25日付け時事通信の報道タイトルは犯罪的だと思う〜「芸能人父を国際手配=詐欺容疑」(時事通信)
日本のマスメディアの人権意識の希薄さが怖いです。
これまでも日本のマスメディアの犯罪報道では、情け容赦の無い報道により痛ましい犠牲者を出しています。
犯罪を犯した者の親族に対して、実名で報道する、昼夜区別無くインタビューを試みる、あること無いことをプライバシーを無視して報じられるわけです。
7年前の耐震強度偽装事件で、建築基準法違反容疑で逮捕されたA元建築士(48)の妻(49)が、千葉県市川市の自宅近くマンションから飛び降り自殺しています。
このような過剰報道によるマスメディアの蛮行により、罪の無い人が報道被害(ほうどうひがい)に巻き込まれる・・・
残念ながら日本では罪を犯した者の親族というだけで報道被害を受ける、この愚かなマスメディアによる犯罪行為が繰り返されているのです。
・・・
さて、これはちょっとひどいメディア報道だと思います。
25日付け時事通信速報記事から。
ローラさん父を国際手配=詐欺容疑、海外療養費不正受給で指南−警視庁
海外で支払った医療費が還付される国民健康保険の海外療養費制度を悪用して不正受給する方法を指南したとして、警視庁組織犯罪対策1課は25日までに、詐欺容疑でタレントのローラさんの父でバングラデシュ国籍のジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者(53)の逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて現地警察に手配した。
〔写真特集〕日本のファッションモデル〜ローラさん〜
手配容疑は、バングラデシュ人の調理師モハマド・アミン・ショリフ容疑者(45)=詐欺容疑で再逮捕、東京都世田谷区=と共謀し、2009年12月、世田谷区役所にショリフ容疑者がバングラデシュで入院したなどとする虚偽の診断書などを提出し、海外療養費など約87万5000円を不正に受給した疑い。
同課によると、ジュリップ容疑者は不正受給の方法を教え、このうち約40万円を受け取っていた。ショリフ容疑者は他のバングラデシュ人と、同様の手口で1000万円以上を詐取した疑いがあり、「(ジュリップ容疑者から)絶対ばれないもうけ話がある。利益を折半しようと誘われた」と供述。ジュリップ容疑者はグループの指南役とみられる。(2013/06/25-13:01)
この報道はいかがなものでしょうか。
本事件で手配者の娘でファッションモデルであるローラさんが関与しているのならまだともかく、ローラさんは事件とは無関係だとしたら、「ローラさん父を国際手配」とローラさんと関連して報道する必要があるのでしょうか。
本報道により事件とは全く関係が無いローラさんがCMやTV出演などから干されたりして、生活基盤が破壊されるとしたら、これはひとつの報道被害(ほうどうひがい)を招くリスクが大きい悪意ある報道と見なせるのではないでしょうか。
マスメディアが犯罪などの事件や出来事を報道するとき、誤報や事実と確認されていない事を決めつけた報道をしたり、事実を故意に編集し誇張した報道をしたり、犯罪者の親族などを実名報道して、被報道者の生活基盤、人間関係、名誉などを破壊してしまう、メディア・パニッシュメント(報道断罪)につながりかねない危険な報道だと思われます。
有名人だからといってどのような報道スタイルも許されるわけではありません。
芸能人とはいえ、マスメディア報道から最低限守られるべき人権があるはずです。
25日付け時事通信の報道タイトルは犯罪的だと思います、あえて強く批難しておきます。
(木走まさみず)