木走日記

場末の時事評論

今、読者にあらためて問いたい。あなたは河野談話を支持しますか?

 今回は「河野談話」に関してエントリーします。



 旧日本軍による慰安婦の強制動員を認めて謝罪した「河野談話」の発表を主導した河野洋平官房長官が8日、読売新聞とのインタビューで話した内容が韓国のメディアで一斉に取り上げられています。

中央日報河野氏の反撃…「慰安婦談話を破棄すれば日本の信用を失いかねない」
http://japanese.joins.com/article/910/160910.html?servcode=A00§code=A10
東亜日報】「河野談話は当時内閣の意志」 河野洋平氏が日本紙に語る
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012100997118
朝鮮日報河野洋平氏「慰安婦否定すれば国家の信用失う」
河野談話の破棄を主張する政治家を批判
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/09/2012100900386.html

 【東亜日報】記事よりインタビューにおける河野氏発言部分を抜粋。

「1992年7月、加藤紘一官房長官慰安婦に関する調査結果を発表、謝罪した。軍当局による慰安所の設置と運営、日本軍の車両での女性移送などの事実が省庁の文書で確認された一方で、募集方法など『強制徴用』を裏づける資料は見つからない。加藤さんの後任の私が警察、防衛、外務、文部、厚生、労働の各省庁に更に調査を依頼したが、大変だった。元慰安婦本人からの聞き取りも難航した。

徐々に心を開いた16人が、『出所や中身は公表しない』との約束で口を開いてくれた。(誰なのか分かれば)本人だけでなく親族が皆、白い目で見られた環境ゆえだった。

『日本の軍人が威嚇して女性を連れていった』『工場で下働きの仕事だとだまされた』『日によっては20人を超す兵隊の相手をさせられた』『敗走時は置き去りにされた』といった慰安婦の痛ましい体験が語られた。軍には逆らえない状況下で、総じて「強制性」を認めるべき内容だと判断した。

証言を読んだ宮沢喜一首相は衝撃を受けていた。私が発表した談話は、日本と韓国だけでなく米国の国立公文書館などの資料も慎重に検討したものだった。宮沢内閣が責任で決めた「内閣の意志」だ。閣議決定はしなかったが、その後の全ての自民党政権民主党政権も踏襲してきた。

にもかかわらず、紙の証拠がないからといって戦後半世紀が超えて今も苦しむ女性の存在や戦争中の悲劇までなかったと言わんばかりの主張には、悲しみさえ覚える。アジアのみならず欧米諸国からも日本の人権意識が疑われ、国家の信用を失いかねない」

 このインタビューは「右翼政治家に向けた“河野の反撃”」と筋立てる【中央日報】記事の当該部分を抜粋。

8月の李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(ドクト、日本名・竹島)訪問をきっかけに、日本政界で河野談話破棄・修正論が提起された後、河野氏が立場を明らかにしたのは今回が初めてとなる。「強制連行の証拠がない」として談話の破棄を主張する右翼政治家に向けた“河野の反撃”だ。

現在、河野談話の破棄や修正に最も積極的な人物は、先月末に自民党総裁に選出された安倍晋三元首相だ。安倍総裁は総裁選中、「強制連行を事実上証明する資料はなかった。子孫の代に不名誉を背負わせるわけにはいかない」とし、河野談話の破棄を代表的な政策課題に掲げた。自民党の支持率が民主党を圧倒する現状況で、次期総選挙の後、安倍総裁が首相に就任すれば、河野談話の破棄が日本政府の公式的な立場になる可能性もある。

野田佳彦現首相、“妄言製造機”として知られる80歳の石原慎太郎東京都知事、さらに日本政治の次世代期待株とされる43歳の橋下徹大阪市長が年齢帯を問わず、慰安婦妄言隊列で足並みをそろえている。

 ・・・

 今一度外務省公式サイトに掲げられている「河野談話」全12の文章を確認しておきます。

慰安婦関係調査結果発表に関する
河野内閣官房長官談話
平成5年8月4日

 【1】いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。

 【2】今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。
 【3】慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。

 【4】慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。

 【5】また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 
 【6】なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。

 【7】いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。

 【8】政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。

 【9】また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。

 【10】われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。

 【11】われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。

 【12】なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。

※各文の番号は木走付記

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html

 今、読者にあらためて問いたいのです。

 あなたは「河野談話」を支持しますか、支持しませんか?

 不支持とした場合、河野談話のどこがどのように問題なのでしょうか?

 読者のご意見を広く伺いたいです。

 コメント欄、トラックバックツイッター、ブックマーク等、ご意見を募ります。

 後日このまとめをエントリーしたいと考えています。



(木走まさみず)