木走日記

場末の時事評論

橋下氏の戦略的撤退(対米謝罪と訪米中止)を評価する〜ここは朝日新聞の報道姿勢について一点突破し、その捏造報道の実態を明らかにすべきではないか?

 28日付け産経新聞電子版速報記事から。

強気一転…訪米中止を表明 公務影響「総合的に判断」
2013.5.28 16:19 [west政治]

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は28日午後、市役所内で記者団に対し、来月中旬に予定していた米国視察について、「総合的に判断し、中止を決定した」などと述べ、訪米中止を表明した。慰安婦制度をめぐる発言により米国で批判が高まっており、党共同代表としての言動が市長としての公務に影響をきたした格好だ。

(後略)

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130528/waf13052816220027-n1.htm

 うむ、橋下徹大阪市長が訪米中止を表明したことを速報している産経記事であります。

 27日の日本外国特派員協会で会見し、慰安婦問題に絡んで在日米軍幹部に「風俗業を活用してほしい」などと述べた発言を撤回、謝罪しましたのに続いてのこの動き、対米国に対して極めて慎重に対応をし始めた様子です。

 橋下氏にとって気になる世論調査数値が出ています、28日付け産経新聞記事から。

橋下氏、会見で幕引き狙うが…女性の8割が嫌悪感示す
2013.5.28 00:01

 日本維新の会橋下徹共同代表は27日の日本外国特派員協会の記者会見で、慰安婦問題発言をめぐる騒動の幕引きを狙った。歯にきぬ着せぬ物言いが、良くも悪くも注目を集めてきた橋下氏だが、今回は経験したことのない集中砲火を国内外から浴びた。失地回復の手立ても見当たらず、夏の参院選へのダメージも不可避。結局、自らの進退まで示唆せざるを得なかった。

 『批判を恐れるな批判は自分が進んでいる証』

 橋下氏は24日、毛筆を握ると色紙に書き込んだ。福岡県内の高校から文化祭の展示用として依頼されたもの。書が苦手で揮毫(きごう)を頼まれても断り続けてきたが、この日は自らを鼓舞するかのように筆を動かした。

 逆風はすさまじかった。一連の発言後、抗議や批判の電話、ファクスが市役所や党本部に殺到。他党からの批判にさらされ、参院選に向けてタッグを組んだみんなの党からは決別を言い渡された。

 支持率も急落した。産経新聞とFNNの合同世論調査で、橋下氏の慰安婦発言を女性の79・3%が「不適切だ」と回答。とくに風俗業活用発言は女性の82・4%が嫌悪感を示した。女性の支持離れは明らかだ。

(後略)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130528/stt13052800030000-n1.htm

 うーむ、橋下氏が風俗業活用発言を撤回し謝罪したのは正しい判断といえましょう、産経記事によれば「女性の82・4%が嫌悪感を示し」ております。

 ここに来て各紙世論調査日本維新の会の支持率は急落しています。

維新の支持率が大幅ダウン 
2013/5/27 11:46

日本経済新聞社が2013年5月24日から26日に実施した世論調査の結果が、5月27日付の日経新聞で発表されている。
日本維新の会の支持率は4月調査の5%から3%に、夏の参院選で維新に投票したいと答えた人は9%から3%に急落した。
橋下徹共同代表のいわゆる従軍慰安婦をめぐる発言を受けて、維新に対し「期待が薄らいだ」は23%、「もともと期待していない」は35%、「特に変わらない」は33%、「期待が高まった」は2%だった。橋下氏の発言が支持率の低下に大きく影響したとみられる。
調査は日経リサーチが福島県の一部地域を除く全国の成人男女を対象に電話で行い、有権者のいる1447世帯から921件の回答を得た。
http://www.j-cast.com/2013/05/27175909.html

 ご覧のとおり、日経世論調査によれば「夏の参院選で維新に投票したいと答えた人は9%から3%に急落」しています。

 今こそ橋下氏は戦略を立て直すべきだと思います。

 よく知られている通り、慰安婦問題は国内と国外の二重構造を成しています。

 国内では慰安婦問題の生みの親とも言える朝日新聞などが今だこの問題に執着し偏向報道、そのために国論を二分している状況です。

 このような国内状況で国外に情報発信しても、朝日新聞を初めとする国内メディアに足をとられて橋下氏の発言はセンセーショナルに取り上げられるだけです。

 そしてこのナイーブな問題で正直に発言しようとすれば、第一次安倍内閣も同様でしたが、今見たとおり今回も女性中心に支持率が落ちていくわけです。

 このような状況で、ただ勢いにまかせて国際的に強気に論争を起こして正面突破を図る戦略をとっても、まったく勝ち目が無い、勝算は乏しいことでしょう。

 この問題は「勝ち負け」ではない、正義のためなどという、観念論(ideological)的な主張には賛同できません。

 ここは徹底して現実論(realistic)で冷徹に判断すべきです。
 なぜならば、橋下さんは政治家であり思想家ではないからです、ご本人も発言していますが、支持率が落ちては戦えないのです。

 さて、ここは戦略転換、戦略的撤退(strategic withdrawal)を計るべきです。

 私はアメリカに謝罪し訪米を中止したことを評価します。

 良し悪しはともかく、歴史認識の問題で日本は中国・韓国だけでなく、広くアメリカとまで論争をすることは、今このときに得策ではありません。

 戦線を広げすぎると自滅します。

 いったん、論を収めて、ここは国内メディア特に朝日新聞の報道姿勢について一点突破し、その捏造報道の実態を明らかにすべきです。

 一連の朝日新聞従軍慰安婦報道で、何が捏造で、何が真実だったのか、そこを解明する、ここに焦点を当てるべきではないでしょうか。

 さいわいなことに捏造報道の事実を示唆する証拠や証言は、「従軍慰安婦」強制連行を示す文書資料等の現在まぼろしの証拠よりも、十分すぎるほどにあります、日本のマスメディア史に残る興味深い検証になるはずです。

 戦略的撤退をすることは敗北主義では有りません、あくまでも最終勝利のための戦略転換です。

 相手を絞るべきです。

 今このときに「慰安婦問題」で問われるべき存在は、この問題の生みの親である朝日新聞と、私は考えます。



(木走まさみず)