木走日記

場末の時事評論

政治家のみなさん、そろそろ根本的な政治制度改革を真剣に議論しませんか

 今回久しぶりに日本がその外交力を示しましたね。

 APECにおいて野田総理の日本のTPP事前協議参加は、野田総理がどんなに二枚舌を使おうが世界各国では「日本のTPP参加」と報じられています。

 日本の動きに触発され、カナダ・メキシコがTPP参加表明、フィリピン・パプアニューギニアもこれに続こうとしているとの報道もあります。

 一連の動きに危機感を持った中国はASEAN+6などで日本巻き込み、アメリカ中心のTPPに対抗心剥き出しです。

 またヨーロッパも今までまったく関心を示さなかった対日FTAを日本に打診してきております。

 私はTPP慎重派ですが、それはともかくやはり腐っても鯛といったら失礼ですが、中国に抜かれたとはいえ世界第三位の経済大国である日本の経済動向はまだまだ世界に影響力を持っていることを今回、あらためて強く感じました。

 野田総理が間違っても勘違いしてほしくないのは、この各国の動きをもって日本の総理大臣たるご自身に外交力があるなどと錯覚してほしくはないです。

 各国に影響力があるのはあくまで日本経済市場の規模が大きいからであって、残念ながら日本の政治・外交力の結果ではありません。

 日本の政治家など国際的には致命的ともいえるほど存在感はありません。

 日本の総理大臣のつまり野田総理のお名前を覚えている外国人はほとんどおりません。

 APEC、G8、G20、あるいは国連といった国際外交舞台で日本は参加者に過ぎず、その経済規模にみあった外交力など、発揮したことはありません。

 なぜか、それは日本の政治家の質の問題とか民主党政権だからとか自民党政権だからとかもはや表層的な「人事」や「イデオロギー」などの問題ではなく、私は日本の政治制度・政治体制そのものが制度疲労を起こして崩壊しているのだと思っています。

 ・・・

 今年は平成23年ですが、野田総理は平成に入ってから何人目の総理大臣かご存知でしょうか。

 なんと17人目であります。

 小泉政権(5年)という例外を除けば、ほとんどの政権は2年持ちません、特に最近5年間はご承知のように毎年総理大臣が変わっています。

 参考までに日米中、3大経済大国のこの23年間つまり平成時代の政治指導者の遷移を表にまとめてみました。

 ご覧下さい、3大経済大国の平成時代の政治指導者遷移この見事なコントラストを。

 この23年間で、アメリカ大統領は4人、中国国家主席は3人、対して日本国総理大臣は17人、もう表作成していて日本の部分だけグチャグチャで作成するのに疲れてしまいました(苦笑)。

 読者の皆さん、こころある政治家の先生方、この悲しき表を見てください。

 これでは過酷な国際パワーゲームに勝ち残れるわけがありません。

 これで外交力を持てという方が酷なことであります。

 これはもはや人材の問題でもイデオロギーの問題でもない、制度・体制の問題であることは明らかです。

 思い切って2院制を放棄して参議院を廃止、いわゆる「政治のねじれ減少」を解消するとか、総理大臣を4年とか5年とかの任期制にして直接選挙で国民が選ぶこととし「政権の安定」を法律で担保しちゃうとか、異論反論おおいにけっこう、タブーなき議論を始めませんか。

 総理大臣が毎年のように変わる現状は、国際外交力喪失として国益を損なっているのは明らかなうえ、内策においても骨太な改革などできうるわけがないです。

 毎年社長がコロコロ変わる会社が成長しっこないのと同じです。

 そろそろ本気で根本的な政治制度改革を真剣に議論しませんか。


(木走まさみず)