ひとつの選挙区で10万票が蒸発した壊滅的大敗北の民主〜都議選結果をマンモス選挙区練馬区(定数6)で徹底検証
さて都議選の結果ですが自公圧勝という大方の予想通りの結果でありました。
数字を検証しつつ都議選の結果を簡単に総括しておきます。
アベノミクス経済効果もあり各世論調査で6割を超える高支持率を保ったままの安倍政権、国政の勢いをそのまま都議選に持ち込むことに成功したと言えましょう。
一方前回の都議選で民主大躍進の投票行動をした有権者の一部が今回は投票回避したと推測できます、投票率は43・50%で、前回の54・49%を10・99ポイント下回り、過去2番目の低さに落ち込みました。
都議選投票率43.50% 過去2番目の低さ
http://www.asahi.com/politics/update/0623/TKY201306230267.html
低投票率でいわゆる「風」は吹きませんでした、逆に組織地盤の強い政党に有利に働きました、自民、公明、共産の勝利をもたらしました。
国政の勢いもあり自民・公明は、それぞれ59人と23人の立候補者が全員当選と「完全勝利」であります。
共産も8議席から17議席と議席数を倍増で第三党に躍進、確かに安倍政権批判の受け皿として票を得ることに成功したようです。
一方、民主は15議席と前回の第一党から共産にも抜かれ第四党に転落、壊滅的な大敗北を喫しました。
低投票率で自公が完璧な磐石の戦い、共産躍進、民主大後退の中、野党への「風」が無風の中で、維新・みんなの結果は対照的でした。
維新は3議席から2議席へと後退、一方みんなは7議席獲得と健闘します。
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さて、今回はマンモス選挙区のひとつ「練馬区(定数6人)」の投票結果を徹底的に分析してみます。
今回の都議選で有権者がおこした投票行動の流れが象徴的に理解できることでしょう。
4年前の民主党が大躍進した練馬区の当選者6人の内訳は民主3人、自民2人、公明1人でした。
練馬区選挙管理委員会のサイトから正確な投票結果を拾っておきます。
◆東京都議会議員選挙 (平成21年7月12日執行)
得票順 当・落 候補者氏名 党派名 得票数 1 当 小林 けんじ 公明党 50,011 2 当 中谷 ゆうじ 民主党 46,963 3 当 野上 ゆきえ 民主党 45,830 4 当 高橋 かずみ 自由民主党 38,738 5 当 あさの 克彦 民主党 33,754.473 6 当 やまか あけみ 自由民主党 31,165 7 松村 友昭 日本共産党 29,575 8 中井 八千代 東京・生活者ネットワーク 22,573 9 中川 直人 社会民主党 10,216 10 藤野 かつひこ 市民ネリマ行革110番 7,182.526 11 むらおか としたか 幸福実現党 1,486 投票者総数 321,372
有効投票総数 317,493.999
按分切捨票 0.001
無効投票総数 3,873
不受理票数 1
不足票数 4
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/senkyo/kekka/h210712/kaihyo.html
ご覧のとおり、有効投票数317,494票のうち民主が126,547票で3人、自民が69,903票で2人、公明が50,011票でトップながら1人、共産が29575票で次点でありました。
さて4年後の今回は公明が手堅く1人の候補者に絞る中で自民は強気に3人の候補者を立てます。一方、民主は3人からなんと1人に絞り込みます、実は練馬区は民主が今回候補者を絞り込むことに成功した数少ない選挙区なのです(今回多くの選挙区で民主は共倒れしています)。
社民や諸派が候補者を立てることをあきらめ、かわりにみんな1人、維新2人が候補者を立てます。
今回の練馬区では、自民3、公明1、民主1、共産1、ネット1、みんな1、維新2の10候補となりました。
では興味深い今回の練馬区の投票結果です。
◆東京都議会議員選挙 (平成25年6月23日執行)
得標順 当・落 候補者氏名 党派名 得票数 1 当 小林 けんじ 公明党 41,363 2 当 しばざき 幹男 自由民主党 35,722 3 当 やまか あけみ 自由民主党 32,070 4 当 松村 ともあき 日本共産党 31,218 5 当 高橋 かずみ 自由民主党 28,006 6 当 あさの 克彦 民主 23,444 7 藤井 かおる みんなの党 20,390 8 やない 克子 東京・生活者ネットワーク 20,311 9 あみの 辰男 日本維新の会 13,002 10 松岡 りか 日本維新の会 8,930 投票者総数 258,403
有効投票総数 254,456
按分切捨票 0
無効投票総数 3,939
不受理票数 5
不足票数 3
残票 0
ご覧のとおり当選者は自民3、公明1、共産1、民主1となっています。
興味深いのは前回3人当選した民主です、3人から1人に候補を絞り込むことに成功しても最下位の当選がやっとなのです。
もし絞込みに失敗して複数候補がいたらまちがいなく共倒れして、他の選挙区がそうであったように次点のみんなが当選したことでしょう。
2名擁立した維新ですが、維新同士で最下位争いの体たらくであります、それぞれの票を合計しても21,932票と当選圏には届いていないのが象徴的です、党勢の無さが示されています。
さて有効投票総数が254,456票と前回から20%(63,038票)も減っている中で各党の票数の推移をまとめて見ましょう。
党派名 平成21年 平成25年 増減 公明 50,011 41,363 -8,648 民主 126,547 23,444 -103,103 自民 69,903 95,790 +25,887 共産 29,575 31,218 +1,643 ネット 22,573 20,311 -2,262 みんな ----- 20,390 +20,390 維新 ----- 21,932 +21,932 総数 317,494 254,456 -63,038
練馬区だけで、驚くことに民主党は10万票も減少しています、議席増の自民や共産も確かに票を増やしていますが、民主票の目減り方の異常さがわかります、その目減りの半数ほどが今回投票回避行動にでていることが容易に推測できます。
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今検証したとおり、得票総数が25〜35万の定数6の選挙区練馬区において、今回民主票は126,547票から23,444票と103,103票も減少いたしました。
練馬区に限ればですが、民主票の減少率はマイナス81.47%なのであります、立候補者数を絞ってのことではあるのですが、それでも得票の減少率が8割を超えるということはたいへんまれな事象であると申せましょう。
ひとつの選挙区で10万票が蒸発した壊滅的大敗北の民主なのでありました。
今回はマンモス選挙区のひとつ「練馬区(定数6人)」の投票結果を徹底的に分析してみました。
この分析が読者のみなさまの論考の一助になれば幸いです。
(木走まさみず)