安門に小型四輪駆動車が突っ込み炎上した事故で、市公安当局は新疆ウイグル自治区出身者による犯行との見方を強めている模様だ。当局は少数民族とみられる男2人を容疑者として名指しする通知を市内のホテルなどに配布。当局はメディアには情報統制を敷き、動揺の拡大を抑え込む姿勢だ。

 複数の宿泊施設によると、同市公安局治安管理総隊は28日から29日にかけて、「28日、市内で重大な事件が発生した」などとする複数の通知を出した。

 そのうちの一部は、容疑者として新疆ウイグル自治区出身の男2人の実名と身分証ナンバー、本籍を示し、「違法な容疑車両」として4台の小型四輪駆動車のナンバーを列記している。

 容疑者の名前はウイグル族など西域の少数民族に多いもので、4台の車はいずれも新疆ナンバーだ。宿泊施設に対し、10月1日以降の宿泊者や車両を調べ、容疑者の手がかりが見つかればすぐに報告するよう求めている。

http://www.asahi.com/articles/TKY201310290060.html

 うむ、「容疑者の名前はウイグル族など西域の少数民族に多いもので、4台の車はいずれも新疆ナンバー」とあり、今回爆発したのは1台だけですから、当然公安当局は連続テロの可能性を危惧しているものと思われます、「宿泊施設に対し、10月1日以降の宿泊者や車両を調べ、容疑者の手がかりが見つかればすぐに報告する」ように求めています。

 朝日記事にも「当局はメディアには情報統制を敷き、動揺の拡大を抑え込む姿勢」とありますが、当然ながら中国国内メディアはどれも当局が用意した「天安門で交通死亡事故」という地味な事実報道に徹底、一方、事実を押さえ込むために、NHK国際放送の視聴を制限、長安街を封鎖、AFP記者ら一時拘束、ネット投稿次々削除と、徹底した報道管制が取られています。

 29日付け産経新聞電子版記事。

中国当局、NHK国際放送の視聴を制限 突然真っ黒に
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131029/chn13102913060007-n1.htm
警察、長安街を封鎖、AFP記者ら一時拘束、ネット投稿次々削除
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131029/chn13102910430004-n1.htm

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 ウイグル族による自爆テロだとの可能性が高まったわけですが、もしそうならばこの一ヶ月で中国当局が特殊警察部隊を投入して中国新疆ウイグル自治区ウイグル族15人を射殺するという弾圧を行ったことに対する「報復行為」という推測も可能かもしれません。

 25日付け共同通信記事。

中国当局、新疆で15人射殺 特殊警察部隊投入、約100人逮捕
2013.10.25 13:22 [中国]

 米政府系放送局ラジオ自由アジアが25日までに伝えたところによると、中国新疆ウイグル自治区カシュガル地区で、特殊警察部隊が9月26日からの約1カ月間で少なくともウイグル族15人を射殺、約100人を逮捕した。

 射殺、逮捕されたのは新疆独立を主張するグループとみられ、10月の国慶節(建国記念日)の連休期間中に、爆弾を使って公安施設などを攻撃しようと計画していたという。

 カシュガル地区では8月にも、公安当局がテロを計画しているなどとしてウイグル族を射殺する事件が相次いで発生、情勢が緊迫している。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131025/chn13102513240005-n1.htm

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 中国共産党政府の中枢中の中枢、首都北京の全国人民代表大会(国会に相当)などの議場として用いられる人民大会堂の真ん前にある天安門広場、その毛沢東の写真にめがけて「自爆テロ」が炸裂したわけです。
 共産党指導部は大きな衝撃を受けていることでしょう。

 経済格差の拡大やチベットウイグルにおける少数民族の抑圧問題などで、中国各地では年間数万件という暴動やデモが頻発して治安が悪化してきたのですが、これまでは地方都市がおもで警戒の厳しい首都北京では発生していませんでした。

 その点でも今回の首都北京の政治中枢でのウイグル族自爆テロが発生したことは、強い衝撃を共産党指導部に与えたことでしょう。

 当局は徹底した報道管制とウイグル独立派組織への弾圧を強化するものと思われます。

 天安門でのテロ発生、赤っ恥をかかされた中国・習近平指導部の動向に注目です。



(木走まさみず)