木走日記

場末の時事評論

理念なき「嘘吐き」政治家〜東国原英夫・前宮崎県知事

 10日付け日経新聞記事から。

維新合流は既定路線? 公開討論会で舌戦なく
2012/9/10 10:57

 国政進出を決めた地域政党大阪維新の会」が新党結成に向けて開いた9日の公開討論会の冒頭、橋下徹大阪市長は「厳しい質問をぶつけて」と求めたが、参加した国会議員7人は「事前に話し合いして、すりあわせてきた」(松浪健太衆院議員)と準備万端で予定調和ムードが漂った。

 7人の国会議員は農政や郵政民営化など担当テーマを事前に決めており、「混合診療解禁や環太平洋経済連携協定(TPP)参加をやっていく」「原発に代わる技術開発で経済成長する」などと維新の主張に沿った発言を淡々と続けた。

 有識者が「本当に皆さん同じ考えなのか」と念押ししても、7人は遠慮がちにうなずくだけ。終了後は口をそろえて「ほぼ価値観は一致した」と感想を述べた。橋下氏は「参加者は同じ方向性であるのが前提。反対意見を言いたい人が集まったわけではない」と釈明するように話した。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10015_Q2A910C1CC0000/

 公開討論会なのに「予定調和ムードが漂った」のは残念なことですが、「本当に皆さん同じ考えなのか」(有識者)と念押しされても「7人は遠慮がちにうなずくだけ」と日経記事に書かれては少しばかり情けない「船出」なのではあります。

 橋下徹大阪市長にも維新の会にも是非ともこの国のためにがんばっていただきたいのですが、今回は民主党から参加した松野頼久官房副長官(熊本1区)、石関貴史衆院議員(群馬2区)、水戸将史参院議員(神奈川選挙区)の3人の国会議員と、東国原英夫・前宮崎県知事の合わせた4人の政治家を維新八策に掲げらているTPP推進政策、この一点で糾弾したいのです。

 松野頼久さん、あなた『TPPを慎重に考える会』幹事長でしたよね。

TPPを慎重に考える会
http://ja.wikipedia.org/wiki/TPP%E3%82%92%E6%85%8E%E9%87%8D%E3%81%AB%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E4%BC%9A

 『TPPを慎重に考える会』は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対して慎重な姿勢をとる国会議員により結成された議員連盟で、民主党社会民主党国民新党新党日本など超党派の国会議員約180名が集まり、昨年国会で大騒動を巻き起こしました。

 TPP反対急先鋒の議員連盟のしかも幹事長をしていた松野氏が、政策のひとつに「TPP参加」を堂々とうたっている維新の会にどうして「ほぼ価値観は一致した」と言えるのでしょう。

 石関貴史衆院議員(群馬2区)と水戸将史参院議員(神奈川選挙区)も同罪です、あなた方も全農が公開している「TPP交渉参加反対に関する国会請願の紹介議員」のお一人ですよね。

〜 TPPから日本の食と暮らし・いのちを守る取組み 第5弾〜
「TPP交渉参加反対に関する国会請願の紹介議員一覧」の公表
農林水産団体、消費者団体、国民各界・各層と連携
http://www.zenchu-ja.or.jp/release/pdf/1319543828.pdf

 この請願事項は、はっきりと「TPPへは参加しないこと」と明記されています。

?TPPは、我が国の食料自給率の向上どころか、農林水産業
営む地域経済・社会の崩壊を招く恐れがあり、かつ医療、保険、
雇用、食品安全性など我が国の基準・制度の変更など、国のか
たちを一変させるものであり、TPPへは参加しないこと。
?国民が望む、安全・安心な食料・エネルギー等の安定供給、持
続可能な農林水産業の振興、地域経済、社会、雇用の安定、環
保全等に向けた施策を確立すること。
以 上

 さらに水戸将史氏は昨年12月に当ブログも提携しているBLOGOSで「戦略なきTPP参加交渉となれば、アブ蜂取らずになるのは必至」と、TPP参加慎重論を堂々と展開されています。

TPP交渉参加の幕開けと農業政策の確立?!
http://blogos.com/article/26021/

 記事より抜粋。

まずは野田総理自ら、農政に対する確固たる信念をしっかり示すことが肝要。そもそも現下の戸別所得補償政策は農業の集約化に沿わないので方向転換は必定でしょう。都市における市街化区域農地を明確に位置づけ、その機能をも勘案し、近郊農業と地方大規模農業への支援策は二元的に進めるべきです。そして法改正をして、農地の貸借・売買につき流動化を促し、民間企業の参入も積極的に認めて産業の裾野を広げる必要があります。 仮にこうした事項を実行するならば現場は相当な混乱が予想されます。しかし、何が何でも自給率アップを!と、唱える説明とビジョンは明確に果たさねばなりません。戦略なきTPP参加交渉となれば、アブ蜂取らずになるのは必至です。

 今回民主党から参加された国会議員3名はTPP反対派・慎重派であったのであり、完全に維新八策の「TPP積極参加」とは相容れない主張をこれまで展開してこられた方々です。

 自らが国会で議員連盟まで作って参加してこられた重要な政策に対し、180度転換するというのなら、国民に選ばれた国会議員として当然ながら有権者に説明責任があるわけですが、TPPに関しては討論会ではまったく掘り下げて取り上げられませんでした。

 そして東国原英夫・前宮崎県知事。

TPPには反対ではなかったと東国原英夫
http://www.dailymotion.com/video/xtbtam_tppyyyyyyyyyyyyyyyy_news

 私たまたまですがリアルでこのニュース番組を見ていたのですが、これではあなたはただの「嘘吐き」でしょう。

 宮崎県知事時代、激しい言葉でTPP参加反対を唱え、全農などが主催する多くの反対集会に宮崎県知事として参加し発言していたじゃないですか。

 「日刊都城」の当時の記事。

宮崎で農家らTPP反対集会。知事や各市町村長も出席。3500人。
http://www.nikkan-miyakonojo.com/01a/101205-tpp.htm

 ・・・

 民主党の3議員も含めてですが、特に東国原英夫氏はTVで「TPPには反対ではなかった」と詭弁を弄するのは止めて下さい。

 政治家が考えを変えて政策を転換するのを非とはしません。

 その理由を有権者に真摯に説明し信を問えばよろしいです。

 しかし東国原英夫氏のように「TPPには反対ではなかった」などという嘘は付いてはいけません。

 東国原英夫氏は、ただ勝ち馬に乗らんとしている、理念なき「嘘吐き」政治家です。



(木走まさみず)