木走日記

場末の時事評論

気象庁発表余震情報徹底解析

 14日付け産経新聞速報記事から。

福島と茨城で震度4 千葉や埼玉は震度3 午後0時9分
2011.4.14 12:28
 14日午後0時9分ごろ、福島県浜通り茨城県北部で震度4を観測する地震が発生。気象庁によると、震源の深さは約10キロ、規模を示すマグニチュード(M)は5.5と推定される。津波の心配はない。その他の震度は次の通り。

 震度3=宮城県北部、宮城県南部、宮城県中部、福島県中通り茨城県南部、栃木県北部、栃木県南部、埼玉県南部、千葉県北東部、千葉県北西部

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110414/dst11041412290039-n1.htm

 うむ、最近余震が続いています東日本なのですが、マグニチュード(M)は5.5と推定されています、M5.0以上の地震は通常なら規模の大きい地震扱いなのですが、今回の大地震に伴う余震では毎日のように発生している感じであります。

 どうもここ数日余震回数が増えている気がしているのですが、グラフのような統計的な情報があまり発表されていないようです。

 そこで気象庁の発表資料に基づき3月11日以来の余震発生状況を統計的に解析してみました。

 用いたのは日本気象協会のサイトで公開されている地震情報です。

日本気象協会 地震情報
http://tenki.jp/earthquake/

 ここは気象庁の発表情報がそのまま記録されていますので情報精度は高いです。

 例えば4月13日(水)には19回の地震情報が発表されています、表にまとめてみます。

2011年4月13日(水)

発表時刻 発生時刻 震源 マグニチュード 最大震度
01 22時44分 22時40分 新潟県中越地方 M2.4 1
02 22時2分 21時58分 福島県 M4.4 3
03 19時58分 19時54分 千葉県東方沖 M3.8 1
04 17時8分 17時3分 福島県会津 M2.7 1
05 15時7分 15時3分 静岡県東部 M2.5 1
06 14時56分 14時52分 福島県浜通り M4.2 3
07 14時26分 14時22分 千葉県北西部 M3.4 1
08 10時34分 10時30分 秋田県内陸南部 M2.2 1
09 10時17分 10時8分 福島県浜通り M5.8 5-
10 10時11分 10時7分 --- --- 5-
11 8時57分 8時54分 宮城県 M4.4 3
12 8時39分 8時36分 千葉県東方沖 M5.3 3
13 4時41分 4時37分 岩手県沿岸北部 M5.4 4
14 4時37分 4時34分 福島県浜通り M4.1 3
15 4時5分 4時2分 福島県浜通り M4.4 3
16 3時51分 3時47分 福島県浜通り M4.0 3
17 2時4分 2時0分 千葉県東方沖 M4.1 2
18 1時3分 1時0分 長野県北部 M2.6 1
19 0時46分 0時42分 新潟県中越地方 M3.1 1

 見てみるといくつか気付くことがあります、まず19のうちM5以上の地震が3もあります。

 また震源地をみると19のうち実に13が内陸部で発生していることがわかります。
(※10行目の”---”は発生地・規模共に計測不能だったことを示しています。)

 3月11日の大地震は、プレート型連動地震つまり沖合いで発生した巨大地震なのでありますが、1ヶ月たった現在、その余震は沖合いよりも内陸部つまり陸地直下型地震が多発していること見て取れます。

 この日本気象協会サイトの地震情報をプログラムをちょこっと作ってDB化して解析してみました。

 まず3月11日から4月13日までの余震回数とM5以上の規模の発生回数です。

■図1

 折れ線が余震の日別総回数の推移を現しています。

 やはり当日(14:56発生ですので実質9時間ほど)の96回と翌日の151回をピークとして緩やかに減少傾向を示していますが、4月11日から12日にかけて78回、68回とピークがみとめられます。

 M5.0以上規模の地震回数も同様の傾向で、当日と翌日で52回、46回とピークを形成してますがその後は緩やかに減少、ただ4月11日から12日にかけてやはり、7回、4回と小さなピークが見られます。

 最近余震が増えている感覚でしたが、グラフで数値として出ていますね。

 次に3月11日から4月13日までの余震の震源地の動向を調べてみましょう。

 気象庁の発表する震源地の地名は厳密に定義されています。

地震情報で用いる震央地名(日本全体図)
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/region/index.html

 この発表に基づき発生した余震を沖合いのものか、内陸部直下か分類して統計を出してみました。

■図2

 上の折れ線が余震の日別総回数の推移を、下の折れ線がそのうち内陸部発生の余震数の推移を現しています。

 うむ、これははっきりとした傾向が示されていて興味深いですね。

 3月11日発生直後は96回の余震のうち内陸部直下はわずか9回(9.4%)であった割合が、翌12日には151回中53回(35.1%)、13日には61回中29回(47.5%)と時間の経過と共にその比率を高めてきているのがわかります。

 後半には例えば4月12日には78回中59回(75.6%)が内陸部直下を震源とする余震となっています。

 ・・・

 まとめますと、大きな傾向としては余震回数は減少傾向にありながら、ここ2、3日は小さなピークを形成して余震が増加していることが認められます、今後も今回のような小さなピークが発生しながら減少していくことになるかも知れません。

 M5.0以上の規模の余震も大きくは減少傾向にありながら4月11日には7回と小さなピークを形成しています。

 今後も気象庁が予測するとおりM7クラス(震度6強クラス)の大きな余震への備えが必要だと思われます。

 そして明らかに余震の震源が内陸部にシフトしてきているのがわかります。

 ないことを祈っていますが、内陸部の直下型大地震に備える必要がありそうです。

 この解析が読者のみなさまの考察の一助になれば幸いです。

 ※気象庁発表の地震速報ですが、気象庁によればすべての余震を網羅してはいません、規模が大きくても発表が間に合っていない余震情報も少なからずあるようです。したがってここで解析した結果はあくまでも参考資料として扱っておくレベルであることをお断りしておきます。



 (木走まさみず)